労災保険の申請、認定について
やりまっせ大阪30号(2000年夏季号)
大阪市にお住まいのご婦人の方から、近所の男性(65才)が昨年、建築工事現場で勤務中に落下事故に遭い、最近になって手足のしびれが悪化し、仕事ができない状態が続き困っているとの相談をいただきました。
この男性は塗装業を営んでおり、事故当日も大手企業の孫請けとして工事現場で働いておりました。事故後、ただちに病院で治療しましたが、詳しい検査もせずに再び現場に復帰していたところ病状が悪化し、現在では仕事どころか日常生活にも支障をきたす状況とのことでした。当初、会社側の意向で労災保険の申請を控え、最近になってようやく申請を出したが時間が経過しているので労災認定が難しいのではないか、というお話でした。
労働省に確認したところ、事故後、2年以内に申請すれば請求権は失効せず、因果関係が明らかになれば労災認定がなされ療養給付、休業補償などの手当が支給されます。また、労災保険の給付決定は労働基準監督署が行いますが、その決定に不服があるときは都道府県の労働基準局への審査請求と、労働省の労働保険審査会への再審査請求と2段階の再審査の機会があります。
今回のケースでひとつ問題なのは会社側の対応です。建築、造船業については工事の受注者(元請け)がすべての工事関係者の労災保険を負担し、その保険料は労災事故の有無によって金額が変わることから、労災保険の適用を回避する、いわゆる「労災隠し」が行われがちです。
「労災隠し」は違法であり、罰則が適用されますが、仕事を通しての力関係で労働者が泣き寝入りするケースがあります。今後、「労災隠し」がなくなるよう労災保険制度の改善を検討してまいります。