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スクールカウンセラー > スクールカウンセラー制度の導入について
126国会 文教委員会会議録 1993年02月23日(抜粋)
○山下栄一君 公明党の山下でございます。
私の方からは具体的な問題を二点お伺いしたいと思いますが、まず、登校拒否の問題でございます。
特に最近、登校拒否の子供たちがふえ続けておるという非常に深刻な状況があるわけでございます。特に昭和五十年以降はもう一貫してふえ続けておる。きょうの午前中、上山委員の方からもお話がございましたが、小学校ではこの五年間毎年千人という単位でふえておりますし、またそれも非常に低年齢化してきている。中学校では、特に長期欠席者、三十日以上という観点で統計を出しますと、百人に一人の中学生が登校拒否である、一校当たり約五人に当たるという大変な数なわけでございます。
この登校拒否の原因につきましても、特定の子供に見られる現象であるというとらえ方から、最近はもうどの子供にも起こり得る現象であるという認識の転換も行われておるわけでございますが、今の時代状況でこの登校拒否に関する問題が軽くなるということは考えられませんで、ますます深刻化するのではないかという認識を持っておるわけでございます。これは、先進国において非常に物が豊かになって心の病といいますか、そういう観点もありますでしょうし、また一貫して指摘し続けられております学歴偏重の社会全体の風潮ということにも大きな原因があると思うわけでございます。
特に中学生の登校拒否の数が多いわけでございますけれども、中学校生活、高校生活の中身が非常に薄くなってきておりまして、高校生活を豊かにするとか中学校生活を豊かにするという、そのような観点からの生活状況になっていない。細かく序列化された大学、高校を上に見ながら、とにかくいい学校に、いい高校に大学へという、そういう観点しか親も教師も子供たちも目的観を示すことができないという状況もございまして、そういう精神的な圧迫感もあるのではないかと思うわけでございますけれども、ともかくそういう競争に乗りおくれてはならない、だから頑張るんだという、そのような意義づけしかできない中学校生活、高校生活になってきている、これも大変大きな問題になっておる。また、家庭における教育力、お父さんお母さんが共働きの状況の家庭がふえておりますし、地域の教育力も低下している。
いろんな原因が考えられておるわけでございますけれども、ただ、その登校拒否の子供たちの問題は、本人も大変な苦しみですし親も先生方も大変な苦しみ、特に目に見えない心の問題でございますので非常に対応が難しいという状況があるわけでございます。
そういうことから、時代状況を考えまして教育における登校拒否の問題というのはまさにこれから、今もでございますが、最大の教育課題である、こういうとらえ方をすべきではないかな、こういうふうに思うわけでございますが、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生がおっしゃいましたように、登校拒否というのが大変目につき始めてまいりまして次第に多くなってきているということは、大変問題だというふうに認識しております。
文部省におきましても、この問題に対応しますために従来から教師用の指導資料の作成、配付をいたしましたり、教員のこの問題についての特別の研修をいたしましたり、教育相談活動とか適応指導教室事業などの推進をしたり、登校拒否などの児童生徒指導困難校に対する教員の加配などの施策を講じてきたところでございまして、平成五年度の予算案におきましては適応指導教室事業の拡充を図るとともに、新たに登校拒否研修講座及び自然体験学習講習会などを実施するように考えております。
また、昨年三月十三日に取りまとめられました学校不適応対策調査研究協力者会議の報告の趣旨、提言を踏まえまして、九月二十四日付で各都道府県教育委員会等に対して登校拒否問題の対応について局長通知を発しまして、学校や教育委員会に対して登校拒否問題の取り組みの一層の充実に努めるように要請したところでございます。
先生も御指摘くださいましたように、やはり学校というものが一律に単純なやり方で全体を平均的に教育し全体のレベルを上げるというような従来のやり方から、個々の子供たちの個性や能力をそれぞれに見詰めてそれぞれに指導していく、それぞれのよいところを伸ばしていくというような指導がこれからなされますようにいろんなレベルで努力してまいりますが、十分それが対応し切れていないところにこのような問題が起こってきているのではないかというふうに考えているところでございます。
○山下栄一君 今、大臣の方から文部省が考えておられるさまざまな方策のお話があったわけでございますが、この登校拒否児対策の中身をもう少し御質問したいと思うわけでございます。
まず、学校における教員の対応でございますが、先ほど申しましたように、非常に問題の原因がわかりにくいということがございますので、ある程度の知識がないと原因がずれてしまうような対応をしてしまう場合があるわけでございまして、そういう意味では、今おっしゃった教員の研修ということは大変大事なのではないかな、このように思うわけでございます。ただ各県の、そういう特に登校拒否問題に対する研修体制、これが非常に強力なところとそうでないところとばらつきがあるのではないか、このようなことを感じておるわけでございます。特に、精神医学の知識とか心理学の知識、この辺が必要になってくる問題でございますので、教員の経験、教育経験があればよいという問題でもないと思いますので、ある程度専門的な知識も必要である、そういう意味で教員の研修は非常に大事なことである。
そういう観点から、今現在日本の中で専門的なこういう登校拒否児に関する対策として充実した研修体制をとっておられるような都道府県がございましたらちょっと教えていただきたいな、このように思います。
○政府委員(野崎弘君) 先生御指摘ございましたように、これは一人の先生がそのことを知識として持っていればいいということじゃなしに、やはり教師一人一人が登校拒否問題についての理解を深めるということは大変大事なわけでございまして、そういう意味で私どももこの教員の研修には大変力を入れておるわけでございます。
全国的に申しますと、まず文部省では全国の生徒指導担当の指導主事あるいは教員を対象にしまして生徒指導講座というのを開催しております。その中でいろいろな登校拒否に関する指導のあり方等の研修を実施しまして、それをまた各県に持ち帰っていただいて各県段階の研修をしていただくという形をとっているわけでございます。各都道府県の教育委員会におきましては、これは文部省との共催によりますが、生徒指導講座、これは県の段階の生徒指導講座でございますが、これを実施していただいておりまして、やはり登校拒否児童生徒への指導、カウンセリングを中心とした研修講座を実施しておるわけでございます。
専門的な講座はそういう形で実施しておりますが、そのほかに各県におきましては初任者研修とか中堅教員研修あるいは管理職研修、そういう段階ごとの研修がいろいろあるわけでございまして、そういう研修の中におきまして登校拒否問題を含めました生徒指導に関する研修も実施していただいておるわけでございまして、私どもとしてはいろいろな場でこういう研修の機会というものを確保していきたいと思っております。
○山下栄一君 文部省が中央で研修を行われて、それを受けて各県でやるという方式も一つの方法かと思いますが、やはり全教員がぶつかる問題ですので、そういう意味で各県の研修体制をさらに強化する必要がある、このように私は考えておるわけでございます。
ただ、非常に主体的、自主的に各地方におきましては充実した内容を持っておられる県もあると思いますので、その辺の問題の深刻さから考えまして、研修体制が全国でどうなっておるのかという一度全国調査をやるべきではないか、このようなことを考えておるわけでございますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) どういう形で実施するかは別にしまして、そういう全国的な状況の把握は努めてまいりたいと思っております。
○山下栄一君 先ほど大臣も加配の問題をおっしゃったわけでございますけれども、学校の中においてやはり専門的なそういうカウンセリングの能力を持っておられる先生方の育成といいますか、これも大事な課題であると思うのでございます。
専門的な知識、技術、経験も踏まえまして、そういう先生方を配置していくという、そういうスクールカウンセラー制度ともいうべき、ちょっとこれはアメリカ方式みたいなやり方は日本になじまないかもわかりませんけれども、教員免許を持ちながら、だけれどもそういう心の問題に対して非常に専門的な対応もできるという、そういう先生方がきちっと学校の中にいらっしゃるということが非常に大事なんではないかなと。登校拒否の子供を扱う先生方が単に保健の先生とかということではなくて、きちっとした教員免許を持ちながら教育相談担当教員といいますか、スクールカウンセラーでも構いませんけれども、そのような先生方をきちっと配置する、そういう先生が非常に専門的な力を持っておる、こういう相談担当教員の制度化といいますか、こういうこともやるべきではないかなと思うんですけれども、この点どうでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今、各学校には生徒指導担当の生徒指導主事というのが置かれておるわけでございまして、そういう方が中心になって生徒指導の関係に携わっているわけでございますけれども、各学校にそういう専門のカウンセラーを置くということになりますと、やはり現在の段階におきましてはむしろ教員の充実というような形で定数改善等もされておりますので、現時点においてそういう形で進んでいくということはなかなか難しい課題かと思うわけでございますけれども、貴重な御提言として受けとめさせていただきます。
○山下栄一君 今申しましたように、単に先生方を余分に配置するということでは解決できないような問題でございますので、そういう意味で、先ほど申しましたような心理とか精神的な知識とかそういうこともきちっとわかっておられる先生方の養成という、そういう意味である程度専門的なカウンセリング能力を持っておられる先生方、これをきちっとやっぱり配置する必要がある。
そのためにもやはり、名前はちょっとわかりませんけれども、スクールカウンセラーとなるのか教育相談、単に生徒指導ということではなくてカウンセリングマインド豊かな担当教員という、そういう意味で専門的な体制といいますかある程度統一的な認定基準なんかも考えて配置するというふうな方向に持っていくべきではないかなと。これからますます深刻化が予想されますので、そういうふうなことでないと、心の問題は対応を誤りますと余計こじらせるということがございますので、そういう意味でも教師の中にそういう専門的な教師の育成ということが非常に大事なんではないかなと。そのためにも、統一基準も含めまして、そういう特に能力を持つ先生方を育成していくという、また育成していくだけでなくて体制化もぜひともやっぱりこれは考えていくべきである、そういうように思うわけでございますが、再度お伺いしたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 昨年の三月十三日に出ました協力者会議報告におきましても、学校の先生だけじゃなしにやっぱりそういう専門的な知識を持った人たちとの連携も大事であるという指摘があるわけでございまして、したがっていろいろな教育相談の機関あるいは福祉関係の機関とか、そういういろいろなところとの連携協力を図るべきである、こういう指摘もされているわけでございまして、確かに一人一人の子供をとらえたときにその出てくる対応というのはいろいろなものがあると思うんです。医学的な面も必要でしょうし心理学的な面も必要であろうし、いろいろな面で必要になってくると思いますので、その一人の先生で対応するというのは、先生御指摘のように大変難しいと思っているわけでございます。
やはり、研修の場合を通じて先生がいろいろな知識を持っていただくことが大事であると同時に、いろいろな関係の機関との連携を深めて総合的にこういう問題に対応していくということが大事だと思っておるわけでございまして、先生のおっしゃるような専門的な職員を各学校に配置できるというところまではなかなか私どもも踏み切れないわけでございますけれども、御趣旨を体しましていろいろな関係の専門機関と、そしてまた専門の先生方との連携を深めるようにこれからも指導してまいりたいと思っております。
○山下栄一君 話がちょっとかみ合ってないんですけれども、私はお医者さんとか心理療法士とかそういうふうなことを言っているんではなくて、例えば教員集団の中にそういう専門的な知識も技術も持った先生方を育成していかなきゃいかぬと。そのために、やはりそういうしっかりした研修体制を組んで、四、五日とか一週間の研修で終わりとするのではなくて、長期にわたる研修体制を強化しながら先生方もはぐくんでいくというふうなことを考えていくべきではないかなと。
特に、東京都におきましては国立教育研究所ですか、非常にしっかりした、私も先日参ったんですけれども、この辺のカウンセラー育成、教師の中から希望者を募りながら、上級、中級、初級から始まって、そのような教師の育成ということで力を入れておられるという、東京都はそうなわけでございます。首都圏でもそういう県が神奈川県とか群馬県とかあるようでございますが、私が住んでおります関西圏なんかはそういう体制は弱いわけでございます。
そういう意味では、各都道府県なり、まあ国でも構いませんけれども、しっかりした研修体制をとりながらこういう専門教員を育成していくという、教員免許を持ちながらそういう指導ができるという教師をやはりこれからどんどん育成していかないと、これは本当にかえって中途半端な対応をしたために問題が深刻化して、もうお医者さんに頼らざるを得ないというふうな、そういう状況が広がってくるのではないかなと、このようなことを考えますもので、こういう専門教員、相談教員といいますか教育相談担当教員といいますかスクールカウンセラー、どういう言い方がいいかわかりませんけれども、そのような教員の研修体制の強化充実、これをやはり国を挙げてやるべきではないかなと考えるわけでございます。
大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生が御指摘くださいましたように、教師の中にそのような気持ちと、それから能力を持つ者をふやしていくことによって、これに対する対応をもっと上手にうまくするべきであるということ、まことにそのとおりだと思いまして、先ほど私もちょっと申し上げました平成五年度の予算案におきまして適応指導教室事業の拡充を図るとか新たに登校拒否研修講座などを考えておりますのも、そういうことの一環でございます。
先生の御経験を踏まえての大変具体的な御提言でございますので、さらにその御趣旨を体しまして努力していくようにいたしたいと存じます。
○山下栄一君 来年度予算にかけておられる登校拒否対策事業の観点だけでは非常に弱いのではないかなと思いますもので、今意見を述べさせていただきました。
関連してでございますが、各都道府県にあります教育センターなどの教育相談機関ですけれども、これは子供、それから親、教師も相談できる場として教育委員会所属の教育相談機関が全国にたくさんあるというふうに聞いております。市町村まで含めますと一千三百を超える教育相談機関がある。ただ、教育相談機関の中身が非常にこれもばらばらであるということで、相談員が常勤の場合もありますし非常勤だけしかいらっしゃらない、それも単に元校長先生とかいう管理職経験者はいらっしゃるけれども、医学の観点とか心理学の観点の職員がいらっしゃらないという、そのようなこともあるわけでございます。
ただ、先ほど申しましたように、教育相談の内容といいますのはやっぱり登校拒否に関する相談が非常に多いという実情から考えまして、相談員の体制充実、スタッフの充実ということが大変大事になってくるのではないかなと思うわけでございますが、この辺の教育相談機関、特に各都道府県、市町村にございます教育相談機関の充実強化のための国の支援といいますか、これは具体的にあるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今、教育相談機関についてでございますが、県、指定都市で見ますと機関が二百十一ありまして、常勤職員がトータルでございますが五百五十五人いるということでございまして、県の段階ではある程度体制的に整っているんじゃないかと思います。県、指定都市の段階におきましては整っているんじゃないかと思いますが、市町村になりますと千百四十七機関がございますが、常勤が九百五十六人というようなところで、中には常勤の人がいないというところももちろん出てきているわけでございます。
国の財政措置がどうかということでございますけれども、指導員の配置につきましては地方交付税で措置をいただいておるわけでございます。そういうことで、今後におきましても地方交付税面におきます財政支援措置というものの充実に努めてまいりたいと、このように思っております。
○山下栄一君 その財政支援措置なんですけれども、教育相談機関の教育センターを初めといたしまして、非常に役割がこれからますます大事になってくると思います。そういう問題の子供を抱えた親も教師も具体的に相談できるところはやはりそういう教育委員会所属の教育センター等ではないかなと思いますので、そういう意味で、例えば文部省予算の中に登校拒否等対策総合推進事業というのがございますね。この中に教育相談機関に対する財政的支援というのは入っておるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 現在、私どもが力を入れておりますのは適応指導教室という形でいろいろな委嘱事業を行っておるわけでございますが、そこにつきましての国の財政措置というのはしておるわけでございますけれども、教育相談機関におきます相談員の配置につきましては先ほど申し上げたように地方交付税面で措置をしている、こういうことでございます。
○山下栄一君 私は適応指導教室の支援も大事だと思うんですが、やはり具体的に問題を抱えた登校拒否の子供の親も教師も相談できるところ、本当にわらにもすがるような思いで行かれるところ、教育相談所といいますか教育センター、これは大変重要な役割を果たしておるというふうに思うわけです。
特に、現在では学校の中にそういう専門家がおらないので、地域におけるそのような教育センターが大変大事である。そこにやはり国として、特に登校拒否の総合推進事業というのがあるならば、適応指導教室だけではなくて教育相談機関への財政的支援というのは、これは地方交付税というやり方ではなくて文部省予算としてやっぱりぜひともやるべきであると考えるわけでございますが、大臣どうでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の御指摘の趣旨はよくわかるのでございますけれども、この問題はなかなか一律にというわけにはまいりませんで、それぞれの地域によっても、また市町村の具体的な実情によって違うところもあろうかと思います。したがいまして、地方がそれぞれにおやりになることを文部省としてお助けするというような姿勢でやっていきたいというふうに考えます。
○山下栄一君 ぜひとも前向きの対応をお願いしたいというふうに思います。