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126国会 文教委員会会議録 1993年03月29日(抜粋)


○山下栄一君 私の方からは、具体的に四点ほどお聞きしたいと思います。
 まず初めに、先月の委員会でも取り上げた問題でございますが、不登校対策の問題でございます。
 先ほども御質問ございましたが、先ほど局長からも御説明ございましたように、今回、不登校対策のための加配、教員配置、これが小学校、中学校の義務教育段階並びに高校段階でも考えられておるわけでございます。もちろん、教員の数をふやすことによって現場の負担を軽くするという対応をしていくことも大事なわけでございますが、教員の数がふえればよいという問題でもない。やはり教師の質といいますか、特に教育相談能力を持っている教師が具体的に配置されていくということが非常に不登校対策にとっては大事な問題である、このように思うわけでございます。
 そういう観点から、先月もお話ございましたように、教員の研修についても文部省は非常に力を入れられて、本年度は特にこの不登校対策のための教員研修も新たに考えられるということも聞いておるわけでございます。研修対策の充実と同時に、全教師にそういう教育相談の力を身につけるというそういう観点も大事なわけでございます。やはり具体的に、学校に非常に専門的な、特に教師の免許を持っておられて教育経験がある方で安心できる先生がいらっしゃること。
 特に、不登校対策と申しますのは目に見えない心の問題が非常に中心でございますので、家庭訪問すればよいとか、また学校へ引っ張り出せばよいという問題ではなくて、かえってそういう引っ張り出そうとすることによってこじれてしまって問題が大きくなって取り返しがつかなくなって病院にというふうなことも考えられるわけでございますので、そういう意味で心の問題もある程度理解し対応できるという専門的な力を持った教師の存在、学校の中にそういう先生がいらっしゃるということがこれからますます大事になっていくのではないか。
 精神の問題、心の問題と申しますのは、やはり物が豊かになればなるほど非常に大きくまた広がって問題になっていく可能性が強いというふうに思われますので、そういう意味で学校現場にぜひとも専門的な教師の存在が必要である。そのために、私が先月申し上げました教育相談担当教員、どういう方がいいかわかりませんが、学校カウンセラーという方がいいのか相談教諭という方がいいのか、そういう資格認定制度、これの導入を考える時期が来ているのではないかなと、このように思うわけでございます。
 特に、法的裏づけのある国家資格としてそういう資格教員のカウンセラーといいますか教育相談担当教員の資格認定制度の導入、これをぜひとも考えるべきである、このように思うわけでございますが、御答弁をお願いしたいと思います。


○政府委員(野崎弘君) 先生御指摘のように、登校拒否児童生徒数は年々増加傾向にあるわけでございまして、この問題の対応は大変重要な問題になっているわけでございます。
 これは協力者会議の方の報告にもございましたが、この登校拒否の問題というのは特定の子供に起こるということではなしに、あらゆる子供にその可能性があるんだということなわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、この問題につきましては校長のリーダーシップのもとに全教職員が一致協力してこの問題に取り組むということが大事だと、こう思っておるわけでございます。
 先生御指摘の、そこにやはり専門的知識を持った指導的な教員が大事であるという点は私どもも十分わかるわけでございます。しかし、その先生にそれじゃ問題を任せちゃっていいのかという点になりますと、もちろん先生もそういう意味でお話しされているわけじゃございませんけれども、えてしてそういう専門の先生というものができますとその先生に問題を任せてしまうというようなことが考えられるわけでございまして、やはり私どもとしては全教職員がみずからの問題としてこの問題に取り組んでいくということが大事なわけでございまして、その際にその中心となる人物にやはりいろいろな指導力を持っていただくということが大事でございまして、今先生御指摘のございました平成五年度の予算案におきまして、指導の中核となる登校拒否担当教員の指導力の向上を目的としました登校拒否研修講座というものを新たにつくろうとしている趣旨も、先生がおっしゃる資格認定試験制度というものではございませんけれども、やはり中心となる指導力のある先生というものをまずこの研修講座で養成をしたい。そして、その結果をそれぞれの学校におきまして全部の教職員にまたその指導力をさらに伝え、そして養成していっていただきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
 私どもとしては、資格認定試験制度というような形ではございませんけれども、そういうような形で専門的な知識を持った教員というものをできるだけ多く、そしてできることならば全部の教員がそういう目を持って子供たちに接触していただく、そういうようなことでこの問題に取り組んでまいりたい、このように思っているわけでございます。


○山下栄一君 具体的に、全国教育相談研究会等の団体があると思うんですけれども、そういったところからの陳情も文部省の方にされているようにお聞きをしているんですが、その辺はどうでしょうか。


○政府委員(野崎弘君) いろいろな立場からのお話は私どもも聞いておるわけでございます。
 最近、臨床心理学とかいろいろな形の子供に対する心理学的な接触の方法あるいは病理学的な接触の方法、いろいろあるわけでございまして、先生おっしゃるように、そういう形で一人の教員があらゆる知識を持つということは大変大事なことだと思うんですけれども、なかなかこれは心理学的な問題あるいは病理学的な問題、いろいろなことを本当に一人の教員がきわめるということは難しい。
 そんなことで、協力者会議の中でもそういう専門的な知識を持った人たちの連携体制、そういうものを強調しておるわけでございまして、私どもとしては、そういうものが各県にございます教育センターなり、そしてまたそのセンターなりで設けられております適応指導教室、そういうあたりが中心になりましていろいろな専門的な知識を持った人の連携のもとにこの仕事が進められるということが望ましいんじゃないかということで指導を続けているわけでございます。


○山下栄一君 専門家との連携、確かに精神科医の先生とか心理学の専門家とか大事だと思うんですが、やはり具体的に学校現場で登校拒否の傾向のある、そういう問題を抱えて学校に行けない、行けない理由も非常になかなか込み入っておって判断が難しくて、どうしてこの子は学校に行けないのかというようなことを判断できなくて非常に対応に苦慮して戸惑っている。現場で具体的にそういう戸惑いがいっぱい教師にあるわけですよね。
 そうすると、相談するときに外部のお医者さんとかいうこともあるとは思うんですけれども、医学の資格を持った人でなくても、そういう教師の中で学校内である程度振り分けできるというか、担任の先生が相談されて、ああこの子は病院に行ったほうがいいですよとかそういうふうな振り分けできるような先生が現場にいらっしゃると、全学校にということでなくても、ある程度全国に教師という経験を持った方がいらっしゃるということは、私はもう本当に大事なことではないかなと、安心感だけでも大分違うというふうなことを思うわけですよね。
 そういう意味で、教員の中からそういうある程度この専門家を養成し、そういう資格まで考えていくということは今後の方向として大事な方向ではないかなというふうに思います。具体的な要請もカウンセラー学会とか心理学会とか、また全国の相談学会等からも陳情があるというふうに聞いております。
 そういう意味で、それを含めて検討会議みたいなものを設置して前向きにとらえていただきたいなと、このように思うわけでございますが、大臣どうでしょう。


○国務大臣(森山眞弓君) 子供たちが健全に成長するように、それを見守り、助け、引き伸ばしてやるというのが先生方の本来なさっていただくべき仕事でございますし、それができるというのが先生の条件であるというふうに言っても差し支えないと思うわけなんでございますが、現在の社会が大変複雑多岐にわたっておりまして、子供たちの環境もさまざまでございますし、そのすべての問題を一人で判断し処理するというのは大変難しいことだと思います。
 従来の先生方の勉強していただいたその力だけではしょい切れないということも確かにあろうかと思うのでございますが、しかしこの問題は校長先生のリーダーシップのもとに、各先生方がそれぞれ御自分の担任しておられる子供たち一人一人をきめ細かく見守っていただいて、そしてかなり難しい問題でも何とか互いに力を合わせ、知恵をかし合って処理していただくということをできるだけしていただきたいものだというふうに思っております。
 しかし、今までの勉強や資格だけでは処理し切れないものもあろうかということで、かなり専門的なことにわたる研修などをさせていただいて先生方の心配や不安を除いて実際に処理していただけるのに随分役に立っているかと思うのでございますが、そのようなことを方法といたしまして、これからも学校の全体が協力をして一層研さん、研究をしていただくとともに、みんなで力を合わせて子供たち一人一人に目を届かせていただきたいと、そんなふうに考えておりますが、先生の大変貴重な御指摘を参考にさせていただいて、これからも努力をしていきたいと考えております。


○山下栄一君 次に、適応指導教室の問題でございます。
 これは国の委託事業、また都道府県、市町村の独自の事業として、学校になかなか行けない不登校の生徒、登校拒否の生徒たちの面倒を見る教室が学校以外のところで設置されておりまして、非常に大きな成果が出てきておるというふうにお聞きしておるわけでございますが、この適応指導教室の推進拡大計画、この辺はどうなっておりますでしょうか。


○政府委員(野崎弘君) 適応指導教室、これは文部省がどこそこに具体的に置くということじゃなしに、ある意味では各県、そしてまた各市町村の必要性なりそういうものに応じまして適応指導教室が設置をされてきたわけでございます。
 文部省が平成四年五月に調査したところでは、全国で百八十六カ所という形になっています。これが平成四年三月の時点では百三十三カ所だったわけでございますけれども、それが平成四年の五月になりますと百八十六カ所ということで、やはり現在の登校拒否児童生徒数が増加傾向にあるという中で、それぞれ県なり市町村で工夫をしてこの指導教室がつくられてきておる、このように理解をしておるわけでございます。
 文部省におきましては、そのすべてに対して助成措置ということじゃなしに、こうした教育委員会の取り組みを支援する、そしてまた適応指導教室におきます指導のあり方などにつきまして調査研究をするということで委託事業を実施しておるわけでございます。平成四年度はその委託事業が四十九カ所の適応指導教室において行われておるわけでございます。
 平成五年度の予算におきましても、この予算を増額計上しているところでございまして、委託事業の実施箇所数の増を図りたい、このように考えておりまして、具体的な数は平成五年度の予算でございますので、これから決めていきたい、このように考えているわけでございます。


○山下栄一君 適応指導教室の担当指導員の方なんですけれども、私も何カ所か具体的に回らせていただいて感じたんですが、非常勤の方が多い。また、場合によっては大学生、大学院生などがアルバイトで来られて非常に活躍をされているということもお聞きしているわけでございます。現場では、教育委員会としては人件費の負担も大変であるというふうなこともお聞きしているわけでございますけれども、そのかわり大変成果も上がり、学校に行けない子供が適応指導教室に通級すると、文部省の配慮もございまして、出席日数にもしていただけるという状況になってきているわけでございますが、この適応指導教室に教員を配置するという、そういうお考えはございませんでしょうか。


○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、いわゆる適応指導教室は教育委員会が登校拒否児童生徒を対象にカウンセリング、教科指導、集団指導を行う場として学校とは別途に設置しているものでございます。
 そういう意味から、現在のような適応指導教室に対しまして義務標準法によって教職員を配置することは現行の学校教育法に規定する学校に配置するという基本的な考え方に照らしまして困難でございますが、文部省といたしましては、適応指導教室実践研究委託事業の充実を図るとともに、平成五年度から適応指導教室における非常勤の指導員の報酬等の財政措置を地方財政当局に要望しているところでございまして、それによりまして適応指導教室の円滑な運営を図っていただくように期待しているところでございます。


○山下栄一君 国からの委託事業の場合でも非常に費用が低くて、なかなか現場では負担が大変であるということをお聞きしているわけでございますけれども、実際は学校に行けない子供たちを預かって、そして学校へ行けるような状況をつくって帰してあげるという、それで出席日数にも扱われるというふうなことで、ある意味じゃ学校の代替の役割を果たしているということで、そういう観点から考えましたら、教員配置を適応教室にという、そういう要望も非常に説得力があるんじゃないかなと、こういうふうに思いますもので、今後の方向性としまして、これからやはり適応指導教室は減るよりもますます必要性が高まっていくというふうにも考えられます。
 そういう意味で、教員の配置をする方向でやはり検討していただきたいなと思うのですが。


○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいまも申し上げましたような観点で現行法の建前としては困難ではございますが、適応指導教室における指導内容が学校教育の本来の活動として位置づけられる必要や、あるいは今後の適応指導教室のあり方が、先生がおっしゃるように、非常に学校教育の内容に極めて近づくとかあるいはそのあり方、そういうものを今後の推移を見きわめつつ教員の配置については研究課題として検討させていただきたいと考えております。

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