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学校図書館について > 子ども読書推進法制定の意義について
153国会 文教科学委員会会議録 2001年12月04日
○山下栄一君 おはようございます。
今回、この子どもの読書活動の推進に関する法律案、御準備していただきました議員連盟の皆様、私もその議員連盟に入っておりますけれども、心から感謝また敬意を表する次第でございます。
この議員連盟は、扇会長を中心に、また河村事務局長、多くのすばらしい仕事をされてきたわけでございまして、上野にございます国際子ども図書館設立、また子どもゆめ基金の創設、そして今回の法案の御準備と、子供の側に立ったさまざまなお仕事をされてきた、すごいことであると思います。
この法案の名前も「子ども」という名前がついているわけでございまして、少年法とか児童福祉法とか、そういうともすれば子供から見たら後ろ向きとも言えるような感じの、態様の法案はあったと思うんですけれども、子供の側に立った法律というのはそんなにたくさんないのではないかなと思いまして、そういう意味でも、法律の名前も含めまして、画期的なことであるなというふうに私は感じております。
まず最初に、ちょっと文部科学省にお聞きしますけれども、この法律は、読書活動推進基本計画というのを政府が、文部科学省じゃなくて政府がつくることになっているわけでございますけれども、この点はまた後でお聞きしますが、これができますと、私はまず、学校図書館の、公共図書館も含めてかもわかりませんけれども、蔵書図書の整備が非常にやりやすくなるのではないかと思います。
学校図書館に限っては、あれは何年でしたか、平成五年から五カ年間の、学校図書館図書整備新五カ年計画がありました。これは地方交付税措置ですけれども、五年が終わった後は、この四年間は単年度、その年ごとに約百億円の交付税措置をやってきたと。こういう余り計画性のない形で市町村に配分してきたことが、案外この予算が使われておらない。五カ年計画のときには比較的よく使われておったけれども、単年度になってからは激減して、今は全市町村の三分の一にも満たない執行状況であるというふうにお聞きしておるわけですけれども、こういうことを考えましたら、この法律ができまして推進基本計画をつくるということになってきますと、計画的な学校図書館の蔵書図書の整備、また入れかえなどが非常に実効的に進むんではないかと、このように考えておるわけでございまして、非常にそういう意味でもまさに推進、促進力になるなと思うんですけれども、この点についての文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 学校図書館蔵書の整備に要する経費につきましては、これは先ほど先生からお話がございましたように、義務教育諸学校につきましては平成五年度から平成九年までの五年間に、学校図書館図書整備新五カ年計画に基づきまして総額約五百億円の地方交付税措置が既に講じられまして、その後、毎年約百億円程度の地方交付税措置が講じられている、こういう状況にあるわけでございます。
御指摘の新たな整備計画の策定につきましては、私どもといたしましては、各地方公共団体における整備状況を踏まえながら、子供たちの読書活動の推進と学校図書館の一層の整備充実が図られますように、そういう観点に立ちまして、総務省とも相談、協議をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
○山下栄一君 次の質問に行きます。
本の活用は、やはり人によると。図書館、学校図書館に限りますが、学校図書館に人の配置が思うように進んでおらないという現実があると。学校図書館法がありそして学校図書館という施設がある、だけれども余り活用されないで倉庫になっているというふうなことが以前から指摘されておったわけですけれども、再来年から司書教諭は一定規模以上の学校で配置されることになっているわけですが、人の問題なんですけれども、司書教諭を配置しても、なかなか現実は授業、生徒指導その他の仕事があって、またそういう学校図書館以外のお仕事の負担を軽くするということがなかなか実質上加配措置もないのでされておらないということがあります。司書教諭を配置しても、実際どの程度図書指導また図書館業務その他ができるのか極めて疑問な状況がいまだに続いておると。
そんなことから、自治体におきましては、大阪でもそうですけれども、箕面市または豊中市そして羽曳野市等でも、私、大阪出身ですので、それをサポートするための学校図書館事務職員というのを、それが非常勤なりパートでされている。それが大活躍している。図書館がよみがえったというふうなこと。先生方の授業革命につながり、子供たちの読書意欲が増し、そして学校全体も落ちついてくるというふうな、さまざまな威力を発揮している。これが自治体独自の予算による、市町村ですけれども、学校事務職員、いわゆる学校司書といいますか、そういう形で実績があるわけです。
人の問題、今、教員の側の観点、司書教諭の側の観点、事務職員の観点で申し上げましたけれども、それぞれ私は極めて重要な意義を持っていると。もちろん、限られた予算でなかなか厳しい現実もあるわけですけれども、余りにも重要性は高まる一方であるというふうに考えるわけで、人の配置についてもこの推進法が非常に期待されているところであると思うわけですけれども、この人の配置の実質化、実効性ある人の配置の観点について、文部科学省にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 人の問題についての御提案でございますけれども、私ども、学校における読書活動の推進のためには、校長のリーダーシップのもとで教職員の協力体制を確立して学校図書館の運営が行われることが重要であって、その中心として教諭が兼務する司書教諭が位置づけられているわけでございます。
そこで、司書教諭の活動を支援していく、そういう観点に立って加配措置についての御提案があったわけでございますけれども、これは率直に申し上げまして、新たな教職員配置改善計画の中で定数上の配慮を行うことにつきましては、現下のそういう極めて厳しい財政状況のもとで、率直に申し上げてこれは難しいというふうに考えているところでございます。
また、学校図書館に置かれるいわゆる学校司書でございますけれども、学校司書につきましては、学校における読書活動の推進の中心的な役割を果たす司書教諭を補佐し、学校図書館に関する諸事務に当たる者でございまして、文部科学省といたしましては、そうした学校図書館の重要性と事務量の増大にかんがみまして、義務教育諸学校につきましては第六次、また高等学校につきましては第五次の教職員配置改善計画におきまして、それぞれ一定規模以上の学校につきましては複数配置、事務職員の複数配置ができるようにいたしたところでございます。
いずれにいたしましても、子供たちの読書活動や学校図書館の充実を図っていきますためには、司書教諭の配置を含め、学校の教職員配置あるいは事務のあり方全体の中で考えていかなければならない、そういう問題であると考えておりまして、私どもといたしましては、司書教諭を中心に学校の教職員が協力、連携していくことがそういう意味でも大変必要かつ大事なことではないかと考えているところでございます。
○山下栄一君 今の問題、ちょっと文部科学省のお答えが余りにも、せっかくこの法律ができるのにちょっと意欲が乏しいなと私は感じました。
もちろん子供の読書推進は、子供といっても乳幼児も、乳幼児というか学校以前の未就学児もおるわけで、学校図書館だけじゃないけれども、もちろん生涯学習の観点に立った読書の推進というのを考えなきゃいかぬわけですけれども、せっかく例えば本を配置しても、どの本をことし購入するんだということ。今、世の中にどんな本が出版されているのか。それも分野も幅広い。この授業にはこういう本がいいのではないかというふうなことはそんな簡単に計画を立てられぬわけでございまして、年間の購入計画もきちっきちっと考えて購入すると魅力がある本の配置ができる。子供も行きたくなる。教師も学校図書館を活用しようかなという気持ちにもなる。学校図書館のその場で総合学習時間をやってみようかなという気持ちも起こってくる。新鮮な資料が手に入ると授業にも非常に新しい展開ができるという、さまざまな威力を発揮する。そのためには人がかぎを握っておるというふうに思うわけですね。
的確な読書指導のアドバイスをしてあげれば、読書の嫌いな子供も好きになってくる。また、学校図書館という建物のインテリアなんかも工夫すると、落ちついて、保健室だけじゃなくて、子供たちの居場所としても図書館がにぎやかになるといいますか、そういうことを考えていったときに、そこに人がおるということが大事なことでございまして、私はこの子ども読書推進法律案というのは、学校図書館も公共図書館もそうですけれども、そこにやはり人がおるということをきちっとやらないと具体化しない、実質化しないというふうに思うわけでございます。
司書教諭の負担を軽くしながら図書に関する仕事ができるような体制も考える必要があると思いますし、また事務職員は事務職員で、教員ではできない、先ほど申し上げましたインテリアの問題とか、子供にさまざまな丁寧な細かいアドバイスをしてあげるとか、コンピューター処理をして貸出業務がちゃんとできるようなことをするとかというふうなことのためにも事務職員、それは完璧に整備することは難しいでしょうけれども、財政の限界がある、だけれども思い切った重点配分、そこに子供を大事にしていこうという観点から、読書活動の重みを自覚すればするほど人のことも大事だというふうになってくれば、国民的合意が得られればそういう観点から予算配分をすればいいだけの話だから、そんなことを考えましたときに私は人の問題は極めて大事だというふうに思うわけでございまして、そのためにこの推進基本計画を生かさなきゃいかぬと。
これは事前に申し上げていなかったんですけれども、先ほど趣旨説明されました河村議員にお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(河村建夫君) 山下委員御指摘のとおり、私も同感でございます。
今からこれをどういうふうに進めるかということでありまして、これからの基本計画の中にこういうことをやっぱり織り込んでいかなきゃいかぬと思いますが、司書教諭を学校図書館に置かなきゃいけないというのは学校図書館法の第五条にもあったわけでありますが、当分の間置かなくていいというやつを、これは参議院の発議によってこれを置くべきだということで検討をいただいて、法案をおつくりいただいて、そして十二学級以上のところに置くというところまで来たわけでございまして、これをさらに進めていきたい。その願いも込めて今回の法律に、いわゆる子供たちの読書環境の整備という言葉の中にはそのことも含まれておるというふうに我々思っておりまして、これからやっぱり我々が政治の責任においてこれをさらに進めていくということで、いわゆる担当所管庁であります文部科学省を督励しながら、この推進方に我々一緒に努力していきたい、このように考えております。
○山下栄一君 ありがとうございました。
次の質問ですけれども、図書館のネットワーク化なんですけれども、地域には公共図書館がある、そして小中学校には学校図書館があるわけです。その公共図書館と学校図書館、また学校図書館同士のネットワーク化が文部科学省の取り組みでも進み始めているということをお聞きしておりますが、やっぱり日本は資源は少ない国だ、人が大事だと。人のレベルアップといいますか、人間自身の向上といいますか、そういう観点からも学びの視点、教育の視点が大事だと。学びの場としての公共図書館、学校図書館は大変重要であると。そういう意味で、ネットワーク化というのは非常に私は大事なのではないかというふうに思います。
そして同時に、学びの拠点としての図書館の役割、そして地域にはそういう拠点の、学びのセンターとしてのさまざまな連携をとるときのキーステーション、例えば公共図書館になるのかもわかりませんけれども、そういうふうなこともあると思うわけです。地域の町づくりの学びの拠点としての図書館の役割も非常に大事だし、ネットワーク化もこれからどんどん進めていかなきゃいかぬ。やっとそのネットワーク化が緒につき始めたばかりだし、中核図書館の形成もこれからの課題であるというふうに考えるわけでございまして、この観点からの、これもまた推進基本計画に係る話かもわかりませんけれども、提案者のお考えをお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(西博義君) お答え申し上げます。
文部科学省では、平成十三年度から、先ほど山下議員おっしゃいました、学校図書館を中心として、公立図書館などを結ぶいわゆるネットワーク化を推進するモデル事業を開始しております。今では四十六地域がその事業に沿って実現を目指しているところでございます。
我々としましては、学校図書館などに備えられた図書をできるだけ子供たちが有効に利用するために、子供の読書活動を推進する環境づくりを進めていきたい、こういう趣旨からもこのモデル事業は大変重要な意義のあるものだというふうに考えております。今回の法律の第七条においても、学校、図書館その他の関係機関と連携強化する規定を設けておりますけれども、この法律案ができることによってこのような事業がさらに推進していく、推進されていくべきものだと、こう思っております。モデル事業だけではなくて、本格的な事業として育っていくことを私どもも心から期待しております。
さらに、今回のこの法律、子供の読書活動、活動の推進という観点が私は大変大事だというふうに思っておりまして、いろいろな環境をいかに整備をしていくかということから考えますと、既に各地でそのためのいろんな運動といいますか提案がなされております。
私どもの党の中でも、地方議員も大変活躍しておりまして、例えば岡山県と広島県の県境を結ぶ図書の交流だとか、さらには埼玉県では既に町立の図書館と各学校をインターネットで結ぶ事業が推進されており、堺市では移動図書館車というものが既に三千冊の本を積んで各学校を回っている、こういう運動も既に進められているようでございます。
私たちとしましては、できるだけ各地の現状を見きわめた上で、それぞれの特徴に合わせた推進の運動が展開されることを要望していきたいと思っております。
○山下栄一君 今回は法律ですから、国がどう取り組むかということ、もちろんそれだけじゃございませんけれども、問われてくると思うわけですけれども、今、西議員おっしゃった観点、地域の独自のさまざまな主体的な意欲的な知恵を持った取り組みを生かす形の推進というのが非常に私も大事であるということを今お話を聞きながら感じたわけでございます。
次に四点目。これは、推進基本計画もそうなんですけれども、政府がやるという形で書いてございます。子供の読書活動推進となりますと、やっぱり文部科学省というふうにするのか。また、この法案自身も文教科学委員会で行われているわけでございますけれども、これはやっぱり政府が取り組むという、政府挙げてといいますか、非常に画期的なことであるなと思うんですけれども、なかなかどんな形になるのかなというようなことは思い浮かんでこないわけでございまして、政府が基本計画をつくり、これは閣議決定していくんだと思うんですけれども、この辺、どういう意義があるのかということを教えていただきたいと思います。
○衆議院議員(河村建夫君) 山下先生御指摘のとおり、この法律の所管官庁といいますか、基本的には文部科学省の所管に属するものであることは間違いございません。
したがって、子供の読書活動推進基本計画も文部科学大臣が策定すると考えられるわけでございますけれども、委員も御承知のように、平成十一年の衆議院、参議院の決議にもございまして、この法案の基本理念にもうたってございますけれども、子供の読書という意味の大きさといいますか重要性にかんがみて、やっぱり国を挙げて取り組む体制というものが必要であろう、このように考えて政府が策定と、こう書いたわけでございます。
今後、具体的な策定の手続といたしましても、子供の読書活動推進基本計画の案を文部科学省が作成をするわけでございますが、当然、その際には文部科学省だけではなくて関係省庁との協議も必要になってまいるわけですし、閣議でもやってもらうようになるわけでございます。青少年の健全育成に関する内閣府、あるいは総務省は地方交付税との関係もございます。それから、財務省は当然財政上の問題もございます。また、優良図書の推薦等は厚生労働省も関係をする。それから、経済産業省は出版業界との関係もございます。
このような関係省庁とも十分協議を行った上で国が策定する、こういう気持ちで、国を挙げて取り組むという姿勢でこの問題は取り組んでいきたい、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
○山下栄一君 最後に大臣にお聞きしたいと思いますけれども、この法律は子供の読書推進というふうになっているわけですけれども、そういう法律の名前にあらわれておりますように、やっぱり子供たちの、よく活字離れと言われるわけですが、私は読書離れというふうに言った方がより正確かなと思うんですけれども、本を読む、本を声を出して朗読する、身近に本があるという、そういう環境が非常に衰弱しているというふうな状況になっておると。
赤ん坊のころからお母さんに、おばあちゃんに絵本を読んでもらったとかというふうなこと、僕なんかも物すごく記憶があるわけですけれども、学校時代は余り本を読みませんでしたが。そういう本の思い出というのは非常に大事だなというふうなことを思うわけでございます。今、子供だけじゃなくて大人も含めて、引きこもりというふうなことにあらわれるように、接する機会がどんどん減っている。対話にならぬというふうな、人間が会っても対話にならないというふうな状況もよく言われるわけです。コミュニケーション能力というか、コミュニケーション不全の社会だというふうな言われ方もするわけですけれども、外で人間と対話をしようと思う前に、まず自分自身が心の中で対話できるか。心の対話、内なる対話ということが外なる対話に結びついていくんだというふうなことも感じるわけです。
そういう意味において、内なる対話としての読書といいますか、例えば偉大な作家、文豪、作品に触れることは人格に触れることであるというふうなことを考えましたときに、自分自身にも対話するし、その作者とも対話するというふうなこと、こういう観点から考えましたときに、人格形成にとって読書というのは非常に重みがあるし、また今の世の中に、非常に便利な社会になった、そういう社会に非常に大事な役割が読書という二文字にあるのではないかというふうに私自身は思っているわけですけれども、大臣の読書活動の意義、読書ということの意義、そしてこういうことを推進することの意義について、所感をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) まず初めに、読書活動を推進するためのこの法案について、御提案いただきました提案者の方々、そして御協力いただきました方々に心から敬意を表したいと思うわけでございます。扇会長のお進めいただきました子ども未来を考える会の活動が源泉になっていると聞いておりまして、そういうことに御注目いただき推進していただきましたことに、私といたしましては心から敬意を表します。
先生の御指摘でございますが、私もまことに同感でございます。人間すべてにとって、豊かに生きるために読書というのは大変大事だと考えております。それは、自分の知らなかった世界が広がるというだけではなくて、物を考える力あるいは感動する力、そしてみずから対話をしたり、そして表現力を持ったり、いろんな意味ですばらしい効果を持つのが読書だと思っております。特に、人生を歩み始める初期の子供の時代に本に触れるということは大変大事でございますし、山下委員のおっしゃいましたように、親と子が同じ本を読み合いながらともに共感をし対話をしていく、そのようなことのきっかけにもなるわけでございまして、私は読書の意義というのははかり知れないものだと思っております。
もう既にその意義についてはたくさんこの法律案の中に述べられておりまして、繰り返しませんが、やはり本を読むことによって、ここに書いてあります以外に、行間を読み込みながら想像する力、イマジネーションを持って、そして他者のことも思いやっていくような心も養われるのではないかと思います。
その意味で、今回の法律案を成立させていただきましたら、私どもとしては、この法律の趣旨に沿って、できるだけ子供たちが豊かな人生を歩み始めることができるように、この法案の趣旨にのっとって積極的に必要な施策を講じてまいりたいと考えております。
○山下栄一君 どうもありがとうございました。
以上です。