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143国会 文教・科学委員会会議録 1998年09月24日(抜粋)
○山下栄一君 引き続き、公明でございますが、山下でございます。
有馬大臣は中央教育審議会の会長をされておったわけでございまして、教育分野の最高権威といいますか、実質的にもそういうお立場から今回大臣になられたわけでございまして、今、日本の学校教育、学校教育だけじゃなくて教育の機能そのものが大変行き詰まっているという状況がございます。家庭における教育費の占める割合はふえる一方である。正規の学校だけじゃなくて、塾とか予備校とかもうあらゆる分野での学ぶ仕組みがたくさんあるわけでございまして、教育のニーズは高まる一方だけれども、既存の教育の仕組みは非常に制度疲労し行き詰まっている。そんな状況の中で有馬前会長が大臣に就任された、私はこれは大変大きな意義があるし、国民も大変期待しているんではないかということを感じております。
特に、先日、中央教育審議会の地方教育行政に関する答申が出てまいりましたけれども、地方分権が非常に進んだ内容になっておりますし、また学校の自律性、主体性を確立するというふうな考え方が強く出ておりますし、また地域住民、保護者も含めて、地域の教育行政だけじゃなくて学校運営にも参加していこうというふうなこともございまして、非常に画期的な内容になっておる。ただ、この中教審の答申が骨抜きにならぬようにしていただきたいなと思っておるのでございます。
限られた時間でございますので、私、具体的な質問を二点させていただきたいと思います。
一つは、この九月の初めに、京都大学の大学院理学研究科の入試の結果、外国人学校、在日の朝鮮大学校の出身者が合格したわけでございますが、これに対して、文部省はこういうことはよくないというふうなお考えがあるというふうに聞いておるんですけれども、合格後、入学をさせないということなんでしょうか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 文部省といたしましては、大学において一たん合格者とし、あるいは入学許可を行った場合には、その学生の利益を考慮いたしまして、取り消しを求めるようなことは行わない、そういう考えでございます。
○山下栄一君 合格を国立大学院の側が認定した以上、御本人が入学を希望すれば入学は認めざるを得ないということですね。だけれども、受験資格を与えたことについてはよくないとお考えですか、どうなんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 朝鮮大学校卒業生の大学院受験の関係でございますが、御案内のように、朝鮮大学校は学校教育法の体系では各種学校として位置づけられておるわけでございます。したがいまして、一般的に大学学部の卒業者と同等な学力があるというふうな認定ができないわけでございまして、大学院入学資格は認められていないところでございます。
○山下栄一君 これは、法令上もそれを拒否するような法令の仕組みになっているんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 大学院の入学資格につきましては法令で規定がございます。したがって、法令にのっとった対応を各大学に指導しておるところでございます。
○山下栄一君 ということは、法令上は受験資格を与えていないと。
学校教育法施行規則七十条の五号、大学院が、「大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者」ということで今回も受験資格を与えておるわけでございますが、そういう学校教育法施行規則七十条五号に当たるから受験資格を与えたと思うんですけれども、何の問題もないんじゃないかなと思うんです。大学院側が受験資格を認めたから受験できたと思うんですね。そういうことになっていると思うんですよ。
だから、法令上は受験資格を与えているんではないかと思うんですけれども、そうじゃないんですか。
○政府委員(佐々木正峰君) 京都大学におきましては、大学院の理学研究科において、問題となりました学生につきまして大学を卒業した人と同等の学力があると判断をし大学院の受験資格を認め合格させたということでございますが、根拠となります学校教育法施行規則七十条の第五号でございますが、御指摘のように、大学院において大学を卒業した人と同等な学力があると認めた者については大学院の入学資格を認めておるわけでございますが、この規定は、戦後、旧制度の学校から新制度の学校に進学する場合等の救済措置として規定されたものでございますので、現在問題となっておりますような朝鮮大学校の関係にこれを適用することはできないというふうに考えておるところでございます。
○山下栄一君 背景はいろいろあったかもわかりませんけれども、国際性が求められている時代、できるだけ前向きに解釈をしていくといいますか、というよりも、もっと明らかに門戸を開くような、そういう仕組みになっていないなら仕組みに変えていくというふうにしないと、日本はいつまで古い仕組みにしがみついているんだと、江戸時代でもないのだからというふうに私は考えるわけでございます。
諸外国における日本人学校、また諸外国にも日本の私学の高校があると思うんですけれども、そこの卒業生を、居住国が要するに日本人学校の卒業生に大学受験の資格を認めたり、入学を認めたり、そういう例はたくさんあると思うんですね。と同じことが何で日本でできないんだと。日本人の子供たちは外国において大学受験を認められ、大学院にも入っているにもかかわらず、日本ではそれを認めないというのは非常におくれておる。
特に人権の観点から、また国際化が求めている。留学生の方もたくさん日本に来られますし、日本の子供たちも別に大学だけじゃなくて高校段階から、中学段階からも勉強するために外国に行かれるという時代ですから、こういう激しい時代において、日本国内の外国国籍の方に対して、また、そこの民族学校といいますか外国人学校を出られた方に対して門戸を閉ざすようなことは、これはもう時代逆行も甚だしい、こういうふうに考えるわけでございますけれども、大臣どうお考えでしょうか。
○国務大臣(有馬朗人君) 多少お答えが先ほどと重複いたすかもしれませんけれども、この点については調査したいということをたびたび申し上げております。
我が国の外国人学校卒業者の大学入学資格についての調査でございますが、その内容というものを、先ほど申し上げましたが、もう一度詳しく私の考えを述べさせていただきます。
まず第一点は、我が国の在外教育施設の当該国における法的、制度的な位置づけや、その卒業生の当該国における大学学部、大学院を含む上級学校への入学試験資格がどのような取り扱いを受けているか、これは先ほど山下先生御指摘のことであります。かなりのものが外国でも認められているのでありますが、実態がどのくらいになっているかを調べたいと思っております。
それから二番目に、我が国にある外国人学校の歴史や現状がどうなっているのか。
それから第三点は、我が国にある外国人学校のそれぞれの母国における制度上の位置づけや上級学校への入学試験資格がどうなっているのか。
四番目に、まさに御指摘のように、今日の国際化の時代に伴いまして日本と外国の学校を移動することがさまざまな形で考えられますが、その相互関係の中で取り扱いに矛盾はないかというようなことを調査させていただきたいと思っております。
そのことを申し上げて、お答えといたします。
○山下栄一君 二十一世紀を目前にしまして、国の垣根といいますか、どんどん低くなっているというふうに時代は進んでいくと思うんですね。経済も国際化、ビッグバンと言われる金融部門もそうでございますけれども、環境にしてもそうでございます。また、こういう国を越えた連帯、子供のレベルの連帯、大人の連帯、こういうことが大変求められている時代であるというふうに思うんですね。
特に、平和という問題を考えましても、軍事的な連帯もありますでしょうし、経済的な連帯もある。だけれども、私は、恒久平和の基盤というのは人間レベルの、特に国民といいますか民衆レベルの連帯、これがないと軍事同盟、経済同盟というのは非常に基盤が弱いと、このように考えております。
そういう意味で、経済、軍事の連帯、プラス教育の連帯といいますか、そういう人と人とを結びつけてい(ことが大変重要な時期、日本の国内も学校の中もそうだと思います。心と心を結びつけていくこと心分断されていくこと自身が非常にいじめの問題とかいうことになっていっていると思うんです。家庭もそうだと思います。そういうきずなが非常に求められている時代だと。
したがって、この教育の連帯ということがこれからますます重要な、平和を恒久化するためにもあるいは武器になっていく。武器という言葉はおかしいですけれども。そんな状況の中で、こういう歴史のある日本の外国人学校の卒業生に対して門戸を閉ざす仕組みがいまだにある。これは分断を促進するものであって、ましてアジアの在日の、特に中国の方とか朝鮮の方の民族学校といいますか外国人学校はたくさんあるわけでございます。
そういうことから考えましても、先ほど御答弁ございました文部省の方の御答弁というのは、中教審がどんどん新しい意欲的な答申を出しているのに何でこんな後ろ向きのことをいまだに言っているのかなということを考えまして、大臣の方から具体的なことも検討していきたいとおっしゃっておりますけれども、これは速やかに門戸を開く形の結論を出していただきたい。中学、高校生レベルの運動の、インターハイその他門戸を開くことも進んでおりますし、全体的に日本国内における外国籍を持っている方に対する配慮といいますか、しっかりしないとアジアの中における、世界の中における日本の信頼はかち取れない、こういうことをお訴えしておきたいと思います。