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143国会 予算委員会会議録 1998年08月21日(抜粋)
○山下栄一君 まず最初に、ダイオキシン類による環境汚染問題、厚生大臣、環境庁長官に御質問したいと思います。
大阪の最北部に能勢町という町がございます。環境すばらしい地域でございますけれども、今住民が環境問題で苦しんでおります。
昨年の能勢町の一般ごみ焼却場の問題でございますけれども、周辺から高濃度のダイオキシン汚染の問題が出てまいりました。去年の八月そして十二月、二回にわたって再調査を行いまして、本年四月に極めて高い二万を超えるピコグラム、土壌汚染でございます、これが明らかになりました。これは、日本全体にとりましてもかつてないというか、ほかにもあるのかもわかりませんけれども、明確になった問題として極めて深刻な土壌汚染にかかわる問題でございます。
しかし、土壌にかかわるダイオキシンの環境基準はいまだにない、そしてその汚染された土をどうするんだということが問題になったまま放置されているという深刻な問題があるわけでございます。それで、どの基準で汚染された土壌を除去するのかということ、またその汚染された土壌をどこで保管するのかということ、これが国として明確にないまま町は今、動こうとしておるわけでございます。
そして、この美化センターのすぐ近くに府立高校がございまして、その敷地内、これが園芸の授業の場所になっておるわけでございますけれども、そこも授業にかかわることでございますので、この汚染された土壌をどうするのか、学校の敷地内が汚染されていると。
具体的に、陳情等も町から府からあったと思いますけれども、この問題に関しまして国はどのように指導されておるのか。また、この除去についても非常にお金がかかるわけですけれども、その財政負担についてもどのように考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) お答え申し上げます。
今、委員の御指摘は、豊能郡の美化センター周辺のダイオキシンの汚染の問題でございます。
このダイオキシン対策につきましては、現在まで何もやっていないわけではございませんで、平成二年には、ダイオキシン類の発生予防のためのガイドラインを策定いたして地方公共団体に指導いたしておりますし、また施設整備の国庫補助におきましても、このガイドラインに準じた施設を優先的に採択する等の措置を講じてきております。
さらに昨年の一月には、科学的知見に基づきまして新しいガイドラインを設定いたしました。また同八月には、廃棄物処理法の施行規則を改正いたしましてダイオキシン対策に関する規制を強化いたしておりまして、例えばダイオキシンの排出基準で申しますと、新設の場合あるいは既設の基準の場合、緩和措置をある程度必要といたしますので、それぞれ能力に応じてこの基準等を設定してまいっております。
豊能郡の美化センター周辺のダイオキシン汚染問題につきましては、まず原因を明らかにすることが重要と認識しておりまして、関係者からいろいろ事情を聞き取って維持管理に問題がなかったかどうかを確認いたしております。特に、このダイオキシンの処理には、焼却炉の燃焼温度が例えば八百度C以上であることが必要である、しかもその焼却された空気を集じん機に入れるわけですが、その場合は急速に二百度以下にする必要がある等々の維持管理上の問題点がなかったのかどうか等確認をいたしております。
また、厚生省にございます生活環境審議会に専門家によりますダイオキシン対策技術専門委員会を設置いたしましていろいろ検討をいたしておりまして、施設の改善の個別の検討、あるいは必要に応じまして廃棄物処理法の基準あるいは全体を見直す必要があるかどうか等、ダイオキシン問題に取り組んでおるところでございます。
今、委員の御指摘のように、当地の土壌から、排水の調整池の底質から出ましたのはかなり濃度が高い、これは御指摘のとおりで、これは京都大学の教授を委員長といたしまして設置した結果でございます。
そこで、こうしたダイオキシン汚染土壌の除去をどうするのかという問題でございますけれども、今、大阪府等を中心にして汚染土壌の除去につきまして協議をしていただいておりますが、厚生省といたしましても生活環境審議会に専門委員会を設置いたしましてそれらの問題について検討いたしております。ただし、この汚染土壌の除去対象の費用等につきましては、これは公害等の場合でございますがPPP原則というのがあります、ポリューター・ペイズ・プリンシプル、汚染者の支払い原則というのがございまして、市町村の責任で対処するということが一応基本にはなっております。
そこで、そういう立場を踏まえつつも、除去土壌の最終保管場所の確保その他は、最終的には無害化をして埋立処分することが必要でございまして、大阪府とも相談しながらその対応を今現在やりつつある、こういう状況でございます。
○国務大臣(真鍋賢二君) 山下先生のお地元の大阪の能勢町の事案でございますけれども、これまでにない環境汚染の事例でありまして、環境庁でも重く受けとめておるところであります。
今、厚生大臣からも答弁がありましたように、大阪府が中心になって汚染土壌の除去方法をいろいろ講じておるところであります。近々、焼却炉の設置者であります豊能郡の環境施設組合が主催となりまして、土壌の除去などの工事を開始すると承っておるところであります。
環境庁といたしましても、汚染原因者とそしてまた大阪府が中心になってこの問題には取り組んでおるところでございますけれども、厚生省も国としての援護方法を考えておるということでありましたが、環境庁としては技術的な面でどういう支援ができるか、これを検討しておるところであります。
香川県の私の地元におきましても、豊島の産業廃棄物問題につきましてこのような対応をとっておるところでありまして、できることならマニュアルをつくって、こういう汚染箇所が出ればどういう方法をとったらいいか、これからの大きな検討課題じゃないかと思っております。
以上でございます。
○山下栄一君 地元の大阪ということで象徴的に出てきた問題であって、これは大気を通じただけでももう今、環境庁のこの前の推定ですけれども、日本列島には北海道から沖縄まで二・五キログラムのダイオキシンが降り注いでいると。場所は土であり水であり、また食べ物の中にも入っているということを言われているわけです。
もっと前から焼却場に埋め立てたところは全国至るところにあります。そんなことまで考えましたら、日本列島は世界一のダイオキシン汚染の国であるとも言われておるわけでございます。そして、高濃度の土壌汚染、二万三千ピコグラムという高濃度の汚染された土が明確になったと。
この土をどうするんだという問題が去年の十二月から問われておるわけです。去年の十二月にわかって、もう一回調査して、さらにほかの場所でも土が汚染されていたということがわかってきたわけです、府立高校の敷地内が汚染されていると。これ、いつまでほっておくのかということで、もう町はほっておけないからぜひ除去しようと手段、場所まで考えて、学校の農場の敷地内に穴を掘ってそこに埋めるということを考えているわけですよ。
ドイツでは、これはもう放射能汚染と同じように地下室にきちっとした処置をして埋めるということが行われている。放射能汚染と同じような対応をしている。
土の汚染をどうするんだという問題、これを国のガイドラインに基づいて焼却させておいて、その周辺から起きた汚染について国は何も責任ないことはあり得ない。だから、基準もはっきりしていない、どのレベルで、どこまでの深さの土を除去したらいいんだという基準もはっきりしていない中で大阪府とか町が検討委員会をつくって一応の基準をつくって、ドイツとかのを参考にしながら除去しようとしているだけの話で、それを学校の中で保管しようとしているわけです。
この問題どうするんですか。国は何も基準を決めていない。そして、どの範囲のどれだけの土を除去しようかということを何も指導していないということであるならば、ほかで発覚していないだけの問題かもわからない、たまたま大阪で発覚しただけの話で。こういう大変大きな問題であるわけです。いつまで放置するんだということを毎日突きつけられているわけです、町長さんは。
きょうは、国の方に補正予算で三億円の事業にかかるから応援してほしいという財政支援の要請が来ているとお聞きしましたけれども、これそんな基準を検討しますという段階じゃないんですよ。どこに保管、一時保管さえ場所が、学校の敷地内でいいのかという問題もございますし、最終どうするんだと。まさに放射能汚染と同じような問題になってきているわけです。
これについて、厚生省も中途半端な答弁でしたし、保管場所はどうしたらいいんですか、だれか答えてください。
○国務大臣(有馬朗人君) 高等学校に関連することが御質問に入っておりましたので、お答えを申し上げたいと思います。
現時点では詳細な事実関係を確認しておりませんけれども、直ちに電話で大阪府に問い合わせをいたしましたところ、大阪府のダイオキシン類に関する環境対策検討委員会において汚染土壌の一時的な保管に関する議論がなされたところでありますが、大阪府としては高校の敷地内に一時保管するという決定は現時点では行われていないということでございました。
文部省といたしましては、やはり児童生徒の健康が第一でございますので、この問題に関してさらに詳細に検討をいたしたいと思っております。事実関係のまず詳細を把握いたしまして、その上で、今後とも大阪府と密接に連絡をとりながら適切に対処していきたいと思っております。
○山下栄一君 具体的に大阪府の方から、予算のシーズンですから、どこの場所に、工事計画もあるわけですよ、農地敷地内に保管と。それも最高濃度の二万三千ピコグラムの土壌を水処理した上で固形化処理を行って敷地内に保管するという案が出てきているわけです。それに基づいて積算をして、そして予算はこれぐらいかかるから応援してほしいということを出してきているわけですね。
これはもう緊急にかかわる問題で、少なくとも住民にとっては。高校の敷地内でなかったら、じゃ、どこに保管するんだと。美化センターの場所に、今はもう操業を停止していますからそこの一部に保管しようとかいう案もあるそうです。そういう計画もございますけれども、こういう問題について、国のガイドラインに基づいて、厚生省のガイドラインに基づいて焼却をした状況の中でこういう問題が起きてきたということについて、僕は少なくとも国は応援すべきだと、全面的に負担しろとは言いませんけれども。
これについての明確な答弁をお願いしたいと思います。支援するのか、しないのか。
○国務大臣(宮下創平君) お答え申し上げます。
先ほど申しましたように、こうした土壌の処理の問題につきましては、これは地方公共団体、この件の場合は大阪に責任ありとしてよく協議をしなければなりません。
しかし、汚染者の負担原則、さっき私はPPP原則というのを申し上げましたが、これはあくまでもその廃棄物処理が本当にガイドラインに沿ったものであったのかどうか検証をいたしましたところ、やはり冷却温度が非常に高かったというような問題等々もございますようですから、それはまず是正していただくことが重要でございます。
そして、汚染土壌の問題は、その地方自治体におきまして最も適切な判断のもとに処理していただきたいということでございまして、財政上の必要措置は、直ちに補助金で全国のものをやるというわけにもまいりませんので、地方公共団体が措置いたしますれば、何らかの交付税措置その他があるいはあり得るのかなという感じだけ私は今申し上げさせていただきます。
○山下栄一君 いずれにしましても、財政支援について明快な対応をしていただきたい。
総理大臣、どうですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 委員のお尋ね、また厚生大臣、環境庁長官あるいは文部大臣の答弁をお聞きいたしておりました。なかなか難しい問題のようにお聞きをいたしておりますが、何らかの意味で緊急に財政的な援助ができないかというようなことにつきましても、閣内におきまして勉強させていただきたいと思います。
○山下栄一君 冒頭、環境基準の話を申し上げましたけれども、大気についての環境基準はある、排出ガス濃度の基準はあると。それが水に落ち土に落ち、土がどれだけ汚染すれば問題なのか、また問題ないのか。子供たちが遊ぶ場所、農地はどうなんだという基準が全くない。大気の基準だけあって水質の汚染基準がなしで、土の基準もない。大気に降り注ぐと必ず水に落ち土に落ちるわけですから、セットで基準を考えないから、こういう現場は困るわけです。どこまで濃度が汚染されたら除去しなきゃならないのかと。
今はもう一部の大阪の検討委員会のメンバーが決めて、とりあえず一千ピコグラム以上の土壌だけ除去しよう、それもどこまで深さをしたらいいんだということも明確でない状況の中で除去しようとしている。これは緊急を要する問題で、大気汚染の基準だけしかないという状況はすぐに解消しなきゃならない。
土の基準、水の基準についてどのようにお考えになっておるのかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(遠藤保雄君) お答え申し上げます。
ダイオキシン類につきます土壌汚染ないしは水汚染につきましては、科学的に未解明な部分が多いということが実態でございます。したがいまして、多くの先進国と同様、我が国におきましてガイドラインや法規制を行ってこなかったのが実情でございます。このように科学的に未解明な部分が多いという制約につき御理解を賜りたいと思います。
しかしながら、環境庁といたしましては、現在、国内の一線級の専門家に参加いただきまして、土壌中のダイオキシン類に関する検討会を設置しまして、土壌に由来する健康影響の評価手法や汚染対策手法について鋭意検討中でございます。真鍋長官の御指示も仰ぎながら、極力早い段階においてこの対応を図ってまいりたいと思っております。
○山下栄一君 では、大阪府の今現在汚れている土は国が決めてから除去したらいいと、こういうお考えですか。長官どうでしょうか。
○国務大臣(真鍋賢二君) 先ほども申しましたように、環境庁といたしましては今のところ技術的な指導の対応しかできない状況にあるわけであります。技術的な指導につきましては、必要な経費を補正予算等で計上いたしましてそれに対応してまいろうと思っておるところであります。
いずれにいたしましても、この地元そしてまたその被害を出した関係者、そして国ということになるわけでありますけれども、国としてもできる範囲内での応援をしてまいるその対策を講じていかなきゃならないと思っておるわけでありますけれども、なかなかその規定が定められないというのが現状でございます。(発言する者多し)いや、ですから……
○委員長(倉田寛之君) 不規則発言にお答えにならないように。
○国務大臣(真鍋賢二君) こちらの方としては、技術的な指導の対応しか今のところはできないわけでありまして、それらについては今後の問題だと思っております。
○山下栄一君 大阪府立能勢高校の農場内が今も汚染されたままになっているんです。その周辺には子供たち近寄れない、そういう状態がもう去年の十二月から続いているわけです。どうするんだと、これは。この問題をのんきに、のんきというか、もちろん厳しく検討会をして基準をつくらにゃいかぬけれども、いつまでも土壌汚染を放置しておくのか。そういう状況じゃないから、今緊急に除去しようとしているけれども、基準が何にもないから、要するに大阪府の考えた基準で今は除去しようとしていると。参考にしているのはドイツの土壌汚染環境基準ですよ。それはだから農地の基準とか、申し上げたように児童公園の土地、そして一般住宅地、土地用途別の基準をドイツは既につくっている、数年も前から。
こういう世界最大のダイオキシン汚染と言われる国がこういう環境問題、命にかかわる問題にこれほどひどい対応をしているということは、要するに日本の国の品位にかかわる、国のレベルにかかわる話であると私は思うわけでございまして、この大阪府の能勢町の住民、そこに住んでおられる方々も考えて国は即刻、財政支援の問題、そして環境基準の問題、また土壌汚染の法制定の問題、明確に緊急に対応をお願いしたい。
総理のリーダーシップを期待したいと思いますけれども、もう一度お願いします。
○国務大臣(小渕恵三君) お聞きをいたしておりまして、実情は大変厳しい状況と認識をいたしております。どのような対応ができるか、早急に検討させていただきます。