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カネミ油症事件> カネミ油症事件の患者への仮払い金返還問題について
151国会 農林水産委員会会議録 2001年06月28日(抜粋)
○山下栄一君 今国会最後の委員会でございますので、ちょっと林業基本法から離れますけれども、カネミ油症事件のことについて少しお聞きしたいと思います。
昭和四十三年にこの事件が起きまして、これは食品公害事件、PCBが混入したライスオイルによる中毒症状、全身黒い色の赤ちゃんが生まれたというようなことで、大変衝撃的な事件であったわけでございますけれども、この患者さんに対する手当ては今もずっと続いておるということでございます。
認定患者は一千八百七十人、発生当時届け出をした方々はその約十倍の一万四千人以上、いまだに未認定の被害者もいらっしゃるはずだということでございます。患者救済対策協議会は今も存続し、闘い続けておられるグループもあるわけでございますが、特に治療の方では、油症治療研究費、疫学調査費、厚生労働省の方から研究班も引き続きこの問題に取り組み、研究費も増額されているというふうなこともお聞きしておるわけでございます。
これは一方で農水省もかかわっておられる、今もかかわっておられるということでございますけれども、このかかわりの中身について、急な質問で申しわけございませんが、お願いいたします。
○政府参考人(小林芳雄君) 今のカネミ油症事件に関する経緯として御説明申し上げます。
今の経緯の中で、最初の福岡地裁等の段階での事案といたしまして、まずこのカネミ油症事件の前段階といたしまして、米ぬか油の副産物でダーク油、これが飼料として用いられておりましたが、これでブロイラーがへい死いたしました。これにつきまして農林水産省が、その検査機関を持っているわけでございますけれども、このへい死の関係について、当時、厚生省に対して通報の義務を尽くしていればこの油症被害の拡大は防止ができたのではないかということが、いわばこの裁判の事案となりました。地裁段階では農林水産省の過失が認められまして、国敗訴ということになったわけでございます。
〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
これを受けまして、当時政府側は、仮払いということでございますけれども、一審判決を受けた形で五十九年、六十年のときに合わせて約二十七億円の仮払金を支払いました。その後、国の方では上告をいたしまして訴訟は継続されておりましたけれども、御承知のように昭和六十二年に至りまして原告と鐘淵化学工業の和解が成立いたしました。これを受けまして原告側からの訴えが取り下げられ、また、被告であった国の方としてもこれに同意したということで、この裁判は終結いたしたわけでございます。
したがいまして、先ほど申し上げました五十九年、六十年の当時に仮払金として支払いました二十七億円、これを今度は国の方が、そういった仮払いの根拠が消滅いたしましたので返還をしていただくということで、今その返還について手続を進めているという、そういった状況でございます。
○山下栄一君 私、この問題を二年前の平成十一年三月の予算委員会で、油症事件というよりもダイオキシンの問題で当時の小渕総理、また厚生大臣にも質問させていただいた記憶があるんですけれども、平成十一年七月にダイオキシン類対策特別措置法というのが議員立法で成立いたしました。私もかかわらせていただいたんですが、あの法律の中には、コプラナPCBはダイオキシンだということが明確に書かれてございます。これは、国際的なWHOでしたか、そこでも正式にコプラナPCBはダイオキシン類であるということが発表され、そんな学問的成果も得て法律にそういうことが書き込まれたということでございます。カネミ油症事件というのは実は、コプラナPCBも混入しておるということから、ダイオキシンによる健康被害でもあるという、そういう認識でとらえ直す必要があるという観点からこの問題を取り上げさせていただきました。
それで、実際、能勢町の環境美化センターの作業労働者の方も、労働災害の中で皮膚が黒くなるという症状もあるということもございまして、今もその研究、調査もされておると思いますが、そういう観点からも、この昭和四十三年の事件というのは非常に再認識される必要があるということでございます。
したがいまして、今もそういう患者さんがいらっしゃるし、孫の代に至るまで、今も黒い色の赤ちゃんが生まれているケースもあるわけでございまして、忘れられつつあるのかもわかりませんが、そうであってはならないという、私は大変重要な事件であろうというふうに思います。
今御説明ございましたいろんな経緯から、一審判決の後、仮払金が二十七億円支払われた。その後、企業の方と和解をして、国もかかわって、この裁判の問題については一応解決したと。その後、この仮払金として払ったものを返還請求という状況になっているわけです。
それは、法律的にはそういうふうな状況になっておるということであるわけですけれども、私は、今申し上げましたように、ダイオキシン類の観点からの人的な健康被害であるという面もございますので、そういう観点からも厚生労働省が支援しているというふうな面もあると思うんですけれども、この患者さんの中にもいろんな患者さんがいらっしゃる。この仮払金、一たん喜んだけれども返還せにゃいかぬということから大変な苦しみに、御苦労の中で、生活苦の中で状況になっているという面も、一面厳然とあるわけでございまして、非常に難しい問題であるわけですけれども、水俣病患者についても特別立法で解決されたという経緯もありますし、この問題をどうするかということ、新しい観点から、忘れてはならない食品公害事件である、ダイオキシン類にかかわる食品公害事件であるということから、私は、農水省のこの返還請求、これはすべての方に免除ということにならないかもわかりませんけれども、何とかならぬのかということも、ぜひともこれは検討していただきたいということでございます。
大臣におかれましても、もちろん御存じだと思いますけれども、詳しい経過等、また技術的な問題等もございますので、いろいろ御検討していただきまして、何とかならぬのかということについて、ぜひお考えをいただければというふうに要望しておきたいと思うんですけれども、大臣、一言お願いしたいと思います。
○政府参考人(小林芳雄君) ちょっと、まず事実関係につきまして御説明をします。
今の債権回収でございますが、債権管理法、今御指摘のこの仕組みに基づきまして、今進めております。それで、実は、この仮払金が発生した後、今先生御指摘のような事柄がございまして、平成八年から十一年にかけまして民事調停を進めてまいりました。この民事調停の結果、その債務者の事情を十分考慮しながら、各債務者と国との間で、分割払いでありますとか履行延期といった、そういった返還方法の合意を進めてまいりまして、現在その合意に基づいた返還を求めているという、そういった状況でございます。
そういった中で、今の平成八年から十一年のころにやった事柄でございますけれども、また近年、その調停以後のいろんな状況がございまして、所得面とか健康状態などで生活の変化、そういうやむを得ない理由によりましてなかなか調停の合意内容どおり履行できない、そういった特別な方もおられるわけでございまして、そういった皆さんとの間におきましては再調停、これを早目に行うという形でこれから適切に対処してまいりたいというのが一点でございます。
それから、この再調停ということが一つなのでございますが、あわせまして、現行の債権管理法上の仕組みといたしまして履行延期、こういったことをした後、十年を経過した後におきまして、さらに、無資力かつ弁済する見込みがないと認められる場合におきましては債権を免除できる旨の規定がございますので、これは十年を経過した後ということになりますけれども、この規定に基づいて、その時点で個々の皆様の状況に応じて関係省庁と協議しながら、こういった面での適切な対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山下栄一君 いろいろ新しい検討もやっておるというお話がございました。
私は、何回も申し上げますように、所沢のホウレンソウの事件も非常にセンセーショナルに報道されて、裁判にもまだ係属中でございますけれども、ダイオキシンの人的被害という面があるこの事件は、今局長がおっしゃったさまざまな新しい取り組みについても、そういう観点からの配慮というか、それも私はぜひやっていただきたいということから申し上げておるわけでございます。
大臣におかれましても、さまざまな現在の取り組み状況も聞かれながら、この問題についての新しい配慮をできる余地がないのかという観点からの取り組みも、大臣自身も考えていただきたいなというふうに思っておりますので、すぐに返事せいということじゃございません、配慮もしていただければということを申し上げておるわけでございますが、一言お願いします。
○国務大臣(武部勤君) ただいま局長が答弁しましたように、債権管理法に基づき返還を求めていくということの必要性は御理解いただけると思います。ただし、やむを得ない理由により履行できない債務者については、今先生もいろいろお話しでございましたが、それぞれの実情を踏まえて適切な対処が必要だろうと、かように考えております。
○山下栄一君 よろしくお願いします。