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> 特殊法人が発行する政府保証債について
142国会 予算委員会会議録 1998年01月29日(抜粋)
○山下栄一君 次の問題に移ります。
同じ本年一月に起きた事件で、大蔵省OBの日本道路公団理事の接待、汚職事件の問題であります。今回の汚職事件の舞台となりました政府保証債の発行業務について、あらかじめ公団より資料をいただいております。これはちょっとお手元に資料が行っていると思いますけれども、資料1を見ていただきたいと思います。(資料を示す)
これを見ますと、外債発行につきましては曲がりなりにも入札を行った形跡が見られる。といっても、引受主幹事会社、また幹事会社、昭和六十二年から平成八年まで、どちらかに興銀の名前が載っておる、日本興業銀行。さらに、私が驚きましたのは、次のページの国内債、国内における債券の発行にかかわる引受幹事を、昭和六十二年から平成八年の最近十年間、日本興業銀行が独占している。これは異常な事態であるというふうに思います。見直されぬままに今日来ているということでございます。
なぜこんな事態になっているのかということを御説明ください。
○参考人(鈴木道雄君) 今回、当公団の経理担当役員が収賄容疑で逮捕され大きな社会的不信を招いたことを公団の責任者として深くおわび申し上げます。また、二度とこのようなことが起こらないよう綱紀の粛正につきましても厳に徹底してまいります。
今お尋ねの国内債の引受幹事会社につきましては、昭和三十一年度の第一回発行当初から現在まで日本興業銀行が務めております。これは国内債の発行の準備段階で既に先行しておりました国鉄、電電公社等を参考にしたこと及び日本興業銀行が証券分野に精通し、債券全般における取扱件数も多く、また引き受け販売能力も高いこと等によるものであります。
○山下栄一君 建設大臣、この道路公団の監督官庁は建設省でございます。今回の事件につきましては非常に深刻な認識をされていると思うわけでございますけれども、今の問題、どのように感じられますか。内債の幹事会社を一つの銀行が独占し続けてきている、今も続いているというこの問題、いかがでしょう。こういうことを見直さずして国民は信用しない。癒着そのものじゃないか。どうでしょうか。
○国務大臣(瓦力君) 山下委員にお答えいたします。
ただいま日本道路公団総裁がお答えをいたしましたが、道路公団の内債の引受幹事会社は昭和三十一年度の第一回発行から現在まで日本興業銀行が務めておるということでございます。これを総裁が答弁をいたしましたが、国鉄、電電公社等を参考にして、証券分野に精通をして、証券全般における取扱件数も多い、こういうことで日本興業銀行に、これらの引き受け販売能力も高いということで今日に至っておるということであります。
よって、今回の問題につきましては、大変国民の不信を招く不祥事でありますので、一月二十一日でございますが、建設省所管の公庫・公団長会議におきまして、資金調達システムの透明性、客観性を高めるために改革を行うように指示をいたしたところでございますし、また道路公団におきましても、これを受けまして、一月二十三日でございますが、資金調達の業務改善委員会を設置したと伺っております。必要に応じまして、内債の引受幹事の決定方法につきまして検討がなされておる、かように理解をいたしておるわけであります。
日は少のうございますが、公団といたしまして信用回復をしなければなりません。今全力を挙げて取り組んでおる、かように聞いておりますので、私からさようお答えをさせていただきます。
○山下栄一君 では、建設大臣、今おっしゃった改革の観点なんですけれども、独占している状態をやめるということですか。どうですか。
○国務大臣(瓦力君) 経緯につきまして総裁並びに私も徴しておることを今ここでお答えをさせていただきました。これからいかなる方法がいいかということを全力を挙げて検討して信頼を回復したい、さようなことをただいまもお答えさせていただいたところであります。
○山下栄一君 だから、独占状態を見直すことも含めて考えていらっしゃるということですね。
ほかの大臣の皆さんもお聞きいただきたいわけでございますけれども、道路公団だけじゃなくて他の特殊法人が発行する政府保証債、これについても債券発行の引受幹事が日本興業銀行である、またその債券の登録機関も興銀となっていると。こういう事態について、これはまさに金融行政のひずみであり、構造腐敗を物語っていると私は思うわけでございます。昭和三十一年以来こういう状態が続いているということ自体異常だと。
総理大臣、いかがでしょうか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) なるほど、確かにちょうだいした資料を拝見しますと、特に資料2―(1)としてちょうだいをしました主な国内債、すなわち政府保証債発行一覧を見ますと、引受代表幹事、登録機関ともに日本興業銀行が並んでおります。私もどうしてこういう状況になっているのかわかりません。しかし、いずれにしてもそういうものが透明な姿で選ばれ、そして透明な姿で運営されるということがわかるように努力をしたいと思います。
○山下栄一君 総理大臣、そんなのだめですよ。今回の大蔵OBの事件はこの幹事会社をめぐる不祥事であるわけでございまして、そういう大変メリットのある、後から申しますけれども、その引受幹事会社、登録機関が日本興業銀行に独占されている。日本道路公団を初めとして公営企業金融公庫、日本道路公団の発行総額をごらんになっていただきますと、昭和六十二年からの分ですけれども、十年間で一兆七千億。これまた公営企業金融公庫、自治省所管、十四兆。その他、首都高速道路公団、住宅・都市整備公団、水資源開発公団、阪神高速道路公団、中小企業金融公庫、本州四国連絡橋公団、北海道東北開発公庫、石油公団。全部、引受代表幹事日本興業銀行、登録機関日本興業銀行。
だから、これは透明性とかという問題じゃなくて、こういう一つの銀行が独占しているということそのものが異常な事態じゃありませんかということを申し上げているわけです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私も今ちょうだいした資料を拝見して、本当にそうだということは申し上げたつもりであります。その上で、私はこういう選定というものがどのようなルールで行われているのか存じませんから、そういうものがきちんと透明な形で行われることが大切だと思うし、そういう状態にしたい、そう申し上げました。
○山下栄一君 初めて知ったということ、やむを得ない面があるわけですけれども、ぜひ勉強していただいて、抜本的な見直しをお願いしたいと思うわけでございます。
日本道路公団法に基づいてこういう債券を発行できる、そして道路債券令では第二条に「道路債券の発行は、募集の方法による。」と書いてあるにもかかわらず、もうずっと長年独占されてきているということを指摘しているわけでございます。
このメリットの方ははかり知れないということを御指摘したいと思うわけでございますけれども、まずこういう代表幹事になることによってさまざまな情報の集中化が起きるということ、そして日本興業銀行が常に幹事会社であるということによってその信用力を興銀は強化している、有利な契約で手数料その他の率も興銀が独占的に決めることができる、受託手数料、最近のもので〇・〇二%、登録手数料〇・〇四%を独占できると。
例えば、これは日本道路公団の国内債の発行額等一覧表でございますけれども、(資料を示す)平成七年分だけを見ましても、二千九百四十億円で換算して、受託手数料、登録手数料、これが合計で約二億円。これは平成七年分だけです。それも道路公団の分だけです。これが全部興銀に独占的に転がり込んでくる。まして、ほかの政府関係機関のものを合わせますと莫大な手数料収入を興銀は受けるという大変大きな問題であると思うわけです。
今回大きな問題になっております癒着行政の象徴的なものだと。これが全然見直しされないままに今日に至っているということ、これは今回一端として逮捕事件があったわけでございますけれども、こういうことも見直しをしないと国際社会は信用しない、このように考えるわけでございます。
今申し上げました道路公団だけじゃなくて、ほとんどの、すべてと言ってもいい特殊法人の国内の債券発行についての独占状態、これはもう抜本的に見直しをしてすぐに取りかからなきゃならない、このように思うわけでございます。それをしないと今回の事件の反省は何もしないということになる。
総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は発行体と金融機関の間で決めるべき問題だという整理が本来のものだろうと思います。しかし、その上で監督当局が仮にその金融機関の業務運営の中に適正さを欠くものがあると認められた場合、法令にのっとって適切に処理することが必要である、そのように思います。
その上で、私自身が今拝見をし、確かに非常に不思議な感じを持つぐらいすべての、殊にこの資料2―(1)の場合に、ここにあります登録機関、引受代表幹事すべてに興業銀行が並んでいるというのを見て、確かに私自身が率直に本当に違和感を持ちました。ですから、透明さを必要とするということを申し上げております。
議員は私が申し上げた意味をおわかりいただいたと思うんですが、本来ならそれこそ発行体と金融機関の間の問題というお答えをするのが筋道の部分でしょう。その上で、これを見て私も本当に変だと思いますし、変というか異様な感じを持ちますし、これが選定をされていくプロセス、そこが透明になれば、議員が主張されるような問題があるのか、それともそれだけのノウハウを有することによって競争力を持ち、政府保証債をここから発行させることが本当に国民のメリットになるのか。今ちょうだいをした資料を拝見しただけではそこまではわかりませんので、私はいずれにしても透明さが求められるというところまで踏み込んで申し上げたつもりなのでございます。そこはおわかりをいただきたい。
○山下栄一君 今回の道路公団の理事、元大蔵OBの問題でございますけれども、この資料2―(1)の発行機関、もう一度ごらんになっていただきたいと思います。
ここには書いてございませんが、日本道路公団からずっと書いてございますね、特殊法人の名前が。この日本道路公団の財務担当理事が井坂容疑者であったわけです。公営企業金融公庫の理事も大蔵OBなんです。住都公団の副総裁、理事も大蔵OBです。水資源開発公団の理事も大蔵OBです。中小企業金融公庫の総裁と理事、監事まで大蔵OBです。本州四国連絡橋公団の理事も大蔵OB。北海道東北開発公庫の総裁、副総裁、大蔵OB。石油公団副総裁、理事、大蔵OB。さらに、この経理部長、資金部長につきましては、道路公団、公営企業金融公庫、首都高、住宅・都市整備公団、水資源、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、石油公団、今申し上げた各特殊法人は全部これが大蔵OBでございます。こういう実態がある。
接待の問題は特殊法人まで含めて調べるというお話がございましたけれども、これはまさに先ほど申し上げた再就職、天下りの大蔵OBが財務担当理事をやっていること、そのことが今回の不祥事につながっているわけですから、全部見直しをしないと、調べれば調べるほど同じような問題がぼろぼろ出てくるという可能性がある。これはもう最近始まっておるんではなくて、指定席のごとくそういうポストが大蔵OBによって占められているというかなめの部門でございますから、これは内債、国内債発行にかかわることですから、これはもう大蔵大臣としての総理、本格的に取り組んでいただいて、天下り問題も含めて抜本的な見直しをすると。
この天下り問題についての感想をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が例示で挙げられました以外の組織、団体におきまして大蔵省のOBが存在する場所のほかにも存しておることを私も承知いたしております。私自身は何の気なしにそれはそれとして受けとめておりましたけれども、今全部を、全部ではありませんね、まだあったはずです、並べられてみますと、非常に大蔵省のOBが多分野にポストを占めているという実態は改めて感じます。
そして、先ほども申し上げましたように、既に特殊法人について官房長官を通じまして各省庁に対して、その所管する特殊法人などに対しましても、各法人の性格、業務の内容等を踏まえ、公務員の倫理規程に準じて役職員の倫理規程を早急に制定するよう指導することなどにつき指示を行い、各省庁はこの指示の趣旨を踏まえて接待問題への実態調査を含めて適切な処置を講じるものと考えておりますし、今改めて議員からこうして御質問があり、全閣僚はこれを拝聴しておるわけでありますから、当然ながらその努力をしてくれると思います。
○山下栄一君 現役官僚の汚職事件だけじゃなくて、今申し上げたのは大蔵OBの道路公団理事の汚職事件にかかわる、まさに同じ構図が実は道路公団だけじゃなくてあるんだということを御指摘して、事態の深刻さを私は申し上げたわけでございます。