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156国会 総務委員会会議録 2003年07月01日(抜粋)
「公務員の調整手当について」
○山下栄一君
次、調整手当というのもあるわけですけれども、これはもう、要するに物価水準の高い地域に勤務する公務員の方に対して、非支給地域ではない、加算の、支給率を加算しようという、これ、地域によっても違います、東京が一番加算率が一二%と高いわけですけれども。
ところが、この異動保障という制度がありまして、そういう高いところから低い地方に転勤になる場合は、激変緩和措置として、しばらくの間は元の高い地域に合わせて支給するということになっているんですけれども、これがスタートの昭和三十六年では、六か月間は激変緩和で前の高いままで支給しましょうと、それ以降は新しい地域に合わせてということになっていたんです。その三か月が一年になり、今は三年になってきているわけですね。このことにつきましても様々な厳しい御批判が今あるというふうに聞いております。
まずお聞きしたいのは、異動保障という形で支給されている人数、公務員の方の人数とその総額ですね、これをちょっとお聞きしたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君) 今お尋ねの、いわゆる異動保障の対象になっております人数は六万二千人、おおむね六万二千人、そして、月額でそのために資する額が約十三億ということでございます。
○山下栄一君 月額十三億、十二掛けると二百数十億になるというように思うわけです。そういう金額が支給されていると。
ところが、三年もずっと保障し続けるということは、結局、三年で大体転勤になると元のままの高いままにずっと続くということになりかねないわけでございまして、これはちょっとやはりやり過ぎだと、こういう冒頭申し上げました様々な国民の御批判を考えたときに、これはスタートは六か月からスタートしてどんどん、いろんな事情があり現在に至ったとは思いますけれども、これは長過ぎるということにやっぱり私は思うわけです。これにつきましてもきちっとやっぱり見直さないと国民の批判に耐えられないというふうに私は考えるわけでございまして、人事院の、積極的な御検討をしていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いします。
○政府特別補佐人(中島忠能君) 御指摘のような話は私もよく聞いております。
いずれにしても、国民が納得してくださるというか、国会議員の先生方もなるほどというふうにおっしゃっていただけるような制度にしていかなきゃならないというふうに思います。
ただ、元々のスタートというのは、異動したことに伴いまして調整手当が減額される、給与が減額されると、その経済的な影響というものを緩和するということで異動保障制度というものを設けました。
おっしゃるように、スタートのときは六か月ということでございましたけれども、この制度を作り、そして当初運用した人たちの話を聞いてみますと、やはり最初はそういうことでスタートいたしました。けれども、ほぼそれと時期を合わせまして単身赴任というものが増加してきた。そうすると、世帯が分かれることによって家計負担も重くなるというような事情もございましたし、また短期間、例えて言いますと六か月とか一年ということでは、その期間は確かに東京から地方に異動した人たちは落ち着いて仕事をしてくれるけれども、その期間が過ぎちゃうと東京に帰りたがる、あるいはブロックの中心都市に帰りたがるというようなことがございまして、そういうことがありますと、それぞれの地方の、地方団体の首長さんとかあるいは各種団体の方から、せっかく顔なじみになって当該地域の実情というものを把握していただいた、これから仕事していただかなきゃならないというときに転勤されるというのでは困るというので、もう少しその異動保障も長くしてくれというようなお話もあったように聞いております。
ただ、三年というのはどうかというような話でございますので、また、そういうような御意見も国会の中で出てきておりますので、私たち、各府省の人事の円滑化ということも考えながら、また労働団体の意見も聞きながら、この見直しというものに着手してみたいというふうに思います。
○山下栄一君 それに、この異動保障に関連してですけれども、ちょっと悪質とも言うべきものが散見されておるわけです。そういう報告もされております。
すなわち、地方から地方に転勤、異動になる場合に東京経由で異動すると。いわゆる最も加算率の高いところで例えば一か月間研修を受ける形を取って、そこで、そこを新しい勤務地だというふうに考えてまた別のところに行くというようなこと、経由地に支給率の高いところを経由させるという、そういうことをやっているというようなことがありまして、これについては人事院の方で実態調査をされたというふうに聞いております。ひどい場合には、一日だけそこにおってというようなこともあったというように聞いておりますけれども、いずれも、実態調査のどういう、どれぐらいの件数がそういうふうにあったのか。
それは、一日というのはもうまれやと思いますけれども、そういう東京経由で実質的な異動が地方から地方だということを、東京という最高の支給率のところを使うというふうなことも含めまして、こういうやり方、ワンタッチという言い方をするそうですけれども、ワンタッチ、短期間異動という、そういうことについての実態調査をされたというふうに聞いておりますので、その御報告をお願いしたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君) 異動保障というのは、制度の趣旨に従って運用していただけるとそんなに批判を浴びなかったわけでございますけれども、今、先生が御指摘のように、本当に短期間、支給地あるいはより高い支給率の地域というものに在勤して地方に替わっていく、そのことによって異動保障というものの恩恵を受けると。そういう運用をされますと、制度そのものが誤解を受けるということになるわけでございます。
私たちは、そういう話を把握いたしまして、昨年の十二月でしたか、通知を出しまして、各府省におやめいただくようにということで徹底いたしました。それ以後、そういうようなことはございません。したがいまして、そういうようなことは防止しつつ、調整手当制度というものを適正に運用していきたいというふうに考えております。
ただ、今お尋ねになりました、そういう短期間でということをワンタッチと言うんですか、先生の言葉を使いますと、そういうことで、この制度を趣旨に反して運用しておったというのは、この一年間で、昨年の四月以降ございましたのは百七件でございまして、そして各府省にまたがっております。
○山下栄一君 短期間というのは一か月以内ということで調査していただいたと聞いておりますけれども、こういうものについては、やはり、何といいますか、悪用するといいますか、そういうことについては、これはもうあってはならないことだと思いますし、実際、人事院の方から指導をされた結果、そういうことはなくなったというふうに聞いておりますけれども、しばらくなくなってまた復活するということになったらまずいわけでございますので、きちっとした御指導をお願い申し上げたいというふうに思います。
この異動保障につきましては、人事異動を円滑にするために、なかなか地方に行きたがらないという方が現実にいらっしゃる、それではなかなか全体的な仕事も成就できないということから、そういう人事異動の円滑化のためにこういうのを導入したということから私も問題点が出ているように思います。
理念からいいますと、憲法十五条に全体の奉仕者であるというふうに書いてあるわけだから、そのために公務員になったんでしょう、そうなのに行きたがらないというのはどういうことだというふうな民間の方から厳しい御批判もあるわけでございますので、そういうことを考えましたときに、この人事異動円滑化のための手当支給というやり方はちょっとやっぱり基本的に見直すべきではないかと。地域給である調整手当の激変緩和措置としての異動保障ではない形で別の考え方で制度化するというふうなこともあり得ると思うんですけれども、この辺のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君) おっしゃることはよく分かります。ただ、先生も私と余り年代が変わらないわけでございまして、私たちのときには行政法を教えていただくときには、公務員というのは特別権力関係の中にあるというので、命令一下どこへでも行くんだという、そういうことを教えていただいたわけでございますけれども、最近はそういう考え方がだんだん薄れてきているというか、余り特別権力関係議論というのが言われなくなったということで、できるだけ人事権者というのは、労働者の意見をよく聞き、労働者の立場を考えてというような人事異動が行われるような時代になってきたのかというふうに思います。
ただ、この異動というものを円滑に行うためにどういうような制度というものを考えたらいいのかというのは非常に難しい問題だと思いますし、たくさんの方々からいろいろな御意見というものをちょうだいしなきゃならないというふうに思います。ただ、本当に単身赴任ということで地方に異動される方々の家計負担というものを考えて新しい手当を作るということになりますと、恐らく現在の異動保障で必要としておる財源よりもより多くの財源を必要にすることになるんじゃないかという気もいたしますので、総合的にいろいろな立場を考えてこれから十分検討する必要があるだろうというふうに思います。
○山下栄一君 最後に、元々調整手当というのは、物価が高い地域、また民間賃金、その地域の、をも勘案しながら、そういう支給率のかさ上げといいますか、そういうことを考えていったというふうに聞いておるわけですけれども。ところが、勤務しているのは確かに霞が関だと、住んでいるところは物価も非常にそんなに高くない地域に住んでいると。だから生活費とかということを考えると、確かに勤務地はただ東京かも分からないけれども生活地域はそうでないというふうに考えたときに、この支給の考え方が在勤地主義というのはこれはどうかというふうな意見もございますけれども、これについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君) それは、確かにそういう議論も成り立つだろうというふうに思います。ただ、この調整手当というのがいろいろ議論されました昭和四十年代の後半、結局日本の経済が高度成長になりまして、高度成長の波に乗りまして、労働者というものの取り合いというか、人材獲得競争というものがだんだん激しくなってきたと。そのときにやはり民間賃金が高い地域に所在する官署というものがきちんとした人材を獲得しなきゃならないというので勤務地主義、在勤地主義というものが正当化されたというか根拠付けられたというようなことで私たちは頭の中を整理させていただいておりますけれども、現在もなおそういう考え方が強いというふうに私は認識いたしております。