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薬物乱用防止
> 若年層における薬物乱用の実態について
140国会 文教委員会会議録 1997年02月20日(抜粋)
○山下栄一君 平成会の山下でございます。
きょうは、三つお聞きしたいことがあるんですが、まず最初に、去年の十一月の決算委員会で、もう時間が限られておりましたけれども取り上げさせていただいた問題で、覚せい剤を中心とする薬物汚染の問題について、特に大臣のお考え、それから文部省の取り組みをお聞きしたいと思います。
ことし一月になりましてからこの取り組みは大幅に強化されたわけでございまして、総理大臣みずからこの問題の対策本部長となられた。これに関する取り組みは、昭和四十五年から官房長官を本部長とする体制があったわけでございますが、格上げされた。担当する部局も変わったようでございますけれども、その割に具体的取り組みにちょっと問題点があるのではないかという認識を持っております。
それはどこからくるのかなということで、まず第一に、深刻さの認識がやっぱりまだまだ甘いのではないのかというふうなことを感じております。
小学六年生が覚せい剤を小学生の家で、これは千葉県の方であったという去年の二月の話でございますが、低年齢化と広がりがまたすごいというふうなことをいろいろ思っておりまして、警察が検挙した数もすさまじいわけですけれども、そんなのはもう氷山の一角であろう。大人が知らない間に、教師も親も知らない間に現実はどんどん進んでいっているのではないのかという認識がございまして、この辺の事態の深刻さの御認識を、特に大臣は常にお持ちだと思いますけれども、改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小杉隆君) 児童生徒の薬物乱用の実態は、御指摘のとおり極めて憂慮すべき状況にあります。特に、高校生が平成七年度から平成八年度にかけて約二・三倍に覚せい剤乱用によって補導されております。
こうした状況を踏まえて、今お話しのとおり、総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部を設置しまして、文部大臣もその副本部長として取り組んでいるところですが、最近この薬物乱用が激増している背景というのはさまざまございます。特に、社会的にそういう薬物が入手しやすいというような条件ができておりますし、また児童生徒の自制心といいますか、そういうものの欠如というようなさまざまな要因が複雑に絡み合ってこういう事態になっていると思います。
これはもちろん、文部大臣としても全力を尽くしますが、関係省庁とも緊密な連携をとって何とか食いとめたい、こう考えております。
○山下栄一君 今高校生が大変ふえているというお話がございましたが、もうちょっと具体的に、広がりの認識なんですけれども、要するに、未成年といいますか二十以前の少年で検挙されたのは、すべての県で検挙されている。この中には高校生とか中学生じゃない、例えば十六歳の専門学校生とか、つい最近まで高校生であったとか、そういう麻薬の前にシンナーとか、いろいろな形で退学された直後に捕まったとか、そのときはもう高校生じゃないとか、そういうことも含めますと物すごい数になると思うんです。
その辺の広がりぐあいをやっぱり認識しておかないと、これは単に首都圏とかそういうだけじゃない、これすべての県ですからね。そういう認識が大事なんではないかと思うんです。この辺の、例えば高校生の全国分布とか、そういうのは文部省で掌握されているんでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 各県の補導状況というものについては、文部省は把握しておりません。
○山下栄一君 特に、大臣にこの辺の認識はやっぱり持っていただかないと。
これは警察庁からいただいた資料によりますと、全県全部、これは人数書いてあるわけです。例えば、北海道二名、東北は宮城県五名、高校生で覚せい剤を所持し、使用し、売買して検挙された人数でございます。本当に一部だと思います。仲間でどんどん売られているわけですからね、子供たちの世界で。東京四十八人、埼玉県四十九人、神奈川県二十一人、長野県でも二人、静岡県でも十八人、中国では島根県それから広島県とか、佐賀県でも四名とか、こういう広がりなんですよ。
この検挙された、これは平成八年の数ですけれども、それは高校生が四十七都道府県のうち二十三県、中学生は別にまたあるわけですけれども、それが先ほど申した未成年でいうとこれは物すごい数になるわけです。例えば、静岡県九十一とか、それから香川県でも十人とか、熊本県でも十二名とか、埼玉県は百六十二名とか、こういう数になってくるわけですよ。これは高校生には入っていないような、先ほど申し上げた専門学校生も入っているし、それからやめたばかりの高校生も入っている、元高校生とかいう形で新聞記事には書いてありますけれども。これはもうすべての県です。二十以下、少年ですよ。
もうこれが、大臣もおっしゃいましたように、平成六年に高校生四十一人だったのが七年には九十二名、八年には二百十四名と倍々とふえていっている。この広がりがすべての県に行き渡っているということは、それはもうそのすそ野には物すごいものがあるというふうに思うわけです。小学生までもいっている。この深刻さは、去年の総理府の世論調査でもアンケートに答えられた九六%の方が大変深刻であるということで、もう大人が感じているわけです。ところが、学校現場の先生はそこまでいっていないんじゃないのかなということが私は非常に心配でございます。
それで、背景に抵抗感、そういう認識が弱くなっているという大臣の御指摘がございましたけれども、なぜ子供たちが覚せい剤を使用しながら認識が甘いのかという、その背景をもうちょっと突っ込まなきゃいかぬと思うのです。なぜ認識が、抵抗感がない、薄くなっているのかという、この点は大臣どうお考えでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) 近年の子供たちの傾向といたしまして、やはり社会規範というものに対する規範意識というのがやや薄れているという傾向がございますし、また遊び心で薬物を乱用する、あるいは薬物の怖さというものについて無知である、知識が足らないといったようなこともございます。
そういった意味では、社会の状況というものが子供たちに影響を与えている面というのは否定できないわけでございまして、我々大人たちが子供たちの克己心なりあるいは耐える心なりを育てる、そしてさらによりよい豊かな心というものが育っていくような努力を重ねていかなければならないと思っておるところでございます。
○山下栄一君 一つさっき忘れましたけれども、深刻さのもう一つ、学校の中での広がりもあるんです。
大臣、特に今認識を共有したいと思うんですけれども、教室が汚染されている。手に入れた場所は、町中とかどこかアウトローの世界で暴力団に捕まったとか、デートクラブとかなんとかということもあるんですけれども、学校の中で売買されているわけです。友だち同士で売られているわけです。五千円とか一万円で手に入る。使用するのも、トイレとか踊り場とか学校内ですからね。校内で売買され、校内で使用している。
使用の仕方も覚せい剤を打つとかいう感覚じゃないんですよ。まして覚せい剤という言葉なんて使われておりません。覚せい剤という認識がないんです。集中力が高まるとか、すっきりするとか、ダイエットに効くとか、そういう情報が雑誌とかファンシーショップとかいうところで、そういうもので売られているものもあるわけです。だから、覚せい剤を使用している感覚はないわけです。
先ほど体育局長、無知とおっしゃいましたけれども、覚せい剤を自分は使用しているんじゃなくて、エスとかスピードとか、そういう言葉でそのものは子供たちの世界では認識されている。それを使用すると話しやすくなるし、勉強の疲れがとれるとか、集中力が出るとか、そういうことなんですよ。
合法ドラッグという、これはとんでもない言葉ですが、こういう言葉は大臣御存じでしょうか。
○国務大臣(小杉隆君) 知らないです。
○山下栄一君 合法ドラッグです。これはもう間違った言葉、この間違った言葉が普通の有力紙に載っているわけです。さきおとといの毎日新聞に載っていましたけれども、間違った言葉だと僕は思う。合法ドラッグという言葉で使われているんですけれども、この実態について厚生省お願いしたいと思います。
○説明員(藤井基之君) 今先生が御指摘になられましたいわゆる合法ドラッグとでも申しますか、こういう薬物といいますか、先生がおっしゃるとおり、ドラッグという言葉は本来麻薬等を称しますので、それが合法というのは、本来そういう言葉というのはあり得ないと私どもも認識をしております。
ただ、いわゆる法規制のある意味で網を抜け得る薬物という意味でしょうか、そういった意味で使われておって、一部でそういったものが売られておるというふうに聞いております。これにつきましては、法的にはこれらを取り締まる法律としまして、例えば薬事法という正規の薬を取り締まる法律がございます。
例えば、この法律の対象になるかどうかということについては、その合法ドラッグと称されておるものがどのような成分が実際に含まれているかどうかということ、あるいはどのような適応症といいますか、効能効果といいますか、何に効くとかどういう効能効果をうたうことによって販売しているか、そのようなことから判断されるわけでございます。
御案内のように、これらの合法ドラッグの中におきましては、一部麻黄というような医薬品の成分として当然使われるものが含まれておるとか、あるいは医薬品的な効能をうたっている、こういったものにつきましては、無許可の医薬品の販売ということで薬事法の規制対象となってまいります。
先生御紹介ありましたが、昨年このような問題が新聞等でも報じられたときがございまして、その際アメリカでいわゆる合法ドラッグだということで、この言葉も非常に響きがいいのか悪いのかあれでございますが、ハーバルエクスタシーというような商品名をもちまして売られている問題が指摘されたことがございます。これらは形式的に見ますと、薬かその種の健康食品かぎりぎりのようなものでございます。これらにつきまして、私ども東京都の協力を得まして、その種の商品を実際に買いましてその成分等の分析等を行っております。その際の鑑識の結果によりましては、言われておるいわゆる医薬品の成分というものは実際には含まれていないようでございました。
しかし、これらの販売の形というものが、医薬品的な効果とか、あるいはそれに付随する何らかの効果を疑わせるようなそういったような売り方をしているということでございまして、これにつきましては今までもやっておりましたが、警察とか都道府県を通じて対応しているのに加えまして、薬事法で法に触れるかどうか微妙なところにつきましても、それらの商品の販売については、あるいは広告についてはその指導の適正を期すべく、取り締まりあるいは指導というものを今後とも引き続きやっていきたいというふうに考えております。
○山下栄一君 ぜひ、薬物乱用対策本部でしたか、この四月にされるとお聞きしておりますが、これを話題にしていただきまして、それまでにも部会がたしか二つに分かれてやると聞いておりますけれども、まず実態をちょっと、特に合法ドラッグにつきましては政府の対策本部で検討議題にしていただきたいなと思っております。
これが違法か、要するにドラッグイコール麻薬という、ドラッグまがい、覚せい剤まがい、その扱い方も覚せい剤と同じような使用方法で服用するとか、そういう形で売られているわけです。食品という形だけれども、実際は見てみたら錠剤になっておるわけです。十粒で一万円とかになっているわけですね。ところが効能書き、これは英語で書いてあって輸入品なんですよ。これはハワイの方で売られているのもあるそうなんで、通信販売でも今は手に入る。それから、首都圏なんかではドラッグという名前のついたところで売られている。ファンシーショップでも売られている。そこで、だからもう非常に遊び感覚とかファッション感覚で買うわけです。錠剤になっている。
それで、どんなことが書いてあるかといったら、例えば中には生理痛に効くとか、こんなの違法だということじゃないかと思うんですけれども、生理痛を和らげる、慢性疾患、痛みを鎮静するとか、錠剤の数も、一回に四粒服用してくださいとか、そんな形で書いてある。
ワイルドレタスとかいうようなものにつきましては、片仮名のそういう商品が多いんですけれども、アヘンの代用品として使われた製品で、たばこにしみ込ませたり、蒸発させたものをつけて吸うこともできる製品であるとか、これは全部食品という形で、ムードを盛り上げる媚薬と言われている食品、ストレスが減りリラックスした上で陶酔感に浸れる食品、それで四十ドルとか二十五ドルとか一覧表が全部あって、それが通信販売されている。
こういう実態で、私は、これは放置しておっては薬事法そのものに触れるのではないかもわからぬけれども、これは間違いなくこれが導入となって自然に覚せい剤に入っていくというか、そういうのになっているわけで、そういう実態がある。それが普通の雑誌とかドラッグ本と呼ばれ、本屋さんに行ったら売っていて、そういうところにも書いてあるとか、勉強の後にこれがよく効くとか、そんなことが書いてあるわけですね。そういうふうにして今ずっと蔓延してきている。それが友達同士で話題になって、マックパーティーとかいって、そういうパーティーなんかやって盛り上げるとか、そういうふうに仲間意識を広げていくという形になっているということでございます。
次に、これは厚生省の管轄あるいは警察の管轄かもわかりませんけれども、薬事法についての対応の面で、放置しておっては大変なことになるというふうに思っております。対策本部でもぜひ議題にしていただきたいと思うわけでございます。
それで、きのうも衆議院の方でもお話があったかもわかりませんけれども、先ほど私触れましたように、広がりがすごい。また、その実態調査を、子供たちがエスとかスピードという言葉を知っていますかとかいうのでも結構です。覚せい剤という言葉を知っていますかでも構いませんし、使ったことがありますか、声をかけられたことありますかとか、そういうふうな意識調査をやっておかないと、学校現場の実態がわからないままに対応できないのではないか。
ぜひ私は、文部省として、大臣、先ほども実態がよくわからない部分があるとおっしゃっていましたけれども、やるべきであると、やり方は工夫しなければいけませんが、どうでしょうか、その点は。
○政府委員(佐々木正峰君) 実態調査の件でございますが、事柄の性質上、児童生徒に直接問わなければならないわけでございます。そういった意味では、児童生徒の発達段階等の問題に十分配慮する必要がございますし、また保護者の理解を得ることも不可欠でございます。
こういったことに加えまして、覚せい剤の所持、保有が違法行為であることから、必ずしも正確な実態把握を期しがたいということもございますし、児童生徒のプライバシーに対して十分に配慮した慎重な対応が求められることなどの問題がございます。そういったことから、実態調査につきましては、関係省庁あるいは関係機関の間で相談しながら慎重に検討をする必要があるというふうに考えておるところでございます。
いずれにいたしましても、各学校においては、薬物乱用というのを自分の学校の問題としてとらえて、児童生徒がそういった行為に陥ることがないように、家庭、地域と連携をとりながらより効果的で、かつ徹底した指導に今後努めていく必要があると考えておるところでございます。
○山下栄一君 慎重な対応が必要だと思いますけれども、これは何らかの実情をつかむことをしないと有効な手は絶対私は打てないと思います。
これは、先ほど私、現役の高校生が二十三県で、日本の国の半分で検挙されているわけです。来年になったら全県で検挙されるかもわかりません。物すごい勢いでふえているわけですから、のんきなこと言っておったら、僕は文部省の対応について聞きますけれども、これはもうとんちんかんな対応をしてしまう。これはもう絶対、実態把握しないと大変なことになりますよ。
教師自身も、こういうのにかかわりたくないという排除意識が働くんです、おっしゃったようにこれは犯罪につながるわけだから。うちの学校から犯罪を出したくない。問題が起こった学校、逮捕された学校は、全部とは言いませんが、校長とかは、学校が気づいておりませんでしたと、担任から報告を受けておりません、把握しておらないので報告も受けておりませんとか、本当は受けていたかもわからぬけれども、そういう形で、もうとにかくかかわりたくないというふうな対応をしてしまっているわけです。
特別な子供たちがやるものだという印象がまだまだ残っているが、そうじゃない。普通の高校生が巻き込まれていくような実態になってしまっている。高校生だけじゃない、中学生、場合によっては小学生からも違反が出る。アメリカの州ではもう年間百時間以上使って薬物教育をやっているわけですから、そういうことが刻々と迫っているのではないかというふうに私は思うわけでございまして、実態把握の努力は絶対すべきであると思いますので、ぜひ御検討いただきたい。
文部省の取り組み、これは啓発が非常に大事だと思うんですけれども、現在どんな取り組みをされているか簡潔にお答えいただきたい。
○国務大臣(小杉隆君) 委員の御指摘、私どもも大変深刻に受けとめております。薬物乱用の及ぼす危険性とか有害性というものに対する認識というものがまだまだ不十分だということは、御指摘のとおりだと思います。
そこで、実態調査というお話がありましたが、これはいわば違法行為をしたかどうかということから警察庁が中心に把握をする以外にないので、仮に教育現場でそういうアンケート調査をやったとしても、今委員が御指摘のように建前論の答えしか出てこない、本当の実態は把握できるかどうか疑わしいということで、我々としては現時点でそういう調査をやる手だてがないというか、いかがなものかという気持ちでおります。
ただ、教員とか生徒さんに対しての意識改革を図るということは大事だと思いますので、平成九年度から小中高の先生方、特に薬物乱用対策の教員を対象とした中央、地方の研修会を実施するとか、あるいは教員のいろんな指導資料の作成とかいうようなことをやっております。
それから、やはりこの対策は社会と学校と家庭と三位一体といいますか、総合的な取り組みが必要だということで、例えば学校におきまして少年担当の警察官の協力を得ていろいろ講習会をやっていただくとか、あるいは厚生省の麻薬取締官のOBの方々の御協力をいただくとか、そういった
形で薬物の恐ろしさとか体への影響ということについて実際に即して児童生徒にわかりやすく理解させる、そういう努力を続けていきたいと思っております。
○山下栄一君 正しい認識を持つ啓発活動、教育、これが非常に大事だと思います。
それで、体育局中心に薬物乱用防止教育、来年度予算一億ちょっとですね、これ以外にもあるのかもわかりませんけれども。例えば、今研修会とおっしゃいました。私は、ありとあらゆる中央研修、教育長、校長先生、生徒指導担当、養護教諭、その他学校医、いろんな文部省主催の中央研修があると思うんです。その講師をだれにするかということは物すごく大事だ。これが中途半端なことをやると、実態がまたわからぬままに過ぎていく。指導者側の意識を変革せにゃいかぬわけですから、どういう講師を考えられているかということを具体的に教えていただきたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) この研修というのは教職員を対象とするもので、やはり教職員自体が薬物乱用の危険性あるいは有害性というもの、あるいは再三御指摘のございますすそ野の広がり、したがって、それが他校の問題ではなくて自分の学校の子供の問題であるということについてきちんとした認識を持って対処していただくことが、今後ますます必要になってくるわけでございます。
そういった観点から見れば、やはり麻薬の恐ろしさや体への影響等について実際に即して理解をしていくということが極めて大切でございます。そういった観点に立って、研修会の講師といたしましては、少年担当の警察官やあるいは麻薬取締官OB等の専門的知識を持った人材の活用を考えていく必要があると思っております。
また、警察の協力を得て実施する麻薬乱用防止教室というのがございますが、これらにつきましても協力、連携を図って対処していくということも考えられるのではないかと考えております。
○山下栄一君 麻薬取締官OBの数は、もう掌握されましたですか。
○説明員(藤井基之君) 先生御指摘の麻薬取締官OBの数でございますが、私どもの方で退任しましたOBのうち実際にこのような啓発活動に従事し得る人間のリストを今鋭意つくっておりまして、その数は約百名になろうかと思っております。
○山下栄一君 現場までなかなか百人では難しい面もあると思います。というのは、それは大事な実態を第一線で感覚的におわかりになる方だと思うんですけれども、例えば警察の関係の方とか厚生省の管轄の麻薬取締官、こういう取り締まり感覚の方々も大事だと思うんですが、一回やると繰り返し、捕まっても出てきたらまたやるというものですから、その治療、リハビリに携わっておられる医療関係者、その他職員の方、精神科医、そういう方々は、具体的にそういう生々しい子供たちに接したとか青年に接したとか、そういう治療の観点、リハビリの観点から大変なことなんですよという観点からの話も非常に大事なのではないか。
取り締まりの観点ではなくて、健康教育の観点からの講師の人選もぜひお取り組みいただきたい。治療、リハビリの施設が非常に少ないそうですけれども、行政の取り組みも非常に、とにかく少年院か刑務所に入れたらいいというのじゃなくて、出てきたらまたやるわけですから、治療、リハビリに非常に時間がかかるし、その専門家の養成も非常に大事であろうと思うわけでございます。
時間の都合でちょっと急ぎますけれども、次は現場の先生方の教材なんですけれども、日本学校保健会というところが、文部省からの全額補助金七百万で平成六年、七年、八年、それぞれ中学生、高校生、小学生と改訂版をつくっているわけです。ところが、私、これは物すごく問題があるというふうに思っております。
ちょっとお借りしたものでございますけれども、これは昭和六十年の初めにも一回つくっているんですね。「喫煙・飲酒・薬物乱用防止に関する保健指導の手引」です。教員用でございまして、全額税金で無料で渡しております。何でこれを民間法人でやるのかなという非常に疑問があるんですが、時間がございませんのでこれはちょっと省きます。
それで、前の方が私はよかったと思うんです。これを見たら、喫煙、飲酒、薬物なんですが、薬物というのは何かというと、シンナー中心なんです。平成八年三月の発刊で、高校の教員に配られているんです、一学校に二冊。小学校段階のものがもうすぐできるそうですけれども。ところが、高校生、中学生の教師用の指導の手引の中身の薬物というのは、広い意味ではニコチンもアルコールも薬物、そういう感覚ですけれども、薬物というのはほとんど資料がシンナーなんです。もちろんシンナーも覚せい剤の動因になるわけですけれども、ほとんどこれには覚せい剤のことは書いていないんです。十年前のものは、昭和六十年の初めのものははっきりと中学一年段階でシンナー、中学二年段階で覚せい剤、中学三年段階で大麻、それぞれ指導例を挙げて具体的に書いてあるわけです。
ところが、新しい改訂版はほとんどシンナーなんですよ、資料も。これは物すごく問題があるんです。この資料のデータも一九八〇年とか、そんなの何で使うのかなと思いますが、古いものも大分入っているんです。これを民間法人でつくらせて、それは民間法人といっても文部省が指導しているわけですけれども、僕はこれは古くて役に立たないと思う。こんなの配ったって、こんなので意識変わらないと思います。これで意識を変える決定打にせにゃいかぬわけですからね。
これは全然だめだと思っておりますので、御検討をお願いしたい。体育局長、中身を検討してください。これは私はもう役に立たないと思っております。検討を約束していただけますか。
○政府委員(佐々木正峰君) 御意見を承りまして、今後の課題として検討させていただきます。
○山下栄一君 これは平成元年の指導要領改訂で中学、高校の保健体育の中にこの教育をやっていこうということでうたわれているんですけれども、現場の先生方はそんな意識がないままにやっているわけでございまして、こんな指導資料を使っているのだから。使っているかどうかも非常に疑問です、学校に二冊しかないわけですから、それはコピーしたらいいというものかもわかりませんけれども。
それから、先ほど大臣は他省庁との連携とおっしゃいましたけれども、実際これは厚生省も警察もどんどん学校現場と連携しながらやっているわけですが、短時間にちょっとそれぞれお答えいただけますか。
○説明員(藤井基之君) それでは、簡単に御説明させていただきたいと思います。
特に、学校教育と連携いたしました啓発活動としましては、私ども薬物乱用防止を目的としまして、昭和六十二年に閣議の口頭了解を受けて設立されました財団法人の麻薬・覚せい剤乱用防止センターと協力いたしまして、特に薬物乱用防止キャラバンカーというふうに我々は称しておりますが、大型バスの内部を改装いたしまして、映像コーナーとか展示コーナー等を設けまして薬物乱用の弊害を実際に視聴覚に訴えて指導する、そういったキャラバンカー、これを特に学校側の要請を受けまして運行いたしております。
本年度におきましては、関東エリアを中心にしまして小学校が十二校、中学校では五十九校、高校では十六校ということで、一昨年と比べまして非常に多くの学校からの要請を受けておりまして、それにこたえるようにしております。
また、同センターで作成しました中学生、高校生向けの薬物乱用防止のための副読本二十五万部を都道府県を通じまして学校へも配付するほか、同センターの作成しました中高生向けのビデオの提供等の活動をしております。
それから、先ほど文部大臣からも御紹介ございましたが、我々としましては、今後文部省当局等と協力いたしまして、麻薬取締官OBの啓発に対
する活用につきましてできるだけの御協力をしていきたいと考えております。
○山下栄一君 警察は。簡単に二分ぐらいで、防止教育とパンフだけでよろしい。二つだけ。
○説明員(勝浦敏行君) それでは、警察と学校との連携の具体的な取り組みを二点申し上げたいと思います。
一点目が薬物乱用防止教室の開催でございます。
この薬物乱用防止教室につきましては、最近の少年の薬物乱用の急増ぶりを踏まえまして力を入れているところでありますが、昨年は全国で約二千回、八十一万人の児童生徒を対象に実施いたしております。今後とも、引き続き積極的に開催してまいりたいと考えております。
それから、県によりましては、教育委員会等を通じまして学校の先生方あるいは児童、生徒の方々に薬物の危険性、有害性についてわかりやすく解説をしたチラシあるいはパンフレットなどを配付しているところもございます。
○山下栄一君 大臣、ぜひお知りおき願いたいと思うんですけれども、例えば来年度予算で文部省は中学、高校生用パンフレットの作成、学校当たり一学級分ということで三千五百万円計上しているんですね。ところが、こういう麻薬、覚せい剤薬物乱用に関するパンフレットは、今お話がありましたように警察も配っているわけです。それも教育委員会を通してやっているわけですよ。厚生省もやっているわけです。総理府もやっているわけです。総務庁もやっているわけです。それぞればらばらにパンフレットをどんどんやっているわけです。現場では何をしているのかなと思うと僕は思うんです。職員室に積んだままとか教育委員会に積んだままとか、こんな実態になっているわけです。
ビデオなんかも今度つくるということで四千六百万円。ビデオも、麻薬・覚せい剤乱用防止センター、厚生省、警察庁共管のこういう業者があるんですけれども、そこで中学生向け、高校生向けをいっぱいつくっているんです。私は行ってきました。それをもっと初めから、製作から始まるんです、文部省の予算、既にあるのを見ていいのを買ったらいいんじゃないかなと僕は思うんです。
いずれにいたしましても、この啓発活動部門を一本化して、せっかく内閣に対策本部があるわけですから、それが本当の連携だと思うんですよ。それぞれが予算を組んで現場にお構いなしにどんどんやっていたんじゃ、これはもう麻痺してしまう、信頼感をなくしてしまうというように思うわけです。
それから、そういうことを手始めとしまして、この指導教材もそうですし、今申し上げた啓発の武器も、いろいろ考えているんだけれども本当に機能していないという実態があるわけです。
それで、例えば今、警察の方で薬物乱用防止教室というのを、延べだと思います、同じ学校で何回もやっているところがあると思いますので、六年生一回とか、例えば中学一年用とか二年用とか、二千回と言うけれども、学校では数%しかやっていないんです。
何でかというと、うちの学校は警察官が来て薬物問題を抱えた学校と思われたくない。だから、そういう教室の件があったかて、それはもうよろしいとこう言ってます。他校より早く開くと問題があると勘ぐられてしまうとか、それが現場の校長先生の感覚なんです。だから警察も、そういうことをしょっちゅうやっておられる方が行って薬物乱用防止教室をやったところで、開催を呼びかけても、これはなかなかいろいろ難しい問題もあるわけです。
そういう実態もよくわかった上で、講師をだれにするかとかということも具体的にやっていかないと本当の啓発にならないのではないか、このように思います。来年度一億円かけているけれども、これは本当に実効性がどれだけあるのかなというふうなことを感じておりますので、この点ちょっと大臣。
○国務大臣(小杉隆君) 確かに、資料を見せていただきましたけれども、使っている資料はちょっと古いですね。私は、やっぱり縦割りじゃいけないんで、こういう教育用の資料、パンフレットあるいはビデオテープ、それはやはり厚生省なら厚生省の資料というものをもっと有効に活用するということが必要だと思いますので、両方ともいわゆる公益法人がやっているようですけれども、少なくともそこら辺の連携はよくとってやっていくようにしたいと思っております。
学校現場におきましては、文部省が責任を持って一番いい資料を、パンフレットを、そしてビデオを活用するように私からもよく徹底したいと思います。
ただし、同じ資料でも学校現場用とまた社会一般にまくのとは用途が違いますので、少なくとも学校現場で配付する資料につきましては、私は周知を徹底して、これは警察庁も厚生省も総理府もみんな携わっているわけですから、最新で一番的確な資料をより使うように督励したいと思っております。
○山下栄一君 啓発教育の重要性は幾ら強調してもし過ぎることはないというように思うわけです。
今までの、これは昭和四十五年から取り組まれて、毎年実施要綱を考えていっぱい文書はあるんですけれども、全然これは形式的で機能していないというのが実態であるというふうに思いますので、これは意識改革のために見直しをする必要があるということをぜひ対策本部で御検討をお願いしたいというふうに思います。
それで、現場の先生方の意識は、犯罪につながるからかかわりたくない、こういう意識が強くて、まだまだ一部の生徒の問題だというような認識があるわけです。もうすべての学校に広がるのも時間の問題と言うと言い過ぎかもわかりませんけれども、それほど大変な勢いであるということを御認識いただいて、犯罪とかかわりたくないんだったら、健康教育の観点からしっかり正しい知識を子供たちに教えていくということを、発達段階に応じた小中高の薬物、特に覚せい剤、麻薬、大麻等の防止教育のカリキュラムといいますか、そういうことをも含めて文部省としての、単にパンフレットの問題ではなくて、取り組みをお願いしたいと思います。