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国会質問

147国会 総務委員会会議録 2000年03月15日

○山下栄一君 きょうは覚せい剤を中心とする薬物乱用対策、これを中心に御質問させていただきたいと思います。
 私、この薬物問題の深刻さを自覚し始めて四年間、これをいろいろ国会でも取り上げてまいりました。そのきっかけは、小学校六年生の子供が覚せい剤で補導された、このニュースがきっかけだったんです。それ以来、政府におかれましても予算の拡充とかそれから体制も強化されたような形にはなっているんですけれども、私はこの深刻さが余り伝わっていないんではないかなというふうに感じておりまして、この問題、ちょっときょうは官房長官に御質問させていただきたいというふうに思います。
 昭和四十年代に官房長官を本部長とする薬物乱用対策推進本部、これは官房長官が中心だったんですよね。ところが、三年前から、橋本首相のときに本部長が総理大臣に変わったんです。一見強化されたように見えるんですけれども、ところが私は、そうではないのではないか、危機管理に対する認識がちょっと弱いんではないかというふうに勝手に思っておりまして、私、特に青少年に対する影響、これがますます深刻の度をたどっている。いろいろ手を打っている、各省手を打っているけれども、どれだけ効果が出ているのかということを疑いたくなるぐらい深刻さの度は広がる一方だというふうに思っております。
 それで、特に啓発活動ですけれども、啓発活動は非常に重要だと思うんですけれども、このあり方について、きょうは総理はお見えじゃございませんけれども、対策本部としてどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。


○国務大臣(青木幹雄君) 現在、非常に残念なことでありますが、議員おっしゃるように、我が国においてはまさに第三次の覚せい剤乱用期を迎えておりまして、特にここ数年、薬物乱用の危険性に対する認識が議員御指摘のように非常に薄れてきつつある、そういうふうに私どもも理解をいたしております。
 やはり、未来を託すべき青少年にまで薬物乱用が広がるということは極めて憂慮すべき状態に現状がある、そういうふうに認識をいたしておりまして、このような状況に対処するために、平成十年五月に薬物乱用対策推進本部におきまして薬物乱用防止五カ年戦略を策定いたしまして、政府を挙げて薬物乱用防止対策に現在取り組んでいるところであります。本五カ年戦略の中でも、特に青少年に対して薬物乱用の危険性を啓発することが重要な今後の目的の一つだと、そういうふうに考えております。
 そのため、現在、学校等における薬物乱用防止教育の充実を図るということはもちろんでありますけれども、六月及び七月の薬物乱用防止広報強化期間を中心にいたしまして、テレビ、ラジオ、政府広報番組、定期刊行物等のさまざまな仲介を活用して、青少年層に強い影響力を持つ例えば音楽家に協力を依頼したりするなど、薬物乱用防止のための広報、啓発活動を総合的に展開いたしておりますが、今後とも青少年に身近な広報媒体を活用することなどによって、効果的な広報活動を実施してまいりたい、そのように考えております。


○山下栄一君 国の健康状態がこういう問題によってはかられるというふうにも思うわけです。
 私は、今この取引額ですけれども、一兆をはるかに超えているというふうに思っております。アメリカ合衆国なんかでも銃器と薬物でもう国が破壊されるという、これが一たん蔓延しますと事後対策に恐ろしくお金がかかるという状況になるので、未然に手を打つということがいかに大事か、そのために私は啓発活動のあり方が問われていると。
 今、官房長官いろいろおっしゃいました、ポスター、それからパンフレット、テレビ、ラジオ、新聞、いろいろ媒体を使ってやっているんですけれども、それを検証する必要があるというふうに私は思っておりまして、テレビ、ラジオ、特にテレビですけれども、特に青少年に向けたテレビの効果、これをちょっと見直したらどうかなというふうに思っております。
 それで、総理府が行われた世論調査、これは去年十一月の薬物乱用に関する世論調査なんですけれども、ここで覚せい剤という言葉、エスとかスピードとかシャブとかいろいろ言い方はほかにもあるんですけれども、この情報源はテレビ、ラジオが九五%、こうなっているんです。
 では、そのテレビ、ラジオで聞く受けとめ方はプラスよりもマイナスの方が多い、悪い影響で受けている。それで、深刻になって、これは大変なことになるな、こんなもの使ったらというふうにではなくて、反対の方に、軽い受けとめ方をされるような、重みを持って受けとめられないようなテレビの取り上げ方がされている。例えばニュースで報道される、ニュースで報道されて深刻になるどころか反対に軽いタッチで受けとめられるような結果になっていないのかどうか。ニュースで取り上げられたりドラマで取り上げられたり、ドラマも摘発場面とか捕まえる場面とかそれから密売されている場面とか、それをドキュメントで流したりとか、こういう形で認識されていて、マイナスの方で流されている、反対の啓発がされているみたいな形になっているのではないか。そういう意味で、私は、深刻さを伝えるような啓発活動がテレビを通して物すごく大事だというふうに思っております。
 文部省も厚生省も総理府もいろんな形でパンフレット、ポスター、今おっしゃった薬物乱用防止教室というようなことをやっているんですけれども。また、キャラバンカーもつくってやっていると。はるかに効果があるのは僕はテレビじゃないかなというふうに思っているんです。これをやっぱり強化してもらいたいという思いできょうは質問しているんですけれども、このテレビ、ラジオの啓発効果、これをどのようにお考えかということをお聞きしたい。


○国務大臣(青木幹雄君) 確かに議員おっしゃるように、むしろ若者の対策としては、新聞広告等を見るよりもテレビを見る、そういうふうなものから受ける影響の方がはるかに大きいということは私も議員と同意見でございます。
 実は、十一年度予算の中でも、テレビ、ラジオ、これに一億二千万円使っております。新聞広告等についても同じように一億二千八百万使っておりますので、この割合をどうするかということも今後の一つの問題であろうと思いますし、またテレビやラジオで放送をしていただく内容についても、議員おっしゃるように、本当にテレビ、ラジオで放映することによっていわゆる薬物の危険性、そういうものが伝わってくるような宣伝の方法についても私は問題だと思います。
 また、時間帯も一つの大きな問題であろうと考えておりまして、来年度予算ではできるだけそういうことも配慮をいたしまして、例えば野球放送の間にスポットを入れるとか、いろんなそういう工夫も今後非常に必要じゃないか。ただテレビ、ラジオでやるだけではなかなか効果も上がらない、そういうようなことも十分検討した上で対処を今後していきたい、そのように考えております。


○山下栄一君 今、官房長官から、私も同様のことを考えておったんですけれども、非常にポイントを得た御答弁いただいたんです。
 例えば、厚生省もそれから文部省もビデオをつくっているんですね。それは視覚からの影響が大きいからなんですけれども。ところが、これは制作段階からお金かけてあるんです。立派なビデオは選択すればいいビデオは既にもうあるんですけれども、ところが役所の御都合もあるのでもう一遍初めからつくるわけですね。だからお金が非常に高くつく。
 私は、その問題もあるし、またパンフレットもつくって、文部省の場合でしたら教育委員会を通して学校に配ることになっているんですね。厚生省でしたら保健所とかまた役所に置いて持って帰ってくださいというのがあるんですけれども。ところが、それを配布するかどうかは学校の考え方によるわけです、職員室に積んだままにするか本当に配るかというのは。配ったらかえって寝る子を起こすんだという考え方もあったりしましてね。それは教員と青少年の実態との格差もあるわけですけれども。
 私は、パンフレット、ポスター、ビデオの効果は否定しませんけれども、ビデオを見るか見ないかは授業でやるとかいうことになっていくわけです。今既に放映されているテレビ、テレビもチャンネルたくさんありますけれども、まさに政府広報として流すということが非常にこれは効果がある。たくさんパンフレットを何万、何百万部とつくっているけれども、実際は手に渡っていない実態もありますしね。そういうことをやるよりも、毎日放映されているテレビ番組で政府広報を使ってやるということの方が非常に効果があるというふうに考えるわけです。だから、その広報活動のあり方を、いろんなことを手を打っていますじゃなくて、どれが本当に効果があるんだということを検証する必要があるというふうに思います。
 それで実際、政府広報におっしゃいましたように一億二千万使ってやっているので、僕はテレビも実際見ましたんですけれども、厚生省のビデオも全部見ましたんですけれども、まずおっしゃった、だれに向けてテレビつくっているんですかと、対象ですね。青少年向けにつくっている部分、これは政府広報を使ったテレビですけれども、これがほとんどない。あることはあるんですけれども、あるのはスポットなんですけれども、この放映時間が朝の七時から八時半なんですね。こんな時間、青少年は普通見ないわけです。そこに一億円近くかけているわけです。スポットなんですけれども、十五秒、三十秒なんですよ。ところが、朝の毎日七時から八時半なんて子供は見ない。これは青少年向けと言っている。ほかは大体、警察の方とか麻薬取締官経験者とか厚生省所管の母子センターの方が対談形式でしゃべったりしているんです。それは国民一般向けなんです、ほとんどが。だから、まず放映対象は青少年向けのやつをもうちょっとふやしてほしいということ、放映時間を工夫してほしいということ。それからチャンネルも、これは日本テレビが多いんですけれども、日本テレビとテレビ東京なんですけれども、これをすべてのチャンネルでやったらどうかなと、民放ですけれども、というふうに思います。
 それと、内容なんですけれども、どんなテレビの中身か、中身はどういうふうにすると本当に啓発になるのかということ。実際、覚せい剤を使った人がこんなことになっていますよというものはあるんですけれども、そんなこと放映してもらっても私は関係ない、こうなってしまう可能性もある、実際使っていない人から見たら。実際使ったことない人が、使うことを絶対しないと決断するような、決意するようなことにせにゃいかぬ。放映内容です。だから、どういう啓発の仕方がいいのかということをもっと研究し、工夫していただきたいというふうに私は思っております。
 そのポイント、二つ申し上げますけれども、その一つは、これは脳を破壊するんだと。脳を破壊するんだという観点を教えるのは警察官とかお役所の方じゃなくて、それは薬の人体への影響をよく知っている人、例えば薬剤師とか、それがいかに脳を破壊するかというようなことを、凶悪犯罪に走ったりとかいうほど脳を破壊するんだ、精神を破壊するんだということを薬の専門家が言うとか、そういう脳が破壊されるんですよという観点、そんな内容にしてもらいたい。
 それから、一たんこれに染め始める、覚せい剤が入り始めると薬物依存で生涯取りつかれるという、自立ができなくなってしまうというふうな、こういう観点からの啓発の方が僕はいいんじゃないかなと思っているんです。
 いずれにしても、放映内容まで含めてきちっと対策本部で、これ対策本部も実際やられているんですよ、年一回総理大臣も出席されているけれども、そういう一歩突っ込んだ対策本部として、総理大臣が対策本部長なんですから、しっかりやってもらいたいなというふうに思うわけです。
 そういうふうに考えますと、政府広報一億二千万円の使い方も、放映時間とかテレビ局のチャンネル数とか、それからだれを対象にするんだ、中身をどうするんだという観点の検討。それと同時に、政府広報もテレビ、ラジオを使ったものが三十九億円あるんです。それは薬物以外にもいろんな政府広報をする必要がある、総理府提供の番組であるんですけれども、その中で薬物にどれだけもうちょっと比重を高めていくかという、三十九億のうち一億二千万なんですけれども、それでいいのかという配分、政府広報全体の予算の中における薬物に対象を絞るということ。
 それから、広報活動もパンフレットとかいろいろあるけれども、テレビの効果が物すごくあるという観点からの配分見直し、その辺のことをぜひ御検討、これは必死でやらないと、事後対策よりも未然防止に力を入れれば物すごく効果があるという観点からの広報啓発活動のあり方を僕は抜本的に見直してもらいたいということを強く求めたいと思うんです。


○国務大臣(青木幹雄君) 議員のおっしゃることは、とにかく広報活動費の使い方をテレビに集中しろということ、それから時間帯を考えろということ、そして放映する内容を考えろということ、そういうことが中心であろうと思います。
 私も、確かに議員のおっしゃったとおりだと考えておりまして、今後そういうことを中心にして、いかにこれを徹底させるか、全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。


○山下栄一君 どうもありがとうございました。
 次の、これも政府広報の問題なんですけれども、既にこれは三月の初めに参議院予算委員会でも公明党が取り上げた問題なんですけれども、緊急奨学金なんです。これは、実態が、この不況の影響のもとに、高校生も大学生、専修学校生もそうなんですけれども、経済的理由によって退学する人が急増しているんです。学力不振とか出席日数が少ないとかじゃなくて、経済的理由によって退学になってしまう。お金が払えないので退学になる。入学金が払えないので退学になるという方が非常にふえている。経済的理由による中途退学者が、平成十年度で三千三百人、そのうち二千人が私立なんですけれども、これが年々非常にふえているわけです。
 そういう意味で、緊急奨学金というのは極めてタイムリーですばらしい取り組みだというふうに思うんですけれども、平成十一年度から、四月から予算化されて、一万人対象に、いつでも申し込める、翌月から支給される、無利子、そして経済的理由も、そんな所得証明も要らない、学校で判断してこれはもう決められるというふうな、非常にこれは急変対応のすばらしい取り組みを文部省はされているんですけれども、ところが、案外知られていない。
 この前の予算委員会の段階では、一万人の枠で、もう三月で年度末なのに、二千七百人しか申し込んでいないという状況があったんですけれども、幸いついきのう聞きましたら、最新の統計で、急増して四千人にふえた。そのうち千八百人が高校生だといって私一安心はしたんです。それでもまだ半分に至っていない。
 私の大阪でも、私立の高校なんですけれども、大学は比較的奨学金は充実しているんですけれども、高校奨学金というのは無利子だけで、そして所得制限あり成績要件もあって、緊急は成績要件もありませんから非常にありがたいんですけれども、高校生が知らない、高校生のお父さん、お母さんも知らないという現状がある。特に政府広報でこれはやっていただいた方がいいんじゃないかと。それで、退学を免れて学校に行けるようになったという実はそんな子供も聞いております。
 平成十二年度予算でも、まだ予算案通っておりませんけれども予算措置されているので、一万人の枠でやっと四千人まで来たわけですけれども、まだ半分以上使われていないという、具体的に退学した人が三千人を超えているというような現状を考えたときに、ラジオでも私はいいと思うんです。高校の方の徹底は日本育英会からファクスでやっているんです。もらった高校はさまざまにたくさんある書類の中で一枚だけ取り出してそんな意識して他人に徹底しないわけでございまして、集めて徹底するのも大変なんです、物すごい数ですから、高校も。
 私は、こういうのを、こういうときにこそ政府広報でやれば、一挙にこれありがたいというふうに認識される御両親が広がるのではないかというふうに考えまして、政府広報の具体的なテレビ、ラジオ、新聞その他の取り組みを強化していただきたい。強化というか、やっておられませんので、やっていただきたい。前向きに御検討いただいているように聞いておりますけれども、御答弁お願いしたいと思います。


○国務大臣(青木幹雄君) 確かに、議員おっしゃいますように、平成十二年二月末現在では一月末に比べて非常にふえてまいりまして、千三百人ふえて四千人に現在なっております。
 それから、おっしゃいましたように、確かに日本育英会を通じてホームページでいろいろやっておりますけれども、議員おっしゃるようにまだ徹底していない面が非常にあるということは私も数字の上からも十分認識をいたしておりまして、実は四月上旬からラジオ、テレビ、そういうもので十分に徹底するように対策を現在考えているところでございますので、前向きに議員おっしゃるように対応していきたい、そのように考えております。


○山下栄一君 できるだけ早目にこれをやっていただけたら、新年度に間に合うのではないかというふうに思いまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。以上です。

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