147国会 総務委員会会議録 2000年03月23日
○山下栄一君 私は、恩給の対象にならない方々への配慮をどうするかということについて、きょうは質問したいと思います。
戦争が終わりましてもう五十年以上たつわけですけれども、戦後処理問題、先ほども官房長官が触れられましたけれども、さまざまな形で政府、国会はこの問題に対応してきたわけでございます。ある意味では、戦争の被害者というか犠牲者というのは、単に軍隊に行かれた方だけじゃなくて、すべての国民と、こういうふうにも考えるべきであると私は思うわけです。
その配慮の一つとして昭和六十三年に平和祈念事業特別基金法、これが成立したわけですけれども、うちの党の強い主張でもございましたけれども、今年度予算で一部認められまして、国の慰藉事業の対象者が拡大されたわけです。これは非常に評価すべきことである、このように考えております。
ところが、この国の慰藉に対して、そんなの必要ない、私は要らぬという人もおるわけですけれども、ただその配慮が、国の慰藉の気持ちがあるならば受けとめたいという人もおるわけで、それに対してきちっと伝わるような運用実態になっておるのかということを確認させていただきたいというふうに思います。
例えば平成十年度で、書状とか銀杯とかその他の配慮はされておるわけですけれども、請求をする、請求されたけれども却下される場合もあるわけですね。実際、軍人恩給の資格のない方々という観点から申しますと、その方が実際に軍隊にいらっしゃった期間とかというようなことが非常に証明しにくい問題もある。
平成十年度で、請求者、そして却下された状況をちょっと教えていただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤正紀君) 平成十年度におきまして、申請がありましたが、却下された件数と。
○山下栄一君 請求者数です。
○政府参考人(佐藤正紀君) はい。
平成十年度におきます請求者数が一万三千三百四十二件でございます。その十年度におきまして却下された件数が二百二十件でございました。
○山下栄一君 確かに、せっかく税金でやるわけですから、認定することはきちっとせないかぬとは思うんですけれども、ただ請求される方が一生懸命でも、例えば遺族の方の場合でもですけれども、いろんな方がいらっしゃるわけです。高齢でひとり暮らしの方もいらっしゃるでしょうし、また御夫婦だけの場合もあるだろう。いろいろ裁量せないかぬと思うんです。それをきちっと伝えて、請求書類も見ましたけれども、非常にたくさん書く項目もあるわけで、気持ちがいっぱいあるけれども、正確にそんなの覚えていないし、証拠品も少ないという状況もある。だから、僕はできるだけ却下というようなことが、本当にそのことを、実際に戦地に行かれたという方々について、やはり証拠を示すものが非常に不十分でも、調べるのは大変だと思うんですけれども、できるだけ却下というようなことはない方がいいだろうなとも思うわけです。
それで、兵籍簿等は国に全部ないわけで自治体にあると思うんですけれども、それをこの基金が自治体に調べてくれませんかという場合の実情はどうなっているのか。これは国と自治体の関係じゃなくて、認可法人である基金と自治体の関係ですから、無料でやってもらうわけにいかないと思いますし、それの状況がどうなっているかということを教えてください。
○政府参考人(佐藤正紀君) お答え申し上げます。
基金で請求を受け付けますと、兵籍簿等を保有しております各都道府県それから厚生省の協力を得まして軍歴の確認をいたすわけでございますが、この確認に当たりましては、各都道府県に対しまして調査の委託費をお払いいたしております。各県規模等によりまして若干異なりますが、百二十万円から二百万円というところでございますが、委託費をお払いいたしております。
○山下栄一君 これ総理府から教えていただいたんですけれども、特に自治体への調査確認依頼件数も大変な数に上っているわけですが、ただ、これは自治体によって物すごい差がある。状況をきちっと掌握されていないのかもわからぬけれども、大都市は非常に多いわけですが、新潟県が非常に多いという状況がございます。沖縄県は非常に少ない、人口比以上に少ない。この辺の状況、わかりましたら教えてください。
○政府参考人(佐藤正紀君) 先生御指摘のとおり、各都道府県によりましてかなり申請の状況にばらつきがあるかと思います。確かに、例えば東京都でございますと平成十年度には約千件ございます。新潟では千件を超えておりまして千五十五件ということでございますが、少ないところでいきますと、例えば沖縄で百七十件ほど、そういう状況がございます。先生のおっしゃったように人口の比例だけではちょっと説明のつかないような状況があろうかと思います。
○山下栄一君 非常に熱心な方がいらっしゃってこういう配慮があるということを啓蒙される、運動されている方の影響もあるのかもわかりません。ただ、新潟県が突出しているのには何か背景があるのかなということを思いましたので、質問させていただきました。
今回の慰藉事業の範囲拡大で、今回初めてですけれども、遺族の方でも請求できるということになったんですけれども、遺族の範囲、これを教えてください。
○政府参考人(佐藤正紀君) 遺族の範囲につきましては、生計関係をともにしたというような観点を考慮いたしまして、配偶者、子、父母、孫それから兄弟姉妹というふうなところを対象といたしております。
○山下栄一君 抑留者に対する特別支給金の法律もありますし、引揚者に対する法律もあるんですけれども、これちょっとずつ遺族の範囲が違うんですよね。例えば引揚者については兄弟姉妹が入っていない。それぞれ若干違うわけですけれども、その中で、今回、私はできるだけ広い方がいいと思うんですけれども、遺族の方への配慮を同じくするんだったらと思うんですけれども、この点、どう考えていらっしゃいますか。
○政府参考人(佐藤正紀君) 今回、遺族の対象として選びました範囲につきましては、平和祈念事業特別基金に関する法律の四十五条に、戦後強制抑留者の慰労金の支給を受けるべき遺族の範囲という規定がございまして、ここで、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹というような範囲が書かれておることを勘案いたしまして、これと準じた扱いをするということで範囲を決めさせていただいた経緯がございます。
○山下栄一君 わかりました。これいろいろ検討されると思いますけれども、できるだけ今既にされている遺族への配慮、さまざまな戦後処理に関する法律があると思うんですけれども、できるだけ範囲を広げる形での検討をお願いしたいと要望しておきます。
それから、新しく配慮しますよと、例えば内地三年だったのを勤務年数が一年以上でも今回配慮するということになりましたし、今申し上げましたように、御本人でなくとも遺族の方にも初めて配慮するということをされたわけですけれども、できるだけきちっとした形での周知徹底が必要だと。
特に遺族の方というのは、私も遺族の一人ですけれども、うちのおやじも軍隊で行きましたんですけれども、そんな恩給という、恩給というのは一体何だということに、その言葉自体もよくわかっていない遺族の方もたくさんいらっしゃると思うわけで、今まで本人だけへの周知だったと思いますけれども、今回は遺族を配慮した周知の徹底の仕方を工夫しないと、せっかくの配慮が行き渡らないということになると思うんです。
この広報活動についての工夫、どう考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
○政務次官(長峯基君) お答えいたします。
特別基金が行っている慰藉事業につきましては、政府広報によりまして、新聞、テレビ、ラジオ等の各種の媒体を活用して周知を図っておりますほか、基金独自でも新聞広告等を行っているところであります。また、都道府県、市町村等に広報紙への記載等をお願いして細かく周知徹底を図っているところでもございます。また、関係団体を通じまして、例えば戦友会などにおいて広めていただくようなお願いもしているところでございますが、総理府といたしましては、一人でも多くの方に請求していただきたいと考えており、今後とも適時適切に広報を行うように努めてまいりたいと思っております。
○山下栄一君 やるんですけれども、その中身の問題をちょっと聞いているんですけれども、これは政府広報を三月もやっているわけですが、恩給欠格者、引揚者の皆様へという表現ではわからぬ人がおるということを私申し上げているわけで、特に遺族の方で年齢によってはこういう言葉自身が、恩給欠格者というのは何だということがわからない人もおる。だから、本人に対する広報、御本人だったらわかるかもわからぬけれども、そういう遺族の方に初めて配慮するわけですから、広報活動を、例えば本人向けと別に遺族の方向けへの、よくわかるように、見たらわかるような、見てもわからなかったらこれは広報活動にならぬわけですから、きちっと工夫した広報活動をしてほしいということを申し上げているわけです。
○政務次官(長峯基君) 御指摘のように、工夫した広報を積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○山下栄一君 それと、広報活動も、これは基金がやる広報活動なのに基金の金で何でやらぬのかなと僕は思うんですけれども、政府広報でやるのも補助金も出ているし、基金も出しているわけだから、別にだめだとは言いませんけれども、独自の広報活動にもっときちんと熱心に、そのための基金なんですから、組織も四千人も職員いらっしゃるわけだから、この認可法人独自の広報活動が不熱心じゃないかなと思っていまして、この点について、基金そのものの広報活動のあり方、ちょっと力を入れてやったらどうだということについてどうでしょうか。
○政府参考人(佐藤正紀君) 基金におきましても広報活動には力を入れているところでございますが、先生の御指摘のとおり、これからもさらに広報に力を入れるように指導してまいりたいと思います。
○山下栄一君 ちょっともう時間がなくなります。最後ですけれども、冒頭申しましたように、戦争被害者、犠牲者というのは全国民であるとも言えるという観点から、国としてどう配慮していくかという、公平を期してということからこの平和基金事業も始まったと思うんです。僕はこれ、四百億円の基金を積んで毎年二十五億円のお金でいろんなさまざまな配慮をしているわけですけれども、この基金法の第一条に書いてある、要するに軍人恩給の対象にならない方々、強制抑留者、強制抑留者の範囲も限られているわけですよね、ソ連領とかモンゴルとか。それから、引揚者についても、引揚者ということは外地。私はこれはいろんな配慮の考え方があるだろうと、公平を期さにゃいかぬという。
ただ、全体的なさまざまな政府の取り組み方を見まして感じることは、やっぱり軍隊に行かれた方に非常に配慮する、それは配慮せにゃいかぬ。だけれども、軍隊に行かれていない方々をどうするんだという、官民格差という表現もありますけれども、この問題。それから、引揚者もそうですし抑留者もそうなんですけれども、戦争を外国で経験された方々への加算措置とか、要するに外国にいらっしゃった方へは非常に配慮するけれども、内地でもさまざまな犠牲があったわけで、この辺のことも私はきちっと、それで本当にいいのかという見直しということも必要なんではないかというふうに思っております。
平和基金事業の範囲につきましても、やはりこれで本当にいいのかという見直しを国の責任のもとにやっていく必要がある、このように考えるんですけれども、この考え方について、これは政務次官ですか、どうでしょうか。これで終わりますけれども。
○政務次官(長峯基君) いろいろこの制度の中で私も勉強させていただきましたけれども、先生のおっしゃるとおり、現実的には十分に御苦労なさった方に対して報いをするというか、その基金の趣旨に沿って十分な対応ができているかどうかということについては、もちろんまだまだ努力をしなきゃいけない点がたくさんあるだろうと思っております。
そのような御意見も踏まえて積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、もちろん気づかないこともたくさんあると思いますので、先生お気づきの点がございましたらまた御指摘もいただきまして、積極的に取り組ませていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。