150国会 交通・情報通信委員会、経済・産業委員会連合審査会会議録 2000年11月27日
○山下栄一君 私は、十五分間、主に堺屋IT担当大臣に質問させていただきます。通産大臣、郵政大臣はお休みいただいて結構でございますので。ここにおっていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
基本理念にかかわることを少しお聞きしたいと思うんです。何のためのIT革命かということなんですけれども、基本理念、法律には書いてありますが、またちょっと角度を変えて、特に影の部分というかマイナス部分、ちょっと問題点といいますか、それを少し大臣にお聞きしたいと思うわけです。
ネットワークということですが、電子技術によってネットワークを広げると。その広がり方は、スピードは物すごく速くなる。そして、それも空間的にも全世界という大変な技術革新によるネットワーク化なんですけれども、先ほど冒頭、大臣、この委員会の初めに、血縁とか地縁とか職縁とか、私は卒業生のえにしもあると思うんですけれども、そういうさまざまな人間のえにしとこのITによるえにしはちょっと違うぞと。ネットワークは広がるけれども、心のネットワークは分断されるのではないか、こういう非常に不安感を持っておりまして、心の結びつきが希薄になっていくのではないか、人間一人一人が孤立化していくのではないか。
いながらにしてという言葉がありますけれども、いながらにしていろいろ便利になってくるけれども、それは人と人との直接的な触れ合いを薄くしてしまう方に働いていくと。よく考えてみると、さまざまな今日の問題点というのはそういうところに走っている部分、非常に一見この国民の生活、「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活」と書いてありますが、それは表面的には豊かさを実感できるかもわからないけれども、本当の心からの豊かさはますます実感できなくなっていくという方向に働くのではないか、IT革命の進展によってという、そんな不安感を指摘したいと思うわけでございますけれども、この点のお考えをお聞きしたいと思う。
○国務大臣(堺屋太一君) 委員御指摘のように、大変情報が便利になっていろんなことがわかるという利点がございまして、またお互いに情報を発信することによって自分と同じような興味を持っている人、同じような悩みを持っている人と知り合えるという利点もございますが、確かに人間が直接触れないで情報機器を通じて話をする、情報機器を通じてつながっているということにはさまざまな問題点があろうかと思います。そういう人と人との直接的なコミュニケーション、これを重要にしていくということも必要でございます。
それからもう一つ、このITの発達によって心配されるのは、人間が非常に便利な答えが出てくる、ところが実際に接する人間はそれほど便利ですぐ答えてくれない、そうすると非常に感情的になるというような、そういう人間が育ってしまうんじゃないか、こういうことがございますので、やはりそういった弊害を除去するために、人と人との直接のコミュニケーションの重要性、あるいは人間は常に完全ではあり得ないというようなところの人間的感情やその表現についてのこともよく知り、そのためにさまざまな集まり、人が集まるもの、あるいはお祭りなども拡大していくことも大切だと思っております。
そういう点で、学校の教育あるいは地域コミュニティー、NPO活動など、ITから発する活動、あるいはITとは別の活動、そういったものもやはり同時に考えていかないと、何もかもIT一本というわけにはまいらないと思っております。
○山下栄一君 私は今、基本理念ということで申し上げたんですけれども、何のためのIT革命かという、基本理念としてやはり位置づけるべきではないかと。この法律では、ともかく全世界的にIT化がどんどん急速に進展しておる、日本もおくれをとってはいけない、こういうふうな観点が非常に強く出ておるというふうに思うわけです。だから、そういうあり方そのものがそれでいいのかということを申し上げたわけですけれども。
要するに、欲望全開という形でこういうことをやっていくと、やはり一番根源的な人格の部分が破壊されたり、もっと言えば、社会の活力は確かに経済的活力とか新しい産業の創出とかいうことで非常にプラスの部分はあるけれども、この社会を支えているのは一人一人の人間である、その人間そのものの人格が破壊されたり、ちょっと極端に言っているかもわかりませんが、結果的には活力を奪うようなことになっていっては大変だというふうな部分のことをきちっと基本理念にも、余りマイナス部分を書いたらまずいというふうなのかもわかりませんけれども、そういうこともやっぱりうたっておくことも必要かなというふうなことを私、これを見ながら考えたんですけれども。
確かに、個人情報保護とかいうふうなことも基本方針に書いてあります。だけれども、やっぱり根本的なところでそういう部分の問題点、そしてそれに対する克服の観点もきちっと備えとして置いておかなきゃいけないというふうに思いまして、ここら辺の考え方をお聞きしたいのと、今申し上げました根本的な問題点の克服を、この技術がどんどん進む中で、また快適な便利な社会を追い求める欲望全開、しかし一方ではエゴイズム全開、その辺についての克服の観点、これを大臣はどうお考えかなということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) あらゆる世の中の進歩、変化、そういうものには必ず裏と表といいますか、光と影がございます。このITも例外ではございませんで、先ほども申し上げましたように、人間自身が触れ合う、そういった肌で感じるような人間的つき合いから遠ざかるという面はあろうかと思いますので、それは十分気をつけないかぬことだと思います。しかし、この法律にそこまで書くかどうか、これはむしろ憲法とかそういった法律に全体としての日本のあり方で描かれるものでございますので、本法はそこまで書いておりませんけれども、やはり日本国の理念としては重要な問題を委員御指摘だと思います。
○山下栄一君 推進体制ですけれども、ここに、これは二十六条以下ですか、書いてございますが、内閣官房にこういう推進本部ができると。私、これは総理大臣初め閣僚が参加される、もちろん民間の方も参加される。けれども、それともう一方、やはり第三者的にこういう推進を監視するというか、そういう役割を果たす部局が必要ではないかなと。例えば、地方分権推進委員会なんかはそういう役割を果たしているのではないかと思うんですけれども、そういう必要性について大臣はどうお考えか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) この法律では高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部というのを設けることになっておりまして、これが総理大臣の直接指揮のもとに全閣僚が入るという形で構成されることになって、また民間からも入っていただく、有識者も入っていただくということになっております。
この本部は、重点計画の作成をいたしまして、遅滞なくインターネットの利用によってそれを広報するということになっておりますが、さらにこれに監視機構ということになりますと、一般に監視機構というのは苦情処理とかそういうような形でございまして、この形態、一方にはそれぞれの担当の役所がございまして、それを全体として総理大臣が統括するという、この組織には監視機構というのは少し、少しではなしに、なじまないんじゃないか。苦情処理につきましては別途苦情処理の第三者機関がございますが、この基本計画全体を監視するというのはちょっとなじまない。むしろ、これをそれぞれ公表いたしまして、多くの人々からパブリックコメントをいただく、あるいはITで御意見を伺う、そういう、公表することによる国民の目ということが適切ではないかと思っております。
○山下栄一君 私は特にプラスの部分で電子政府というところに期待しておるんですけれども、ところが期待外れになるのではないかなという心配がございますので、ちょっとこれも大臣にお聞きしたいんですけれども。
特に、情報公開、国民にとってありがたい行政情報がワンストップサービス、また一括して手に入れることができるという面で国民への行政サービスが向上するという観点で非常に期待しておるわけですけれども、さらに行政の透明性、これをやはり、何となく日本は行政に対する不信感、それはやっぱり不透明だということがあったのではないかと。そういう観点でいきますと、この電子政府というのは非常に透明な行政府というようなことが期待されるんではないかと思うんですけれども、これが果たして本当にそうなっていくのかということが非常に心配でございまして、ちょっと具体的にお尋ねいたしますけれども、例えば入札制度ですね。入札案件を公表する、公開する、また入札そのものを電子入札、金額も公表するというふうな、参加企業も公表するとか、そういう形はやはり国民から見るとやってほしいということであるというふうに思います。
それからもう一点、これは前にちょっと別の方にお聞きしたんですけれども、すっきりした答えが得られなかったんですが、要するに政府調達なんですけれども、私のお聞きしていますのは、省庁別には電子調達、電子商取引が進むわけですから電子調達も進んでいく。だけれども、内閣として一本化して省庁の枠を超えた政府調達の一元化、これをやはり実現しないと何のための電子政府かと。アメリカではこの五年間で日本円にして一兆円を超える、政府調達の一元化によって行政コストを削減したという実績を聞いておるわけですけれども、そんなことはこれは大変なプラスの部分であるというふうに思うわけで、行政の透明性、そして行政の効率化、まさに行革そのものに直結する、こういう観点から実現してほしいと思うわけですけれども、担当大臣、どうなっていますでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) お手元に絵をかいた資料を配らせていただきました。
これはホームページの上での調達情報開示というものでございまして、左側が現状でございます。現在でございますと、主として官報で公示をすると。そして、インターネットで閲覧することはできるわけでございますが、これで応じるわけにはまいりません。それをこの右側、これからの取り組みとして右側でございますが、これでは閲覧、検索ができまして、そしてインターネット上で簡単にアクセスができるということで、あらゆる企業がそういう各官庁の出しております調達関係の情報が開示できるということで、かなり進歩すると思います。
また、入札あるいは契約でございますが、これも次のページを見ていただきますと、現状では各省へ人が行きまして札を本当に入れておるわけでございまして、江戸時代と同じ格好になっておりますが、それがこの電子関係になりますと非常に内容がわかりやすい、あるいは電子入札ということも考えられるというようになってまいろうかと思っております。
ただ、委員御指摘の各省一括購入というのは、今後研究すべき問題が多々あると思います。紙一枚にしましても、各省全部、用紙も印刷の色も形も違いまして、いろいろ不便がございますので、そういったことは総務省を中心にこれから検討すべき事項がたくさんある。これはITと関係なくやらなきゃいかぬことだと思っております。
○山下栄一君 終わります。ありがとうございました。