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国会質問

151国会 憲法調査会会議録 2001年05月09日

○山下栄一君 初めに諸井参考人にお聞きしたいと思います。
 憲法調査会で地方自治の観点からの議論というのはどれだけあったのか定かに私は知りませんけれども、きょうは、現在、地方分権推進委員長の要職におられる、また地方分権一括法を一貫して大変な御苦労の中でまとめ上げられた、そういう諸井先生に来ていただいたということは、立法府としても、また憲法調査会としても非常に大事なことであるし、大きな歴史に残ることであると私は思っております。
 そういう観点からちょっと御質問したいわけですけれども、日本国憲法、戦後になって初めて地方自治という理念が憲法の中にうたわれたと、そういう大変な意義があるわけですけれども、ただ意識の上では、やはり中央が上で地方は下だというのは私は今も厳然とあると。それがまた、地方分権一括法の中でも大変な御苦労の中で官僚と闘われた背景ではないかなと思うんです。
 そういう観点から、先ほども地方自治の本旨ということに触れられたんですけれども、憲法九十二条ですか、結局妥協的なあいまいな形で、地方自治の本旨に基づいて法律で定めると、地方公共団体の実質的な運営、組織についてはというふうなことになってしまったという、そういう観点から憲法条項として地方自治の本旨の中身をもう少しやはりうたうべきであったのではないか。地方行政は独自に地方自治体が行うとか、また基礎的自治体こそが中心であるとか、また地方の自主財源の基本原則をうたうとかいうふうなことについては憲法条項として明らかにすべきであったのではないかと思いますし、今後そういう課題が憲法調査会も含めて今の日本の国の中にあるのではないかというふうなことを考えるわけですけれども、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

○参考人(諸井虔君) 私も大体同じような感じを持っております、これは個人的見解でございますけれども。やはり地方自治というのは、何か美しいものでいいものでやった方がいいというふうな、そんなロマンチックな話じゃなくて、現実の問題として、その地域の行政あるいは生活に関する行政というものはもうどんどん地方公共団体、特に市町村の方へ任せてお願いをしていかないと処理ができないという今事態になってきていると思うんですね。
 ですから、地方自治の本旨ということを、おっしゃるようにやはりもっとはっきりしてもらいたい。地域の問題とかそういう生活の問題に関しては、もうむしろ条例に任せるんだ、地方公共団体に任せるんだと。国がどうしても決めなきゃならないのはこの範囲ということをむしろ明確にしていかなくちゃいけないんじゃないか。そうしないと、せっかくの条文も結局国の法律の決め方でどうにでもなってしまうということになるのではないかというふうに思います。

○山下栄一君 それと、先ほども少し木村委員の方からもお話がございましたけれども、市町村の合併の話ですけれども、特に市町村というのは一番、今もおっしゃいましたように、生活者の観点からの政策課題がどんどんふえる中で非常に重要な組織だと思うわけです、市町村というのは。その統廃合の問題について、住民投票の観点ですけれども、これはやはり住民に意見を、直接判断を、そういう問う機会をつくった方がいいのではないかと、こういう議論もあるわけですけれども、この統廃合の問題と住民投票の関連についてのお考えを諸井参考人にお聞きしたいと思います。

○参考人(諸井虔君) 住民投票をどういう形で使うかということについて、地方分権委員会としては直接合併をするかしないかということを住民投票にかけてしまうということは少し問題があるだろうという考え方で、協議会の設置の問題というふうなところへ使うような形で考えてきたわけでありますけれども、私は合併の問題こそ住民投票に、これは個人的な考え方でございます、住民投票に最も適した問題ではないんだろうか。
 ということは、失礼ですが、首長さんなり議会の議員さんなりと住民の方の利害が合併に関して相反するケースというのは当然あり得るわけですね。それで、これはやはり住民の大多数の方が合併に賛成というのならば、その意思がやはりその合併にはっきり出てくるような、そういう形をとるのが本来ではないかと、私は個人的にはそう思っております。分権委員会の立場はちょっと違います。

○山下栄一君 首相公選制の話も出たんですけれども、私はこの議論は、その前に住民自治のそういう理念の意識向上といいますか、これがないとすぐには選択するのが難しいのではないかというふうに思っているわけです。
 今さまざまな形で、先ほど触れられましたごみの問題にしろ、子育ての問題にしろ、介護の問題にしろ、住民そのものに直接かかわる生活課題が非常にふえておる。その中で、住民といいますか市民の意識も大変変わってきている、急速に変わりつつあるというふうに私は思うわけですけれども、こういう地方自治の中における住民参加の仕組みをもう少し制度化し進めていく、情報公開も含めてですけれども、そういう下地がないと首相公選制というのはすぐには選択するかどうかというふうになっていかないのではないかと私は思うわけですけれども、このことについてのお考えを両参考人からお聞きしたいと思います。

○参考人(諸井虔君) 首相公選制との絡みという点はちょっと私もよくわからない面がありますが、おっしゃるように今後地方自治を進めていくについては、やはり住民の意見、大多数の住民がどう考えているか、それをどう掌握するかというのが本当に決め手なのではないかと思うんです。さらに言えば、住民の協力を仰いでいくということが非常に重要だと思います。
 そういう意味で、情報公開をし、あるいは住民からの意見をどんどん取り入れていく、そういう情報のネットワークのようなものをやはり使いやすいような形で構築をして、常時チェックをしていくということが大変重要ではないかというふうに思っております。

○参考人(前田英昭君) やはり首相公選制は一番大事な直接選挙ということになるわけでございます。ですから、それに至る前の段階で、例えば住民投票であるとか、もっと近くであれば、それに関連したものとしては、選挙に一般の人がもっともっと参加するような、そういう政治に対し、何かあったときには自分たちが賛成という形で、政治に参加するという形ですぐにでも、何となくじゃなくて、何か、ああそうか、それじゃ行かなきゃいけないなといって参加できるような、そういうムードづくりが大事だと思っているのでございます。
 ですから、例えば住民投票なんかを議論しますと、非常に条件が難しくなっている。私は、むしろもっと軽い気持ちといったら悪いけれども、少し回数をふやしたらいいんじゃないか。余り少ししかやらないと、何か住民投票だというと大変だと大騒ぎになるので、もうしょっちゅうやっていれば、ああまたかと別に騒ぐようなこともない。
 つまり、そういう住民投票そのほかについての、いろんな住民の方あるいは一般国民の方がそれに参加するようなそういう雰囲気がもっともっと今より多くなってくる、そういった上で首相公選制もよくなっていくんじゃないのかなというふうな感じで見ております。

○山下栄一君 ありがとうございました。

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