151国会 農林水産委員会会議録 2001年06月15日
○山下栄一君 特にきょう現場の代表として国会にお越しいただきました三人の参考人の方は大変遠いところから来ていただいております、長崎、鹿児島、青森と。それぞれ大変なお立場の方であるわけでございますけれども、まず三人の参考人にお聞きしたいと思います。
環境保全のことなんですけれども、食べ物ですから、特に水産物の食料としての安定供給、大切な役割、特に健康という観点から、二十一世紀ますます食の面から重要な使命が私は業者にあると思うわけでございます。先ほどからも現場ではいろいろと、特に沿岸域の環境を守るための戦いをされておる、川を上っていって森を守る戦いもされているということでございます。
ただ、この有害化学物質、特に首都圏の霞ケ浦もそうですけれども、東京湾でもそうですけれども、私の住んでおります大阪湾でもそうですが、非常に有害化学物質の問題が大きな問題になっていくのではないかというふうに思うわけです。昔は水俣病の問題もありましたけれども、こういうことは一回起こるともうぴたっととまってしまうという、情報公開も大分対応が難しいわけです。ダイオキシンの貝とか魚への蓄積、食物連鎖による蓄積なども時々指摘されておりますが、そういう観点からの海の環境を守るということについては、私はまだまだ日本は取り組みが弱いのではないかというふうに思っております。
現場で仕事をされておりまして、また将来の海を守るための観点から、現場の御要望といいますか、こういうことを心配しているし、こういう手を打ってもらいたいということがございましたら、現場のお三人の方にお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(植村正治君) 近年非常に重要な課題として、川上を初め川中、あるいはまた川下もあわせまして有害物質の流入問題に我々は大きな神経を使っておるところでございます。
ゴルフ場の設置などにかかわる防虫剤の使用などもあり、さまざまな問題が想定されております。また私たち家庭においても、化学洗剤と申しましょうか、これを中和剤の「わかしお」にかえるとか、いろいろな運動を展開しております。今までもそういう状況のために漁場が失われた例が多々あるわけでございますので、重大な関心を払っております。
特に、先ほども申し上げたように、もう海岸域の、特に漁村集落に関係する地域の生活雑排水の処理事業がまことに低い。ゼロ%地帯が半分以上ありますし、そういうことで全体が二〇%を割っているという状況ですから、ほかの方に言えないような問題も潜んでおりますので、これの解消のためには、今までのような市町村の負担率であっては、とても市町村は漁港も道路もやりながらでは一緒には手が出ない。しかし、これはもう早急にやらなきゃならない事業であろうかと思いますので、提言しているわけでございます。
○参考人(西田良一君) まず、環境の保全の問題でございますけれども、今どこの海域もいそ焼け現象といった非常に海水の環境が悪化した状況ではなかろうかといった、そういった言葉が全国各地で聞かれます。いそ焼け現象というものが非常に魚の生息域を狭めているわけでございますから、やはりそういったものの原因、果たして何がいそ焼け現象を起こしているのか調査していただいて、何とかいそ焼け現象を食いとめて、できれば藻を増殖させるような形で今後取り組んでいっていただきたいような思い入れがあります。
また、海の環境を守るためには森づくり、森を我々は魚礁づくりと同じ形で考えておりますので、豊かな森をつくって、またそれを里につないで、里から海に非常にいい環境の川をつくっていただけるような取り組みを、農業青年部それから林業青年部、そういったほかの組織との交流を図りながら一生懸命我々も取り組んでいきたいと思っておりますので、そういった面からもまたいろいろな行政の御支援をいただきたいと思っております。
また、有害化学物質といったことでございますけれども、私の方では、沖縄それから奄美あたりは赤土問題として非常に魚礁が泥をかぶって魚の生息域がなくなっているといった深刻な問題もありますので、そういった問題も、今後開発とともに一緒に他省庁との関連を持ってもらって、ぜひ魚のすめる環境を守っていっていただきたいと思っております。
以上です。
○参考人(川端勲君) 長崎県の漁場環境についてちょっと触れさせていただきますけれども、県内全域でいそ焼けが発生しておりまして、長崎県は約二千キロぐらいの海岸線がありますが、その二〇%が今いそ焼けにさらされております。
そして、このいそ焼けの現象が起きたのは平成五年ごろからだと記憶しておりますけれども、やっぱり先ほど西田参考人が言われたように、原因の究明、あるいは、今我々は有明海で大変苦労しておりますが、長崎では約五十年前から埋め立てが盛んに行われまして、非常に何といいますか、工場をつくる、あるいは宅地をつくる、山を削って海を埋める、その専門の方が余りにも多過ぎて非常に環境は悪化しております。だから、五十年たったんですから、どこもそうだと思いますけれども、見直す必要があるんじゃないかと、そして再生をしていただきたい、そういうことでございます。
○山下栄一君 ありがとうございます。
特に、川端参考人も最後におっしゃっておりましたけれども、公共事業のあり方、先ほど加瀬参考人の方から漁港、漁場整備の、これは水産基本法二十六条の観点からのお話だったわけですけれども、まだこれ審議しておりませんけれども、漁港法改正ではこの長期計画を漁港の観点、漁場整備の観点をまとめてという、そういうことも提案されておるわけです。
先ほど加瀬参考人は、この整備については抑制的であるべきだというお話もありましたが、海の環境を守るということがこれからますます私は大事な時代になってくるというふうに思うわけです。もともと命というのは海から始まったという、生命のふるさとが海であるわけでございますし、そういうふうなことから海の生態系への国民全体の理解というのがまたこれから重要なテーマになってくると思うんですけれども、そういうことから、こういう漁村また海にかかわる公共事業のあり方について加瀬参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(加瀬和俊君) 地域各漁協の立場ということになりますと、水産関係の公共事業に対しては非常に悩んでいるところが多いだろうと思います。
と申しますのは、現在、一つは、一番魚が地先でとれる時期あるいは一番海が荒れる時期というのを考えますと、もっと岸壁も広くしてもらいたいし、もっと安全な堤防をつくってもらいたいというのはあると思うんですね。それが個々の漁業者の公物ということで、個々の漁業者は負担金を出さなくていいという体制ですから、どうしても現場サイドからすればより充実した整備をしてほしいという方向に要望は出てくると思います。
しかし、それはマクロに考えてみますと、日本全体の、例えば魚揚げ場の整備された面積であるとか岸壁であるとかというものはどんどん伸びていっている、それに対して漁業者の数、漁船の数は確実に減っていっているということがあるわけです。そしてまた、ミクロな地域地域の判断でもっと立派な水揚げ場ができれば、ほかの地域の船もここに入って、市場が大きくなるかもしれないという希望をすることもある意味ではやむを得ないかもしれない。したがって、これは広域的なそれこそ政策の基本方針としての対応ということが必要だろうというふうに思います。
それから、現場に行きますと、問題は、ハードな予算はハードな予算、ソフトな予算はソフトな予算として窓口が違って、したがってハードな予算は要らないよといってソフトな予算がふえるわけではない。そうなりますと、結局、これは私自身が感じるジレンマでもあるわけですが、漁村の現実から考えて、沿岸公共事業はもう過剰化している部分が相当あるんではないかというような問題提起をすることは、地域経済に対する国としての手当てを全体として減らす、そういう都市型、都市過密化を招くような政策の後押しをしているんじゃないかというジレンマもまた感じるわけです。
ですから、そういう意味での困難さというものは現場の方々も感じているし、やはり全体としての地方分権化、言うところの地方分権化の中での予算の使い勝手のよさというようなことが、漁業者の声も、現場の声も反映して工夫される必要があるかというふうに思います。
それから、公共事業との関連で一言言わせていただきたいんですが、漁業補償金の問題です。
〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
空港が先ごろもできましたが、漁業補償金の問題に関しては、二つの変更があると思います。一つは、言うまでもなく今まで漁業でやってきて漁業でこれからも生活をしたいという人が転業を余儀なくされる、そういう点から見ると極めて不十分な補償金だという批判があるわけです。それはそれで一面正しい面があると思います。他面では、個々の漁業者が水揚げをこれまで上げていて、漁協に記録が残っている水揚げ高に比べると極めて高い補償金が算定をされてしまうという傾向が他方であります。
これは、早く漁業者の容認を得て、公共事業の漁業権消滅補償等の同意をとってしまいたいというために非常に高い補償金の算定がなされる。その際には、漁協に出荷した水揚げではなくて、実はもっとほかにも水揚げがあったというような算定がされたり、いろいろな工夫が行われたり、不正が表面化したりというようなことは、今回の名古屋空港の事件などでも表面化したとおり、さまざまな問題があります。
ですから、私は補償金というものは、ある確実な水揚げ伝票等によって確保される金額から算定された補償金以上に出した場合には、その出した機関に対して、出した決定をした人は例えば背任罪になるとかいったような非常に強い措置をとる。そのことによって漁業者が安心して、開発に対して仲間割れすることなく、強い異議申し立てと条件を出して、漁業が存続できるような開発の現実的な条件を相互に議論し合う土俵ができるのではないかというふうに考えます。
○山下栄一君 時間が数分しかないんですけれども、私、きのう、輸入ダコの脱税事件のことをちょっと水産庁長官、農水大臣にもお聞きしたんです。私は、これは現場の漁協の責任者の皆さんも大変な関心というよりも、水産行政への信頼感が揺らぐような、大手水産会社による、これは国際的信用もですし、国内の一生懸命漁業に従事されている方々の不信を増幅させたということで大きな問題だと思うんですけれども、簡単には言えないかもわかりませんが、現場の方々から一言ずつ、これへの所感をお聞きしたいと思います。
○参考人(植村正治君) 今回の事件は、我々、輸入水産物の増大によって漁業が脅かされておる側にとって、非常に寒心にたえないといいますか、憤りを感ずる問題でございます。
また一方、それらの行為が便宜置籍船の問題とも深いかかわりがあるものだというような認識をいたしております。その実態の把握があいまいになっておることも示すものではないかと。
そういうことで、非常に不信感を実は強めております。この問題については厳正な裁量をすべきだというふうに認識をいたしております。
○参考人(西田良一君) 我々漁業者は、本当に漁獲数が少ない資源の中で経営をやっているわけでございますから、その辺の企業、水産関係の大手企業の取り組みというものが非常に政府の施策というんですか、そういった中でもう少し厳しい取り決め、取り組み方をしていただきたいな、そういった思いでおりますので、なるべくこういった事件が起きないように今後も御指導していってもらいたいと思っております。
以上です。
○参考人(川端勲君) 輸入水産物については、タコに関係した商社さんあたりがかなりほかの魚も輸入しておると思います。そういうことで、我々漁民は輸入魚によって大変貧乏をしております。タコの問題については一社だけではなく、二社まで出てきそうにあるようなニュースを聞いております。憤りを感じております。
そういうことでございます。
○山下栄一君 どうもありがとうございました。