151国会 農林水産委員会会議録 2001年06月22日
○山下栄一君 きょうはありがとうございます。それぞれのお立場で、短い時間で発言いただいたわけですけれども、非常に啓発されるところが多くて、きょうは有意義な参考人質疑だと思っております。
まず第一点、日本国土に占める森林面積は大変大きい、ところがそこに人がいなくなっているという、これがもう一番深刻な課題であるというふうに思うわけですけれども、そういう意味で、山村における人の確保、定住者の確保、これはもう極めて大事だと思うんですけれども、定住者といっても、木材生産にかかわらない人も定住できるような、そういう条件をつくっていく必要があると。
林業経営と森林経営、僕はちょっと違うように思うんですけれども、森林経営というのは公益的機能という観点から経営していくんだというふうな、そしてそれを雇用に結びつけていくような、就業機会が確保できるような形の森林経営、それは木材生産に携わらない人もそこで就業できるというふうな、そんな仕組みはできぬことはないのではないかなというふうに思います。
山村の活性化は人がふえないと活性化しない、したがって定住者の確保は極めて重要な課題だと。このことについてもそれぞれの方から御意見があったわけですけれども、そういう木材生産以外の就業機会というふうな観点から、中越参考人、森参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(中越武義君) 私は、先ほども申し上げましたように、山村、林業を守っていくにはそれぞれの地域に人が定住してこそ守られると申し上げました。現在、我が町でそれぞれ取り組んでおることを少し申し上げましたけれども、年間に今大体十人ぐらいの方々がIターンで本町に入ってきていただいております。
そこで皆さんが押しなべて言われるのが、安定的な収入がある程度確保されたい。それは年間で三百万あるいは三百五十万ぐらいでもいいということをよく言われます。そこで、現在山間地域の山を守るためには機械化が非常に難しいということを考えると、私は雇用の場になるのではないか、今質問にございましたように、就業機会というものがこれから生まれてくると思います。
そういったことで、今言ったように、少し体を使っていただければ私は仕事は確保できる、今の雇用対策にもなるのではないかというふうに考えておりまして、それぞれの町村の取り組みによるところが大であるというふうに思います。
そして、山村で暮らすためにはどんな形で暮らしたいかとお聞きいたしますと、せっかく山で暮らすから木造建築の家に住みたいと言われます。けれども、ある程度の年齢になって我々の地域に入ってきますと、安定的な収入とあわせて、お金を借りて家を建てなきゃならぬ、そうなったときに将来的にそれを償還できるかどうかという不安がある。そのことを考えたときに、家の条件整備が何かできないかと言われます。
また、最近非常に厳しい社会情勢となっておりますけれども、私はもともと、家は木造の家に住む、そして家族制度が守られるということ、その中でやっぱり地域の方々が将来にわたってそれぞれの地域を守る。家から家族を守り山村を守るということになってくるのではないかということから考えて、先ほど教育が大事になってくると申し上げました。
そして、今言いましたように、それぞれの地域で起こっておる犯罪というのは、失礼かもわかりませんけれども、比較的都市部の方に多いということは、何らかの形で心身ともにやっぱりむしばまれているのではないかというふうに考えております。
そういったことから、山間地域で住むという方々が押しなべて言われるのは、収入が安定的にあること、そして木の家に住みたい、そしてさらには学校が複式でない方がよい、一次医療の病院がある、そして基幹となる道路の整備ができておる、この条件を満たしておれば決して山間地域に人が定住をしないということはないとおっしゃられておりまして、そういった意味から考えると、今言ったように、ある程度の収入が得られるということを基本として物事を進めることが必要ではないかというふうに考えております。
以上です。
○参考人(森巖夫君) ただいまの御質問にありました山村地域に人々が定住する条件を整備するということは、森林、林業活性化の前提として極めて大事な課題であると考えます。
そこで、山村地域に、特に若者定住にはどういう条件が必要かといえば、私は差し当たり三つのことが大事だと考えます。
その一つは、経済的な豊かさを確保することであります。所得といっても、就労機会を確保することであります。つまり、産業振興の課題であります。そして二つ目には、山村地域が住みよい社会であるということであります。さまざまな社会資本の整備とともに、近隣関係を含めたコミュニティーの活性化が大事であると考えております。そして三つ目には、その地域が楽しい地域であるということ。
言いかえますと、一番目は経済的な豊かさ、二番目は住みよさ、そして若者にとってはそこで住んでいることが楽しいという、この三つの要件が大事なのではないかと思っています。
現実にそういう成功事例がないわけではありませんけれども、その場合、抽象的な話になりますけれども、第一番目の産業振興に当たっては、単に森林だけではなくて、御指摘のようにさまざまな資源が山村地域にはあります。私は、それを天の幸、山の幸、川の幸、地下の幸、海の幸、文化の幸、歴史の幸などと呼んでいるわけですけれども、そういった資源を多面的に利用することが必要であるにもかかわらず、これまでの行政はいわば縦割り的であり、相互の交流というか結びつきがうまくいっていないところに、いずれも弱体な産業に終わっているような気がします。
最近よく六次産業という言葉が使われますが、それは、一次産業と二次産業と三次産業をミックスした、結合させた、一足す二足す三という人と一掛ける二掛ける三という人がいますが、そういうミックスした地域資源活用型産業を興すことが必要ですし、二番目は、従来はハードの面で道路の整備とかあるいは学校とか建物とかいうことに偏っておりましたけれども、それのみならず、地域にあるコミュニティー、お互いの相互扶助とかそこの住みやすさということを強化していくことが必要ですし、三つ目の楽しさは、イベントだとか地域間交流が重要な活性化手段になると思っております。具体的な事例を御紹介できないのが残念です。
○山下栄一君 笠原参考人がおっしゃっていた観点は僕も物すごく大事だと思います。新しい基本法では、林業従事者の地位の向上はもう見捨てたようなこととか、林産業の充実ということも何か影が薄くなったような面を私は非常に強く感じております。そういう意味で、笠原参考人の指摘は非常に新鮮だったわけです。
私はこれを産業として成立させるためには所得政策も大変大事だと思いますし、もう一つコスト削減の観点で、速水参考人もおっしゃっておりましたが、やはり木を育てていくのは非常に手間がかかると。それを所有者とかに任せて、それだけでもう大変な労力を、それがコスト負担につながっていると。
そういう意味で、森林整備というんですか、木を育てるという、それは所有者だけじゃなくてボランティアとか都市の方々にもニーズは高まっているように思うんですよね。それを上手に活用しながら、所有者と国民、市民というか、都市と農村とをつないでいく、そういう役割が市町村にあるのかなとも思います。そうすることによって、そういう木を育てていくさまざまな労力というか、それが軽減されていくのではないかなというようなことをお話を聞きながら感じたんです。
それから、採算性という問題も、広い意味で国民、市民が参加することによって、それが行く行くはコスト削減に生かすみたいな、そんな視点もあるのかなというふうなことを感じました。
今申し上げたような観点で、笠原参考人はどのようにお考えか、また速水参考人もどういうふうにお考えかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(笠原義人君) 森林なり林業の施業なり管理、これをだれが担っていくのかということともかかわってくると思うんですけれども、基本的には私は、作業の中心を担う基幹的な技術者なり労働者、これは何らかの形で、どこかで月給制に近いような形では押さえておく必要があるだろうというふうに思っています。
そうしますと、かなり人件費等を含めて高くつく面がありますけれども、基幹的なものを必ず押さえながら、その上でその周辺はいろいろな組み合わせができるだろうということで、例えば都市との交流を進めながら都市のボランティア的な人に参加してもらう。ただ、単なるボランティアでは山の作業そのものがうまくいきませんし、先ほど中越参考人からもありましたように、定住させることの方が重要だということで、そのとおりなんです。
ただ、ボランティア的な作業についても、これは鍛え方というか訓練の仕方によって、ボランティアについても本当の一時的なボランティアではなくて、ある一定の講習を受けながら継続してそういう人たちに参加してもらうということも十分あり得ますので、そういう意味では、いろんな人の参加を得ながら、しかしそれだけでは山は育ちませんので、基幹的なものを押さえて、都市からの参加を含めて、ボランティアを継続的に組織できるようなものをつくっていく。それができれば、それなりにコストを、コストというのか、みんなで支えながら余りお金がかからないような形で作業をしていくということはできるんじゃないかというふうに思っています。
以上です。
○参考人(速水亨君) ボランティアや都市の住民が森林に対して作業をしていただくということに関しましては、私としては、森林に対する理解を深めていただく、そのようなチャンスとしてとらえております。
事実、私、NPOの森づくりフォーラムというボランティアの比較的規模の大きな組織の理事をやらせていただいておりまして、そこでいろんな提言まで含めて議論をしております。その過程の中で、やはりボランティア自身が日本の森林の実際的な作業を担っていくというのは、多分ボランティアにとって荷が重いというのは彼ら自身も十分承知をしている。
しかし、彼らが森林への理解を深める最大の通訳であると、都市の住民あるいは一般の方と森林関係者との最大の通訳であるということは間違いないことでございますので、彼らといかに連携を深めながら国民の方に森林の重要性、そして林業の本質というものを御理解いただくかという形を私は大変期待しておる次第でございます。
もう一つ、ボランティアというのは、多分幾つかのレベルがあると思います。日曜日に子供とともに森林に遊びに行ってちょっとした草刈りをするボランティアもあれば、かなり技術を持ったボランティアという方も最近育ってきております。そういう意味では、例えば国有林等を使いまして、単に森で遊ばせるというのではなくて、技術を深めたボランティアが、例えば作業道をつくる、あるいは非常に貴重な森林にみんながアクセスする、近寄るための道をきっちり開設する、そういう考え方をボランティアの育成に使っていくということは重要だと思っております。
以上です。
○山下栄一君 あともう一問だけですけれども、路網の整備というお話も速水参考人やその他の方からもございましたんですけれども、林道という言葉だけでは物すごく都市住民にとってはイメージの悪い面があるわけですけれども、私は、山間地域における道というんですか、これはもうちょっとちゃんと研究して、広く国民が応援してくれるようなことをやっぱりアピールしたり宣伝したりする必要があるのではないかと。
スーパー林道とかいろいろ、私、詳しいことはわかっておりませんけれども、公共事業のもう悪の典型みたいなことになっておりますので、ただいまおっしゃるように、都市と山村の交流といってもコンピューターで交流するんじゃなくて、やっぱり直接、じかに触れるということにもう物すごく都市住民は飢えているわけですから、そういう意味では直接的なアクセスというのが物すごく大事だと。だから、そういう路網の整備をもうちょっと本格的に考える時代が来ていると思うんです。広く国民に理解していただくようなことが必要だと。
きのうも私、政府質疑でも申し上げましたですけれども、そういう道をつくる、公共工事をする業者が、森のことをわかっていない人がそこに住んでいる人の意見を聞かないで、とにかく道をつくればいいんだというようなことでやっていくと、これは全然理解が得られない。したがって、その辺の仕組みをきちっとつくったり、国民に広くアピールするような路網の整備ということをもっともっとやっぱり強調していくことが物すごく大事だなと。そうすれば山はよみがえるという面もあるのではないかというようなことをお聞きしながら感じたんですけれども、これ、ちょっともう時間がございませんので、書面に書いていただきました速水参考人にちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(速水亨君) 路網に関しましては、確かにスーパー林道だとか大規模林道だとか、批判される部分が今までかなりあったというふうに理解をしております。そのような規模の大きな道というのは、基本的に林業をサポートする部分プラス地域の山村をサポートする部分という意味が非常に強かったというふうに理解をしておりまして、それはそれなりに意味があるんだろうというふうに私は考えております。ただ、それが一〇〇%森林のために使われていたかということになれば、また俗に言う我々が思っている林道とは非常に違うものができているというのも事実だと思います。
私ども林業経営者が、今後、森林管理、これは環境管理も含めて早急に充実しなければいけないというのは、やはりより一層細かく森林にアクセスする道、これは林道という言葉であらわしてしまっては語弊があるのかもしれません、日本的に言えば作業道と言うべきなのかもしれません。そういうものがたくさんできることによって、例えば林業生産に使っていないときは一般の方々がそこを散策されるという使い方をヨーロッパなどではたくさん見受けます。そこの道に関してはかなり安いコストでつくっていく、自然に適応した道のつくり方、そんな考え方を取り入れることによって森林というものを活性化していく可能性があるのではないかということを思っております。
以上でございます。