156国会 個人情報の保護に関する特別委員会会議録 2003年05月15日
○山下栄一君 私は、行政機関の個人情報保護法案について質問させていただきたいというふうに思います。今まで長い時間審議されておりますので、幾つか重複する部分もあるかも分かりませんけれども、お許し願いたいと思います。
まず、第一条の「目的」のところでございますけれども、全部は読みませんけれども、「この法律は、」「行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と。現行法では目的の、現行法と同じ規定になっておるわけでございますけれども、この「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」という、ちょっとここが気になっておりまして、行政が適切な運営を図るのは当たり前のことだと思うんです。
その次、「円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と。場合によれば、円滑な運営のために個人の権利利益を保護する事柄をおろそかにされることがあるのかというような読み方もできぬことないと思いますが、その点の確認をさせてください。
○副大臣(若松謙維君) お答えいたします。
この第一条の「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、」、この「図りつつ、」の趣旨はいかがかというお尋ねですが、それに続きます個人の権利利益の保護、これがあくまでも第一義の目的であると、このように私どもは理解しております。よって、決して行政の都合を優先させるものではないということを断言いたします。政府案のこの個人の権利利益の保護を一方的に図るのではなくて、行政の適正かつ円滑な運営との適切な調和の下、図るべきだと、このような考え方に立っているところでございます。
○山下栄一君 次、二条ですけれども、今回、この個人情報保護、保護されるべき対象に紙文書情報、二条四項二号ですね、付け加えられたわけですけれども、これずっと確認しますと、総務大臣への事前通知、これは義務付けの適用外になっているわけですけれども、この紙文書情報について総務大臣への事前通知を義務付けないのはどうしてなのかということを確認させてください。
○副大臣(若松謙維君) 紙のファイルにつきましては、電子計算機処理に見られるようないわゆる大量高速処理、この特性が有していないと。そういうことで、個人の権利利益侵害のおそれも当然電子計算機処理の、処理に比べると、この個人情報、より少ないと。そのようなことから、紙のファイルについての事前通知を要しないこととした次第でございます。
しかしながら、紙のファイルにつきましても、これ大臣も何度も答弁しておりますが、個人情報ファイル簿におきまして一定の事項の公表を自ら義務付けているところでございまして、これについてもやはり適正にしなければいけないと、そのように考えております。
○山下栄一君 次、四条でございます。
四条は「利用目的の明示」というところなんですけれども、これは現行法にはない部分だというふうに思います。新たに利用目的の明示を義務付けるのはどうしてかということを確認させてください。
○副大臣(若松謙維君) 第四条第三号の「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」という意味でございますが、これは行政機関の長に広範な裁量権限を与える趣旨ではなくて、客観的に判断する必要があるもの、また事務事業の根拠となる規定、趣旨に照らしまして適正な遂行と言えるものでなければならないと、そういう趣旨でございます。
さらに、この支障の程度でございますが、それは名目的なものでは足りず、実質的なものが要求されると。また、おそれの程度も、単なる確率的な可能性ではなくて法的保護に値する蓋然性が要求されるものであると考えております。
○山下栄一君 これは、四条のところのこういう規定を新たに設けたことが、結果的に国民にとってプラスにならないのではないかというふうに私は感じるんですね、これ。
要するに、行政機関は、直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、あらかじめ本人に対しその利用目的を明示しなくちゃならないと。これは当然といえば当然のことなんでしょうけれども、例外を作っている、「次に掲げる場合を除き」と。それが今ちょっと触れていただいた、特に私、気になるのはこの三号なんですけれども。要するに、行政の仕事上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるときは明示しなくていいと。支障を及ぼすか及ぼさぬかというのは、そんなのは行政の皆さんの判断ですから、拡大解釈がどんどんされる可能性があるというか、そういう心配があるんですね。
だから、こういうのを初めから書いていない方がかえって慎重にされるんではないかと。書くことによって、例外規定を書くことによって、結局、なし崩しに本人に明示しなくてよい例が広がっていくという心配があるような規定ではないかと懸念するんですけれども、ちょっと重ねてで申し訳ありませんが、心配ございませんか。
○副大臣(若松謙維君) 委員の御懸念も一理あろうかと思いますが、やはりこの「利用目的を本人に明示することにより」と。当然、例えば犯罪の内偵捜査の際に捜査対象者に利用目的を明示する必要は、これは当然捜査上必要ないと。
こういった私どもは常識的な場合を想定しておりまして、そういった行政の目的を達成するためにやはりこの条文は必要ではないかと、そういうことを考えてこの三号を規定した次第でございますので、是非御理解を賜りたいと思います。
○山下栄一君 懸念は最後にまとめて総務大臣にお聞きしたいと思いますけれども。
次、八条、済みません。「利用及び提供の制限」のところでございますが、「行政機関の長は、法令に基づく場合を除き」、これもこういう規定になっているんですけれども、「法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」と。
これももっともらしい規定なんですけれども、現行ではこれは九条一項に書いてあるんですけれども、ちょっと細かいんですけれども、現行法では法律の規定に基づく場合を除きと、そういうことになってくるわけですけれども、今度は法令に基づくと。この法令というのは、法律よりも広がるわけですけれども、この法令というのはどういう部分まで入っていくのか。政令、省令、ちょっと詳しく分かりませんけれども、その下の方の、例えば大臣告示、その他局長通知とか、どこまで広がるんでしょうか、これ、済みません。
○政府参考人(松田隆利君) 法令は、法律のほか、さらに政令とか省令というものがあるわけでございますが、今回、この法律の規定に基づきを法令の規定に基づきというふうに変更いたしておりますけれども、これはそもそも、この個人情報は利用目的を厳しく限定をしていくという考え方に立ちまして、実はこの目的外利用の前段階であります保有の段階から、現行法におきましては、法律の規定に基づく所掌事務に必要なためということになっておるわけでございますが、それを更に、法律が言う大枠の規定ではなくて、それを更に細分化しました政令、省令、そういう段階の範囲で更に限定して保有をするというふうに、利用目的を更に限定をして保有するようにしているわけでございます。
それとの関係におきまして、目的外に利用する場合におきましても、法令の規定に基づきということで、法律のレベルだけじゃなくて、更に政令、省令の段階の細分化された利用目的に限定をしていくという趣旨で「法令」という用語に統一しているところでございます。
○山下栄一君 より明快に限定の中身が分かるように制限していくという趣旨であるならばそれで結構でございますけれども、同じこの利用目的外の利用・提供、これちょっと心配なことがございまして確認させていただきます。
目的変更の場合は国民への公開規定があるんですけれども、利用目的以外の利用・提供をする場合、八条ですけれども、国民にそういう場合は知らされるのでしょうか。確認させてください。
○副大臣(若松謙維君) 目的外利用の際に事前通知の対象になっているかというお尋ねですね。それはなっておりません。それでよろしいですか。
○山下栄一君 目的変更の場合は、十条一項三号、十一条一項に基づいて、各行政機関、公表されると。ところが、目的外利用の場合には公開しなくてよいと。ということは、国民にとって非常に都合の悪い、場合によっては被害に遭う、そういう場合にこの三十六条一項一号の利用停止請求制度が機能しなくなってしまう、国民は知らされていないわけですから、こういう心配があるわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。
同じように、目的変更の場合と同じように目的外利用についても国民に知らせる必要あるのではないかというふうに懸念されるわけです、思うんですけれども、どうでしょうか。利用のことを聞かせてください。
○副大臣(若松謙維君) まず、三条の利用目的の変更、これはいわゆるそういったデータが、変更後の利用目的が恒常的なものであると、こういうことを想定しております。一方、八条の目的外利用・提供につきましては、これは今申し上げましたように、利用目的を変更せず一時的に認めているものと、こういうことで、基本的には三条の厳格運用を私どもは期待しております。そして、三条の利用目的の変更は、今申し上げましたように恒常的であるために、当初定めた利用目的と同等ということで事前通知を義務とした次第でございます。
一方、八条の目的外利用・提供につきましては、原則禁止が解除をされる例外にふさわしい場合に限定されるということでありまして、かつ適切、必要なタイミングで行うことが必要になるために事前通知は義務付けていないと。
こういう、極めて私どもが例外的なものとして、とはいいながらも、一年以内というもう議論もございましたが、先ほど申し上げました、やはり三条の、恒常的なもの、行政の業務を遂行するのに必要なものと、これについての事前通知という制度を導入した次第でございます。
そして、個人情報ファイルの目的外利用・提供の状況につきましては、これは現行法におきましても、施行状況調査におきまして調査の上、公表しておりまして、新法におきましても引き続き行っているわけでありまして、結果的には公表されると、このような制度になっていることを御理解いただきたいと思います。
○山下栄一君 ちょっと今度、具体的な事案で今回の改正法の実効性を確認させていただきたいというふうに思いますけれども、昨年の五月に新聞報道によって発覚しました防衛庁の情報公開請求者リスト問題でございます。この情報公開請求者リストを保有し提供をしていたというふうなことが分かったわけですけれども、これはもちろん自衛隊法違反もあるわけですけれども、現行法の法令違反に基づいて懲戒処分がされております。現行法のどの部分に基づいて懲戒処分されたのかということをお答え願いたいと思います。
○政府参考人(宇田川新一君) 昨年の五月にありました防衛庁リスト事案でございます。これにつきましては、法的な問題、三つございました。
一つは、海幕の情報公開室に勤務しておりました三等海佐の関係でございます。これは、個人情報ファイルに記録される情報は、当該個人情報ファイルの保有目的の達成に必要な限度を超えてはならないという旨を定めました行政機関電算処理個人情報保護法第四条第二項に反するものでありました。
それからまた、彼の場合ですと、ファイル保有目的の達成に必要な限度を超えた内容も含む違法なリストを内局、各幕情報公開室などに配付しておりましたので、これは、個人情報の電算処理等を行う行政機関の職員は、その業務において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならないとする同法第十二条の規定に違反するものでありました。
それからさらに、空幕の情報公開室の三佐とその後任者が、開示請求書に記載された請求内容のほかに、受付番号と氏名をリスト化しまして印刷したものを東京地方調査隊に配付しておりました。これは、個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならないとする同法第十二条の規定に反するものであります。
このほか、施設庁施設部所属の情報公開担当の専門官が、開示請求書に記載された氏名等の個人情報を含む資料を、一時期、情報公開業務に直接関係しない職員が閲覧可能な施設庁内LANの施設部掲示板に掲示しておりましたが、これは目的外の利用につながりまして、同法第九条第一項に違反するものでございました。
○山下栄一君 ちょっと今の説明よく分からへんのやけど。
現行法第四条第二項、現行法第四条第二項ね、それから第十二条、それ以外にもう一つ九条一項。九条一項というのはありましたかね。利用及び提供の制限のところですね。それ、間違いないですか。
○政府参考人(宇田川新一君) 委員御指摘のように、施設庁の施設部所属の情報公開担当者が施設庁施設部内のLANに掲載した事案ございました。これは九条一項に違反するものでございました。
○山下栄一君 分かりました。
現行法ではそうなんです。改正法では条文が変わると思うんですけれども、ちょっとどの条文になるか、確認できますね、これは総務省の方で。特に現行法どこか変えたということないでしょうね。現行法では四条と十二条と九条に違反だと。改正ではどの条文に違反になるんでしょうか。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
まず、現行法の第四条第二項の、利用目的に必要な範囲を超えた個人情報の保有ということにつきましては、新しい行政機関法におきましては第三条で個人情報の保有の制限を規定いたしておりまして、「法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」というところに相当たるわけでございます。
それから、現行法で第十二条で、個人情報の内容をみだりに他人に知らせること等を禁止しておりますが、これにつきましては、七条におきまして、新しい法律の方では七条におきまして同じように、「その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。」ということになっております。
それから、現行法第九条の目的以外の利用・提供の禁止でございますが、これは新しい行政機関法におきましては第八条で、「行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」というところに該当するわけでございます。
○山下栄一君 防衛庁の方、もう一遍確認しますけれども、現行法、この個人情報関連の法律は分かりましたけれども、大臣の補佐等にかかわる処分、事務次官以下ございますね。それと、実行行為、先ほどおっしゃった方も含めまして、職務上の注意義務違反というのがありますね、によって処分されている。それから上司の人、該当者の三等海佐ですか、その上司の人、上司の人に対して指揮監督義務違反。これはそれぞれ法律の根拠をちょっと教えてください。
○政府参考人(宇田川新一君) 昨年の防衛庁リスト事案につきましての処分は二つ根拠ありまして、一つは自衛隊法に基づきます懲戒処分でありまして、減給、戒告がこれに当たります。それとまた、防衛庁内におきます訓令がございまして、訓戒とか注意はこの訓令に基づくものでございます。
○山下栄一君 自衛隊法違反ということですね。
次、罰則。この事案で罰則は適用されるのかと。五十条、五十三、特に五十五条でしょうか、五十三、五十四条、五十五条が罰則規定になっておりますけれども、去年の五月に起こった事案について、この罰則適用可能性というか、今回の改正では罰則対象になるのかということをお願いします。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
憲法の不遡及の原則によりまして、過去の事案について新しい刑罰法規が適用されるということはないわけでございます。
したがいまして、仮に今後、防衛庁の事案のようなものが発生した場合に一般的にどうかということになるわけでありますが、これも刑罰の適用は司法当局及び裁判所が認定することになるわけでございますので、その認定いかんによるということに相なるわけでございます。
なおかつ、一例として申し上げますと、例えば海幕三佐の例で申し上げますと、海幕三佐は、個人情報ファイルに記録される情報は当該ファイルの保有目的の達成に必要な限度を超えてはならない旨を定めた現行法第四条第二項に違反をしたり、あるいは業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならない旨を定めた現行法第十二条に違反したということであったわけですが、仮に、五十三条、この政府案、新しい政府案の五十三条におきまして、五十三条で、行政機関の職員等が正当な理由がないのに個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理に係る個人情報ファイルを提供することを処罰しているものでございますが。ここで、アトピーで例えば不合格などの事項が個人の秘密に属するとか、あるいは、その海幕三佐が正当な理由がないというふうに認定されるとか、そういう事実認定がなされれば、本条の規定により処罰される可能性がないわけではないと考えております。
そういうことでございますので、あくまでこれは一般論でお答え申し上げさせていただきます。
○山下栄一君 一般論で答えたか知らぬけれども、そういうことなんですけれどもね。同じような事案がこの改正法の下で起きた場合に、五十三条、五十五条は適用される可能性があるのかと。ただ、例えば総務省が知った、新聞情報で出たと、それで懲戒の対象になるのかも分からぬけれどもこれは告発できるのかと、刑事告発、というようなことは考えておいてもらわぬと困るんですけれども、余り考えていませんか。
○副大臣(若松謙維君) 委員の問題意識でございますけれども、そもそも行政機関が御存じのように法令を遵守するということは、もう先ほど申し上げましたように、日本国憲法、さらには国家公務員法、こういったところに法令遵守義務が課されているということでありまして、その違反に際しての懲戒処分という制度があるわけであります。さらに、職務を行うことにより犯罪があると、こういうふうに認められる場合は上司は告発しなければいけないと、いわゆる上司の告発義務が課されているところでありますね。
ですから、今回の防衛庁リスト事案まで現行法に関連しての懲戒処分の例がなかったというのは、行政機関がそれなりに厳正に現行法の規律を履行してきた結果であるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、この懲戒処分、極めて私たち行政を預かるものとして厳格にやはり適用しなければいけないと。そのためのやっぱり公務員の日々の行動というものをしっかりと見ていかなければ、そういう義務があると更に自覚しなければいけないと認識しております。
○山下栄一君 大臣にちょっと確認をさせてくださいね。
現行法は昭和六十三年から施行されているんですね。ということは、十五年目を迎えているんでしょうか。その間、罰則はなかったわけですね、懲戒対象になるようなこと、何件あったのかということを。今ちょっと副大臣答えられましたので。要するに、この防衛庁以外は一件もなかったということですね。もう一回確認をさせてください。
○国務大臣(片山虎之助君) 詳しくは局長に答えてもらった方がいいと思いますが、私の記憶ではないと思います。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
現行法違反を理由として懲戒処分が行われた例はないものと承知をしております。
○山下栄一君 したがって、もう唯一の例が新聞報道によって分かったという懲戒、それ以外は懲戒はもうやったことがないと。要するに、基本的にはもう全部個人情報についてはすべての省庁で厳格にきちっとこの法律の下でやっていたということなはずなわけですけれども、これ唯一の事例が、これはもう新聞報道もされて詳しい状況も分かっている、そして今年の一月に処分もされた。じゃこれは、この実効性ということで罰則規定が入ったと。じゃ、この罰則に同じようなことが起こった場合に適用されるのかと。
例えば五十三条、正当な理由がないのに、先ほど局長おっしゃいました、提供したときは懲役と。五十五条の職権を濫用してというふうなこと。特に今改正法の七条ですね。従事者の義務違反、七条違反。「みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。」と、こんなことが適用されるようなことになった場合は、罰則、適用されるのか適用されないのか。少なくとも改正法第七条違反で懲戒処分されているわけですよ。旧十二条ですか、改正法の第七条。先ほど確認させていただきました。
罰則規定を設けている、何のために設けたのかという、唯一の事例はじゃそれに当てはまるのかと。それも分かりませんじゃ、これはちょっと何のために罰則、ほとんどそういう罰則なんて適用されるようなことはないと。少なくとも、新聞報道をされるような事案については各省庁はやるべきものやと思いますけれども、罰則適用されるかどうかは。それやらない場合は総務大臣が、総務省がやらないかぬような具合になるわけですから。だから、去年の事案については改正法では罰則適用可能なのかということぐらいの明快な見解は示せる状況に持ってきておかないと、何のためにこれ罰則規定を設けたのか、これも形だけかと、こうなってしまうと思うんですね。
一般論じゃなくて、具体的な例として、同じような、同じ事例が去年の五月じゃなくて改正法施行されてから起こった場合は適用されるのかというぐらいの見解は明確にしておかないと駄目なんじゃないかと。
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
昨年の防衛庁の事案を含めまして様々な御議論がございまして、それまでは行政機関におきましては公務員法の守秘義務違反による罰則、あるいは刑法の職権濫用罪等による罰則等がございましたが、なお一層このIT時代における個人情報処理についての行政の信頼性を確保すべしという与党三党の御方針、修正方針もございまして、今回新たに三点の罰則を付け加え、再提案させていただいたわけでございます。
罰則につきましては、ちょっと時間の関係もございますので一々には御説明申し上げませんが、そういう経緯で罰則が追加され、そして今御審議願っているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この罰則の構成要件に該当するような事案が仮に今後生じた場合にはその罰則の適用があるということを申し上げました次第でございまして、それは司法当局及び裁判所による事実認定いかんにかかっているということでございます。
以上でございます。
○山下栄一君 大臣、こういう場合、この新聞報道で国民の関心が高まり、そしてまた行政不信につながるようなことになってしまうと思うんです、私、中途半端なことをやれば。それで罰則が入ったと。じゃ、同じ事案がこの法律成立後に起きた場合は、捜査当局なんやと思いますが、告発するのかと、行政機関として。しない場合は、当該、例えば防衛庁なら防衛庁しない場合は、総務省がやらないかぬようになるわけですから、どうなんですかね、これ。
○国務大臣(片山虎之助君) 犯罪行為を知ったら、これは告発の義務があるんですよね。だから、それは告発してもらわないけませんが。
今、山下委員、防衛庁のリスト問題についてのあるいはお尋ねかと思いますけれども、これは最終的には事実認定の問題になるんですね。五十三条は、正当な理由がなくて個人の秘密に属する個人情報ファイルを、これを提供した場合は罰則規定ですよね。だから、防衛庁の場合に、あれが個人の秘密に関する、例えば、何かの病気があって自衛隊の試験に落ちたなんというのが中にありましたよね。これは個人の秘密に属するということになる。それから、正当な理由があの場合にはないということになるんでしょうけれども、それが故意でやると、こういうことの事実認定ができれば、五十三条の私は適用の問題が出てくるんだろうと、こういうふうに思いますが、最終的には司法の事実認定、判断の問題になると。
ただ、罰則を適用するという、罰則があるということが大変な抑止力になるんですね。最後は罰則があると、こういうことで、今の守秘義務や、刑法上には職権濫用や公文書毀棄罪がありますけれども、それ以外のパターンを三種類、今回の法律に書いたわけでございまして、これによって、罰則まであるよと、懲戒処分はもちろんあると、こういうことが大変な担保になるんではなかろうかという判断です。
元々、我々は、特に罰則がなくても現行法制でやれるということを申し上げたんですが、その方が信頼性が更に増すと、こういう御意見ございましたんで、それじゃ、それに素直に従おうということで、与党修正要綱に従って今回新しい法案ではそれを入れさせていただいたわけでございます。
○山下栄一君 別にこれは、防衛庁に限らず、似たようなことが行われる可能性としてはあるわけですから。目的外利用、目的外利用違反もありましたし、特に、第七条の従事者義務違反ということで懲戒処分をされていると。この第七条違反の場合なんかはもうこれ、私は明快に告発対象になるというふうに私は思うんですけれども。
いずれにしても、もっと、何といいますか、危機意識を持っていただいて、同じようなことが起きて、新聞の一面にでかでかと取り上げられたと。それ実際、去年五月に起こっているわけですから、その場合は告発対象になるのかどうかの厳密な検討ぐらいはやられているんでしょうけれども、今お聞きしている答弁ではなかなか分かりにくいなというのが私の印象でございます。
最後ですけれども、結局これ、いろいろ配慮されて、国民の気持ちにかなうように現行法を改正して全面改定する法案が出てきたんですけれども、実際、最終的なこの実効性担保は各省庁に任せられているわけですね。こうしてはならない、何とかしてはならないと一杯書いてあります。書いてあるけれども、それがきちっと守られているのかと。厳しい内部告発がない限り一切発覚しないというようなことの可能性もあるというように私は思うんですけれども。
それで、各省庁任せにはしないという部分が四十九条、五十条、五十一条やと思うんですね。これはもう私の、この法文読む限りでは、非常に調整権限の範囲内だと。できる規定にもなっているし、先ほどちょっとおっしゃったけれども、調査を独自に総務省ができるということじゃないですよね、これは。
総務省設置法の行政評価に基づくものは調査報告権限があるわけですけれども、この四十九条、五十条、五十一条程度でこの制度管理がきちっとできるのかなと。総務大臣の権限、もう少し強化するような方向で考えた方がいいのではないかというようなことを率直に感じるんですけれども、四十九条、五十条、五十一条を積極的に運用、発動するでも構いませんけれども。
いずれにしても、総務大臣のリーダーシップがないと、この行政機関個人情報保護法案は、今までも十四年間ですか、ほとんど懲戒規定はなしに、懲戒処分はなかったに等しいわけですから、もう全くこの正当な保護がなされていたということになってしまうわけで、そういう意味じゃ、総務大臣の、この法案所管省庁の最高責任者として、この実効性の担保の問題、チェック機能、総務大臣の役割について、最後、確認させてください。
○国務大臣(片山虎之助君) この四十九条、五十条、五十一条はかなり強いんですよ、規定としては。
四十九条は、報告を求める、これは調査ができるんです、調査して報告出せという。それをまた私どもの方が公表するようになっているんですね、概要を。それから、資料の提出、説明の要求というのも、かなり権限として、事実上できるんですからね。それを規定で権限と置いている以上、私はかなり強いと思いますし、意見を五十一条で言えますから、これはもう言った以上、明らかに公表しますよね、メディアその他に。
そういう意味では、使い方によっては私は大変強い権限だと、こう思いますが、ただ、今の内閣は各大臣が責任を持つ仕組みですよね。だから、各大臣がその是正、違反みたいなことがあったら是正すると、こういう仕組みなので、それは、それがちゃんとやるかやらぬかの担保は大変難しいんですけれども、それを全部総務省がやることになると総務大臣じゃなくて総理大臣になっちゃいますからね。そこはなかなか難しいんですが、各大臣の責任でやってもらうと。
しかし、それがやや怪しいなと思ったら、それはこの四十九条、五十条、五十一条を使いまして、それは十分私どもの方でチェックしてまいりたいと、こう思っておりまして、また、国会で大いに言っていただくのが一番チェックになるんですよ。ひとつ今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
○山下栄一君 もちろん議会の行政監視機能は極めて重要ですので、それは議員としての役割だと思うので。
今ちょっとおっしゃった、四十九条の報告を求める場合は、場合によっては調査もすることもあるという理解でよろしいですね、それ。
○国務大臣(片山虎之助君) 報告を求める中に、これこれを調査して報告してくれということは、私、当然含まれると思っております。
○山下栄一君 ちょっと早いですけれども、終わります。