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国会質問

159国会 環境委員会会議録(参考人質疑) 2004年04月13日


○山下栄一君 あと私で終わりでございますので、よろしくお願いします。
 今日は本当にお忙しいところ、また貴重な啓発的なお話ちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
 この生物多様性条約という条約が締結されて以来、日本でも徐々に生態系を守っていくことの重要性が進んできているようには感じるんですけれども、まだまだ特に経済活動との関係では課題が大変多いというふうに感じております。農林水産、農業、林業の法律の抜本的見直しがありまして、基本法の理念の中にこの生物多様性の考え方がきちっと入ったのも最近ですし、今、水産業の方はまだ入っていないんじゃないかなというふうに理解しておりますけれども。
 ちょっと今日、お聞きをまずしたいことは、この生態的ネットワークという町づくりにかかわる考え方が、私は、オランダという国でこういう取組が、オランダだけに限らず、EUはそういう取組が強いのかも分かりませんけれども、生態的なネットワークを断ち切らない、そういう考え方で町づくりを行っていくという、極めて進んだ考え方だと思いますけれども、こういう考え方は日本ではもう非常に、大分先にならないとできてこないのかなというふうなことを感じるんですけれども、それぞれ専門的な取組をされている学問的、実践的観点から、この町づくり、国づくりの観点で、こういう生態的ネットワークの日本における取組についてのお考えを聞いていければと思います。
 それぞれ所感がございましたら、簡単にお願いしたいと。


○委員長(長谷川清君) 四人の皆さんにですね。


○山下栄一君 そうですね。少しずつ。


○参考人(岩槻邦男君) 私どもも常々そういうことというのは期待していまして、国じゅうが長期的な計画に基づいて自然と人の生活とがなじみ合うような形の発展をすべきものだというふうに思っていますけれども、そうしたら具体的にそれを各地域でどうしたらいいかということになりますと、これは様々な条件が関与してきて、学問的にどうこう言うというだけでは決められないと思いますよね。
 ただし、ちょっと宣伝をさせていただきますけれども、私、最近、兵庫県立人と自然の博物館というところにコミットしているんですけれども、ここは全く精神的に、その地域の住民の人たちとも話をしながら、完全な自然史博物館ではなくて、造園、景観の人たちも一緒にやっているんですけれども、そういう人たちといかにしたら緑の町づくりができるかということをいろんな形で模索しているというのがありますので、そういうデータもいずれは日本じゅうで利用できるような形になればいいなというふうに思って、そちらの方向に向かって邁進しています。


○参考人(草刈秀紀君) 生態的なネットワークというふうなことで、今、林野庁なんかでもコリドー計画という、緑の回廊計画とかというふうなことで、孤立した生態系をつなぐというふうなことが一生懸命やられています。
 そういった生態系をネットワークとしてつなぐ流れの中で一つの考え方としてあるのは、これも鷲谷いづみ先生やっておられる埋土種子、今その植生ではないんだけれども、何年か前に土の中に埋もれた種がたくさんあると。それを掘り返して何年前の植生はこういうふうなんだというふうな、そういう緑を回復するようなことをやっているんですよね。ですから、生態系のネットワーク又は生態系を取り戻す行為として、ネットワークとネットワークをつなぐ方法の一つとして、そういうふうに何年前とか十年前とか二十年前とかならば、昔はこういうふうな植生帯があったというふうなことを調べて、少しでも自然再生事業みたいなのをやられていますように、過去に失われてしまった日本の在来の環境を取り戻して生態系をネットワークとしてつなげていく、そういった試みが必要になってくると思います。


○参考人(藏内勇夫君) 生態系ネットワークを作るというのは私も賛成であります。
 こういった理念の下に、どういう町づくりを行うかということについてはこれからの我が国の課題ではないかなと、そういう思いを持っております。
   〔委員長退席、理事ツルネンマルテイ君着席〕
 昔、ドイツに行きまして、バーデンバーデンとか古い都を見てまいりますと、非常にすばらしいものがございますね。ところが、あそこに行って話を聞いてみますと、ここに緑の森があるから駅をどこに作るか、ホテルはどこの場所がいいかと。これを起点に百年ぐらいのスパンを掛けて町づくりをやっているというのがヨーロッパの都市なんですね。そういった感覚を是非我が国もそろそろ取り入れるべきではないかと思います。
 それから、国内においてもいろいろ、公共事業の問題いろいろ指摘されますが、土木工事をやるときに、一緒に木をばっさり切ったりあるいは植林をしたりすることがございますが、このときに、土木業者の技術のみではなくて、造園業者あるいは木にかかわる専門家等に、どういった種類の木を植えたらいいのか、あるいはどういう形で道路あるいはその周辺施設を整備していった方が都市としての柔らかさ、緑の豊かな都市づくりができるのかと、こういった観点をもっともっと取り入れるべきだと思いますけれども、私は、ある意味では、環境省でできるのかどうか分かりませんが、そういった理想的な地域づくり、町づくりのモデル事業というものをおやりになったらいかがかと思います。


○参考人(山田文雄君) 私も、たしか二〇〇〇年だったと思うんですが、オランダに行きまして、生態系ネットワークというのを、国際学会がありまして、参加して、現地視察もさせていただきました。
 そのとき感じましたのは、オランダという国の山が低い、標高が低いんですけれども、三百メーターほどしかない、それから運河沿いの緑をネットワークにつないで、野生動物がそこの緑を利用する、野鳥が利用するというようなことで、全土をネットワークでつなげていくという発想を勉強してきました。
 私自身、現在、森林総研で野生動物の研究をしていますが、先ほど草刈さんがおっしゃったような、国有林の緑の回廊を使った研究を、私自身ではありませんが、同僚が進めております。これは東北の国有林で、回廊という森林を野生動物が果たしてうまく使ってくれているかどうかという検証をしてみようということで、クマの、ツキノワグマですけれども、研究を進めるというようなことが進められております。
 それからもう一つは、奥山ではなくてもっと里山という観点でいきますと、例えばニホンリスがどの程度の森林を生息地としているのか、それが分断されて伐採されて小さくなっていくといなくなるのかというような研究を私どもの研究者が行っておりまして、できることならば、そういう分断化された森林をいかにつなげていけるのかというようなことが問題になってくるんですが、これは、土地所有者あるいは森林の重要性というものをいかに地域の人たち、国民の人たちが重要視するかという点で、研究者側も重要性ということを明らかにしていくという役割があるのかなと考えております。


○山下栄一君 ありがとうございます。


○参考人(草刈秀紀君) 今、その町づくりという話が一つありましたので、この環境委員会では審議されないとは思いますけれども、今、景観法の問題が今国会に出されていると思うんですけれども、そこら辺もちょっと危惧しているところがあって、緑の景観を作ればそれでいいというわけではないし、また外来種を持ってきて植えればそれでいい景観があったというものではないので、そこら辺は注意して、景観法でやっていくにしても、あるので、縦割り行政でほかの部分になかなか口を差し挟むことはできないかもしれませんけれども、景観法とかそういったところでも、外来種の問題の、使い方とか注意すべきだと思いますし、また、景観法の大きな流れの中では、文化財保護法の改正というふうなことで我が国の文化的な景観を指定するというふうな考え方がありますので、そういうふうな考え方の中でも、我が国固有の生物相の景観を、文化的に我々が作ってきた景観を保全していくというふうなことは必要なことでありますし、そういう面では外来種という問題も関係ないわけではないと思っております。


○山下栄一君 ありがとうございます。国土開発の観点からも、このやっぱり生態的ネットワークという考え方が非常に重要ではないかというふうに感じておりますけれども、ありがとうございました。
 次に、専門家の養成、人材育成にかかわることなんですけれども、例えば税関のお仕事や厚生労働省の検疫のお仕事をされている方もそうなんだと思いますし、また、先ほどの今回の法律にかかわります特定生物、外来種の政令指定、どういう生物を指定するかということにかかわる判定につきましてもこの専門家の存在が非常に大きいわけですけれども、この専門家といっても、もちろん学問的な観点、その学問的な観点も実践的な面、そしてまたNGOやNPOに取り組んでいる方々の様々な御経験や知識、実践に裏付けられた知識とかいうのが非常に私は大事だと思うんですけれども、こういう専門家という観点でいうと、私は、感覚的で申し訳ないんですけれども、日本の大学その他のところで、希望する人は多いかも分かりませんけれども、受入れ体制や養成の体制が本当にこれからだなんということを感じております。
   〔理事ツルネンマルテイ君退席、委員長着席〕
 特に、この生物多様性国家戦略、新・生物多様性国家戦略の中に、二年前、ちょうど丸二年前ですけれども、記述がございまして、化学物質による生態系影響という大きな観点がございます。
 特に、POPsにかかわる動物、植物の影響というのに限ってちょっとお聞きしたいと思っておりますけれども、化学物質、例えばダイオキシンにしろ環境ホルモン関係にしろ、農薬もそうかも分かりませんけれども、そういう動物、植物に、鳥や魚や植物にどういう影響を与えるかということを具体的なデータを積み重ねながら研究していくということは非常に極めて重要な取組だと思うわけです。野生生物への影響がそのまま人間社会への影響にもつながる可能性も強いわけですし、ただ、化学物質の野生生物への影響ということを取り組んでおられる方々は非常に少ないのではないかなという、最近もそういう実際やっている人からも指摘を受けたんですけれども。
 こういう野生生物の化学物質からの影響という面の研究の今の実態ですね、問題点、分かる範囲でちょっと、岩槻先生、また御専門からいうと山田先生もそうかも分かりませんけれども、ちょっと時間の関係で、簡潔にお願いできたらと思います。


○参考人(岩槻邦男君) その生物多様性に関する基礎的な研究者、それを社会に応用するための技術者の養成ということに関しましては、その道の専門家でありながらこういうことを申し上げるのは非常に残念なんですけれども、先進国としては非常に恥ずかしい状態であります。
 何十年か前に欧米でも生物多様性の研究に対する縮小が叫ばれたことがあって、欧米の主要な博物館の館長から、諸外国からもっとちゃんとやっておれという手紙が来れば首切りに対応できるというんで、援助の手紙が欲しいと言われたことがあるんですけれども、そのときには、三分の一になると言われて数を見たら、まだそれでも日本の代表的な機関の何十倍かという、そういうのを慨嘆しながら協力したのを覚えているんですけれども。
 例えば、生物多様性に関する国際的なところで議論に参画するのは、ほとんど欧米ではミュージアムの、博物館の出身の人なんですけれども、日本では残念ながらまだ博物館にそういう実力がない。それだけではなくて、もっと端的に申しますと、先ほどから生物多様性の情報の話が出ましたけれども、元来、生物多様性センターというのを環境省に作っていただいて、そこがもっと充実しておればそれに対する対応ができるはずですけれども、これは国際的な場で数を申し上げるのが恥ずかしいぐらいのスタッフで頑張っていらっしゃるというのが現状なんで、そういうところは、それを是非御認識いただいて、こういう問題を機会に充実させていただくようにお願いしたいと思います。


○参考人(山田文雄君) 私たちは、野生動物を対象にした研究を進めているという立場でありまして、日本的には数少ないというか、組織であるんですけれども、ちょうど平成十二年から十五年、四年間にかけまして、プロジェクト研究ということでダイオキシンの研究、それからPOPsの研究を行っております。
 なぜ私たちが研究を行ったかということなんですけれども、これは野生動物を、鳥獣ですね、野生鳥獣を取り扱っている研究者というのが極めて少ないというようなことで私たちに声が掛かりました。現在のところ、もう予算が、我々に来る予算は打ち切られましたので、研究は行っておりません。分析に当たってやはり高額なお金が必要だということが一つの問題です。
 研究を通じて分かりましたことは、やはり長期間のモニタリングが必要だということです。イギリスとかアメリカとか海外の野生動物を使ったモニタリングというのはもう長期間行ってデータを蓄積しております。
 もう一つは、やはり影響把握をきっちり分かるかどうか。我々が行った研究では上位捕食者、カワウとか猛禽類は非常に蓄積が高いということが分かりまして、それのえさになっているネズミたちあるいはモグラたちというのを、生態系の中で様々な動物を調べたんですけれども、やはり現在問題になっているPOPsなんですけれども、モニタリング対象としては脊椎動物が入っていないというか、魚類は入っていたでしょうか、欧米ではネズミとか入っているんですね。日本ではそれが除かれているんです。その猛禽類たちのえさになっているえさ動物をやはり把握していかなければ生態系の中で有害物質、化学物質がどう循環していっているかということを把握することは極めて難しい。人間だけをターゲットにして考えるということではなくて、やはり生態系あるいは上位捕食者のことを考慮したモニタリングということが必要だというふうにそのときは感じました。


○山下栄一君 どうもありがとうございました。


○参考人(草刈秀紀君) 専門家の育成というふうなことでちょっと一つ言っておきたいというか、専門家も育成しなきゃいけないということは、ただ学識経験者の育成は必要かもしれませんけれども、これから重要になってくるのは税関の人の育成ということが必要になってくると思うんです。
 私どもトラフィックジャパンの方では、ワシントン条約の動植物の取引を監視するのは税関ですから、税関の人たちの教育としてトラフィックジャパンのスタッフがワシントン条約の対象種の識別マニュアルを作ったりとかして、税関でも見分けられるようなことが必要になってくる。これからは、外来生物がこれから規制されるわけですから、税関の人たちも外来生物を識別することが必要になってきます。ですから、そういった人たちの育成ということも今後やっていかなきゃいけない重要なポイントだと思いますので、指摘しておきました。


○山下栄一君 もう時間、もうそろそろ参りましたですけれども、先ほども草刈参考人から景観法、それから文化財の観点からも法改正あるわけですけれども、こういう生物多様性の観点からの議論というのは余りされていないようにも思いますし、まだまだ、環境省は一生懸命頑張っておりますけれども、農水省、一部のところで一生懸命もがいて奮闘しているというふうな状況で、予算的にも、また人の養成の面でも非常に岩槻先生もおっしゃいましたように厳しい状況であるということを今日は認識できたことが非常に大きな私にとりましては成果でございました。
 ちょっとほか、もう一つ聞きたいことあったんですけれども、時間ございませんので、また別の機会に御指導いただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。

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