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国会質問

162国会 憲法調査会会議録 2005年02月09日


○日本国憲法に関する調査(統治システムとその相互関係)


○山下栄一君 統治システムの相互関係がテーマでございますけれども、今もお話ございましたが、この憲法の前文の統治システム、統治機構の基本原則、これは非常に、幾ら強調しても強調し過ぎることはないというふうに思います。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と、これは人類普遍の原理であるという高らかな宣言については、更に確認をすべきことであるというふうに思っております。
 先ほどもお話もございましたですけれども、行政の肥大、実質的な官僚支配の仕組み、これについての様々な改革の試みがあるわけでございますけれども、基本的な行政の仕組みというのは戦前と体質的に変わらない部分が非常に多いと。形は戦後大きく変わったわけですけれども、体質はまだ色濃く残存しているという、そういうことを痛切に国会活動を通して感じております。

 そういう観点から、特に縦割り行政の弊害、これは特に行政コスト、行政の無駄、また非常に責任を取らない、課題を先送りするという、そういう官僚政治の悪弊がいまだになかなか解消されないというところに現れているのではないかというふうに思うわけでございます。
 省庁再編に当たりまして、内閣府の位置付けが非常に、まあ法文上は高くなったというふうに思うわけですけれども、これも実質的にはこれからの課題だというふうに思います。内閣府は各省庁と横並びではなくて一段高い立場にあるという、それが、国家行政組織法には内閣府はなくて、内閣府設置法という別の法律でそういう立場を与えられているというわけでございますけれども、これを更に生かすような形で、省庁横断的な分野の企画立案、また総合調整の役割を内閣府が発揮できる、そのような実績を積み上げていく必要があると、このように感じております。
 また、内閣総理大臣のリーダーシップ、行政の分担管理の原則が内閣法三条にあって、それは憲法の要請するところであるのかという、縦割りを超える内閣全体としての組織としての機能強化と同時に、その総理大臣のリーダーシップも高める、そういう考え方も大事ではないかというふうに思っております。

 憲法七十二条の解釈もそうでございますけれども、内閣総理大臣は内閣を代表してとありまして、並びに行政各部を指揮監督すると。この行政各部を指揮監督するのは、内閣を代表してという、そういう修飾語が付いているというのが基本的な解釈ですけれども、このような解釈でいいのかという、そういうことがあるというふうに思いまして、この分担管理の原則の方が更に強くなっておることが縦割り型の、なかなか克服できない、そういう背景にあるというふうに思うわけです。この閣議をかけて決定した方針に基づかないと指揮監督できないという内閣法六条、これも改正も含めて検討する余地があるのではないかというふうに思います。

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法では、こういう今までの考え方を一歩超えた、自ら、総務大臣を指揮しというふうな規定が、この国民保護法六十条二項にあるわけですけれども、非常に例外的にこういうことが最近具体的に法令化しておるわけですけれども、内閣総理大臣のリーダーシップを強化するということ、これ大事な観点ではないかなというふうに思っております。これは党の考え方というより私個人の考え方でございます。
 首相公選制についても、先ほど来お話がございますけれども、党の考え方は非常に消極的でございます。まず、政治的能力とは関係なく、国民に人気のある者が選出されてしまう。また、議会とは無関係に選出された場合や議会多数派と異なる政党に所属する者が選出された場合には、議会の意思と公選首相の意思が衝突し、政治のシステムの停滞、権能停滞状態に陥る可能性があると。また、公選首相が国民の支持を背景に暴走することが非常に懸念されるというふうなことを党ではいろいろ議論しておるわけですけれども、首相公選制については弊害の方が現段階では大きいのではないかと、こういう考え方でございます。

 独立行政委員会について一言申し上げたいというふうに思います。
 独立行政委員会、これは戦前にはなかった組織、組織なかったわけですけれども、これが非常に期待されている時代もございましたが、今は存在が薄くなってきておるのではないかというふうに思っております。
 専門性を生かした、また行政の分野によっては政治的中立性を求められるような、そういう分野があると。で、そういう分野については、行政組織から、いわゆる内閣本体からは距離を置く、職権行使の独立性、委員の身分保障、また準司法的、準立法的権限を持つこの独立行政委員会を生かす形で、もう一度この組織の使命といいますか、を確認する必要があるのではないかということをしきりに思うわけです。

 会計検査院が独立行政委員会ではないかというふうに、とらえ方もありますけれども、私は、これ、憲法機関として第四権的な組織であるということを大事にした、そのような権限の強化を図るべきではないかということを感じております。
 国家公務員法における人事院、これも今公務員改革の中で非常に人事院が技術的な、そういう機関に低めようというふうな動きがあると感じますけれども、これ、昭和二十二年にできた国家公務員法における人事院の役割というのは、特に、全体の奉仕者、公務員は全体の奉仕者、また中立的な観点から公務員の諸君は仕事しなきゃならないという、そういう意味で、それを担保するための人事院の役割は非常に大事だと。これも独立行政委員会のいい面をもっと機能を強化するような、そのような人事院でなきゃならないというふうに思います。

 内閣府設置法には、公正取引委員会、国家公安委員会、また行政組織法上は、いわゆる三条委員会と言われる公害等調整委員会、公安審査委員会、中央労働委員会、船員労働委員会等があるわけですけれども、これ全部、独立行政委員会というふうに位置付けられておりますけれども、それぞれの根拠法が分かれておるわけでございます。
 私は、特に教育、教育行政につきましては独立行政委員会的な位置付けが非常に大事ではないかということを非常に感じております。
 今非常に教育分野が大きな課題になってきておりますけれども、これが官僚主導、政治主導ということに陥らないような形にするためにも、独立行政委員会として、文部科学省のような内閣の一員として大臣も出すという形ではなくて、内閣から距離を置いた独立行政委員会的な、また地方における教育委員会的なものを中央においても考える、そういうことが非常に今求められておるのではないかと。
 家庭教育の在り方、また社会教育、この分野においても非常に、何といいますかね、家庭、家族が崩壊しておる中で、その家庭のことまで政治、行政が立ち入ろうとする動きがあるわけですけれども、私は非常にこういうことについて神経質に、慎重にやるべきだというふうに思うわけですけれども、学校教育につきましても、近来、学校制度が大きく破綻し掛かっておるわけですけれども、本来、人を育てる、また学ぶということ、人格の形成に直接かかわるこの教育行政については、内閣から距離を置く仕組み、すなわち独立行政委員会的なそういうことを志向するという考え方も大事ではないかというふうに思っております。

 あと、司法と行政、行政と司法の件ですけれども、これも今も簗瀬委員からもお話があったと思いますけれども、実質、裁判官と内閣各部と、各省庁との人事交流があるというふうに感じております。法務省辺りは特にそうですけれども、法務省以外にも外務省、国税庁その他、行政と司法との人事交流については、これは私は非常に消極的であった方がいいと、このように思います。
 司法の行政化、先ほど御指摘がございましたけれども、こういうことについては厳しく見ていく必要があるのではないかと。と同時に、内閣による裁判官の任命につきましても、形式的に内閣が指名する、また任命するということになっているのかも分かりませんけれども、国会の関与をやはりこの裁判官の任命についても考えていく必要がある。これは前にも指摘いたしましたけれども、そのように感じます。

 行政訴訟法、司法から見た行政権の統制、これも非常に敷居が高くて、行政裁判ですね、行政訴訟、非常に国民から見たら非常に使いにくい、そういうことがずっと続いてきたと思います。やっと昨年でしたか、この行政訴訟法の改正が行われたわけですけれども、これも本来一九六二年にスタートした行政事件訴訟法、ほとんど見直しされないままに今日まで来た、これも非常に行政優位の、国民主権の考え方に立った行政訴訟法になっておるのかという、そういう厳しい批判が、やっと風穴空けられたわけですけれども昨年は、まだまだ課題がたくさん残っているというふうに思います。行政訴訟法におけるだれが費用負担するのか、非常に国民から見ると使いにくいといいますか、行政を訴えにくいといいますかね、このことにつきましても改革の余地がまだまだあるというふうに思うわけでございます。
 限られた時間で特に行政における立法府の監視のことは余り指摘できませんでしたけれども、行政肥大また官僚支配が色濃い日本の現状に当たって、憲法に果たす役割は非常に大きいという観点からお話し申し上げました。
 以上です。

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