162国会 憲法調査会公聴会会議録 2005年02月21日
○日本国憲法に関する調査
(今後の日本と憲法について)
○山下栄一君 最初に、赤石公述人にお伺いしたいと思います。
私も、おっしゃったように、男女の平等という観点ですけれども、十三条、十四条、二十四条、本当に大事な規定だと思いますし、その意義ということを非常にきちっと重視しなければならないというふうに思っておりますが、しかし、現実、おっしゃったように、様々な形で今も色濃く男女差別が残っているように思います。配偶者を呼ぶ呼び方にしてもそうだというふうに、嫁さん、奥さん、家内、かみさんという言葉はちょっと違うのかも分かりませんけれども、そういうところにも端的に表れているのではないかというふうに思うんですけれども、この男女差別が色濃く今も日本の社会に残っているとしたら、その主要な、根本的な原因といいますか、どこにあるのかというふうにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
○公述人(赤石千衣子君) 御質問ありがとうございます。
男女差別の根本的な要因とは何かという御質問だったかと思うんですけれども、一つは、やはり男性が主とした稼ぎ手、仕事をする、そして女性は補助的な、家事、育児をして補助的に働く、そういった性別役割分担意識と申しますか、そういったものが日本ではまだ色濃く残っているということだと思います。それから、やはり男性の方が女性よりも一人前である、女性の発言なりその人格というのは劣っているという、そういった意識が日本ではまだまだ非常に強い、この二つかなというふうに思っております。
○山下栄一君 ありがとうございます。
次に、高見公述人にお伺いしますけれども、先ほどのお話の中に、日本が置かれた今の現在の立場の中で、特に自衛隊の存在意義があるということをおっしゃった中で中国の脅威ということをおっしゃったんですけれども、具体的に何か感じられていることがあるならば、そのことをちょっと意見表明していただきたいというふうに思います。
もう一点、先ほど、参政権ですかね、十八歳以上に下げたらどうかと、これは世界の趨勢である、私もそのように思います。しかし、今の現実のままで十八歳以上に下げることがどうなのかという、非常に政治的な関心がなかなか若者にないと。そういう中で、高見公述人は非常に意識が高いわけですけれども、私は、学校教育だけじゃなくて、家庭教育、地域教育の中で政治教育、まあ憲法教育と言ってもいいかも分かりません。単なるこれは授業とかということじゃなくて、この政治教育ということ、非常にこれは微妙な問題で、教育基本法にもきちっと書いてありますけれども、良識ある公民たる、公民を育てるための政治的教養はと、これは尊重しなきゃならないと。そういう政治の教育ということが非常に、具体的な形では児童会、生徒会の運営も含めて非常に、直接参加して自分が担うんだという意識が非常に育っておらない現実があると。そういう体験学習もあんまりない。高見公述人もそういう中で育ってこられたと思うんですけれども、そういう政治教育の在り方についてどのように思われるかと。
この二点、お伺いしたいと思います。
○公述人(高見康裕君) お答えいたします。
まず第一点の中国の脅威についてお答えいたします。
中国は、北朝鮮とは異なりまして、直ちに脅威で、我が国にとっての脅威であるとは考えておりませんが、今、海洋進出などに見られますように、中長期的には日本の脅威となり得る国家であると考えております。それは、軍事における不透明性や軍事費の伸びですとか、人口、面積といった国力の点においても、中国は必ずこれからますます存在感を増してくるということは確実だと考えております。
それから、第二点の政治教育に関してですけれども、私も今の若い世代が政治に対する意識が低いということは理解しております。しかし、だからといって選挙権を与えるべきでないとは考えません。むしろ、権利を与えることによって政治を自分のこととして考えるという責任も負わせるべきだと私は考えます。
それで、政治教育の在り方ですけれども、私は、学校の場でどうすべきかということよりも、最大の政治教育の場は国会ではないかというふうに考えております。国会において国がどうあるべきかということが正面から論じられずに憲法解釈についての論争に終始している、自衛隊を軍隊と言わないといったような、このような常識とは懸け離れた論争がなされているということが国民の政治に対する無関心の一因となっていることは否定できないというふうに考えております。
以上です。
○山下栄一君 永久公述人にお伺いいたします。
地方主権のところですけれども、地方自主財源の確立ということが大きな今課題になり、三位一体の議論も行われておりますが、私案の中ではそれぞれ国家又は州にこの課税権というのを明確に書いておられるわけですけど、それぞれ自由に課税するということなのか、また、国と州の課税のすみ分けといいますか、そういうのを、特色付けといいますか、どのようにお考えなのかということをお伺いしたいと思います。
○公述人(永久寿夫君) 課税権に関しましては、それぞれ国と州が独立した形でそれぞれに課税権を持つというふうに考えております。
いろんな考え方がございまして、州が課税して、それの一部を国に逆に供出するというような考え方もありますけれども、どのお金を何に使ったかということが明確になるように国と州がそれぞれの範囲内においてそれぞれに課税権を持つという考え方に立っております。
以上です。
○山下栄一君 山本公述人にお伺いします。
財政にかかわる憲法議論が、私は、もう憲法調査会でもそんなに活発に行われてこなかったという意味で、非常に今日は大事ないろいろ示唆に富んだ御意見、御提言だというふうに理解しております。
それで、このまず決算審査、参議院における決算審査の重視という中で、この国会における決算審査を予算審議に反映させる、また具体的に予算に反映させるということ、これが非常に重要だということから様々な改革が行われ、今実施されておるわけですけど、おっしゃるように明文化がないという御指摘、ただ八十三条の解釈でそういうことも可能であるという、そういう御意見でございました。
それで、今具体的に特に参議院では内閣に対する警告決議というのをやっておるわけですけれども、これもなかなか実効性を伴わない面が非常に多い。それを尊重するという観点、もうそういう規定もないわけですけれども、そういう尊重するような環境づくりということを具体的に実績の中でつくっていくという考え方もあると思うんですけど、警告決議の在り方で、山本公述人の様々な御経験から、何か工夫といいますか、もうこれは正に決議なので、この八十三条ともかかわることだと思いますので、何か御意見ございましたら、警告決議の在り方、勧告決議と言ってもいいですけど、ございましたらお伺いしたいと思います。
○公述人(山本清君) 現状の警告決議というのは、非常に具体的ではあるんでございますが、予算を組む側あるいは内閣の予算編成権等からいきますと、逆に非常にピンポイントと申しましょうか、本来の予算の大きな編成からいいますと少し、国会の関与としてはもう少しマクロ的なアプローチがいいのではないか。
より具体的に言いますれば、例えばよく言われるような公共事業費であれば、それの配分比率でありますとか、あるいは大きな事業費目別の予算執行の結果を踏まえた具体的な予算の科目についての金額の例えば増減等も含めたような決議をすることが必要だろうと思いますし、同時に、警告決議以外にも、昨年度の決算委員会の参考人としても申し上げましたとおり、是非とも予算委員会と決算委員会の合同の審議をされたらいかがかというふうに思うわけでございます。
以上でございます。
○山下栄一君 ありがとうございます。
山本公述人に引き続きお伺いしたいと思いますが、この「私学助成への対応」というところですけれども、八十九条にかかわることだと思いますけれども、「非営利法人の活動が公共政策領域で重要性を増している状況に鑑み整合的なものにする措置が望まれる。」と。ここのところもう少しお考えをお伺いしたいわけですけれども、現状では学校法人である私立学校ということになっておりまして、NPO法人には私学助成の仕組みはございませんけれども、そういうことをNPO法人にまで広げるべきということなのか、その点のもう少し詳しい御説明をお伺いしたいと思います。
○公述人(山本清君) NPO法人までは実はこの段階においては考えておりませんでしたが、今後、財政の問題以外にも、国民の広く行政あるいは政府との活動等の協働概念を促進しようという見地からいきましたら、当然そのNPO法人につきましても財政支援があっていいのではないかというふうに個人的には思っておりますし、とりわけ学校法人に対します公財政の支援ということにつきましては憲法違反的な説も非常に強いわけでございますので、これは明確にそういう疑義が出ないように改正されるべきであるというふうに考えておる次第でございます。
以上でございます。
○山下栄一君 最後に、引き続きお伺いいたしますけれども、憲法第九十条ですけれども、検査院の報告が内閣を通して行われるということになっておりますけれども、これを、特に私は検査院は三権、立法、行政、司法まで含めた三権から距離を置くというところに非常に大きな意義があるというふうに考えておるんですが、内閣を通さずに直接国会に提出するという、そういう国もあるようです。そういうことについてのお考え。
それから、先ほどお触れになりましたけれども、この会計検査院をもっと活用して国会審議を充実させるべきだというふうに私も感じております。その際、検査院報告をどのように活用するかということと同時に、この検査院報告そのものをもっと改善していくという観点もあろうかというふうに思います。
そういう意味で、この会計検査院の報告の在り方、合法チェックだけではなくて政策の有効性も含めた、そういうことが今の検査院法にもきちっと書いてあるわけですけれども、そのためには報告の在り方をもう少し工夫する必要があるのではないかと。国会審議にもっと積極的に活用できるような、そのような報告内容にするためにどのような報告の中身の改善点があるのかと。特定検査状況等の取組も今されておりますけれども、しかし、言いっ放しの面もあるわけでございますが、その報告の中身の改善、そして在り方についての立法府への資料提供の充実という観点からお伺いしたいと思います。
○会長(関谷勝嗣君) どちらに。
○山下栄一君 山本公述人。
○公述人(山本清君) まず第一点の内閣を経由して国会に提出するということの現行憲法上の解釈でございますが、レジュメにも書いてございますとおり、財政はその作用の本質からいきますと行政に属するということが多分影響しているんだろうと思いますが、当然、ダイレクトに国会に提出して悪いという言葉は全くないわけでございますから、精神的にはそういう考え方も当然あり得るというふうに考えております。
第二点の検査報告の内容あるいは在り方等につきましては、これはやはり最近非常に厚くなっておりまして、多分先生方も、これぐらいのボリュームでございますから多分全部お読みになった方はおられないのではないか、ちょっとこれはオフレコになるかと思いますが、という気もしておりますが、むしろ重要なことは、やはり国民あるいは国会の先生方の御関心が強い領域にもっとポイントを絞って、例えば財政状況なら財政状況、あるいは財政の中長期的な予測であれば、それについて会計検査院としてもチェックをするといったことが必要であるというふうに考えております。
以上でございます。
○山下栄一君 ありがとうございました。