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国会質問

162国会 憲法調査会会議録 2005年02月25日


○日本国憲法に関する調査


○山下栄一君 公明党の山下でございます。
 今日は、私と渡辺、山本両委員の方から三名、意見表明させていただきたいと思います。
 まず、私から始めますけれども、今、憲法と並んで教育基本法、これは今まで一度も改正されてございませんけれども、中央教育審議会でも改正の方向の答申がなされておりまして、大きな課題になっております。そういう状況ですので、日本国憲法における教育条項、もう一度確認させていただきたいというふうに思います。

 まず、憲法と教育基本法の関係ですけれども、現行憲法と教育基本法は非常に直接、密接な関係ということで一体、そういうふうなとらえ方で制定されました。私は特にそういうふうに理解しております。
 昭和二十二年の帝国議会の時代ですけれども、新しい憲法が施行される前、昭和二十二年三月、教育基本法制定の帝国議会におきまして、その基本法提案理由の中に次のようにあります。新憲法に定められている教育に関係ある諸条件の精神を一層敷衍、具体化し、教育上の諸原則を明示する必要を認めたと、そういう観点で基本法をつくるんだと、このように提案理由されております。
 また、この法案は、教育基本法ですけれども、法案は、教育の理念を宣言する意味で教育宣言であるとも見られるし、また今後、制定されるべき各種の教育上の諸法令の準則を規定するという意味において実質的には教育に関する根本法たる性格を持つものと、こういうことで教育憲法とも言われるわけですけれども、そのために、普通の法律にはない異例の前文も付したと、このようにされております。

 また、後になりまして、これは最高裁の判断ですけれども、旭川学力テスト事件最高裁判決、昭和五十一年で、新憲法の、準憲法的性格について次のように言っております。教育基本法は、憲法において教育の在り方の基本を定めることに代えて、我が国の教育及び教育制度全体を通じる基本理念と基本原理を宣明することを目的として制定されたものだと、このような性格を最高裁は言っておるわけでございます。
 特に、基本法の前文では、憲法の理想の実現は根本において教育力に、教育にまつべきものだと、こういうふうに述べております。日本国憲法の精神にのっとり、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するためにこの法律を制定すると、このように基本法の前文にも書いてございます。したがいまして、現行憲法と基本法は一体のものとして日本国の在り方の根本を示したものであると、このように考えます。したがって、基本法を見直す、特に教育の目的を見直す、教育理念を見直すということは、現行憲法が目指す価値、すなわち憲法の精神にかかわるものを見直すということに通じると、こういうとらえ方で教育基本法の改正はとらえるべきだと、このように考えます。

 具体的に、憲法における教育条項ですけれども、旧憲法、明治憲法では教育条項はございません。小学校令と勅令という形で、例えば義務教育制度なんかも実施されてまいりました。これは戦前のことでございます。
 現憲法では二十六条、ここでは教育を受ける権利が規定されておるわけですけれども、これは教育の自由、特に教育の自主性、教育の政治的中立、もう、こういうことが前提とした条文であると。
 教育を受ける権利、教育を受けることによって自ら高めて、成長し、発展し、幸せになっていくんだという、これがいわゆる学習する権利、生涯にわたって学習し、学んで自己を高めていくという、そういう意味も込めて教育を受ける権利があり、これは十三条と併せて二十六条はそういう人間の学ぶ権利、成長する権利という幸福追求の権利というふうに通じる規定になっているというふうに考えます。

 また、二十三条の学問の自由、これは思想、良心の自由にもかかわるわけですけれども、教育基本法第二条、これは学校教育に限らず、社会教育も含めまして、家庭教育も含めた基本的な教育方針のところでこの学問の自由ということがうたわれておりまして、これは、したがいまして高等教育に限定して考えるべきものじゃないと。国民、人間の真理探求の自由ということがこの学問の自由の中に入っておるというとらえ方でございます。
 また、十四条、これは教育の機会均等にもかかわりますし、これは法の下の平等のところですけれども、男女共学の規定、こういう形で教育基本法に規定されておると。
 また、十九条、これ思想、良心の自由ですけれども、特に基本法では政治教育、これは政治的なイデオロギー、これは思想、良心の自由ということから政治教育にかかわっていくと。そういう関係で憲法と教育基本法の関連性があるということでございます。
 また、憲法二十条、信教の自由、ここは宗教教育の条項が基本法にございますけれども、そういう観点で憲法の精神が教育基本法に表現されていると。

 また、現憲法には八十九条があるわけですけれども、これは私学助成の在り方、今の規定ぶりでは分かりにくいというふうな指摘がされておるわけですけれども、公の支配に属さない教育事業については公金を支出してはならないという、法律で、例えば私立学校法とか、また、いわゆる学校法人という形で公の支配に服しているではないかという、そういう解釈もあるわけですけれども、NPO法人はどうなんだと、また会社法人はどうなんだという、そういうことに今は問題提起されておりますので、こういう観点からもこの八十九条というのは考えるべきだと。

 以上、現憲法でも、教育に関連する規定は順番に言いますと、十三条、十四条、十九条、二十条、二十三条、二十六条、八十九条と七条項にわたって関連性があるというふうに考えております。
 最後に、関連してですけれども、この教育基本法を考える場合に、憲法だけではなくて国際条約、この整合性もやはり考える必要があるというふうに思います。特に、日本が批准した条約についてはその観点からも教育基本法をとらえるべきだと。
 例えば子どもの権利条約、児童の権利条約という言い方もございますけれども、十四条では、子供の良心の自由、宗教の自由の尊重、こういう規定がございますし、人権規約A規約では十三条に、保護者、法定保護者の子供に対する宗教教育、道徳教育を確保する自由と、これは保護者が子供には一義的に持っておるんだという、そういうふうに条文にされておりますし、またB規約でも同様な規定があるわけでございます。子供に対して道徳、宗教の自由をうたい、その上で、人権規約において宗教教育、道徳教育については保護者に対してそれを確保する自由を有することをうたっております。
 また、義務教育の就学義務については、日本の今の制度では学校教育法に就学義務が書いてあるわけですけれども、憲法、そして教育基本法には直接的な就学義務はないと、こういうとらえ方でございますが、条約では、子どもの権利条約十八条一項で親の第一義的責任、これをうたっております。
 また、人権規約A規約においては、個人が学校設置権そして学習選択権を与えると、このようなことが書いてございまして、こういう観点からも現在の就学義務の規定の見直しが必要ではないかと、こういうふうに考えております。
 いずれにしましても、今、教育基本法の問題が憲法と並んで大きく問題提起されている中で、もう一度、現憲法における教育条項の規定、そして条約も含めた憲法との関連、また基本法との関連の中で議論をすべきではないかと、このように考えまして意見表明させていただきました。
 以上でございます。

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