162国会 予算委員会会議録 2005年03月11日
○山下栄一君 私は、今日は子供の心の問題につきまして、厚生労働省、法務省そして文部科学省中心に質問をさしていただきたいと思っております。
心に問題、悩みを抱える、そういう子供たちが増えやすい、そういう社会環境になってきているという認識をしております。特に、パソコンや携帯電話、またテレビゲームという機械を持つ子供がどんどん増え、そしてそういうものを利用する時間が子供は非常に増えておるわけでございまして、直接的な人の触れ合い、そしてまた触れ合うためのコミュニケーションの能力が低下してきておる中で、必然的に心が非常に豊かにならないという、そういう傾向があるということを私は申し上げておるわけでございますけれども、特に発達障害と言われます自閉症、アスペルガー症候群、また注意欠陥多動性障害、学習障害など、こういう問題は非常に難しい、対応が難しい問題で、今家庭、地域、学校、また社会全体がこのことで苦しんでいるというふうに思います。
そういう状況の中で、昨年、発達障害支援法が党派を超えた取組で成立したわけですけれども、やっとまあ取組が始まったという状況にあろうというふうに思うわけでございます。
厚労省にお聞きいたします。大臣にお聞きしたいと思いますけれども、こういう問題を扱う専門家、この専門的知識を持った人材の育成ということが法律にも書いておるわけですけれども、そういう専門家は、特に国家資格で言うとどういう方がふさわしいのかということをまずお聞きしたいと思います。大臣。
○国務大臣(尾辻秀久君) 今、分かる範囲でお答えいたします。
医師、臨床心理士等でございます。
○山下栄一君 今大臣もおっしゃいましたように、そういう、例えば発達障害等がそうでございますけれども、これは本人に問題があるわけではございませんし、ゆがんだ家庭環境で育ったから心がねじれたとか、そういう問題ではなくて、高次脳機能障害等、そういう子育て、子育ての方法に問題があったからそういう悩みを抱えているのではなくて、そういう高次脳機能障害等の問題が影響を与えているわけでございまして、そういう観点からの専門家と言われる人というのは精神科医とか、今おっしゃったような心理学の関係で言うと臨床心理士等が思い付くわけですけれども、ほかにどういう方がいらっしゃるかとなると、まだまだ体制ができておらない。そういう意味で、この専門的知識を持った人材の育成ということが法律にうたわれているのではないかというふうに私は思うわけでございます。
そういう意味でいうと、本当にこれは悩みを抱えている家庭、地域、学校があるわけで、特に児童生徒におきましては、二〇〇二年の文科省調査によりますと、百人のうち六人、クラスでいうと一クラスに二、三人そういう、軽度の発達障害を含めますと、方がいらっしゃるという状況にあると。早期発見すればするほど手を打てるのに、早期発見できるような専門家の育成もできておらないという、そういう状況があるわけでございます。
そこで、法務省にお聞きしたいと思います。
このような発達障害等の問題を抱えた少年、子供が例えば犯罪を犯してしまった場合、その可能性は極めて高くなっておるわけですけれども、この対応は、専門家が非常におらないだけに、例えば矯正施設においても少年院等、そしてまた更生保護施設におきましても法務省所管の施設におきましても、そういう犯罪を起こしてしまった子供を受け入れたけれども、だけれどもそういう体制が整っておらないという状況にあるのではないかというふうに思うわけです。
これ、非常に深刻な問題だというふうに思っておりまして、ただ、法務省もいろいろ手を打っておられるとお聞きしております。特に、京都宇治の少年院では専門家をも含めましてチームをつくってそういう事例をどんどん積み上げて、知見を積み上げていって、それが非常に大きな反響を呼び、この取組を見学する学校教員を始め大変な数の方々が参考にしながら学校教育にも生かしておるという、そういう事例を一つの財産として法務省が積み上げておられるわけですから、たまたまその医療、この宇治の少年院、初等少年院における取組であるというふうに思うわけです。
というふうに考えましたときに、法務省におかれましても、矯正施設、また更生保護施設、そういう処遇施設ですね、そういうことの中で、一つの少年院だけじゃなくて、個別の取組ではなくて、法務省挙げてこういう専門家の養成、そして知見の積み上げ、そのための調査研究体制づくりを早急にやるべきだと、予算も組んでやるべきではないかと、このように考えるわけですけれども、法務大臣の御所見をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
宇治少年院の実情を御視察いただき、目に留めていただき、いい形だとおっしゃっていただけたことは我々にとって大変うれしいことでございますし、またそういう形をどんどん広めていかなければならないということでございます。
御指摘のとおり、発達上の課題を有している少年の処遇に当たりましては専門的知見が有用であり、既に一部の少年院、今先生がおっしゃった少年院でございますが、部外有識者の協力もいただきながら、軽度発達障害に関する視点を導入した教育内容や方法を開発し、実施しているところでございます。
特に、年少少年に対する教育内容や方法につきましては、このような視点を踏まえました調査研究をより一層重ね、その結果を少年院の矯正教育に具体的に反映させてまいりたいと考えているところでございます。
また、社会内処遇におきましても、このような少年に対する処遇の実践を積み重ねることにより、体系的な処遇方策について検討してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
○山下栄一君 観点が違いますけれども、例えば性犯罪者の再犯率が高いということで、この矯正施設におきましても教育の観点、処遇プログラム等の調査研究、事例集、事例集だけじゃなくてそういう専門家を集めた処遇プログラム等の作成等も緊急の課題になっておるわけですけれども、私申し上げましたこの発達障害を持っていらっしゃるもし犯罪者が出た場合、そういう可能性は極めて高い状況にあると思いますけれども、それへの対応のためのやっぱり調査研究、そしてどのような処遇をしていくのかということを、知見を積み重ねながら専門家の知恵を総結集して、そして法務省としても是非とも予算措置も含めた体制づくりをやっていただきたいというふうに思っております。
今度、厚労省の児童自立支援施設ですけれども、今も今国会でも少年法の改正が大きな今注目を集めているわけですけれども、触法少年等はこの児童自立支援施設で教育を中心に受けるわけですけれども、こういうところでも例えば発達障害等のお子さんがいらっしゃった場合、預けられた場合、家裁の判断でそうなった場合に、そういう体制もまだまだ弱いというか、できておらない。国立の武蔵野学院等でも取組が始まったというふうに聞いておりますけれども、各県にも児童自立支援施設があるわけで、その中心センターが国立の武蔵野学院等であると思うわけですけれども、そういう拠点を中心にして、この触法少年に対する対応におきましても、こういう児童自立支援施設における取組もきちっとできる体制づくりを考えていただきたいと、このように思うわけですけれども、厚労大臣お願いします。
○国務大臣(尾辻秀久君) まず申し上げますけれども、私も発達障害の子供たちが集まっている場に行ってみたこともございます。一緒に五目並べをして遊んできたんですが、まあそのこと自体は楽しくやらしていただきました。
そのときに、いろんな話を聞かせていただきました、御両親方も来ておられたんで。その方々が言っておられたのは、やっぱり学校が理解してくれないと大変だと、発達障害の子供だというのを分かってくれて対応してくれればいいんだけれども、ちょっと変わった子だという扱いされると、非常にもう、それはもう悪い方に悪い方に行ってしまうというような話を伺って、そうだろうなと思いまして、したがって、先生の今日言っておられることはまさしくそのとおりだと思いながらお聞きしていましたということをまず申し上げたわけであります。
そうした子供たちが間違って何か起こした場合の今お話なんでありますけれども、児童自立支援施設において、入ってしまうわけですが、その児童自立支援施設におきましては子供一人一人の状況に応じたケアを行っておりまして、今お話しの発達障害など精神医学的なケアを必要とする子供に対しましては、施設に配置されております精神科医が必要に応じて心理療法等の治療をまず行っております。それから、日々の生活指導を行う職員も、精神科医の指示の下で、子供の状況に配慮した適切なケアに努めております。それからさらに、より高度の専門的な治療が必要な場合には、外部の医療機関や専門家からの協力を得ながら適切な治療が行われるように努めておるところでございます。
まあ、こうしたことをやっておりますということを今申し上げましたけれども、今後ともそうした子供たちが抱える様々な問題に適切に対応できるようにケアの質の向上に努めてまいりたいと考えております。
○山下栄一君 文科省にお聞きいたしますけれども、学校教育現場におきましてもこういう子供たちに対する対応が始まっているというふうに聞いておりますし、予算措置もきちっとされつつあるわけですけれども、私はこういうお子さんへの専門的な対応をこの障害者教育の観点からもしっかり行うべきだと。特に国立、独法の国立特殊教育総合研究所では、特別支援教育の観点からこのような学習障害等の子供に対する様々な研究が行われているというふうに聞いておりまして、その取組についてちょっとお聞きしたいと思います。
○副大臣(塩谷立君) お答えを申し上げます。
今、山下委員おっしゃたように、LD、ADHD、あるいは自閉症等の発達障害への対応については、大変な重要な課題として認識しているところでございます。このため、我が国の障害児教育のナショナルセンターである独立行政法人国立特殊教育総合研究所においては、従来より発達障害に関する専門的な調査研究や教員等の研修等を行っているところでございます。
具体的には、発達障害に関する主な研究として、一つは、小中学校に在籍するLD、ADHD、今、先ほどお話がございましたように、六%の児童生徒が現在いるということでございますが、この生徒への指導方法に関する研究、そして二つ目は、知的障害養護学校における自閉症の幼児、児童生徒への指導内容、指導法に関する研究、三つ目として、発達障害児一人一人に応じた教育的支援のための計画の策定に関する研究、そして四つ目に、脳機能障害の解明と脳機能に障害ある子供への教育に関する研究などを実施しているところでございます。また、発達障害の児童生徒への対応に指導的役割を果たす教員等を対象としたリーダー養成研修等を実施しております。
同時に、文部科学省としては、発達障害支援法においても、国における発達障害に関する調査研究や研修の実施が規定されることを踏まえて、今後とも厚生労働省と一層連携を密にしながら、独立行政法人国立特殊教育総合研究所における発達障害に関する専門的な調査研究や研修等を推進してまいりたいと思っているところでございます。
以上です。
○山下栄一君 ちょっと厚労大臣にまとめの御答弁お願いしたいんですけど、この発達障害にかかわる支援法の仕組みでは、厚労省と文科省の連携はあるんですけれども、私は法務省もそこにきちっと入るべきだというふうに考えております。
と申しますのも、子育て支援の問題、これは若いお母さんがこのような子供、お子さんが生まれた場合、早期発見できないような状況になっていると。一歳児健診その他でも分からない、なかなか、後になればなるほど対応が難しくなるという。子育て支援にかかわる問題であると同時に、治安の問題、学校安全も含めたそういう問題にかかわる問題でも私はあるというふうに理解しておりまして、この問題は省庁を超えた取組が必要であるというふうに考えるわけです。
先ほど申しました武蔵野学院、そして特殊教育総合研究所もそうですけれども、そのほかにも、一応厚労省所管の成育センター等々あるわけですけれども、私は是非厚労大臣に、このような取組を省庁を超えて連携を取りながら、このようなお子さんに対する子育て支援、そして治安の観点からも含めた、早急な専門家の育成、調査研究ということからも含めたナショナルセンター的なそういう対応、体制づくり、建物ということじゃございませんけれども、そういう体制づくりを是非とも厚労大臣中心に他省庁に働き掛けていただきながらつくっていただきたいと、このことを是非お願いしたいと思うわけですけれども。
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど申し上げました、この発達障害の子供たちの集まりに参りましていろんな話伺ったときも一番強調されたのがやっぱり早期発見でありまして、そして早期発見すれば早めに、普通の社会人として生活できるんだけどなという話を伺って、そうだろうなというふうに思った次第でございます。そのときも、学校との関係だとかいろんなところとの関係、いろいろ言われまして、関係機関の一層の連携協力が必要であるというのは痛感をいたしたところでございます。
したがいまして、今後とも、関係省庁の垣根を越えてノウハウの共有、向上を図るなど連携に努めてまいります。
○山下栄一君 ありがとうございました。
最後の質問ですけれども、カネミ油症被害者支援対策につきまして厚労大臣にお聞きしたいと思います。
私、この問題、何年か前から取り組んでおりまして、特に平成十三年、平成十三年の十二月には、この三十数年前に起こった事件が、食品公害、食品被害事件が実はダイオキシンの被害でもあったということ、人的被害でもあったということをお認めいただきまして、そして診断基準も、カネミ油症の研究班見直していただいたわけでございますが。
ただ、この農水省中心の仮払金問題。これは裁判に係る問題で、これいったん仮払いされたけれどもまた返さないかぬ状況になりまして、これで非常に苦しんでおられると同時に、様々な病気を抱えて、ダイオキシン、PCBその他の症状、それがその研究すら余り進んでおらない。旧来の研究班の体制で私はこれはやるのは限界があるというふうに思っております。一万人を超える未認定患者も含めたその患者に対する、方々の支援を、ちょっとこれはもう政治決断で是非ともやっていただきたいというふうに思っております。
細々と研究班で一億円少々のお金でやっていること自身が非常に大きな問題であると思いますし、環境省における、この有機砒素化合物、よく原因分からないけれども健康被害を受けた住民に対する調査協力金の支給も行われておりますし、また厚労省所管では薬品、薬における副作用被害、これはもう制度ができる以前の患者も救済しようということを昨年政治決断していただいたわけでございますので、こういう観点からも、三十数年前の事件が最近やっとダイオキシン被害であるということも分かってきたという、そして、これは世界じゅうのダイオキシンで苦しんでおられる、人的被害、健康被害に対する対策が非常に不十分な状況の中でこの調査研究すること自身、研究に協力すること自身が大変なデータの収集にもなるわけですので、人類的貢献にもなると思いますので、是非とも厚労省におきまして、この患者への調査協力金という形で支援をしていただくことを、御検討を是非ともしていただきたいと強くお願いしたいと思います。
○国務大臣(尾辻秀久君) お話しのように、この問題は裁判上のことは決着をいたしております。
ただ、患者さんの中に大変苦しんでいらっしゃる方が依然としておられる。そこで、厚生労働省として何をやってきたかといいますと、昭和四十三年の事件発生から現在まで、研究班が行う無料の検診や相談、診断基準の見直しなど補助を行ってきておるところでございます。
しかし、今先生のような御指摘もありますので、今後も研究班の先生とも相談しながら治療方法の研究など積極的に取り組んでまいります。
○山下栄一君 どうもありがとうございました。