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国会質問

162国会 文教科学委員会会議録 2005年04月19日


○山下栄一君 じゃ、最初に、三月に既に質問させていただきましたけれども、もう一度確認の意味で、短時間ですけれども、質問させていただきたいと思います。それは、学校における生徒に対する行政処分の懲戒処分の件でございます。
 三月にも申し上げましたけれども、特に学校教育法施行規則十三条三項に、特に退学処分、行政処分でございますけれども、退学処分の該当する要件の中に、「学力劣等で成業の見込がないと認められる者」という項目がございます。公立の小学校、中学校始め、学齢期の子供たち、公立については処分はできないことになっておりますが、私学はできるわけですけれども、私は、特に今意識しておりますのは高校生でございます。大学生もおりますが。この学力ということで退学処分をするということは、これはもう非常に教育観の根幹にかかわる、また人間をどうとらえるかということにかかわる大きな問題であるというように思います。
 特に、高校はもう全入に匹敵する時代を迎えておりまして、この規定は昭和二十年代からある規定だと思いますが、学力観、教育観、人間観、大きな見直しを迫られている中で、学力が駄目だということで退学処分ができるということはどう考えてもちょっと分かりにくい。これは長らく続いてきたことで、いろいろ御検討を、私は、これをこのままで規定を継続していいのかどうかということの御検討を、教育行政所管の文部科学省、やっぱりこれはちょっと考えるべきではないかと。今すぐとは申しません。検討するに値する私はことではないかというふうに思いますので、これ三月にも質問したんですけれども、再度、尊敬する銭谷局長の、初中局長のお考えをもう一度お聞きしたいと思います。


○政府参考人(銭谷眞美君) 退学の処分の事由の一つである、「学力劣等で成業の見込がないと認められる者」という規定につきまして、先般、山下先生から御質問があったところでございます。
 経緯をまず御説明を申し上げますと、御指摘の規定に関しましては主に高等学校や大学などに対して適用されるものでございまして、これらの学校のように、生徒が自らの意思によって入学をし、ある一定の課程を経て卒業することが求められる場合には、当該課程を修了するためにある程度の学力が必要になってくるわけでございます。このような学校においては、その教育目的に照らしまして、学校が十分な指導を行うにもかかわらず、学力が劣等で学習を継続する意欲が見えず当該課程を修了する見込みがない場合には、本規定のように校長が合理的な教育的判断によって退学処分を行うことができるようにしているものでございます。
 もちろん、各学校におきましてはこのような処分に至らないよう、生徒等の学力向上のために十分な指導を尽くしており、このような学校側の努力にもかかわらずどうしてもやむを得ない場合に本規定に基づく退学処分を行うなど、慎重な運用をしているところでございます。結果としては、本規定を適用して懲戒として退学処分をする事例は少ない状態となっているわけでございます。
 このように、本規定が適用される学校の教育目的から見て本規定の趣旨は妥当というふうに私どもは考えているわけでございますが、先生からいろいろな御指摘もいただいておりまして、今後、多様な観点からこの規定について検討はしていきたいというふうに思っております。


○山下栄一君 この問題はまた引き続き、御意見をちょうだいしていきたいと思っております。
 それで、もう一点、昭和三十年代に行政不服審査法という法律ができました。ただ、この学校における行政処分はこの行政不服審査法の適用除外になっております。今も続いていると思います。それは、その当時の背景があったと思いますけれども。
 私は、やはり行政処分を受けて退学になった、停学になったと、学生、生徒が。これを救済手段、救済する手続として司法機関しかないというのはやっぱりどうかなというふうに思います。教育行政レベルでこの処分を受けた児童、児童ではないかな、生徒、学生、それから保護者も含めまして、不服をやっぱり申し立てる手続はそろそろ考える時期ではないかと。昭和三十年代の適用除外を、これも見直す時期ではないかなと思っておりますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。


○政府参考人(銭谷眞美君) 学校長が行う懲戒としての退学処分につきましては、行政不服審査法の第四条第一項第八号の規定によりまして、同法の不服申立ての対象となる処分から除外をされているわけでございます。それは、懲戒としての退学処分が、学校長が教育的な観点から行う高度に専門的、技術的な判断に基づく処分であるために、本法による不服申立てを認めるのが適当でないこととされているためでございます。
 学校長が懲戒としての退学処分を実施するに当たりましては、特段の手続上の規定はないものの、当該生徒の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならないこととされております。このため、各学校におきましては、退学処分が生徒等の身分にかかわる重大な措置であることにかんがみまして、当該生徒又は保護者から事情や意見を聴取するなど、生徒等の個々の状況を総合的に十分留意して、特に慎重な配慮の下で実施をしているものと承知をいたしております。
 このように、懲戒としての退学処分につきましては、学校長が教育的見地から高度に専門的、技術的な判断の下に行うものであるために行政不服審査法上の不服申立ての対象からは除外をされているわけでございますが、今申し上げましたように、学校長が処分を行う際には当該生徒等から意見の聴取の機会を設けるなど、十分な配慮が必要であるというふうに考えております。


○山下栄一君 教育を施す側、特に公的機関における教育ですけれども、施す側と受ける側、信頼関係の中で行われるのが本来の在り方だと思いますけれども、その中で、やはり先生にもいろいろな先生いらっしゃいますし、校長にもいろんな校長いらっしゃる、もちろん本来立派な方だとは思いますけれども、いろんなかかわりの中で信頼感が損なわれた場合に、客観的な理性的な判断で行政処分が行われるとは限らない場合もある可能性もあると。
 その中で、やはり救済手続が司法機関しかないというのはどうなのかなと。特別権力関係の下でこういう規定ができたと思いますけれども、何のために学校はあるのかという。それはやっぱり生徒、学生のためだというのが基本理念でなきゃならないと、こういうふうに考えましたときに、この行政処分、行政不服審査の教育行政レベルにおける不服審査手続、そろそろ考えた方がいいのではないかということを意見として申し上げたいと思います。
 時間が、残された時間で、高校改革につきまして、高校の活性化といいますか、ちょっと御意見をちょうだいしたいと思います。
 義務教育が終わりました、義務教育が終わった後、十五歳から、特にまあ二十歳未満ということを私は特に意識があるんですけれども、この一番自立する、十四歳ぐらいからかも分かりませんが、非常にこれは難しい、だれびともそこをくぐり抜けて自立していくわけですけれども、この段階の教育というのは非常に難しいと私は思いますが。ほとんど高校に行くという、義務教育終わった後の教育機関って一体何かと。それがほとんど高校になって、高校という言葉でくくられる、学校教育法上の高校ということに、これで九十数%行くところに何となく、そういう状態になってしまっていることがかえって現実を見えにくくしているのではないかなという問題点を非常に最近感じております。
 もちろん、高校の教育は自治事務だとは思いますが、国としてこの高校段階の教育をどうとらえていくのかと。高等普通教育いう言い方とか後期中等教育、いろんな、ちょっといろんなというか、私これも整理できておりませんが、ここをもっと元気にしたいなという気持ちがございます。
 それで、一つは、職業教育機関としての高校、そういうとらえ方でございます。あと経済産業省にもお聞きいたしますが、職業教育機関としての高校という考え方が非常に弱く、感覚で言って申し訳ありませんが、現実として弱くなっているんじゃないのかなと。
 そんな中で、特に専門高校の活性化ということから、スーパー専門高校という、こういう取組が平成十五年度から始まったこと、これは私は非常に評価すべきことではないかなと思っております。これはもうちょっと経済産業省と文部科学省、これ、よく連携していただいて、この十五歳からの子供たちの特に職業教育という観点からの、厚生労働省の教育訓練ということじゃなくて、学校体系の中における職業教育機関としての高校というとらえ方の中で、普通高校もそうですけれども、まずこの専門高校の活性化の中でスーパー専門高校の取組が行われてきて、予算も徐々に引き上げられて二億円、十七年度予算で二億円ちょっとですかね、ということなんですけれども。
 ちょっと、もう時間の都合で経済産業省にお聞きしますけれども、文科省が取り組まれる高校教育にちょっとお手伝いするということではなくて、全力投球で文科省と連携を取って、専門高校だけじゃございませんけれども、普通高校も含めてなんですけれども、地元の県ないし県よりちょっと広がっても構いません、場合によったら市町村でもいいですけれども、地元の産業界、経済界と連携を取って高校生の職業教育を、もっと生徒が元気が出るようなそういう取組をしていただきたいと。単に技術者を学校に派遣する、講師として派遣するというレベルではなくて、私が申し上げているのは産学連携の高校版みたいな、そういう、高校の先生の特許とか生徒と一緒になっての技術開発とか、これは農業高校であろうと商業高校であろうと工業高校でも構いませんけれども、そういう取組で施設設備も含めましてちょっと強化して、これはスーパー専門高校の発想かも分かりません。
 まず、専門高校段階における産学連携といいますか、地元業界をもっと活用した、経済界、産業界とのもうちょっと更に踏み込んだ取組を経済産業省にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょう。


○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。
 人材は我が国経済活力の源泉でございまして、経済産業省としましても産業人材の育成を最重要課題として取り組んでおるところでございます。人材育成におきましては、学校教育は当然でございますし、また企業内の人材育成、こういったことと合わせて行われることが極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。産業界と教育機関の連携を通じまして、産業界のニーズに即した人材育成が図られるような取組を進めているところでございます。
 今先生御指摘のスーパー専門高校事業につきましても、将来の地域産業の担い手となります技術、技能のスペシャリストを育成する上で非常に有意義な取組であると考えておりまして、文部科学省と連携しまして、本事業が地元産業界からの協力を十分に生かした実効的なものとなるように取り組んでいるところでございます。
 経済産業省としましても、キャリア教育の推進に非常に重要であると考えておりまして、この十七年度の予算でも新規予算を講じまして、全国十地域程度のモデル地域を選びまして、この学校教育と地域の産業界の連携によって、この小中高校での物作り体験等のキャリア教育を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。


○山下栄一君 文科省の取組としてこのスーパー専門高校、先ほど申し上げましたけれども、これはすばらしいと思っております。
 それで、文科省におかれましても経済産業省の連携を、私は、全国的な大学、大学院レベルの産学連携というのはもう非常に進みつつあると思いますし、経済産業省の取組も非常に力が入ってきたと思うんですけれども、それをちょっと専門高校を中心に高校に下ろして、特にこれはもっと県レベルみたいになるかも分かりませんけれども、国の取組というよりも自治体の取組かも分かりませんが、経済界、産業界、県レベルのそういう高校との産学連携というふうな発想で、是非とも連携を密にしていただいて取り組んでいただきたいと思っております。
 文科省にお聞きしたいのは、普通高校の職業教育でございます。
 時間、よろしかな、まだ、まだありましたね。終わりじゃないね。──済みません。
 普通高校というのが七十数%あって、各都道府県レベルで特色のある普通高校の可能性を試みられている例は大阪でもございますし、東京でもあると思います。全国それぞれあると思うんですけれども、何となくこれは大学進学のことを意識してレベルアップする、例えば学区をもっと広げるとかいうふうな取組はいろいろあると思うんですけれども、私は普通科も、七十何%普通科に行くわけですから、だから僕、職業教育という観点から、職業観、職業意識、場合によっては普通科卒業して元気一杯就職したいという子供たちが出てきても、そんな学校もあるとは思いますが、普通科といっても職業教育の取組をもっときちっとやるべきではないかと。
 例えば、インターンシップについても、三日とかそんなんじゃなくて、中学段階でもウイーク、五日とか一週間やろうかという職業体験学習の重要性が言われているときに、私は普通高校のインターンシップは非常にまだまだだと思いますし、それを三日程度とかじゃなくて、私はもうちょっと社会が見えてくるような、そういう普通科における職業教育を意識した取組も大事じゃないかと思います。
 アルバイトも、前も申し上げましたけど、アルバイトも否定的にとらえるのではなくて、地元産業界と連携取って積極的に、インターンシップ的アルバイトといいますか、そういう職業観を身に付けるチャンスでもあると思いますので、アルバイト観も転換するということを、たしか前の文部大臣にもおっしゃっていただいたとは思いますけれども、そういう取組やっている県もございますが、そういうことも含めて、普通高校における職業教育も地元産業界、経済界と連携取って、受入れの計画、プログラムを作りながらやっていくということを考えていくと、もうちょっと高校生も元気出てくるんじゃないかなと。
 単に進学、大学ということだけじゃなくて、普通科においても職業教育ということをきちっとやはりやらないと、七十数%も普通科となってきたときは、ちょっとこれ違うのではないかと思いますので、是非ともこの取組の強化を、普通科における職業教育の取組を図っていただきたいと思います。これは文科省にひとつ。


○国務大臣(中山成彬君) 専門高校も結構、大学とかあるいは専門学校へ行くんですね。六割、七割上の学校に行く子供たちもいるわけで、この子供たちは、例えば製図をしたり旋盤削ったり、そういうことを仕事をしてそれから大学行くものですから、非常に目的意識を持って勉強するという意味で非常にすばらしいことだなと、私、現場を回りまして、そういうふうに思ったわけでございます。
 それとまた逆に、普通高校においても、やはり勉強しながらも、自分たちはいずれまた社会に出て仕事をするんだというしっかりとした目的意識を持って勉強するということは非常に大事であろうと。こういう意味では、正に山下委員のおっしゃるとおりだと、こう思うわけでございまして、働くことの意義とか、あるいは職業とか、あるいは職業生活についてしっかり指導するということによりまして、生徒一人一人がしっかりした勤労観、職業観を育てることが大変重要であると、このように考えているわけでございまして、昨年度から、高等学校、小学校、中学校を含めた地域ぐるみで、職業体験活動とか、あるいはキャリア教育に関する指導内容、方法等の開発に取り組むためのキャリア教育推進地域指定事業というのを実施しておるわけでございまして、その成果も報告をされているわけでございますが、なお一層私はこの取組は進めていくべきだと、こう思っているわけでございます。
 ただ、これまでは学校にいるときはもう社会のことは余り考えないで純粋に勉強するんだという風潮が強かったんですけれども、そうじゃなくて、今勉強していることが将来の職業と密接につながっているんだということを意識すればまた子供たちの勉強意欲も出てくるんじゃないかなと、こう思っているわけでございまして、是非これからも普通高校における職業観あるいは勤労観を育てるいわゆるキャリア教育の推進に努めてまいりたいと考えております。


○山下栄一君 最後でございます。
 私は、高校を生涯学習の機関としてとらえることも、そういう発想も大事ではないかなというふうに思います。社会人の方が、例えばリタイアした六十歳以上の方々がもう一度勉強するというときに、カルチャースクールもいいんですけれども、場合によったら大学でもいいですが、私は高校を活用してもいいんじゃないかなと。一般教養としての高校の勉強というのは非常に見識を広げるのに適した、大学の教養科となってくるとちょっと敷居が高いかなという面もありますので、大人の方が、六十歳超えても、場合によってはその直前でも高校に、その方は高校を卒業していてもいいんです。もう一回また、二回目の高校を卒業するために入学すると。そうすることによって、私は、生徒の側も職業観をダイレクトに学べる。生きた、社会経験豊かな方が同じ生徒として勉強する。大仁田さんもそういう考え方かも分かりませんけれども。
 そういう生涯学習として高校をとらえ直すというようなことも、高校もどんどん今生徒が減っておりますが、社会人をどんどん受け入れて、生徒にとっても社会にとってもお互いに元気が出てくる、活性化する、そういう機会になるんではないかと。千葉県でしたか、栃木県でしたか、どっかで、少数ですけれども、そういう取組が始まっているということもお聞きしておりますが、生涯学習機関として高校をとらえ直すという取組についての考え方をお聞きして、質問を終わりたいと思います。


○政府参考人(田中壮一郎君) 高等学校を生涯学習機関として活用すべきではないかというお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり、やはり生涯学習社会を実現していくためには様々な教育機関が適切に地域住民のニーズにこたえていくことが大切だと考えておるところでございまして、高等学校におきましても地域住民を対象といたしました公開講座のようなものをかなり実施しておりますし、同時に、高等学校の正規の課程の一部に科目履修生等として受け入れている学校も近年増えつつあるやに承知しておるところでございまして、そういう観点も含めまして、今後とも、高等学校につきましても生涯学習機関としての有効活用を図ってまいりたいと考えておるところでございます。


○山下栄一君 ありがとうございました。終わります。

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