164国会 行政改革に関する特別委員会会議録 2006年05月09日
○山下栄一君 今日は朝早くからありがとうございます。
各参考人の皆さんに質問させていただきたいと思います。
まず、稲継参考人に御質問したいと思いますけれども、二十世紀の終わりから二十一世紀の初めにかけまして、この行政改革の努力がずっと続けられてきているわけですけれども、特に二〇〇一年の公務員制度改革大綱、それに基づく二〇〇四年の法案化の提出の動きがあったわけですけれども、私はこの動きを大変心配しながら見ておりました。
それは、この戦後できました国家公務員法、この根幹が骨抜きに、いい面ですね、これが骨抜きになってしまうのではないかと、こういうことを懸念したわけでございます。人事行政はどこが担うのかと、それが当初は人事委員会というのがあり、それが最初の改正で人事院という非常に独立性の強いそういう組織ができました。
そのうちに中央人事行政機関として内閣総理大臣が加わり、そして各省庁が実権握るような、そういう動きが大変強くなってきたように思います。特に、この人事行政、中立性、公正性の確保という、この理念がこれは人事院の大きな役割、私、柱だと思います。もう一つはまあ代償機能があるわけですけど、この中立性、公正性の確保というこの憲法の要請に基づくものが非常にぼやけてきているという動きが私が申し上げた二〇〇一年の公務員制度改革大綱であったのではないかと、こういうふうに感じております。
基本的に人事院の機能を縮小していこうという、そういう動きが、参考人も御指摘されたと思いますけど、そういうことであったのではないかというふうに私は感じておるわけですけど、特に中立性、公正性の確保はきちっとやるという、このことは国家公務員法の法の魂ではないかと、このように感じておりまして、その点に関する稲継参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(稲継裕昭君) どうも貴重な御指摘をありがとうございました。
戦後、昭和二十二年に最初の国家公務員法ができまして、翌二十三年に大改正がなされ、現行の国家公務員法が制定されております。それ以来、数十年にわたってその国家公務員法の下で日本の国家公務員が働いてきたわけです。
根幹にかかわる部分は成績主義の原則、それから政治的中立性の原則でございます。政権がたとえ替わっても、国民に奉仕するという全体の奉仕者性を失わないという根幹がこの国家公務員法に規定されております。それをゆるがせにするような改正は、これはあってはならないことではないかというふうに思います。
○山下栄一君 ありがとうございます。
もう一歩突っ込んだ御見解聞きたかったんですけど、答えにくい面もあるかも分かりません。
この成績主義ですね、これが法律には明記されているけれども、実際の運用でこれもまあ骨抜きにされてきた歴史があるわけですけれども、今各省庁で、課長クラスでしたか、この試行を半年ほどやって、それに基づいて能力評価、業績評価を具体化していこうという、そういうことが今行われておるわけですけど、まだ結果は出ておりませんが、この作業についての御評価を稲継参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(稲継裕昭君) 人事評価試行に関する御質問でございます。
既に国家公務員法上も実は勤務評定に関する規定がありまして、昭和二十年代に様々な勤務評定に関する諸規則を制定して始めたわけですけれども、その後、事実上の凍結状態になっております。各省庁、現在も勤務評定という形で形式的に実施しているところもありますが、実態的な評価にはなっておりません。これを今度、本格的な人事評価にしようということでありました。そういう意味では、従来のやってなかった評価からやる評価へということで一歩前進ということは言えるかなと思います。
ただ、評価シートを見た場合に、能力評価あるいは業績評価もそうですが、目標管理制度についてそれぞれが比較的自由に目標管理をできるということであります。全体的な、国全体のミッションとそれがどういうふうにつながってくるのか、省のミッションとどういうふうにつながってくるのかというところがややぼやけているような感じがいたしまして、このまま、評価シートのまま例えば給与に差を付けるということはちょっと難しいのではないか、もう少し精緻なものを今後作っていく必要があるんではないかなというふうに思います。
現実に地方自治体の場合にはもうかなり様々な評価シートが作られておりまして、先進的なところでは相当、市のミッションとそれから部のミッションとつなげて、部のミッションから課のミッション、それから課のミッションと自分の仕事をつなげる形の目標管理システムを置き、それの達成度合いを見、そしてそれを評価してそれを様々に活用するということが行われております。
それに比べるとちょっと、国の場合はややちょっとスピードが遅いかなというふうな感想は抱いてはおります。
○山下栄一君 稲継参考人にもう一点。
先ほど稲継参考人も、また山家参考人もおっしゃったと思いますけど、退職管理の話ですけれども、これももうずうっと大きな課題になっておるわけですけど、特に最近は国民の関心が高まりまして、できたら今国会で、せっかく行政改革推進法が出ているんだから具体的な改革をしてもらいたいという強い要請があるように思うわけです。
早期退職慣行の是正も大事な観点だというふうに私は思います。キャリアシステムの見直しもそうだと思いますけれども。定年制は元々国家公務員法に書いてあるわけですよね。その定年制はやはり大事にすると。定年制を維持しながら、しかしもう一方で、何といいますか、退職後の給与なり再就職の道をきちっと整えるということが大事だというふうに思うわけですけど、そういう意味でいろんな考え方が提案されておるわけですけれども、我が党も予算委員会等で提案しているわけですけど。要するに別の給与体系で、例えば特別職、一般職の方々を特別職という身分にして、そして専門的な別の給与体系を作ってその受皿をつくっていくという。で、給与は現職のときよりは下げると、下げる基準も明確にするというふうなことも提案されているわけですけど、その辺に対する御評価といいますか御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(稲継裕昭君) 退職管理の問題でございます。
国家公務員法上は定年、六十歳まで皆勤めることになっておりますけれども、キャリア官僚の場合は事実上、五十代前半から天下りという形での早期退職が実態となっております。実は官僚の内部、人事を活性化するという点ではある程度の選別をしていかざるを得ない。で、選別された場合に、偉くなった人はいいけれども、それ以外の人が残っていていただいてはその省の中の活性化が図れないという、二律背反といいますかトレードオフの関係も各省は持っているわけです。そこで、上がれなかった人について外に出てもらおうということをずっと続けてきたわけであります。
通常、ほかの国ならばそういうことをどうするかということですけれども、事実上もう中に置いているという場合もありますし、それからもう辞めていただくという場合もあります。
辞めていただく場合に、通常、ドイツもフランスも、それからアメリカやイギリスもそうだと思いますが、最終の俸給の七〇%の年金が死ぬまで支給されます。つまり、最後の俸給が一千二百万だとすると九百万とか一千万の年金が死ぬまで支給されるというそういうことになっていまして、それは安心して辞めれることができると思うんですね。
ところが、日本の場合は、今の共済組合の年金ですら高いという議論があって、それを下げろという議論に今なっていますので、三百万ない年金で死ぬまで、五十歳前半で辞めてそのまま粛々と暮らせというわけには、これは多分いかないと思います。
そこで、やはり今御提案のありましたように、何らかの形で公務で面倒を見るということ、六十歳までは少なくとも面倒を見るという様々な仕組みを考えていく必要がこれは是非あると、是非必要あると思います。
ただ、早期退職という形の従来の天下りがなくなっていった場合に、優秀な若者が入ってきてくれるかどうかという点はまた別の問題でありまして、今東大の法学部なんかでももう官僚志向が非常に低下しております。それを今後どういうふうに考え、見直していくのかということは、今おっしゃった別の給与体系も含めて議論していくべき話かなというふうに思います。
○山下栄一君 どうもありがとうございました。
加藤参考人にお願いしたいと思います。
この事業仕分の手法というのは、これは加藤参考人が行革の根幹の効果的な案として提案されて、我が党ももう全面的に共鳴をいたしまして、先ほど来おっしゃっていただいておりますように、マニフェストに反映させ、そして今回の行革の重要方針、この法案の土台となった閣議決定にも事業仕分という言葉を書き込むことに大変こだわったわけでございます。
仕分という言葉は法律になじまないという議論も法制局等からもあったわけですけれども、非常にこの定義が不明確だというようなこともあったわけですけれども、最終的にはいろいろ議論の末、与党としてこの閣議決定に、特に理念のところ、そして特別会計のところ、先ほど御紹介出たとおりでございまして、総人件費改革のところ、市場化テストのところ、明確に書かれておるわけでございます。透明性のところ、先ほどちょっと問題点おっしゃっておりましたけれども、民間の方々等の意見も入れながらと。そして、事業の必要性、そして必要があってもそれは国でやるべきことなのかと、地方か民間かというようなことまでも全部基本的に加藤参考人の考え方であったわけでございます。それが今回の法案に網羅されておるわけでございます。
そこで、具体的にお聞きしたいわけですけれども、確かに法案には書き込まれたけれども、今後きちっとされていくのかということが大変大きな課題でございます。与党にもプロジェクトができ、北側大臣も答えておられるからという非常に期待のお声も先ほどおっしゃっていただいたわけでございますが。
この特別会計ですね、特別会計について基本的に省庁が行うというスタイルに、仕分そのものを、という感じでとらえられていると思うんですけど、ただ、これは今後どうしていくかということが大きな課題で、総人件費のところとか市場化テストのところは第三者委員会が仕分できる分野があるわけですけど、そういう体制もできております、法律事項にもなっております。しかし、特別会計のところはそういうところが明記されておりません。
そういう意味で、この特別会計のところのやり方ですね、これはもう大変な作業になっていくと思いますけれども、具体的に効果あらしめるためにどのようなことを踏まえてやるべきかと。これからの、個別法も出てくると思いますが、そのときに、審議の過程で、また個別法できるところできちっと事業仕分の理念が反映されるようなアドバイスをお願いできればと思います。
○参考人(加藤秀樹君) 正に今の御質問の中にありましたように、法律ができたからといって、それが実際に本当に実現できるかどうか。それはまた次のステップだと思いますが、これは、やる中身としては先ほども申し上げましたけれども作業なんですね。そんな難しいことは全くないわけです。ですから、一つにはその作業をやる気があるかないかみたいな話になります。それからもう一つは、その作業をやるに当たってのこれはしつらえ方だと思います。
ですから、私は、現実的なやり方としては、まず特別会計なら特別会計の中で一つサンプル的に、どの特別会計でもいいと思います、これはまたどれを選ぶかというのはなかなか難しい問題で、いやいや、うちはやりたくないよみたいな話で、どこからというのは難しいと思いますけれども、これはどこか本当にサンプル的に少数の事業を選んでいただく。で、それをオープンな場所でやってみると。最初は、そこでやったものは、これはまあちょっとした実演であって、それがすぐにそのまま予算の査定に結び付かなくてもいいぐらいのところからスタートしてもいいんではないかなと。
それからもう一つは、これをやるためのきちんとした仕組みがやはり必要だと思います。外の有識者と議論するとすれば、どういう基準でその人たちを選ぶのか。先ほど公益法人改革のときにも第三者委員会という言葉が出てきましたけれども、常にやはりどういう人を選ぶのか、それをどういうスケジュールでやっていくのかというこの枠組みをやはり併せて考えていただくことも大事だと思います。
そうでないと、サンプルで終わってしまったんでは、これは続きませんから。ですから、その仕組みづくりと、まずは小さいきっかけをつくっていくというような工夫かなと。
それで、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この二十四日に議員会館の会議室で、これもまた本当にサンプルのサンプル的に実演してみたいと思います。そういうものは構想日本が、これは制度化されてないところで、いろいろ世の中に対して見せていきたいと思いますんで、まあそんなものを踏まえて段階的にと。それから、何度も申し上げて恐縮ですけれども、これはオープンな場所でやるというのがどうしても大事だと考えております。
○山下栄一君 この仕分の作業に当たって、今おっしゃったオープンなところでという、法律にも一応明記されてあるわけですけど、先ほど不十分だという御意見もありましたが。
それと、役所の方、で、民間の、民間って有識者を含めた方、自治体の方も含めるということについてはどうでしょうか。
○参考人(加藤秀樹君) 自治体の人は、これはやはり行政の現場にいますし、国から都道府県経由で市町村に仕事が流れ、お金が流れ、ですから、やはりその現場の人というのはお金の実際の使い方をよく知っております。もちろん、自治体にもいろんな方がいらっしゃいますけれども、非常に優秀な方、随分大勢いらっしゃいますから、こういう人には是非入っていただきたいなと。国の、まあ公務員も知らないうちに、付けた趣旨と違うところで実は補助金が使われているというようなことも多いんですね。で、現場の人を入れる、これは企業でも同じだと思います。やはりリストラやっていくときに現場の声を聞く、現場の人を大事にするというのは、やはり非常にポイントになると思います。
○山下栄一君 ありがとうございます。
田中参考人にお聞きしたいと思いますが、先ほどからもお話ありましたけど、公益性認定委員会のメンバーですね。先ほどこういう方々排除してはどうかというのございましたけど、こういう方々排除すると残る方々がなくなってくる。どういう方がふさわしいかということになっていくわけですけど。私は、経歴、実績ですね、功績とか、そういう方がどういうことをされてきたかと、国民の側に立ってというふうなことなんかも大事かなというふうに思ったんです。
このメンバーによってこれはもう効果が全然変わってしまうと。せっかくの田中参考人に御評価いただきましたこの大きな行政の理念の大転換にかかわるような、公益性認定そのものを官庁はやらないで民間がやるというこの仕組みそのものが実際選ばれた人によって変わってしまうということがありますので、何かもうちょっと、もう一歩突っ込んだ何か人選の御提案ございましたらお願いしたいと思います。
○参考人(田中弥生君) 質問、ありがとうございます。
大変難しい質問であります。これはまずい、これはまずいというのはいろいろ浮かぶんですが、じゃ積極的に何がいいかということについてはなかなか私も浮かばないところがあるんですが、先ほどおっしゃった経歴で申し上げますと、やっぱり一つはどうしても法律の知識をお持ちの方が必要。それから、財務、経理のことがお分かりになる方もどうしてもこれは技術上のチェックとして必要になるかと思います。あともう一つは、私は、やはり民間のイニシアチブで、民の発想でいろいろな非営利組織の経営をして分かった方たち、その苦労を分かる方たち、こういう方たちにも是非入っていただけたらというふうに思っております。
○山下栄一君 ありがとうございました。
山家参考人に質問できなくて大変申し訳ございませんでした。時間の都合で申し訳ありません。
以上で終わります。ありがとうございました。