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国会質問

166国会 日本国憲法に関する調査特別委員会会議録 2007年05月10日


○山下栄一君 公明党の山下でございます。
 今日は、先生方、余り時間的余裕のない中での参考人としての使命を果たしていただくわけでございまして、恐縮でございます。
 限られた時間でございますけど、私は、先生方の今日のお話の中に直接なかったテーマなんですけれども、今日のテーマは投票対象及び最低投票率等についてということで、この投票対象のことをちょっと確認させていただきたい、お考えをお聞きしたいと思います。
 先生方も、直接投票権者を二十歳にするか十八歳、それ以下にするかということにつきましては非常に御関心があるお仕事をされているというふうに思いますもので、先ほどもちょっと五十嵐先生触れられましたけれども、国民主権、主権者は国民であるという、そういう意識をなかなか持ちにくい状況にあるわけですけど、国民投票法案は主権行使の一つの手続でもありますので、そういう意味で、翻って投票権者はどういう年齢にするべきかということは極めて重要なテーマであると思いますので、この問題に触れさせていただきたいと思うわけでございます。
 憲法十五条は、公務員の、これは公職選挙法にかかわることでございますけど、投票法案とは直接関係はございませんけれども、公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障すると。じゃ、成年者とは一体何歳なのかというようなことは憲法には書いてございません。一応民法、今四条になっておりますけれども、この民法、当時は三条だったと思いますけど、最初の民法できるときには、なぜ二十歳なのかという議論は余り深まってなかったように私は思うんですね。
 それは、理由の中にやっぱり各国、立憲制を取っている各国においては二十歳ということが多いということが大きな理由で成年者、二十歳というふうに決まっていったようなふうに私は認識しておるわけでございまして、確かに判断能力、人間の判断能力というのは何歳であるべきなのかということについては、やはり世界各国の状況、有力な判断材料になると。こう考えましたときに、趨勢は現在十八歳になっているということから、十八歳引下げということも大事な考え方だというふうに私は思うんですけど。
 民法においては、行為能力、契約の主体、自立した社会生活を営む、そういう年齢というのは何歳だというような考え方に基づいて、民法は二十歳、もう百年以上変わってませんけど、一八九八年以来二十歳というふうに民法は言っていると。刑法では、善悪の判断能力をする責任年齢は十四歳だと、このように言っていると。同じく別の民法では、婚姻最低年齢は、男女差がある状況になってしまっていますけど、これは同一にすべきだという意見も法制審では既に結論出されておるわけでございますけど、十八歳ということになっていると、親の同意は必要だけれどもと。結婚した以降はもう十八歳、十九歳でも成人とみなすという、そういう考え方もあると。
 いろんな考え方があるわけでございますけど、両先生、この成年って一体どういうふうに考えて、どういう中身を考えて、どういう能力を考えて年齢を考えていくべきかという、そのお考えをお聞きしたいというふうに思います。


○参考人(五十嵐敬喜君) いろんな法律で何をもって成人とするかどうかというのは、非常に端的に言って、その人が主体的に意思決定できるかどうかということに尽きると思います。確かに、今言われましたように、民法では二十年になっているわけですけれども、明治時代は少なくとも小学校、中学校含めた教育について必ずしも十分でありませんでした。それと現在を比べますと、圧倒的に教育の質、量、レベルは今の方が上です。それから、その他の情報についてももう天と地ぐらいの差がありまして、主体的な意思決定をするについて十分な情報や教育は、私は、もう既に明治とははっきり違うぐらいなされていると私は思っております。
 それから、個人的な体験ですけれども、私、法学部の教官をやっておるものですから、いろんな各種、入学試験を含めて試験を行います。試験を作成しますし、採点もいたします。十八歳か二十歳かというのは、先ほど言いましたように、実は高校から大学に入る年齢でありまして、そのときの少なくとも社会科学に関する問題はかなり高度です。かなり高度です。かなり国民は解き得る能力、つまり高校時代に既にいろんなことについて判断する能力を私は持っていると思います。だから、いろんな意見あると思いますけれども、私は、できるだけ国民が多く参加するために、それからもっと若い人たちの意見を聴くために投票年齢を十八まで引き下げることについては賛成です。
 ただ、これ十五がいいか十四がいいかといいますと、これはもうちょっとまた考えなきゃいかぬけれども、少なくとも圧倒的な明治時代と比べてみた情報量とか教育量とかということですね、それから個人的な体験を含めますと、十八歳でも十分に今回の憲法改正に対する国民投票をする主体として認めていいのではないかと私は思います。


○参考人(小澤隆一君) それぞれの法律の趣旨に合わせてその年齢の設定というのはされてしかるべきだろうというふうに考えます。
 民法の場合、取りあえず経済的な取引の主体に関することがやっぱり多くなってくるんだろうと思いますので、その場合に成人を二十歳にして、そして未成年者については保護者による保護を求めるという、これはその未成年が言わば経済的な取引において不利にならないような、そういうことを配慮しての規定であればそれなりの合理性が考えられる。その二十歳に投票権をそろえなきゃならないという理屈は出てこないだろうと思います。
 世界の趨勢が大体十八歳選挙権がもう流れであるということであれば、日本も自立して政治的な判断をすることのできる年齢をもう十八にしようという判断はしてもいいと。ただし、それはやはり公職選挙法の規定と一緒でなければならないと思いますので、やはりそこのところはトータルに検討していただいてこの年齢にするということをお決めいただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。


○山下栄一君 戦後、普通選挙権、男女、女性も参加できるようになったわけですけど、昭和二十年、二十一年の帝国議会で、衆議院議員の選挙法の改正とか、新しく参議院をつくるための法律の議論されたときに、当時、今まで、それまで二十五歳だったわけですね、男性は、選挙権は。戦後になって二十歳になっていくわけですけれども。そのときに議論された中に、やっぱりこれは今も先生方おっしゃいましたけど、やはり責任感の涵養とか成熟度をどのようにしていくかということは、やっぱり教育、それは別に学校教育とは限りません、社会教育、様々な政治的な訓練といいますか体験、経験、そういうことによって、二十五歳でなくて二十歳でもいいんだという議論をされておりまして、当時、そのときは内務大臣等もそういう議論をおっしゃっているわけですけれども。
 私は、未熟だから十八歳はどうなんだという意見も今もまだ残っております。未熟というんだったら大人自身が未熟になってきているんじゃないかというようなこともあるわけで、やっぱりそれは基本的に国民主権というのがなかなか実感としてわいてこないと。地方議会におきましては、地方自治体におきましては、場合によっては中学生もテーマによっては大事な自治体の決定なりに参加させようというふうな動きもあるわけで、そういう意味で私は、やっぱりそういう日ごろの様々な体験、地域における参加とか学校における自治会への参加とか、様々社会的な問題に関心を持つということも非常に大事だと思うわけです。
 そんな状況、私はそういうふうに考えるんですけれども、特に両先生は現場でそういう十八歳、十九歳、二十歳の方にかかわっておられて、国民主権の行使である国民投票の中に参加するかどうか、十八歳、十九歳をということについての実感として、まあ五十嵐先生は先ほど、もう十八歳でいいんじゃないかとおっしゃいましたけれども、経験に基づいて、特に小澤先生にも、実感の上からどうなんだという、引き下げてもいいかどうかの御意見をちょうだいしたいと思います。


○参考人(五十嵐敬喜君) 今回の投票法によりますと、三年間はある種国民投票は実施しないということですよね。三年間、だからどういう教育なり宣伝なり情報活動をやるかということに懸かっていると思います。そういうことを十分にやられれば、十分に主体的に決断する能力を十八歳の人たちも身に付けることはできると思います。
 問題は、だから、そういうときに高校の教育で、先ほどとちょっと関係するんですけれども、こういう授業をどういう形でやっていくかについて、先ほど言ったように、ある種政治的プレッシャーがあったり職務命令によるプレッシャーがあるとほとんどしないと、こちらの方が問題。これを自由にしていただければ、また大学で試験出すかもしれないし、いろんな答えがあるものですから、こっちの方との関係で考えていただければ、教育をちゃんとできるようにすれば全然心配ないと私は思っています。


○参考人(小澤隆一君) 初等中等の特に社会科を中心にした教育によって基本的な法的あるいは憲法的な知識を持っていることを前提にすれば、高校卒業ぐらいの段階ではもう十分政治に参加する力は一般国民は備わるだろうというふうに想定するのが自然ではないかというふうに考えます。


○山下栄一君 ちょっと早めですけれども、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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