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国会質問

126国会 予算委員会会議録 1993年05月28日


○山下栄一君 公明党の山下でございます。
 まず、円高問題につきまして、大蔵大臣に冒頭お聞きしたいと思うわけでございますが、ただいま現在の円の動きがどうなっておるのかということ、これが一点でございます。
 それと、連日、円が最高値を更新しておるわけでございます。また、主要国も円高基調容認という、これが趨勢になっておりまして、非常に日本の経済への影響が深刻である、このように思うわけでございまして、補正予算を組んでもさらに景気が悪化するのではないか、こういうふうに受けとめておるわけでございますが、この点、大臣、よろしくお願いいたします。


○国務大臣(林義郎君) ただいまの円の状況は、きょうの朝のシドニー相場、シドニー相場の方が日本よりちょっと早くあくんですが、シドニー相場では一時百七円ちょうどになりました。東京市場では百七円十八銭で寄りつきをいたしまして、午前十時現在では出来値が百七円五十銭、こういうふうな形で動いております。
 この問題につきましては、アメリカの財務省からいろいろ報告が出まして、その報告が分析的なものでありましたけれども、何かアメリカの財務省の意見を代弁するがごとき誤解が市場というか報道筋にありまして、その後アメリカのサマーズ財務次官も議会証言をいたしましたりして、そういったことはありません。四月の二十九日に行われましたところのG7でのコミュニケと全く同じである、為替相場というのはファンダメンタルズを反映していかなければならない、急激な変更は好ましくない、もしもそういったことがあるならば適時適切に対処していく、こういうふうな物の考え方を言っておりまして、特にサマーズの方では、ドルの下落が速過ぎるという発言をしたところであります。
 昨日百八円まで落ちましたけれども、また市場のドル売りの勢いが強くて先ほど申し上げたような次第になっておる、こういうことでございます。
 我が方といたしましては、先ほど申しました基本的な考え方に基づきまして市場に対しては大変思惑的に急激に円高ドル安に振れているというふうな認識を持っておりまして、ファンダメンタルズを反映したような形でやるのが望ましい、こういうことから適時適切に諸外国とも緊密な連絡をとりながら適時適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。


○山下栄一君 この急激な円高が日本の景気回復の芽を摘んでしまうのではないかということで大変心配になっておるわけでございまして、そういう観点からも、やはりこの景気対策をもう一度抜本的に見直して最後の切り札を出す必要があるのではないか、そういうことから所得税の減税の問題につきまして何遍も議論されておるわけでございますが、再度確認しておきたいと思うわけでございます。
 実はちょうど一年前、ちょっと前でございますけれども、大阪の方で大幅な所得減税を要求する大署名運動を展開いたしました。大変な勢いで署名運動進んだわけでございますけれども、全大阪でわずか二週間の間に二百万をはるかに突破いたしまして、三百万近いそんな数の署名が集まったわけでございます。大阪全有権者の四割を超えるというもうすさまじい数でございまして、これは我が公明党がやったわけでございますけれども、党派を超えまして、自民党の方も社会党、共産党支持者の方も署名いただいたと。PKOの反対賛成関係なしにこれはもうすごい勢いで進んだわけでございまして、何としても減税はお願いしたいという庶民の願いであると思うわけでございます。
 その後、選挙終わりましてからも、山下さん、あの減税はどうなったんですか、見通しはあるんですか、そういう厳しい要望が連日今に至るまで続いておるわけでございまして、非常に苦しい対応を迫られておるわけでございますが、地元に帰りまして胸を張って、いよいよ所得税減税実現できましたよと、こういうふうに言える日はいつになるのかなというそういう気持ちであるわけでございますが、この所得税減税実現の見通しにつきまして、総理、よろしくお願いしたいと思います。


○国務大臣(林義郎君) 総理を御指名でございますが、担当でございますから私からお答えをさせていただきます。
 所得税減税、今三百万人近い署名を集められたと、こういうことでございます。国民的にそういう話がある。それは所得税の増税をするよりは減税をした方がいいに決まっているわけでございまして、それだけで申すならば私も所得税減税した方がいいと思います。
 ただ、所得税減税をするのにいろいろ問題がある、こういうことでございます。
 なぜやるかといえば、景気対策をやっていって日本経済を持続的な成長の路線へ持っていく、こういうことでやるわけでございますし、そのためには私どもとしては、所得税減税という形で一般減税でやるのがいいのか、公共事業その他の事業を興してその事業によっていろんな資金、金が入ってくる、それによって企業活動が潤ってくる、それが関連いたしましてほかの一般の産業活動にもいい影響を及ぼしてくるだろうというような形で、若干迂回的なのかもしれませんけれども、そういった形での方法の方が正道ではないかと、こういうふうに考えておりまして、景気対策としての効果についてやっぱり所得税減税については疑問があるんだなと。
 それからもう一つは、大変厳しい財政事情でございまして、財源でもあれば私は何かいろいろ考えてもいいんだろうと思いますけれども、何しろ今やるということになれば巨額の財源をどうするのかという問題がございます。
 それから、所得税減税ということになれば、そもそもどういった形でやっていくかというのにつきまして、私は、所得税の体系の中においてどういうふうな位置づけを占めるべきか、またもう一つ広く言うならば、税制体系全体の中でどんなことを考えていくべきかという点の広範な検討が必要だろうと、こう思っておるところでございます。
 実は、委員先刻御承知のとおり、自民党と社会、公明、民社三党の間におきましていろんな話し合いが行われております。先般の平成五年度予算の衆議院通過の際におきましても話がありましたし、また先般は、自民党と三党との間におきまして幹事長・書記長会談が行われたところでございまして、その中では自民党の方からは、所得税減税につきましては今その時期ではない、しかしながら引き続いて各党間で検討していきましょうというようなお話し合いが成ったということを聞いておるところでございます。
 実は、私に対しましても、衆議院の予算委員長から大蔵大臣あての文書が参っております。しかし、これは公党間のお話でございますから、私はその公党間のお話の推移を見詰めているというのが実情でございます。
 以上、御報告申し上げます。


○山下栄一君 宮澤総理、またお聞きしたいと思いますので、お疲れと思いますけれどもよろしくお願いいたします。
 昨年八月、またことし四月と、二度にわたりまして政府が総合経済対策を打ち出されたわけでございまして、景気の底入れの兆しも見え始めたというそういう見方もあるわけでございますが、国民生活に直結する経済指標でございます個人消費、それから雇用、これについてはやはり相変わらず厳しい実態にあるということでございます。
 最近の報告でございますが、総務庁が発表いたしました九二年度の家計調査報告によりますと、全国の平均消費支出は実に十二年ぶりに前年度を割ったということ、また日本チェーンストア協会の発表によりますと、一番我々国民の生活に身近なスーパー、専門店、この売り上げが八カ月連続で前年割れであると、そういう指標が出ておるわけでございます。雇用面におきましても、相変わらず雇用調整は今後も続いていくであろうという、そういうことが予想されるわけでございまして、特に消費面の低迷が非常に深刻なわけでございます。
 二度にわたる総合経済対策で二十四兆円規模という非常に大規模な対策になっておるわけでございますが、ところが個人消費の観点からの対策は入っておらない、そういうことでございます。
 また今回、当初予算成立直後に補正予算を組むという非常に異常な財政運営をしなきゃならない、それまでしてでも景気回復は緊急の課題であるということになっておるわけでございますが、いよいよやっぱり景気対策の最後の切り札として個人消費対策、所得税減税というようなこと、もうこれしかないというふうに私は思うわけでございますが、総理の御所見をお願いしたいと思います。


○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに経済の底入れ感はあると私は思っておりますけれども、これから後のことを考えますと、これは政府主導の今おっしゃいました二つの対策の後はいわば民間の力で経済が立ち直っていかなきゃいけないわけですが、そのうち設備投資は過去何年間かに二けたの投資が続いておりましたから特殊なものを除きましては急に設備投資が盛り上がるということはなかなかないであろう、そうすれば消費ということになりますが、今お話しのように、実は消費の回復を裏づけるような信頼できるような数字は今のところ余りございません。三月にちょっといいような数字がありましても、これは年度末ですから、やっぱりできるだけ物を売ろうというような努力、いっときのことではまだ消費回復が順調であると申し上げるほどの指標はないということは、私は御指摘のとおりと思います。
 ただ、昨年からせんだっての総合経済対策で雇用面の対策が乏しいと言われますけれども、実はこの公共投資にいたしましても、申し上げるまでもないことでございますが、これは雇用というものには非常に大きな影響がある、雇用の積極的な増加ではなくても雇用の減少を防ぐ、少なくともそういう意味では大きな効果がございますしいたしますから、ああいう総合経済対策が雇用面、消費面で無関係であるというふうには私ども思っていませんで、そこから雇用も消費も徐々に回復をしてくる、そういうねらいでやっておるわけでございます。
 それで、減税につきまして再度お話がありまして、私ども、私自身殊にそうですが、高い税金をいただいて予算を大きくするよりはなるべく税金を少なくして予算を小さくする方がいいというそういう考え方を持っておりますので、減税というのは政治の大切な目標であるということはこれはおっしゃるとおりで、私はそういうふうな考え方を持っておりますが、先ほど大蔵大臣の言われましたとおり、いかにも財政が悪うございますし平成四年度の決算もまだ済んでないというようなことでもございますものですから、ちょっとこの際大きな所得税減税というのはなかなか踏み切れないという思いがありまして、他方で各党間でこれについての御協議がなお続いております。
 これは私は決して意味がないこととは思っておりませんで、このたびの総合経済対策でもいわゆる教育減税と言われるもの、あるいは住宅減税と言われるもの、多少のものをいたしておりますが、いずれにしても、昨日申しましたので繰り返しませんが、やはり所得税減税というものは遠からざる機会に考えなければならない。昭和六十二、三年のあの税制改正から大分たっておりますし、やはり考えなければならない時期がそう遠くないというふうに考えておりますものですから、各党の言っていらっしゃることは基本的に私は間違いだと申し上げるつもりはありませんで、今の財政としてちょっと待たしていただけないか。
 そうして、やるとすれば大きなものをすることになると思いますので、その場合にはその財源なりあるいは税制全体における所得税の位置づけなどもあわせて考えさせていただいて、やがて来るべき高齢化社会への負担と給付との関係もあわせて考えさせていただきたい。財政再計算はもう来年の問題でございますので、もうそんなに時間がない機会にこの問題を取り上げなければならない、こういうふうに考えておりますこと、昨日申し上げましたので詳しくは繰り返しませんが、そういう考えでございます。


○山下栄一君 我が党が大幅な所得税減税の早期実現を要望いたします大きなもう一つの理由は、この実現がやはり与野党間の公党間の約束であるということでございます。自民党幹事長梶山発言、よく言われるわけでございますけれども、誠意を持って前向きに検討するというそういう重みのある言葉で、それで本予算が通過したという背景があるわけでございます。
 この前向きに検討するという言葉は、政治家の用語ではやらないということであるというそういうふうなことも聞く場合があるわけでございますけれども、やはり今最大の国会のテーマは政治改革であるわけでございまして、そういった考え方であるままでございますと、特に市民の生活に直結する減税に対する発言でございますので、庶民の政治不信、政治家不信はますます高まるというふうに思うわけでございまして、改革の先頭に立たれる総理のこの発言に対する御見解をお願いしたいと思います。


○国務大臣(宮澤喜一君) 公党間でそういうお話があっておることを知っておりますし、また幹事長の発言でございますから、これは大切に考えなければならないと思っております。
 前向きということは、先々それは考えなければならないという意味でございまして、これは御郷里におきましてもこちらにおきましても同じ意味でございますので、決して何もしないという気持ちではございません。先ほど申しましたような意味で、これはもう遠からざる機会にやはり検討をしなければならない問題という認識を持っております。

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