128国会 災害対策特別委員会会議録 1993年11月05日
○山下栄一君 私の方から、まず最初に総務庁の防災に関する行政監察、それに基づく勧告につきまして御質問したいと思います。
昨年十月、総務庁は、震災対策を中心として都市防災に関する調査結果報告書をまとめられたわけでございますけれども、自治省に対しまして防災対策を促進する観点から勧告をしております。その中で、特に地震による液状化対策といたしまして、次のような勧告をしております。「地方公共団体に対し、地域の実情に応じ液状化発生予想区域に関する調査、把握を行うとともに、調査した結果に基づいて地域防災計画に掲上し、又は液状化発生予想区域図を作成・公表するよう指導すること。」、このように勧告を行っておるわけでございます。
本年一月、釧路沖地震におきまして、この液状化による被害が特に目立った災害であったわけでございます。北海道におきましてこの勧告に基づく指導がどのような形で行われたのか、特に液状化に関する調査、調査に基づく防災計画の見直し、予想区域図の作成、公表、これが今どういう形になっておるのかということを御質問したいと思うわけであります。
特に、この予想区域図の公表につきましては非常にさまざまな、地価の問題とかまた住民に対する不安感を与えるとかということで、非常にこれも難しいという実情があるようでございますけれども、この総務庁の勧告に関して現在どのような形になっておるのかということを御質問したいと思います。
○説明員(赤間三郎君) 御説明申し上げます。
ただいまお話がありましたように、昨年十月の総務庁の行政監察におきまして、地方公共団体に対しまして液状化発生予想区域に関する調査を行い、その結果に基づき地域防災計画を作成する等の指導を行う旨の勧告があったわけでございます。
消防庁といたしましては、かねてから震災対策計画策定マニュアルというものをつくっておりまして、地盤調査を通じて液状化発生区域を明らかにし、地域防災計画を作成するよう地方公共団体を指導してきたところでございます。
今回の勧告の趣旨を踏まえまして、またことし一月に発生いたしました釧路沖地震における液状化現象による被害の状況等にかんがみまして、本年の三月に全国の地方公共団体に対しまして防災アセスメントを実施し、液状化予想区域の把握に努め、危険区域の指定等につきまして一層の充実を図り、地域防災計画の見直しを行うよう通知を出すとともに、現在指導を行っているところでございます。
今先生がおっしゃいましたように、確かにマップの公表とかいうことになりますと、いろいろ地方団体もちゅうちょするところがございますけれども、危険区域であるということであれば、広く住民に知らせることが大切であるということで指導に努めているところでございます。
○山下栄一君 具体的に北海道におきまして液状化に関する調査、どの程度進んでおるのか、また地域防災計画の見直しにまで至っておるのか、またこの予想区域図の作成はどこまで進んでいるのかということをお聞きしたいと思います。
○説明員(赤間三郎君) 北海道におきましては、過去に、昭和五十八年から三年間にかけまして北海道大学に委託いたしまして、北海道における地震災害の地域特性に関する調査研究ということで、六十一年度にその調査結果をまとめまして、北海道の関係市町村に通知して、それをもとにして地域防災計画を作成するようにというふうに北海道の方では指導しているわけでございます。現在、その調査報告に基づいて、北海道の各市町村では地域防災計画を見直ししながら進めているというふうに聞いております。
○山下栄一君 それじゃ、まだでき上がっておらないということなんでしょうか。
○説明員(赤間三郎君) 液状化区域を設定する場合には、やはりかなりの期間と財源を要しますので、それと、その辺の状況を慎重に把握しないと公表するには至らないということでございますので、多分にまだ時間がかかるんじゃないかというふうに思っております。
私どもといたしましては、今回北海道におきまして釧路沖や南西沖地震と大きな地震があったわけでございまして、その中で液状化というものがかなり問題になっておりますので、早急に危険区域の設定とか地域防災計画の見直しにつきまして指導していきたいというふうに考えております。
○山下栄一君 いずれにしましても、勧告が実効あるものになるためにも御指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
それから、同じく本年八月に勧告、報告されました総務庁の行政監察でございますけれども、都市内河川に関する行政監察、この中でも特に建設省に対しまして勧告があったようでございますが、特に住民の皆さん方の誘導と緊急時の避難等に役立たせるために浸水実績図や河川はんらん区域図を作成、公表する、また浸水予想区域図の作成、公表、これについても河川管理者に適切な指示、指導することということが勧告されております。また、市町村においても土石流危険渓流について、標識の設置、市町村地域防災計画への掲載及び土砂災害実績図の作成、公表が積極的になされるように市町村に対して都道府県が指導するようにというふうな勧告が行われておるわけでございます。
先ほどお話ございました鹿児島におきましては、この勧告に基づいてどのような形で指導されておるのかということ、またその勧告に関して建設省がどのような受けとめ方をされておるのかということにつきまして、お願いしたいと思います。
○説明員(尾田栄章君) 我が国は、大変厳しい気象条件、急峻な地形条件、そしてもろい地質条件でございますので、大変水害を受けやすい、また土砂害を受けやすい国土にございます。
このため私ども建設省といたしましては、国民の生命、財産を守るという立場に立ちまして、まずハードの対策が第一義だと考えております。そういう観点に立ちまして、治水事業、砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業等精力的に進めてまいっておるところでございますが、それと相まちまして、ただいま先生御指摘のソフト面での対策、特に貴重な人命を守るという意味では河川に関するあるいは土砂害に関します情報を一般の住民の方たちに十分周知していただく、周知するということは大変重要なことだと認識をいたしておるところでございます。そういう観点に立ちまして、河川につきましては河川はんらん区域図、浸水実績図及び浸水予想区域図を作成、公表しているところでございます。
このうち、河川はんらん区域図につきましては、全国百九水系の大臣管理区間すべてについて作成を終わっております。そういう意味では、御指摘の鹿児島県関連河川につきましても一級水系については終わっておるところでございます。このような資料につきましては、関係の約一千の市町村、四十六の都道府県、関係住民の方々に配付をさせていただいておるところでございます。
それから、浸水実績図につきましては、流域の都市化の進展の著しい河川そういう意味ではまさしく都市河川でございます。そういう河川につきまして過去の洪水時の浸水実績を図示したものでございまして、平成四年十二月現在では四百七十六河川について作成、公表しておるところでございます。
また、御指摘の浸水予想区域図につきましては、これは一定規模の降雨があった場合に浸水がどういうところに起こるかということの予想をした区域を示したものでございまして、流域の都市化の進展が特に著しい新河岸川、中川、綾瀬川、鶴見川及び猪名川について作成、公表しておるところでございます。そういう意味では、鹿児島県の河川は該当になっておらないということでございます。
それから、土砂災害についてでございますが、土砂災害危険箇所マップ及び土砂災害危険区域図を作成、公表しておるところでございます。土砂災害危険箇所マップにつきましては、全国十六万カ所ございます土砂災害危険箇所のすべてについて各都道府県の土木事務所の管内ごとに作成をいたしておるところでございまして、関係市町村を通じて関係住民に配付をさせていただいているところでございます。そういう意味では、鹿児島についても配付をいたしておるところでございます。また、土砂災害危険区域図につきましては、土砂災害により被害の想定される区域を地図に落としたものでございまして、平成五年度末までに四十七都府県の三百二地区にモデル的に配付をしたいというふうに考えておるところでございます。
御指摘の都市内河川に関します行政監察の勧告も踏まえまして、今まで進めてきたことに加えまして、さらに今後とも土砂災害から住民の生命、財産を保全するため、このようなマップの配付や市町村地域防災計画書への掲載等、住民に対します周知徹底を今後さらに推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○山下栄一君 防災マップの配付をしただけじゃ問題解決にはなりませんので、住民の皆さん方がきちっと知れるような状況をつくるための御指導もよろしくお願いしたいと思います。
北海道南西沖地震の災害のことでございますけれども、地震観測の点でございます。この震源の場所がちょうど北米プレートとユーラシアプレートの境界線上にあるということで、非常に海底地盤が不安定で地震が起こりやすい状況にあるということだったわけですけれども、地震が起きるまで地震観測の機器が設置されておらなかったと。その後応急的な対応はされておるようでございますが、この地域の恒久的な観測体制、観測設備等、これが今後どのような形で設置されるのかということ、これをお聞きしたいと思います。
○説明員(森俊雄君) 気象庁の観測体制について説明させていただきます。
気象庁では、北海道南西沖地震の発生直後に地震機動観測班を派遣いたしまして観測の強化を図る等の措置を講じております。今回の北海道の南西沖地震の経験にかんがみまして、津波予報に必要な震源の観測精度の維持向上を図るため、必要な観測点について小地震観測装置の改良更新を計画しております。また、北海道南西地域におきましては、江差検潮所の隔測化の検討をしております。
今後とも地震津波観測監視体制の強化を図るとともに、適時適切な津波予報及び地震津波情報の発表に努めてまいりたいと存じます。
○山下栄一君 具体的な計画という形で進んでおるということですね、恒久的な観測設備の件については。
○説明員(森俊雄君) 小地震観測装置、今ある既存の装置でございますけれども、こういうものが少し古くなってきているということと精度が落ちてきているということもございますので、観測装置の改良更新ということで計画いたしてございます。
○山下栄一君 奥尻島にはそういう設置計画はないんですね。
○説明員(森俊雄君) 今のところはございませんけれども、今後とも観測体制の強化につきましては努めてまいりたいと存じます。
○山下栄一君 奥尻島の漁業者の救済の面でございます。
九月初めに奥尻町は激甚災害の指定を受けたわけでございますけれども、この中に、特に漁業者救済のため、先ほども述べられました共同利用小型漁船建造費補助というのがあるわけです。八月の時点で奥尻漁協が行いましたアンケートによりますと、組合員総数は四百五人だそうですが、調査対象三百二十人中二百九十人が激甚の指定適用があれば補助を受けたい、このように答えておられたわけでございますけれども、現在までの申請状況と見通しにつきましてお願いしたいと思います。
○政府委員(鎭西迪雄君) 本年七月十二日に発生いたしました北海道南西沖地震によります被害の復旧を図るため、委員ただいま御指摘のとおり、九月十日に激甚災害法第十一条に規定いたします共同利用小型漁船の建造費の補助につきまして政令指定が行われたところでございます。
現在、北海道におきまして共同利用小型漁船の建造計画を取りまとめているところでございますが、水産庁といたしましては共同利用小型漁船の円滑かつ適正な建造が図られるよう北海道庁と十分連絡をとりながら適切に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○山下栄一君 この申請の期限とかそういうのはどうなっているんですか。
○政府委員(鎭西迪雄君) ただいま取りまとめておりまして、私どもといたしましては、政令上の補助の対象になります漁協の要件等一定の要件があるわけでございますが、申請が行われましてその審査を受ければ希望する漁業者がただいま大体建造計画案に乗っているというように道庁では、現時点では聞いております。
○山下栄一君 津波対策、防波堤の問題につきましては、先ほども御質問ございましたが、この防波堤の建設は町の復興計画と一体であるというふうに考えるわけです。地元の計画が出てこないことには具体化しないということだと思うんですけれども、津波に強い町づくり、これの一環といたしまして、防波堤のかさ上げにつきましてはできる限り柔軟な対処をしていただきたいと思いますけれども、これにつきましてお考えをお聞きしたいと思います。まず最初に、運輸省の方に伺います。
○説明員(石田省三君) 御説明いたします。
我が国の沿岸につきましては、これまで既往最大規模クラスの津波を対象として計画的に海岸堤防あるいは津波防波堤等の整備を行ってきております。
北海道奥尻島の港につきましては、既往最大規模の津波と申しますと、昭和五十八年の日本海中部地震、このときの津波に対応した施設整備を行ってきたところでございますが、今般の地震ではこの日本海中部地震を大幅に上回る津波が来襲している、そういうことから大きな被害を生じたものでございます。現在、被害実態等の調査を進めておりまして、それらの検討を現在進めているところでございます。どういう対応をこれからするかということの検討を進めております。
それから、さらには地元の御要望をいろいろお伺いしまして、適切に対応を進めていきたい、このように考えております。
○山下栄一君 特に、奥尻町青苗地区の漁港の防波堤の問題ですけれども、十年前の、今も申し上げられました日本海中部地震のときにかさ上げが行われたわけでございますが、今度はそれを乗り越えて津波の被害があったということで、このかさ上げにつきましては海岸法に基づいて実施基準が定めてあると。過去の災害の実態を見ながら高潮と津波のどちらが高かったかという、高い方を基準にしておられるわけでございますけれども、今回の災害で新たな状況になったわけでございますので、この青苗地区の防波堤のかさ上げにつきましてはどのような対応になっておるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(鎭西迪雄君) ただいま運輸省の方からお話がございましたように、今回の津波でも防波堤あるいは護岸といった施設の背後では比較的被害が小さい傾向がございまして、これらの施設が津波対策上からも有効であるということが認められたんだろうと思います。
このため、今後被災地におきまして、基本的には津波堤防等を整備していくということが重要になるわけでございますが、防波堤等の漁港施設の効果も勘案いたしまして、地元要望も踏まえまして総合的な復興対策というものを推進していきたい、かように考えているところでございます。
○山下栄一君 ということは、改良されるということですね、計画が出てくれば、申請があれば。
○政府委員(鎭西迪雄君) 具体的には、青苗漁港の例えば防波堤、当初一メートルぐらい沈下いたしたんでございますが、その後若干復元いたしまして、現在で六十センチメートルぐらい沈下しているというように聞いております。そういうものだとか、あるいは転倒というのもございますので、これの復旧、それからそこの後背地を含めました、ただいま申しました津波堤防等を整備する必要があるということでございまして、そういうものをあわせまして総合的な復興対策という中でやっていきたい、かように考えているところでございます。
○山下栄一君 鹿児島の集中豪雨災害につきましてでございますが、急傾斜地の対策でございます。
今回の鹿児島の集中豪雨における災害は、がけ崩れによる死者が大変被害が大きかったわけでございます。特にシラス土壌による土砂崩れ、これによる災害が大部分であろうかと思うわけです。五カ年計画に基づいて急傾斜地崩壊対策事業がずっと行われてきたわけでございますけれども、この鹿児島の土壌の特殊性からシラス土壌対策を強化する必要があるのではないか。特に、今回の災害を教訓といたしましてそのように考えるわけですが、この五カ年計画の見直しも含めましてシラス土壌対策強化につきまして御質問したいと思います。
○説明員(瀬尾克美君) 鹿児島の件につきましては、がけ崩れが三百八十二カ所発生しましたけれども、そのうち三百三十カ所がシラス地帯と、こういうことでございます。これにつきましては、確かに鹿児島ではシラスというものが大変大きな問題になるわけでありますが、これまた全国的に見ますと、全国で八万二千カ所危険箇所がありますが、すべてこの危険箇所ががけ崩れを起こす要素があるわけであります。
そういうことで、我々としましてはすべてにわたって対応をやっていかなければならない、こう思っております。しかし、シラスにつきましては、特にシラス対策の工法につきまして、特にシラス地帯における土工設計施工指針、こういうものを設けまして、しっかりとした対応をしたい、こう思っておりますし、なおかつ予算的には特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法によりまして、いわゆる補助率のかさ上げというようなことをもちまして重点的な整備をやっていきたい、こういうふうに思っておるところであります。
○山下栄一君 重点的に整備を行っていくということですね。
○説明員(瀬尾克美君) はい。
○山下栄一君 よろしくお願いいたします。
最後に一点だけ。先ほども消防団の話がございましたが、地域住民の自主防災組織の整備育成という観点でございますが、特に鹿児島県の場合は自主防災組織率が数字的には、全国平均四二・八%に対し、鹿児島県一五・八%であろうと思います。
具体的には、先般の委員派遣による報告書にもございましたように、国分市の姫城地区においては、この組織がしっかりしておったために大被害にもかかわらず人的被害はゼロであったというような報告が出ているわけです。実際、鹿児島県では数回にわたってシラスがけ崩れによる多数の死者が出ておるわけでございまして、そういうことから考えますと、この自主防災組織率の低さというのは、非常に気になるわけでございます。
これに関連いたしまして、鹿児島県における自主防災組織の育成の問題といいますか、消防庁の御報告をお願いしたい。
○説明員(今井康容君) 台風や豪雨などによりまして大きな災害が発生をいたしました場合に被害を最小限に食いとめるためには、消防機関を初めといたします防災関係機関の活動と同時に、先生御指摘の地域住民の連帯意識に基づく自主的な防災活動が極めて重要であると考えておるわけでございます。
そこで、鹿児島県の現在の自主防災組織の組織率でございますが、平成五年、ことしの四月一日に新しい数字が入ってございまして、それで申し上げますと一七・〇と若干ふえてはおりますが、なお全国平均から比べると若干低いという傾向にございます。消防庁におきましては、従来から自主防災組織の活動拠点となります防災センターの整備促進でありますとか自主防災組織の手引の作成、配布など育成強化に積極的に取り組むほか、将来に向けまして少年消防クラブなどの育成も図ってきたところでございます。
今後とも、今回の豪雨災害の教訓も踏まえまして、組織率の高い地域においては既結成組織の一層の活性化を、また低い組織率にとどまっている地域におきましては、自治会など既存の組織を活用いたしました結成促進が図られますように引き続き支援助成を行うほか、育成や活性化をするためのマニュアルを作成するなど啓発指導の強化に今後とも努めてまいりたいと存じております。
○山下栄一君 時間になりましたけれども、若干低いというか相当低いという状況でありますし、災害の頻度から申しましても自主防災組織の育成というのは緊急の課題であると思いますので、適切な御指導をぜひともしっかりとお願いしたいと思います。
以上でございます。