128国会 商工委員会会議録 1993年11月09日
○山下栄一君 法案に即しましてお尋ねしたいと思います。
中小企業者にとっては、新分野への進出といいましても、極めて厳しい長期にわたる不況の中で悪戦苦闘しておるというそういう現状では決断が非常に容易ではない、このように思うわけです。この法律の実効性を高めるために、午前中も先ほどもお話がございましたですけれども、中小企業者へのバックアップ体制が具体的に必要である、このように思います。
午前中も、具体的な示唆を与えるために、新分野進出の成功例の情報を蓄積してそれを提供するというそんなお話がございました。具体的にこういう新分野進出の中小企業者の方の相談に乗れるような体制、特に情報提供のネットワーク化といいますか、これは具体的にどの程度整備されておるのか、また整備の強化ということが必要ではないか、このように考えるわけですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(長田英機君) 御質問の情報の提供でございますが、いろんな機関がございますけれども、中心となりますのは、中小企業事業団にいろいろな中小企業関係の情報が集積されておりまして、そこで情報のデータベースみたいなものがございます。中小企業情報センターというのが県ごとにございまして、そこに情報が流れて、そこから提供されているというルートが一つ。それからもう一つは、海外の情報がなかなか入手しがたいと思いますけれども、それはジェトロの方でいろいろ海外の情報を集積しております。そういうようなことを通じて情報提供が行われているということでございます。
○山下栄一君 海外進出の情報の場合もそうですけれども、ジェトロというのも地域にきちっとそういう組織があるということですね。
○政府委員(長田英機君) ジェトロも実は国内事務所がたくさんございまして、大体三十ぐらいあるようなことで国内にいろいろなネットワークを持っておりまして、そこで情報提供をやっております。
○山下栄一君 海外進出の話になりますけれども、全然経験ない方が日本の商習慣とか労働慣行と全く違う世界に行くわけですから、具体的なアドバイス体制、単なる情報だけじゃなくて、やりとりしながら相談しアドバイスできるというような、そのような人員等の体制もジェトロの地方事務所にあるということでしょうか。
○政府委員(長田英機君) 今、私は三十ぐらいと申し上げましたが、正確には三十三の国内事務所をジェトロが持っておりまして、ここで具体的な情報提供と指導と申しますか、そういうことに当たっております。
○山下栄一君 この法案の十一条の指導、助言、特に都道府県の場合も「行うものとする。」と書いてあるわけですが、特に都道府県、場合によっては市町村の窓口の体制ですけれども、実際に中小企業者が計画を作成する段階、ここで県が具体的にアドバイス、指導できることが必要だと思うのですね。そのためにはやっぱり県職員の指導力の向上とか、そういうバックアップ体制が必要であろう。そのための予算措置を伴う支援、これは考えておられるのかどうかということ。
またさらに言えば、中小企業者が製品開発とか新しい技術の開発に取り組むための支援、新製品の開発とか技術開発のための具体的な応援体制を組まなければこれはできないと思うのですね。その辺の予算措置を伴う支援をどのように具体的に考えておられるかどうか、この二点をちょっとお伺いします。
○政府委員(長田英機君) 県の職員が適切に指導しなければいけないわけでございまして、そういう県の職員の能力アップのために、中小企業大学校というのが中小企業事業団にございますけれども、そこで研修をしたりしましてその能力向上に努めております。それから、技術開発も先生御指摘のように非常に重要な点でございまして、これは私どもが技術開発のための補助金をいろいろ個々の企業とか組合に交付したりいたしまして、そういうことで技術レベルのアップを図っていくというようなことをやっております。
○山下栄一君 この法案そのものの実効性を高めるために技術分野における具体的な中小企業者そのものへの支援もやっぱり必要であろうと思いますので、この点も特に御検討をお願いしたいと思います。
それから、予算との関係で、第九条に「国及び都道府県は、」、ちょっと飛ばしますけれども、この新分野進出等への「事業に必要な資金の確保に努めるものとする。」、こういう条文があるのですけれども、これは具体的にどのようなことなのでしょうか。
○政府委員(村田成二君) 幾つかございますけれども、まず第一は、新分野進出等計画あるいは事業開始計画に従って事業を実施するに必要な設備資金等につきましては、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等からの特別の貸付制度、現在の金利水準で申し上げまして三・六%程度を予定しておりますが、そういった特別の貸付制度の創設を予定いたしております。
それからまた、中小企業者が共同で高度化事業等を行う場合には、中小企業事業団の方から高度化融資事業を行えるように、またこれの創設を予定いたしております。
それからさらに、先ほどの御質問でもちょっと先生お触れになりましたけれども、新分野進出等を行います中小企業者あるいは組合の新商品開発等につきましては、これは現在、六年度予算として補助金を要求中ということでございます。
○山下栄一君 十二条の雇用安定の問題、先ほどお二人の方が質問されたわけですが、やはりある程度新分野進出、海外進出は配置転換、人員削減等を伴う場合も出てくるであろうと、こういう痛みを伴うことを覚悟したことがこの十二条の規定であるのではないかと思うわけでございます。
ところが、内容的にはそれぞれ努力規定になっているわけでございますので、「必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」という規定からさらに一歩踏み込んで、具体的な手だてまで保証するというようなことを考えるべきではないかな、こういうことを思うわけですけれども、この点につきまして通産省、そして労働省からも一言ずつお願いしたいと思います。
○政府委員(村田成二君) 詳細は労働省の方からお答えいただくのが適切かと存じますけれども、第十二条「雇用の安定等」に関する規定の二項、三項、ここで御指摘のように国及び都道府県の努力規定が書いてあるわけでございます。第二項の方は、いわば事業縮小を余儀なくされつつも依然雇用している労働者についての措置であろうかと思います。それから三項の方は、むしろ不幸にして解雇に至ったその後の雇用されていた労働者についての措置、こういうことになるわけでございます。
通産省といたしましても、雇用の安定は非常に重要な問題だと考えておりまして、労働省とともに雇用の安定には最大限の配慮を払っていきたい、かように存じている次第でございます。
○説明員(坂本哲也君) 第十二条の「雇用の安定等」の具体的な措置ということでございますけれども、まず第二項の国の責務でございますけれども、これは今御答弁ございましたように、離職者を出さない、雇用をずっと継続するという特定中小企業者に対しまして具体的にいろんな支援措置を講じていこうということでございます。具体的には雇用保険法に基づきます雇用調整助成金制度、これは委員御案内のとおり、事業活動の縮小の場合に、休業あるいは教育訓練あるいは出向というような形で雇用の継続を図っていく場合に休業手当等の一部を助成する制度でございますが、こういったものの活用を図っていこうということでございます。
また三項の方は、雇用関係から離れた方、こういう方々に職業訓練を行う、あるいは就職のあっせんを行う、その他必要な措置を講ずるということでございます。職業訓練につきましては、公共の職業訓練施設、国と申しますより具体的には雇用促進事業団が行っておりますが、職業能力開発促進センターあるいは都道府県が設置しております職業能力開発校、こういったところで職業の転換を必要とする労働者に対する訓練を行っております。また、就職のあっせんにつきましては全国の公共職業安定機関、ここで職業相談ですとか職業紹介を行っておるわけでございます。また、その他必要な措置といたしましては、雇用保険法に基づきます失業給付、こういったものが含まれるというふうに理解いたしております。
○山下栄一君 最後ですけれども、今回のこの法案は九月の緊急経済対策を受けての非常に重要な新政権の法案であると思われるわけですが、日本経済の新たな活路を開くために中小企業の挑戦を支援する、こういう観点から本当に大事な法案であると思うわけですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) 委員も御指摘のとおり、中小企業が全般的な日本経済の構造転換の中で大
変な状況に今遭遇しているわけでございます。そういう中で、私どもは中長期にわたる構造改革を進めていこうとしているわけでございますけれども、とりわけ中小企業が構造転換のさなかで厳しい道のりを歩まざるを得ないと、一刻も早くこの状況に対応できる体制をつくっていきたいというのが本法の提出理由の大きな柱でございます。
もちろん、中小企業が生き抜いていくためには、まずみずからの努力が必要でございますし、みずからの決意が必要でございます。しかしながら、中小企業であるがゆえに構造転換ということになりますとなかなか自力だけではこの構造転換を乗り切ることができないわけでございまして、そうした状況を考えましてこうした法案を提出しているわけでございます。
しかしながら、これだけですべてがたちまちにバラ色になるかというと決してそうではございませんで、私どもはマクロの経済運営、適切な成長政策、そういうものも必要だと思いますし、また規制緩和を初めとするミクロの政策も重要であろうと思います。そういう中で産業構造政策も重要でございますので、そういったものを三位一体として構造改革に産業政策として取り組もうとしているわけでございますけれども、とりわけ中小企業はその中で厳しい状況にある、そういうことでございます。この法案をぜひ早期に成立させていただきまして、そしてその施行の過程の中で、先ほど申し上げました大きな政策の枠組みと並行しながら中小企業のますますの強化発展に私どもは努めてまいりたいと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。