129国会 産業・資源エネルギーに関する調査会会議録 1994年02月09日
○山下栄一君 簡潔に御質問させていただきます。
最初に、小宮山先生にお伺いしたいと思います。先ほど消費者教育支援センターの活動内容を細かい点にわたって説明されたんですけれども、教員研修とか出張講座とか、それから教材づくり、ビデオその他の教育方法のいろいろ具体的な方法を提示していくということ、企業の支援ということも大事だと思うわけでございます。特に若い人の被害が今頻発しているわけでございまして、そういう意味では中学生、高校生に対する消費者教育が非常に重要であると思うわけです。ただ、こういう中学生、高校生に対する消費者教育というのは一方的な形で教えても、ビデオを見せても、またお話を聞いてもなかなか入らないという、そういうことがあると思うんです。
そういう意味で私は、もっと具体的に子供たちが、生徒たちが本当に自分の問題としてとらえるためにも、考えておりますのは、例えば相談員資格というのがございますね。こういう資格を高校段階である程度取れるとか、それからまた教える家庭科の教員の先生そのものが相談員資格を目指すとか、そういう資格を持って教えるとか、こういうこと。また国民生活センターにいろんな全国の具体的な被害情報のデータベースがございますね。それをそのまま生きた情報を子供たちが感じられるようなデータベースの活用を、学校段階とかまた消費者教育支援センターできちっと手に入れることができるとか、それを学校へ還元するとか、こういうようなことをやっていかないと生の教育になっていかないんじゃないかなということを思うわけでございまして、この辺のお考えをお聞きしたいと思います。
それと、今井先生と花見先生には、企業の個性、創造性ということを二十一世紀の企業のあり方として言われているわけでございますけれども、先ほど藁科先生も少し触れられました。私は、採用段階の採用方法、採用基準、これを抜本的に見直すこと、言われて久しいわけでございますが、なかなか直らない。相変わらず画一的な指定校制度とか学校歴を重視するということが全然直らない原因は一体どこにあるのかということでございます。この点を直さない限り、やっぱり個性、創造性ということを言ってもなかなか変革できないのじゃないかなと思います。
そういう意味で、欠けている原因として終身雇用制とか年功序列制とか、この辺にも原因があるのかなということを思うわけでございますが、画一的な採用方法をどうすれば直るのか。もっとお金をかけて時間をかけて、企業の方が目を見張るような見直しを、また採用方法を提示していくということをしない限り、世の中そのものも、教育のあり方そのものも変革できないのではないかなということを感じているわけでございますが、この辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(今井賢一君) 今の採用基準の点でありますが、私も長い間国立大学におりまして、その問題をいろいろ考えてきたわけであります。私、今アメリカの大学に関係しているから言うわけじゃありませんけれども、私はやっぱりアメリカのように若いうちに何段階かかけてあるところへ半年入ってみる、あるところへ二、三年いてみる。その間に自分のキャリアパスといいますか、将来の方向を見出していく。そして、その間にまた大学院へ行って勉強したり、その方が健全だと思うんですね。
日本はやはり一発勝負で、大学を卒業したときにどこかの有力会社に入れるというのは昔の藩に奉仕するような感じでありまして、そこで勝負が決まるというのは異常なことだったわけでありますから、私はやっぱりそれは徐々に変わりつつあるし、また企業の方もそういうふうに変えていかなければ、これだけ技術が変わっているんですから、いい人間は採れなくなるんではないか。そういう意味で両方大いに努力して、今変わりつつある方向をさらに変化させていくことが大事だというふうに思います。
○参考人(花見忠君) 全く今井先生がおっしゃったこと、同感だと思います。
ただ、私は、企業がそういった採用基準を変えるということが大変大事だと思いますが、その変えるというのはなかなか難しいので、先ほど申し上げたような日本の企業の労働力に対する評価基準が変わらない限りなかなか変わらないだろう。採用はその一環にすぎないわけでありまして、入り口のところだけは、例えば平等という点で言えば、雇用平等法で基準を客観化して客観的な基準の採用しか認めないという法的なアプローチもあり得ますけれども、やっぱり基本的にはそういった企業の中における労働力評価のあり方が変わらないとなかなか変わらないという感じでおります。
○参考人(小宮山洋子君) 今おっしゃいましたような相談員の資格をというところまで学校教育でやるべきかどうかはちょっと私はわかりませんけれども、おっしゃるように、やはり一方的に何かを見せて、これをしちゃいけない、あれをこうした方がいいというのではなくて、いかに生徒たちがきちんと自分で考えられるような形で消費者教育を展開するかということに今みんな現場では苦労しております。
例えば、クレジットカードの多重債務などには高校生あたりから教育していかないといけないわけですけれども、それも以前はそういうものを使っちゃいけないという教育をしていたそうなんですね。だけれども、これだけたくさん情報がある中で、使うなと言うより、賢く使うにはどうしたらいいかと。自分で、新卒でお給料が幾らであって、例えばCDコンポを買う場合に現金で買うのとクレジットで買うのはどうか。今の収入だったらどれぐらいまでならできるかとか、その先結婚する予定があるのでこれ以上は無理だとか、自分が設計をして、実際町に出てそれで契約書までつくってみるというような教育をしている先生がいたり、そういうような実践例をまたデータベースにしていろいろ引けるようにするというようなこともしていますので、おっしゃるようにそういう生きた教育をしていくためのさまざまな工夫は必要だというふうに思います。
【午後再開】
○山下栄一君 最初に木田橋先生にお伺いしますけれども、新エネルギーの問題、先ほどから出てまいりまして、その実用化に向けての取り組みなんですが、例えばアメリカとかEC諸国に比べまして実用化のテンポが少しおくれておるのではないかなということを感じておるわけでございます。
具体的には、全エネルギー供給に占める新エネルギーの割合がただいま一・三%、二〇〇〇年で三%ですか、ということで認識しているわけでございますけれども、一つは先ほどもお話ございましたコストの問題があるわけでございます。需要促進のために、もちろん国の助成措置も必要だと思いますけれども、規制緩和、この観点がやはり必要なのではないかと。アメリカの場合なんかは、カーター政権のときでしょうか、PURPA法ですか、例えば、税の優遇措置だけじゃなくて、発電事業者に電力供給の送電線を利用させることとか、それから公益電力会社の供給を自由にさせるとか、売電価格も配慮するとか、そういう規制緩和の措置が非常に思い切ってされたわけでございますが、この観点がないとコストダウンというのは図れないのではないかなと、このように考えるわけです。この辺一つネックになっているのではないかなと思うのですが、この点につきましてお考えをお聞きしたいと思います。
それから太田先生の方に、新エネルギーの開発の方ですけれども、基礎研究の部門で、全体的にも基礎研究が非常に貧弱であると言われておるわけでございます。先生担当の水素エネルギーの方に当たると思いますけれども、研究者の育成とか研究所の体制ですね、これの予算の面とか、何となく未来の重要なエネルギー開発のための体制が非常にまだまだ弱い面があるんじゃないかというふうに感じるわけでございますが、この辺の感想をお聞きしたいと思います。
それから、藤家先生にお聞きしたいことは原発の防災体制でございます。先生も直接この御担当ということをお聞きしておりますけれども、地震等による地域の防災計画、福井県なんかそうでございますけれども、これがどれくらいできておるのか、本格的なものができておらないようにお聞きしているわけでございますが、その辺について現状どうなっておるのかということ。
また、先月末に仙台の地裁で女川原発訴訟、電力会社側の情報開示が不十分であるというような判決があったわけでございますが、この情報開示の視点につきましてお考えをお聞きしたい。
以上でございます。
○参考人(太田時男君) 研究費の問題というのは、私自身のお話をいたしますと、水素エネルギーの研究を世界で最も早く始めたわけですが、そのときいち早く対応していただきましたのが実は文部省ではございませんで通産省のサンシャインでございまして、非常に助かりました。文部省の科学研究費ですと、長く続きまして二年、三年で、平等にという趣旨で、それで切られてしまいますので、やっと成果が上がりかけたところで切られて大変困るわけですが、サンシャイン計画のプロジェクトに参加しまして非常に助かった記憶がございます。
ですから、私の参考資料のところの四番目に書いてございます研究成果の価値判断の再検討というところがございますけれども、資源問題、エネルギー問題あるいはエイズの問題、環境の問題というようなグローバルな問題につきましては、特にそういう研究費を配慮していただきたいなという強い希望がございます。
しかし、文部省の大学におりまして、なかなか例えば通産や科学技術庁の研究費をもらえるような立場の人は非常に少ないんです。私なんか大変幸運だったと思っておりますけれども、そういう研究システムといいますか、各省庁で特徴的に使うというんではなくて、協調して重点的な研究費というものを何かどこか別の大きな機関で統合して考えていただけたらいいんではないかと思います。
それから、エネルギー問題というのはすぐれてグローバルな問題で、私、そういう意味で英語の本を書きまして、ブラジル、アメリカ、トルコ、ドイツというふうなところでことしの春以後講義をして回る計画をしておりますが、国内だけでいろいろ研究やりましても、教育やりましてもなかなかグローバルな成果というのは上げにくいわけで、そういう意味で、日本は国力に応じてもう少し海外でエネルギーの研究指導や教育というものにも力を尽くしていくべきだと思っております。
○参考人(藤家洋一君) 今、防災計画についてのお尋ねでございますが、本来、原子力の安全はそういった防災対策が必要でない程度に安全を高めることがまず最初に大きな目的でございます。しかし、日本のことわざにありますように、転ばぬ先のつえという観点からこの防災ということを考えております。しかも、これは特殊ではございませんで、中央防災計画の中にこれが入ってくることは御存じのとおりであります。
これについては、私もその防災の委員会の末端に入っておりますけれども、これが十分か十分でないかという議論はなかなか難しいところでございまして、今必要なところから話を進めまして、こういうものは日々更新していくものでございますから、そういう観点の努力はしているところでございます。
それから情報開示についてでございますが、世の中、当然のことながら情報を公開する方に動いていることは私ども十分理解しております。特に国レベルが関与することについては、情報というのは原則的に公開という線で動いております。ただ、民間企業にとってこれをどう位置づけるか、義務づけるかについては、私この席で十分お話するほどのバックグラウンド持っておりません。申しわけありません。
○参考人(木田橋勉君) まず技術開発でございますけれども、新エネルギーの技術開発につきましては、ごく概略的に申しますと、この分野では日本とアメリカが中心的な役割を果たしておる。特に燃料電池、太陽電池の研究分野では日本はトップレベルにあると考えられます。大型風力ではアメリカ等が導入量は多いんでございますけれども、この機械のうちのかなりの部分は日本のメーカーがつくっておる。あるいはアメリカで行われております地熱発電等についても、タービン発電機等は日本から供給されておるということで、技術開発の面で日本がおくれているということはなく、むしろトップレベルにあると考えております。
それから、もう一つの点の規制の緩和でございますけれども、新エネルギーの基本的な技術が確立しつつあることに伴いまして、新エネルギーの一般普及に向けた制度的な環境も今整備されつつございます。最近では新エネルギーにつきましての施設設置にかかわる規制緩和というものを行いまして、これは電気事業法の関係政省令の改正、あるいはガイドラインと称されるものの整備が行われてきております。
また、一昨年の四月からでございますけれども、これら新エネルギータイプの分散電源についての電力会社の余剰電力購入という制度もスタートしておりますので、こういうように新エネルギー導入のための制度の環境整備は進みつつあると判断されると思います。この傾向が続けば特に新エネルギー導入についての阻害要因となることはないんではなかろうかと考えております。