129国会 産業・資源エネルギーに関する調査会会議録 1994年06月03日
○山下栄一君 今、網羅的な御提言がございましたんですけれども、私の方からはある程度絞りまして意見を申し上げたいと思います。特に企業の社会貢献活動、とりわけ従業員、社員のボランティア活動につきまして少し意見を述べたいと思います。
国民また市民のボランティア活動への関心が特に近年急速に高まっておるわけでございますが、その背景といたしましては、先ほどもございましたように、高齢化社会に急速に進んでおると、その辺から住民の皆さんの特に福祉部門へのボランティア、お役に立ちたい、そういう意識が非常に高まってきておるということがあると思います。
もう一つは、やはり生きがいとしてのボランティア活動、こういう観点が特に最近は強いのではないか、このように思います。人のために働くということで格好よさとか一つのブームみたいな面もあるわけでございますが、やはり経済的な豊かさの実現とともに、心の貧しさといいますか精神的に非常に充実しておらないという観点から何かしたいと、そういう国民の意識があるのではないかと思うわけでございまして、これは一時的な現象ではなくて、私は非常に定着した、ある程度恒久的な一つの動きなのではないか、このように思います。
人間の生き方として社会貢献は必要である。人のために働くということが自分自身の精神の拡大といいますか心の広がり、こういうことにつながるのであると、そういう生き方としての社会貢献活動、ボランティアと、そういうとらえ方が定着し、広がっておるのではないか。そういう意味で、近年のボランティア活動への意識の高まりは非常に定着力が出てきておる、このようなとらえ方をしておるわけでございます。
ボランティア団体、現在五万三千、こういうことが全国社会福祉協議会の報告によりましてあるわけでございますが、これは昭和五十五年と比べますと三・三倍の広がりである。また、参加人数におきましても四百三十万人、国民の三十人に一人と。国民というのは成人者だけではなくて赤ちゃんも含めてという意味でございますが、子供も含めてボランティア活動参加人数四百三十万人、これも昭和五十五年に比べますと二・七倍ということで非常に広がりがあるわけでございます。
ただ、男女比で申しますと、男性一人に対して女性三人ということで、やっぱり女性の参加が大変多い。とりわけ主婦の方が約半分であるということでございまして、主婦約四六%、定年退職者が一三%、合わせて六割近くと。特に四十歳以上の家庭の主婦また仕事を終わってからのリタイア以後の方々の参加者が七一%となっているわけでございます。中間の会社で働いておられる方々、サラリーマンの参加が非常に少ない、約六%ということでございます。こういうふうに考えますと、企業としての支援がないとサラリーマン層のボランティア活動の参加はしたくてもできないという状況であるということでございます。
そういう観点から、企業の社会貢献、ボランティア活動への取り組みについて少しまた意見を申し上げようと思うのでございます。企業は、特に従業員の生活保障、また社会への、お客さんへの商品サービスの提供という観点から社会貢献しているというとらえ方もあるわけでございますが、さらに地域に対する貢献、こういう意識がなければだめであるというように思います。
勤労者、従業員の社会貢献活動の企業による支援ということでございますが、まず時間的な支援ということで、制度といたしましてボランティア休暇、ボランティア休職の制度、これが特にバブル以後、一九九〇年以降ふえておるわけでございますが、まだまだ全体としては非常に少ない。外資系の大企業を中心に導入が少し始まったという程度でございます。
これも労働省の調査によりますと、約六千の三十人以上の企業を対象にした調査でございますが、このボランティア休暇・休職制度を導入している会社は約三百社、〇・五%と、一%にも満たない数でございますし、この制度を設けておっても利用率が非常に低いということでございます。特に一カ月以上ボランティア休職の制度があるというところは、制度を導入しておる中でも利用しておるところは一七%と、こういうことでたとえ制度が導入されても利用率が低いということでございます。
この理由としましては、導入されてからまだまだ新しい制度で定着しておらないということもあると思いますし、社員の方のキャリア形成の上からまだまだ長期休暇、ボランティア休暇に対する戸惑いがある、また休職中のかわりの社員の確保が非常に難しい、そういう理由もあるのではないかと思います。
さらに課題といたしましては、これの利用を拡大するためには、休暇・休職期間中の経済的な保障、こういうことが不可欠であると。導入されておりましても無給のところがまだまだ多うございまして、全額支給という会社も一部あるわけでございますが、こういう休職期間中の経済的な保障、また帰ってからの復職後の配置がスムーズにいくかどうか、こういうこともございます。またボランティア派遣先での事故、災害、これに対する対応、こういうことがこれからの課題ではないか。特に事故、災害への対応につきましては民間ボランティア保険、これに対して会社が支援する、保険料を支払うということも考えられてきております。
さらに、時間的支援と並びまして、従業員への、また勤労者へのボランティア参加の意識を広げるためには、会社みずからが情報をどんどん提供していくということが不可欠であると。現在行われておりますのは、社内報とか会社における掲示板とか、また少し進んだところでは、社内においてボランティアの研修講座を設けるとか、また社外への研修の呼びかけを企業が積極的に行うということも行われておるようでございます。さらに広がりを持つためには、会社の中にボランティアに関するアドバイザー、コーディネーター、こういう方が配置されておるということ、会社に一人はそういう方がいらっしゃると、こういうことも会社として考えていく必要があるのではないか。
この観点から、今国として考えておられるのは、厚生省でございますけれども、県レベルの社会福祉協議会による要請事業に、例えば農協とか生活協同組合と並んで企業にも呼びかける。商工会議所等を通じて、社協がやります要請事業に参加していただく呼びかけを行っていくと、こういう事業が今年度から始まるようでございますけれども、まだまだこういう行政レベルの企業に対する支援というのが低いように思われます。こういう社協の要請事業に企業が積極的に社員を参加させていくということも必要ではないか、このように思います。こういう観点でアドバイザー、コーディネーターを社内に配置すると、こういうことがないとなかなか広がっていかないのではないかと思います。
と同時に、地域という観点から申しますと、現在ボランティア活動に対する情報提供窓口というのはボランティアセンターというのがあるわけでございます。県レベルにおきましては全県配置されておりますが、市町村におきましては約半分だと。実際、現場を見ますと、ボランティアセンターといいましても社協の中に、センターというよりも一人相談員がいらっしゃるというところもまだまだ多いということで、県市レベルのボランティアセンターの充実ということもこれからの大きな課題であろう。そこへ相談に行けば、意欲があれば、こういうボランティア団体がありますよ、また、福祉を初めとして環境保護、その他学習指導とかスポーツの指導とか、そういうさまざまな分野のボランティアのメニューがありますよという情報がボランティアセンターに行けばすぐに用意されておると。こういう観点から、ボランティアセンターにおける情報提供のための情報システムの配備ということもこれからの大きい課題であろうというふうに思います。
こういうふうにいたしまして、企業を通して社員がボランティアに参加できる体制を考えていく必要があるのではないか、このように思います。
こういう形で企業が従業員のボランティア活動への支援を行っていく、時間的支援また情報提供、こういうこと。さらに企業全体として、企業組織としての取り組みという観点から、先ほどもお話ございましたけれども、民間ボランティア団体、民間非営利団体の支援、育成ということも企業として積極的に取り組んでいく必要がある、このように思います。
まず資金の支援、これは先ほどもございましたように、ボランティア団体は任意団体が大変多いということで、税制上の配慮をするために特定公益法人制度の改善、弾力的運用、こういうこともこれからの課題であろうというふうに思います。また資金のみならず技術の面におきましても、企業の日常蓄えておられる力といいますか技術力、これをボランティア団体に支援していく、こういうことも必要であると思います。
また、地域における企業の貢献ということで、例えば学校教育にも支援する、非常勤の社会人講師として企業のすぐれた人材を教壇に派遣するというふうなことも地域貢献としてこれからますます大事になっていくのではないか、このように考えております。
以上、簡単でございますけれども御報告を申し上げたいと思います。