131国会 外務委員会会議録 1994年10月27日
○山下栄一君 まず最初に、きょうの朝とかお昼のニュースでも伝えられておりますが、イスラエル、ヨルダンの平和条約の調印式が日本時間で昨日の夜行われたという画期的な歴史に残る出来事が報道されたわけでございますけれども、これに関しまして政府の、また外務大臣の評価をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今回のイスラエル、ヨルダンの平和に向かっての決断というものを我々は高く評価したいと思います。長い歴史の中で、双方が大変厳しい状況の中で決断をされたこの決定というものを我々は敬意を持って評価したいと思っております。この決定というものかこれから先尊重されていかれますことを期待したいと思います。
○山下栄一君 このイスラエル、ヨルダンの平和条約の締結がさらに長年懸案となっておりましたイスラエル、シリアの和平交渉の進展にも大変よい影響を与えると、こういうふうに期待されておるわけでございますし、本日、クリントン大統領もシリアを訪問されましてアサド大統領と会談される予定である、こういうふうにお聞きしておるわけでございます。
いずれにしましても、イスラエル、エジプト、そしてまたイスラエルとPLO、また今回のヨルダン、シリア、こういう形でアラブ・イスラエル問題、長年戦後の国際政治の懸案となっておりました問題が大きく今動きつつあるという、和平に向かって大きな影響を与えつつあるということは大変評価すべきことであると思うわけでございます。
これに関連しまして、ゴラン高原へのPKO派遣、自衛隊の派遣ということが政府におきまして検討されておるということを、先日も報道されましたし、聞いておるわけでございますけれども、一九七四年からことし二十年にちょうどなるわけでございますけれども、イスラエル・シリア間の停戦監視を目的とする国連兵力引き離し監視団、UNDOFですか、このゴラン高原におけるPKOの派遣についての政府の現在の派遣計画につきましてお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(貞岡義幸君) 御説明申し上げます。
ゴラン高原の件につきましては、国連よりの非公式打診を受けまして、現在政府の部内において事務的に情報収集、検討を行っているところでございます。
先生御質問の今後のスケジュールにつきましては、現在のところまだ何も決まっていない状況でございます。
○山下栄一君 今お話しございましたように、ことしの五月でしたか、国連より非公式にゴラン高原への派遣の打診があったということでございますけれども、この派遣要請の経緯をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(貞岡義幸君) 現地におきましては、カナダが後方支援分野を担当しております。それで、国連より先般の五月、カナダが担当しています後方支援分野の一部について日本側に引き受けてほしい、そういう打診が非公式にあった次第でございます。
○山下栄一君 六月にカナダに調査団を派遣されたということもお聞きしておるわけでございますが、この調査団の派遣の報告を簡単にお願いしたいと思います。
○説明員(貞岡義幸君) 先生御指摘のとおり、六月に総理府と防衛庁、外務省から成る調査団をカナダの方に派遣して、カナダの国防省、外務省との間でカナダが現在現地において行っています後方支援の業務の具体的な内容について説明を受けた次第でございます。
○山下栄一君 説明を受けられて、例えば日本のPKO協力法の五原則にかなって派遣の可能性があるとか、その辺の見通しはどうでしょうか。
○説明員(貞岡義幸君) 法律上の五原則との関係でございますが、ゴラン高原のPKOは伝統的なPKOでございまして、設立の当初は若干の停戦の違反もありましたけれども、その後は停戦の違反というような事象も一切ないということで、まだ法律上の検討が完全に終わっている段階ではございませんけれども、一応原則としては問題が少ないだろうというふうに考えております。
○山下栄一君 柳井局長にもお考えをお聞きしたいと思います。ゴラン高原への可能性ですね、PKO派遣。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま総理府国際平和協力本部事務局の貞岡参事官から答弁のあったとおりであると思います。
○山下栄一君 今、ザイールにおけるルワンダの難民救援活動に派遣されておるわけでございますが、これが終わりましたら非常に貢献性の高いゴラン高原への派遣、これにつきましては積極的に派遣を検討すべきではないかと。特に、今お話がございましたように、日本の法にもかなう状況であるという、そういう報告もございましたので前向きにこれは検討をすべきではないかと、このように考えるわけでございますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今、事務当局から御答弁申し上げましたように、まだ現時点では派遣について何も決めておりません。法的に十分その範囲であるかどうかというような判断を事務当局がいたしますれば、全体的な問題を考えて最終的には政治が判断を下すということになろうかと思いますが、現時点ではまだそうしたことを考えておりません。
○山下栄一君 今も冒頭申しましたように、中東和平の大きな進展の中で日本がやっぱり積極的な国際貢献を図るチャンスではないかと、このように思うわけでございますので、現地への調査団の派遣、これは検討し前向きに実施すべきではないかと、このように思いますので、この辺の大臣のお考えを重ねて伺いたい。
○国務大臣(河野洋平君) 現在我が国は、先ほど御指摘のとおり、モザンビークあるいはルワンダの難民支援のためにザイール等に多数の自衛隊員が派遣されております。このことは我が国のPKO活動、ザイールの場合には少し性格が違いますけれども、我が国の国際貢献におきます歴史から申しましても極めて多数でございまして、これらの経験をよく踏まえて着実に、間違いのない国際貢献を行っていくためには十分な検討が必要だというふうに考えておりまして、まだ最終的な判断をいたしておらないところでございます。
○山下栄一君 もう既に五月に打診があり、六月に関係の方々がカナダにも調査団を派遣されておるわけでございますので検討されておらないことはないと思いますけれども、きちっとした周到の準備が必要であることは当然でございますけれども、どうか前向きの御検討をお願いしたいと思います。
ルワンダの難民救援活動、これは新しい試みで、人道的な国際的救援活動に基づく初めての要員派遣ということでございますが、さまざまな問題点も指摘されておるわけでございます。たくさんの報道陣も現地におりまして、そういう報告はどんどん新聞、テレビ等マスコミを通して聞いておるわけでございますが、そういうさまざまな報道機関の報告によりますと、現地難民キャンプにおいて自衛隊が本当に役に立っておるのか、余りまだ歓迎されておらないというふうなことも聞いておるわけでございます。
今回、医療、防疫、給水、空輸、こういう面で活動が行われておるわけでございますが、こういう分野においてはもう既にNGOの網の目が張りめぐらされておって、余り自衛隊の出る幕がない、かえって妨げになるというふうなことまで、そういう話もあるわけでございますが、実際どの部門で具体的な著しい貢献があるのかということをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(平沢勝栄君) 陸上自衛隊のルワンダ難民救済につきましては、本日約四十名が現地入りいたしますので総計約二百六十名になるわけでございますけれども、今、先生から御指摘がありましたとおり、現地で行っております活動につきましては大きく三つございます。
一つは医療活動でございまして、これは具体的に申し上げますと、国立ゴマ病院において難民キャンプから送られてきた患者に対しまして手術を含む診療を行っているところでございます。このほか、州立の衛生試験場における細菌検査、あるいはNGOの要請がありました場合には難民キャンプ内における診療所を支援するといった活動も行っているところでございます。
それから二番目の活動といたしましては防疫活動でございまして、これは難民キャンプにおける消毒剤の散布活動、こういったことを行っているところでございます。
それから三番目につきましては給水活動でございまして、これはルワンダ難民のための浄水活動を行っているところでございます。
全般的には順調に行っているところでございまして、私どもとしては大変現地の方々に喜ばれていると考えているところでございます。
○山下栄一君 十月に入りまして、現地で活躍されておるNGOと外務省を初めPKO関係の担当省庁との連絡協議会が開かれたというふうなことをお聞きしておるわけでございますが、そのときに出た話としまして、こういう協議をもう少し早い段階でやってほしかった、こういうような声があったようでございます。特に、難民救援活動につきましてはNGOとの連絡というふうなことは欠かせないと思うわけでございまして、実際派遣の段階でNGOとの協議といいますか、こういうことをされたのかどうか、外務省にお聞きしたいと思います。
○政府委員(須藤隆也君) 御案内のとおり、政府は、自衛隊の部隊の派遣決定に至る過程で二度にわたって現地に事前調査団を派遣いたしました。いずれの調査団も現地におきまして、難民支援活動を統括調整しておりますUNHCRのほか内外のNGO団体、例えば国境なき医師団とか日本のアジア医師連絡協議会、アフリカ教育基金の会とか、そういうNGO団体と詳細な意見交換を行いまして、特に難民キャンプのニーズあるいは難民支援活動の概要等につき聴取いたしまして、我が国の支援活動の対象等の検討に参考とさせていただいた次第であります。
なお、第一次の調査ミッションには我が国のNGOでありますアジア医師連絡協議会からお医者さん一人参加していただいております。
○山下栄一君 派遣前の話ですね。
○政府委員(須藤隆也君) 派遣前の話です。
○山下栄一君 さらに、その協議会でお話があったことでございますけれども、現地の治安状態が悪化してきておるということで治安が非常に不安である、緊急事態のときには助けてくれるのかという、そういう声もあったということでございますが、このNGOメンバーへの警護につきまして、自衛隊がそういう要請があった場合にそういう任務を行うことが予定されておるかということをお聞きしたいと思います。
○説明員(貞岡義幸君) 派遣の際に策定されました実施計画におきましては、自衛隊の任務として警護というものはそもそも入っておりません。
○山下栄一君 それはわかっておるんですけれども、そういう要請が具体的にあるということ、それから防衛庁長官もその場合は警護の用意があるということを発言されておるわけでございまして、微妙な問題だと思いますけれども、法律の空白の部分だと思うのでございますけれども、この辺は具体的に検討されておるのかどうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。防衛庁長官がおっしゃっておりますので、この辺どうでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) 自衛隊を派遣いたしますに当たりまして、その目的、使命というものははっきりさせておかなければなりません。今回の派遣に当たりましては、先ほど来御説明を申し上げておりますように、給水、防疫等、運輸まで入れて四つの仕事を目的として指示しておるところでございます。
○山下栄一君 公式の発言はそうだと思いますけれども、緊急事態のときに助けてくれるのかという声に対して、それはもう現場対応である、こういうことなわけですね。どうなんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 自衛隊が警護のために現地に行っているのではないということははっきりさせておかなければならないことであると思います。
○山下栄一君 次に、軍縮の問題を少しお聞きしたいと思います。
先ほども委員の方から中国の核実験の話がございましたけれども、全面核実験禁止条約の準備が非常に精力的にジュネーブの国連軍縮会議で検討されており、またこの秋には草案も既に準備されたというふうにお聞きしておるわけでございます。この全面核実験禁止条約、でき得れば来年度行われますNPTの再検討延長会議までに何らかの具体的な成果を出したい、こういう大きな目標のもとにCTBT、全面核実験禁止条約の準備がされておるというふうにお聞きしておるわけでございます。
来年は国連創設五十周年でもございますし、この条約の具体的な成果というものは非常に人類的な期待がかかっておる、このように思うわけでございますが、このCTBT交渉の妥結に当たりまして、日本の努力と妥結の見通しについて御報告をお願いしたいと思います。
○政府委員(林暘君) 今御指摘ございましたように、全面核実験禁止条約の交渉はことしの一月からジュネーブの軍縮会議で行われております。軍縮会議は九月初めまでで通常の会期が終わりますのでことしの会期内の折衝は終わったところでございますが、十一月の末から会期外の折衝を三週間いたす予定になっておりますし、来年の一月から改めてまた通常の会期が始まることになっております。
今御指摘のように、九月の会期が終わります前に、議長の責任におきまして、それまでの議論をまとめましたいわゆるローリングテキストという、合意が得られてないところについてはかぎ括弧のついたテキストができ上がっております。
ただ、かぎ括弧がたくさんついておりますのでこれからまださらに詰めなくちゃいけない部分がたくさんあるわけでございますが、先ほど申し上げましたような十一月からの交渉を踏まえまして、来年四月に行われますNPTの延長会議の前までにはできる限りの進捗をしたいというふうに我々も思っておりますしその努力をいたしておりますが、具体的に四月までに妥結ができるかということであれば、ちょっと今何とも申し上げかねるという状況でございます。
○山下栄一君 では具体的な障害となっておること、問題点といいますか、交渉の妥結への課題といいますか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(林暘君) 細かい点を含めますといろいろあるわけでございますけれども、今、年内の会期外折衝である程度詰めたいと思っておりますのはいわゆる検証手段の部分でございまして、これにつきましては今までもいろいろ技術的な側面その他から議論をしてきておるところでございますが、今までの議論で四つの手段でこの検証をやろうというふうなおおよその議論にはなっております。
四つと申しますのは、地震学的な手法を使うもの、それから放射性降下物という、降ってくる大気圏の放射能を測定するもの、それから水中の音波探知、それと人間の耳には聞こえない音、不可聴音と言っておりますけれども、そういったものの測定という四つのものを使うということでほぼ大筋の意見はまとまっておりますけれども、具体的にそれをどういうふうにやっていくかという点についてはできる限り年内の交渉で詰めたいというふうに思っております。
そのほか、議論がもう少し進みますれば、条約の対象範囲というところについても若干異論がまだございますので、その辺の問題も出てこようかというふうに思っております。
○山下栄一君 今おっしゃった検証システム、地震学的方法、これは今特に日本が大変貢献しておるということをお聞きしておるわけでございますが、このことも余り知られてないというふうに思うわけでございまして、特に核実験の検証のための体制というのが今お話ありましたように全面核実験禁止条約を妥結させるための大事なポイントであるということから、非常に日本の方々の努力ということが、資金面も含めまして、また人的、技術的な面の貢献も含めまして積極的なこれからの取り組みをお願いしたいと思うわけでございます。
この問題について大臣に特に御決意をお伺いしたいと思うわけでございますが、先ほど申しましたように来年は国連創設五十周年ということで、特に軍縮面、特に核兵器全面禁止条約、まあ締結までいかないと思いますけれども、交渉の妥結まで何とかできればこのNPTの延長会議までに具体的な結論があればなと、このように思うわけでございます。
この面で日本の積極的な貢献をぜひお願いしたいということと、できましたら、このNPTの延長会議の準備会議も既に何度かされておるということでございますので、日本がリーダーシップをとりまして、核廃絶が人類の最終目標なんだと、核全廃こそが人類の最終目標であるということの確認をこの延長会議で日本がリーダーシップをとって行うべきではないか、このように御提案申し上げるわけでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 究極的な核廃絶は、唯一の被爆国でございます日本にとってどの国よりも強く主張すべきものだと思います。
現状では、核問題について核軍縮、そしてさらには究極的な廃絶に向かう道筋としてNPT体制を強化するといいますか、国際社会のすべての国がこれに参加をするということが一つの目標であり、NPT体制とは非核保有国がこれに参加してこのNPTの約束を守ると同時に、核保有国が一方でこの約束を守るということが何より重要だと思います。
今御指摘のように、この延長会議に臨むに当たって、核保有国が全面的核実験禁止条約をまとめて参加をするぐらいのことはやってもらわなければならぬことであろうと私は思っているわけでございます。さきの国連総会の演説におきましても、私はすべての核保有国にこのことを呼びかけましたし、我が国の立場からいえば、被爆してちょうど五十年に当たる来年このことができる、つまり核廃絶に向かっての大きな一歩がここでしるされるということは、核による犠牲者を初め戦争によって犠牲を受けた世界の人々のためにも重要なことではないかというふうに私は思っております。すべての核保有国に向かってさらに一段とこうしたことを呼びかけてまいりたいと思っております。
○山下栄一君 核廃絶宣言はどうでしょうか。核廃絶が人類の最終目標であるという確認決議、これを提案したらどうかと思うんですが。
○国務大臣(河野洋平君) このことは、今も申し上げましたNPT体制を進めるに当たりまして、NPTの前文にも記されておるところでございます。私はこうしたことを忘れてはならないということだと思っています。
○山下栄一君 次に、北海道の東方沖地震において北方四島の被害状況、これも深刻な報告、報道がされておるわけでございます。日本の国としまして、物の支援、救援物資を送るということにつきましては既にされておるわけでございますが、人的支援、技術支援ですね、これは考えられないのかということでございます。
特に、現地の例えば色丹島の被害状況におきましても、病院も含めましてほとんどの建物が崩壊してしまった、それで九〇%の住民が住むところがなくてテント生活をしているというふうなこと、また小学校も児童が島を離れてしまったとか、公園で授業をしておるとか、こういう報告がありまして、三人に一人は色丹島におきましては離島を希望しておるというふうな状況がございます。住むところがない、大変厳しい寒さの中でそういう状況がございます。
これはもちろん領土問題、それから政治的な思惑もあるわけでございますが、人道的な見地から、特に耐震、要するに地震に耐え得る住宅の技術等が日本は非常に進んでおるわけでございますし、技術者の派遣とか、そういう意味での人的支援、技術支援、これを積極的に考えるべきではないかと、このように思うわけでございますが、いかがでしょうか。大臣、済みません、お願いします。
○国務大臣(河野洋平君) 北方四島に対します支援につきまして、私どもは基本的に緊急、そして人道的、二つの見地から支援について考えなければならないと思っております。さらに、現地のニーズを確認するということが極めて重要だというふうに見ているわけでございます。
先ほど来御指摘がございました技術者の支援というのは、議員恐らく頭の中に地震学とかそういったこともあるいはイメージされておられるかもわかりませんが、これらについては明確な要請がまだございません。そういう必要があるのではないかという情報程度はございますけれども、明確な人的な支援についての要請は今のところございません。
それからもう一点、恐らく北方四島の気象条件といいますか気候を考えれば、もうそろそろ非常に厳しい環境になってきている。雪も降る時期は近づいているであろうし、もっと言えば海の荒れ方も相当ひどくなってくるとする、壊れた港湾施設その他を考えて荷物を揚げることもなかなか難しくなってくるのではないかということなども勘案いたしまして、支援については緊急、そして人道的なもので対応しよう、こう考えているところでございます。
○山下栄一君 ちょっと余りよくわからないんですけれども。緊急性は、これはもうまさに緊急事態であると思うわけでございますし、人道的な観点、これもあります。現地のニーズ、先ほど申しましたように、大半の家屋が崩壊しておる、病院まで崩壊しておるというふうな状況がございますし、ニーズはまさにあるというふうに思うわけでございます。
領土問題等の観点から、要請はないのかもわかりませんけれども、要請を待ってというふうなものではなくて、お隣のすぐ近くの話でございますし、そういう惨状を目の当たりにしておる状況の中で、物だけ送るというふうなことではなくて、やはり積極的な人的・技術支援、これはもう絶対にやるべきであると私は思いますし、これは特に日本とロシアのさまざまな協力関係、今までもあったわけでございますけれども、なかなか思うようにいかないという現状がございます。私はチャンスであると思うわけでございまして、この日本とロシアの新たな協力関係を広げていくためにも、可能性を広げていくためにも、これは要請を待ってではなくて積極的にこちらが提案していくべきではないか、このように思います。
来月、第一副首相、ソスコベツ副首相ですか、お見えというのをお聞きしておりますが、副首相の方からも積極的な支援の提案があるかもわかりませんけれども、その前にきちっと日本として準備をし、人道的な見地、また緊急性もございますし、現地のニーズも、そこに住んでいる方々が困っておられるという問題ですし、ふるさとを捨ててどんどん移動せざるを得ないというふうな状況があるわけでございます。
そういう意味で、日本とロシアの信頼を育てていくという面からもこれはもう何のちゅうちょも要らない、このように思うわけでございますので、管轄権にこだわらずに緊急、人道的な見地からぜひともこの副首相来日にあわせて提案していただきたい、このように思いますので大臣に再度御要請申し上げたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員のお気持ちはよくわかりますが、どうもこの問題をチャンスととらえるというのは私にはよく理解ができないのでございます。さらに、私どもは現地のニーズということを申し上げておりまして、これはもう議員御承知のとおり、領土問題という極めて注意深く考えなければならない、我が国の領土に対する基本的な立場というものをしっかりと考えて対応しなければならない部分であります。したがいまして、私どもとしても、もちろん御指摘のとおり、緊急に対応しなければならない、あるいは人道的な問題についてちゅうちょするものではありませんけれども、考えなければならないところはしっかりと押さえて対応しなければならないと思っているわけです。
現に、現地からは例えば災害救助要員などは要りませんと言ってきているわけです。そういう現地からの、どれを現地というかという問題があるいはあるかもしれません、どれがオーソリティーのある発言であるかという問題もあるいは御指摘の中にあるのかもしれませんが、我々としてはその辺はきちっと押さえるところは押さえて対応しなければならぬと思っているわけです。
○山下栄一君 極めて消極的で残念でございます。
もう時間がございませんが、最後に十月二十四日の衆議院における税特委の橋本通産大臣の発言をめぐりまして、太平洋戦争、第二次世界大戦の戦争観をめぐりまして、この発言に対して韓国政府、また中国のマスコミからの反発が報道されておるわけでございますが、この橋本発言に対して河野外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、さきの大戦につきましての政府の認識というものは、我が国が過去の一時期に行った侵略行為や植民地支配が多くの国民に多くの犠牲をもたらした、それのみならず、アジアの近隣諸国などの人々にも今なお大きな傷跡を残しているということを直視して、我が国は再びこうしたこと、つまり戦うということをしないという誓いを新たにして国際平和に向けて努力をしなければならない、こういうふうに私は考えているわけです。
この考え方は村山総理の考え方と同じ認識であると私は思っておりますし、この村山総理の認識のもとに閣僚は仕事をしているということだと考えております。
○山下栄一君 この韓国政府並びに中国通信社の激しい反発についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 橋本大臣も御自身の委員会における議事録を正確に読んでいただきたいという意味の説明を記者会見でしておられると聞いております。ぜひそうしていただきたいと思っております。
○山下栄一君 だから問題は全然ない、発言内容については問題はないと、こういうことなんですね。
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返して申し上げますが、私は村山総理の認識に基づいて閣僚はそのもとで仕事をすべきであるし、しております。この考え方をぜひ理解してほしい、そう思っているところです。
○山下栄一君 それはよく理解しているんですけれども、具体的に橋本発言ございましたので、それに対する評価というか、それをお聞きしたいということでございます。
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返しで恐縮でございますが、したがって橋本大臣は御自身の発言について議事録を読み返してほしいということをおっしゃっておられるわけですから、ぜひ読み返していただきたいと思っているわけでございます。
○山下栄一君 この橋本発言の中に中国、朝鮮半島に対しては侵略行為、また植民地支配があったと、ところがアメリカ、イギリス等と戦ったのは侵略戦争と言い得たかどうかは私には疑問が残ると、こういう発言をされておるわけでございますが、この発言に対しては大臣のお考えいかがでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 橋本大臣の発言を通して読んでいただきたいと思います。その部分をとって私に聞かれても、これは私がお答えをする範囲を超えていると思います。
○山下栄一君 最後に同じ質問をさせていただきますけれども、中国、朝鮮半島に対する日本の行為とアメリカ、イギリスに対する行為とでは違いがあると、こういうことに対する大臣のお考えはどうでしょうか。日本の軍部の中国、朝鮮に対する行為、それと米英に対する行為と違うのであるという、こういう内容についてのお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 橋本大臣は、恐らく中国に対する侵略は明確にあったと、韓国に対する植民地支配もはっきりしていると、この二つをはっきりと例示に挙げておっしゃっているというふうに私は思うんです。
○山下栄一君 したがいまして、だから太平洋戦争の全体の中で戦争には二種類あるという、中国、朝鮮に対する戦争と米英に対するのと違うんだということについての大臣のお考えはいかがですかということです。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、あの戦争を二つに分けるか三つに分けるか、あるいは部分的にどうであったかというふうに実は余り分けて考えていないのであります。
○山下栄一君 終わります。ありがとうございました。