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国会質問

132国会 環境特別委員会会議録 1995年03月10日


○山下栄一君 まず、公健法の一部改正案の方の質問をさせていただきたいと思います。
 法案の改正ポイント二点、遺族補償費の支給対象の拡大、もう一つが認定の更新に係る特例措置の創設、その後の方でございますけれども、今回の大震災が直接の改正のきっかけになったと思うわけでございますが、認定更新の特例措置をつくるわけでございます。今回の災害を契機にいたしまして、災害その他のやむを得ない場合における認定更新の特例措置を設けますということでございますけれども、災害も含めまして、災害その他やむを得ない理由というのを、具体的にはどのようなケースを想定しておるのかということをまずお聞きしたいと思います。


○政府委員(野村瞭君) お尋ねの、災害その他やむを得ない理由とは具体的に何を指すのかという御質問でございますが、地震、風水害等の自然災害はもちろんでございますが、火災でありますとか交通事故、また急病であるとかあるいは出産とか、客観的に見まして申請が困難な場合を想定しているわけでございますが、具体的には、それぞれのケースに即しまして個別に当該自治体において判断されるものと考えておるところでございます。


○山下栄一君 次に、先ほど、認定患者の方々、被災地域内におけるその方々の状況、相当掌握が進んでおるという御報告がございましたけれども、今度、補償費を負担する工場と事業所といいますか、そちらの方の被災状況の話でございます。
 これは、事業所、企業というのが補償額の大体八割を負担する、こういう仕組みになっておるわけでございますけれども、今回の震災地域内でどの程度の被災があったのかということを少しお聞きしたいと思います。


○政府委員(野村瞭君) お尋ねの企業の被災状況についてでございますが、震災発生以来、公害健康被害補償予防協会並びに賦課金の申告事務を委託しております地元の商工会議所を通じましてその把握に努めてきたところでございますが、被害の内容がさまざまというようなこともございまして、被害金額等共通に比較できる評価方法を用いて定量的に把握するという状況には今のところ至っていないのが実情でございます。
 ただ、これまでの聞き取り調査等によりまして大まかに把握したところでは、調査対象のうちおおよそ六分の一の企業におきまして建物でありますとか設備の被害が大きく、さらに、これを含めまして約半分強の企業におきまして稼働状況に何らかの影響を生じているといった状況にあると聞いておるわけでございます。


○山下栄一君 六分の一が壊滅的、激しかったということですか。


○政府委員(野村瞭君) 調査対象のうち約六分の一の企業において被害が大きかったということでございます。


○山下栄一君 これ、補償の金額を負担する企業、賦課金という形で負担するわけでございますけれども、今回そういう被害に遭った、被害の大きい企業については、事業所については納付期限の延長でしたか、納付の猶予ですか、こういう措置が発表されておるわけでございます。これ、毎年補償額を確定していくわけでございますけれども、猶予された分はそのほかの企業が負担することになると思うわけでございますが、こういう補償金は、金額は既にこれだけ補償しなければならないと決まっていると思うんですけれども、どのような形で確保するのか。今までの場合はどうだったのか。また今回は、場合によっては倒産とか事業所閉鎖という、そういう処置をした会社もあると思いますので、そこら辺も含めまして、補償金の穴があいた分をどのように確保するのかということをお聞きしたいと思います。


○政府委員(野村瞭君) 認定患者さん方への補償給付に要する費用につきましては、全国の工場、事業所からの賦課金及び自動車重量税からの引当金によって賄っておりますけれども、補償給付に不足の生じないよう、通常状態におきましても若干の予備費等を見込んでいるところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、現在被害状況も必ずしも正確に把握をしておりませんし、猶予される分についてもまだ不明なわけでございますけれども、仮に徴収が猶予されたといたしまして、その猶予された分につきましては、今申し上げましたように予備費等も見込んでおりますので、その中で極力対応してまいりたいと考えております。


○山下栄一君 次に、ちょっとこれ通告していないんですけれども、お聞きしたいことがございます。
 自治体から認定患者さんへのいろんなさまざまな事務的な手続とかがありまして、自治体にやっていただく事務がございますね。それについては国から補助金が出ているわけでございますが、この公害健康被害補償予防協会につきましても国から補助金が出ておる。企業への、商工会へのさまざまな事務的な費用が要ると思うわけで、この金額なんですけれども、予防協会の方にはたしか五億円近く来年度予算もついておる。自治体の方の分についてはその二十分の一ぐらいだったと思うんですけれども、この金額の、自治体の方は全部で四十ぐらいあるんですかね、ちょっとはっきりした数はわかりませんけれども、非常に差があり過ぎるのではないかなというようなことを素朴に思うわけでございますが、この辺、説明をお願いしたいと思います。


○政府委員(野村瞭君) 御質問の趣旨は、旧第一種指定地域に対する補償給付支給の事務費の交付金のお話かと存じますが、平成六年度の予算額で申し上げますと約十五億でございます。なお、平成七年度の予算としては約十六億を計上させていただいているところでございます。


○山下栄一君 だから、協会の方への交付金と自治体への交付金に差があり過ぎるんじゃないかという話をしているわけです。


○政府委員(野村瞭君) 失礼いたしました。
 基本的に事務の内容が異なるわけでございますので、それによって当然差が出てくるということでございます。


○山下栄一君 それを説明していただきたい。なぜそのように違ってくるのかということについて、もう少し詳しく。


○政府委員(野村瞭君) 補償予防協会におきましては、賦課金を関係企業から、これは商工会議所にも一部委託をしておりますけれども、徴収する事務がございます。それについての費用の一部を補助しているということでございます。それから、関係自治体におきましては、認定患者さんに対する支給の事務を義務者として負っているということでございますので、当然その事務の中身が違うということで差が出てくるということでございます。


○山下栄一君 大層な事務でもないんじゃないかなと思いまして、会社の方は九千社ですか、単純な話なんですけれども。患者さんの方は八万人その他ぐらいいらっしゃると思うわけでございます。もちろん数字だけの業務じゃないかもわかりませんけれども、ちょっと何か。
 国から予防協会への補助金と、もう一度お願いしたいんですけれども、自治体への補助金の金額、七年度予算で結構です。


○政府委員(野村瞭君) 先ほども申し上げましたが、平成七年度の予算に計上をしている自治体への事務費交付金でございますが、これは約十六億ということでございます。


○山下栄一君 協会にも国から補助金が出ていますね。


○政府委員(野村瞭君) 補償予防協会に対しましては国から約五億の補助金を計上させていただいております。


○山下栄一君 じゃ関連しまして、今回の大阪の西淀川公害訴訟につきましてお聞きしたいと思うわけでございます。
 この大阪の西淀川区は、もちろん今回の健康被害の患者さんがいらっしゃる地域でございますけれども、第一種指定地域にもなっております。この西淀川の公害訴訟が、提訴以来十七年ぶりに、患者側と企業側が和解という形で決着したわけでございますが、これは、一九九一年の第一次訴訟地裁判決以来、川崎、倉敷訴訟に続いて、ずっと大気汚染の企業側の責任を認めるという、こういう形で司法判断が出ておるわけでございまして、そういう企業責任を認めるという司法の流れが定着してきているというふうに思うわけでございます。
 特に西淀川の公害訴訟は、都市型複合大気汚染、すなわち工場からの排煙と車の方の排気ガス、両方が複合して大気汚染されているという、この法的責任を初めて問うた訴訟であったわけでございます。工場の方の排煙の責任問題は一応解決したわけでございますが、車の排ガスの責任の方、これが問われておりました国と阪神道路公団は今回の和解には参加しておりません。したがいまして訴訟が継続することになったわけでございますが、大阪地裁の方は国と公団に和解を働きかけたというふうな報道もございました。
 特にこれは宮下長官にお聞きしたいんですけれども、今回の西淀川公害訴訟の和解につきまして、長官はどのように評価されておるのかということをお聞きしたいと思います。


○国務大臣(宮下創平君) 御指摘のように、西淀川訴訟における和解は、原告、これは公健法の認定患者そしてその遺族でございますが、五百十九名の患者を含めて六百十四名からと、それから企業が、関西電力、大阪ガス、神戸製鋼等九社との間で和解が成立いたしまして、裁判上の和解として解決を見たものでございます。しかし、今御指摘のように、国、阪神高速道路公団等も被告として訴えられておるわけでありますけれども、こちらはこの訴訟は係属中でございます。
 環境庁としては、この訴訟自体には大変注目はしておりますけれども、直接的には、環境庁の立場というものが訴えられているわけではございませんので、関心を示しつつも、私としては、公健法の認定患者の方々の対応をきちっとして一日も早く公健法に基づく公害健康被害者の救済に努めるとともに、大気汚染問題は今御指摘のようにいろいろな問題、複合的な問題がございますから、適切に対応していきたいということでございます。


○山下栄一君 関連して長官にお聞きしますけれども、ばい煙の方は、これにつきましてはいろんな企業側の改善の努力等もあったと思いますけれども、大気汚染物質の方が徐々に減少してきておる、公害防止装置の設置等によりまして。
 ところが排ガスの方は、これはなかなかNOxが減らないで、減るどころかふえる傾向が甚だしい、さまざまな目標達成もなかなか困難であるというような状況になっておるわけでございますけれども、法的な争いはともかくといたしまして、今や最大の大気汚染の原因と言われる車の排ガスにつきましては、やっぱり積極的な強化策をとる必要があると思うわけでございますが、これにつきまして、環境庁の今後の取り組みといいますか、お聞きしたいと思います。


○政府委員(大澤進君) 御指摘のとおり、大都市中心に大気汚染、特に二酸化窒素あるいは浮遊粒子状物質、主として自動車、移動排出源によるものが多いんですが、これが大変、基準を達成しない、はかばかしくないという状況にございます。裁判の推移は別にしても、当然といいますか、どうしてもこの対策の一層の推進を、あるいは強化を図っていく必要があると考えております。
 具体的には、自動車排出ガスの単体規制につきましては、平成元年十二月の中央公害対策審議会の答申に従いまして、短期目標につきましては、平成四年から六年にかけて排出ガスの許容限度を車種別に技術評価を行い順次規制の強化を進めておりますし、また、長期目標の関係につきましても、大型トラック等を除く車種につきまして平成十年ごろを目途に達成のめどが立ったところでございまして、残る車種につきましても、答申に示された目標をできるだけ早期に達成するよう技術評価等を進めてまいりたいと考えております。
 また、平成五年の十二月に全面施行されましたいわゆる自動車NOx法、これも関東、関西の大都市の特定地域に対して適用しているわけでございますが、兵庫県も含まれているわけでございまして、この法に基づきまして車種ごとの規制、あるいは物の流れ、それから人の流れ、あるいは交通の流れ等について種々の改善を図って、総合的に交通システムを大気保全の観点からも見直していくということを、関係省庁あるいは当該自治体等とも連携して、今まさにちょうど六年、それから七年、実質二年目に入ったわけでございますが、進めているところでございまして、当面、平成十二年を目標にこれらの総合対策を進めまして、特に低公害車につきましては三十万台を目標に普及させるということで、大気汚染の防止に努めたいと考えております。
 さらに、いずれにしましても、今申し上げたようないろんな総合的な対策を大都市中心に強力に進めなきゃならないわけですし、七年度予算におきましても、今お願いしているところでございますが、環境保全型の交通体系の形成に向けて、幅広く、またきめ細かくこれらの対策を進める具体的な方策についても検討をすべく予算を計上しているところでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。


○山下栄一君 今回の和解の中で、和解解決金約四十億円、そのうち十五億円が、個人への慰謝その他の費用じゃなくて、個人を超える、地域住民全体を意識した地域再生の費用という形になっておるわけでございまして、これは非常に大事な発想ではないかと思うわけでございます。
 もともと宮下長官は、環境に優しい町づくりは同時に災害に強い町づくりになるんだと、こういうふうにおっしゃっているわけでございますけれども、予防協会のお仕事の中に健康被害予防事業、基金を使っての予防事業というのがあるわけでございます。この予防事業は、その中に調査研究もあるわけでございますけれども、地方自治体が行う事業に助成をやるという、そういう項目がありまして、その中に大気汚染対策緑地整備事業、また大気浄化植樹、木を植える事業、こういう事業も入っております。
 これも含めまして、今回せっかく十五億円を使って地域再生をやりなさいというふうなことが住民と企業の合意に基づいて確保されておるわけでございますから、これを積極的に環境庁としても、町づくりのために、環境に優しい町づくりといいますか、積極的にこれに乗ってモデル事業として一緒にやられたらどうかなというようなことを思うわけでございます。この西淀川地域の地域再生の十五億円をさらに国が支援するという形で環境庁は取り組まれたらどうかと思うわけでございますが、この点の長官の御見解をお伺いしたいと思います。


○国務大臣(宮下創平君) 今度の和解で、今御指摘のように、地域の再生のために十五億円を共通費用として使おうという和解の内容は、私は評価できるものと思っておりますし、かなり高く評価されている向きもございます。
 これは、個人に配分するというよりもその地域全体を環境に優しいものにしようということでございますから、今おっしゃられたように緑化だとかあるいは植生とかいろいろそういう自然環境をよくすることを地域全体として和解の中でも意識的にやろうということでございますから、地元の御要望等を踏まえまして、さらに私どもの方であるいは予防協会の方で助成的なサポートをしていくべきものだ、こう考えております。


○山下栄一君 今の件、今年度になるか来年度かわかりませんけれども、どうかモデル事業に位置づけてぜひやっていただきたい、こういうことをお願いいたしまして質問を終わります。

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