132国会 文教委員会会議録 1995年05月11日
○山下栄一君 平成会の山下でございます。
私も、最初に五日制のことにちょっと触れさせていただきたいと思います。
今、上山委員の方から御指摘ございました。私も前回の三月十七日の質問のときに申し上げましたが、標準授業時間数、これを確保することがやはり最優先されておると。したがって、月二回五日制を導入したために、その分学校行事や学年行事、またクラス行事、特別活動等の子供同士が触れ合う時間、そして学校全体として知恵や工夫を発揮しながらさまざまな行事を考えてきた歴史、今もお話ございました音楽祭とか映画鑑賞とか水泳大会、交通教室、さまざまな御指摘がございましたけれども、こういうものを削らないと授業時間数が確保できないという状況に追い込んでおると。
特に、本年度からの月二回につきましては、先ほども局長が触れられましたように、この月二回実施に当たっては、全国六百四十何校ですか、調査の中から乗り切れるという判断の上で月二回実施に踏み切ったという話がございましたですけれども、その六百四十校余りのアンケートの中にも、特に中学校におきましては、この月二回の土曜日の六時間ないし八時間の授業が減った分の穴埋めとして、ゆとりの時間を減らし、学校行事を減らすことによって対応するという中学校が圧倒的に多いというデータは出ておったわけですね。だから、そういうことは既にわかった上での導入であったと思うわけです。
したがいまして、前回大臣もお話ございました、今も局長からございましたように、学校の生活における体験学習とかそういう行事は地域、家庭で補うんだという意味のお話があったわけですね。僕はそれはちょっと違うのではないかということを前回に申し上げて途中で終わってしまったんですけれども、要するに学校生活そのものがどんどん知識中心にさらになっていくと。もちろん、地域、家庭にその分ゆとりの時間が生まれるのだから、地域の行事とか、またはお父さんお母さんとの触れ合いとかがふえる可能性はある。だけれども、学校生活そのものは非常に窮屈になるということは歴然たる事実であるわけですね。それを地域、家庭で補うというのではなくて、私は学校生活そのものにゆとりがなくなってくることが問題であると。
今、学校嫌いがふえている、不登校もふえている、学校は楽しんで行くところなのかと。いろんな生徒との思い出、教師との思い出をつくる場所というよりは、懐かしく思い出される学校生活というよりは、生活者の学校というよりは、とにかく知識押しつけ教育といいますか、そういうふうな生活体験の少ない状況になっていることが学校嫌いをつくり、不登校をつくっている大きな原因であるというふうに考えましたときに、やっぱり子供たちの自由な時間、学校における友達との触れ合いみたいなものが支えで小学生、中学生は生活しておる。特に中学生なんかはそういうことが多いと思うんですね。
だから、学校行事を減らしたりクラスとか学年の創意工夫された行事を減らすということについては大変な大きな問題で、月二回を実施することによって標準授業時間数を確保するために学校行事を減らし、大事な行事を、特別活動の時間を減らすことは、ますます学校嫌いをつくり、そしていじめがふえる可能性を拡大することになってしまうというふうに私は思うわけです。
したがいまして、特に問題点となるのが標準授業時間数なんですけれども、これについてやはり弾力的運用を、地震とかということで超例外でなくて、文部省の方から思い切った弾力的運用が可能なんだということをある程度示してあげることが救いになるのではないか。そうは言っても、実は学校現場は入試等の圧力があってなかなか減らせないということがあるかもわかりませんけれども、そういう標準授業時間数に対する考え方の見直し、これが必要なのではないかと、このように考えます。
それと、先ほど局長がおっしゃった、標準授業時間数の確保というのは教育水準を維持するため、また学力水準を維持することになるから標準授業時間数を確保せないかぬのだというお話がございましたが、この考え方そのものを私は見直す必要があるのではないか。
確かに、授業時間数の量といいますか、それがイコール学力水準の維持ということになるのかもわかりませんけれども、これだったら完全五日制なんてできないわけでございまして、やはり教育内容の精選とか重点化ということが完全五日制の実施に伴ってどうしてもやらなきゃならない指導要領の見直しにつながっていくわけですから、要するに授業時間数を確保することが教育水準の維持につながるんだという考え方を見直す必要があるというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
月二回の学校週五日制は、先ほども申し上げましたが、調査研究協力校の研究の成果などを踏まえて検討した結果、現行の教育課程の基準に従い実施することとしたものでございます。
そういう意味で、標準授業時数は、学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎として、学校運営の実態などの諸条件も十分考慮しながら標準として定めているものでございまして、通常このとおり実施することが期待されているわけでございます。
そういう意味で、先ほども申し上げましたが、標準授業時数については、授業時数の最低を定めたものではなくて、各学校でこれを標準として、学習指導要領に定める内容を指導できる範囲内において地域や学校の実態を十分考慮して授業時数を定め得るものでございます。
そういう意味で、月二回の学校週五日制の実施に当たっては、各学校において学校行事の精選や短縮授業の見直しなどを行いますとともに、体験的な学習や問題解決的な学習を重視しまして、子供たちが自分の興味や関心などを生かして自主的、自発的に学習に取り組むようにすることが大切でございます。
文部省といたしましては、このような学校の取り組みが一層適切に進められるよう指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
○山下栄一君 余りよくわかりませんけれども。
ちょっと大臣にお聞きしたいんですが、学校完全五日制を実施するためには学習指導要領の見直しは不可欠であると、この点はこれでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 完全五日制に移行するためには、学習指導要領は直さなければならないということでございます。
○山下栄一君 それに関連しまして、第十五期中教審のテーマの一つがこの学校週五日制の今後のあり方、家庭、地域、学校の連携と役割のあり方ですか、これが諮問の一つのテーマになっておるわけですが、この第一回目の会合のときに、これは新聞記事なんですけれども、有馬会長が、「学校五日制がいいのかどうかも含めて議論したい」と、こういうお話があったわけでございます。この学校完全五日制の実施についてはちょっと待てよというふうな、待てよというか実際やるかどうかということそのもの、学校完全週五日制はやらないんだということも中身に入っているわけですか、この中教審の今回の諮問の中の一つには。その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 大きな社会の流れとしては、いずれは完全五日制に私は移行していくんだろうと思っております。日本の社会全体が週休二日という方向に動いておりますし、学校の制度がいつまでもそういう社会の状況とは全くかかわりのないところで、土曜日が休みでないということが永久に続けられるかということになりますと、そうではなくて、やっぱり長期的な方向としては完全五日制に移行していくというのが全体としての私は流れであると思っております。
ただ、流れであるからといってそのまま五日制に移行するということではなくて、やはり完全五日制に移行する場合には、きちんと立ちどまって物を考えてから移行すべきだと。そういう意味で中教審の先生方に、五日制に移行する場合どのような物の考え方で移行するということが正しいのかということをお考えいただく、こういう趣旨でございます。
○山下栄一君 その実施に向けての条件の一つに、学力水準が維持できるかどうかと。今の日本の科学技術の水準といいますか、低下が心配される。特に、理数科離れとかそういうことがもう一方の課題としてございまして、この五日制が進めば進むほど学力水準の維持ということが心配になってくるぞということがあるのかなと思うんですけれども、この指導要領の見直しと学力水準の維持について、大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(与謝野馨君) 多分、学力というのは単純に授業時間に比例したものではないんだろうと私は思います。しかしながら、授業時間が少なくなることによって消化できる範囲というのは狭まるわけでございますから、そういう意味では、学力が低下するかどうかは別にいたしまして、消化できる範囲が狭くなるということは多分事実であろうと思っております。
○山下栄一君 消化できる範囲が狭まると。ということで、先ほど局長が申された授業時間数を確保することが学力水準の、教育水準の維持につながるということの話に戻ってくるんですけれどもね。僕は、完全五日制を実施することによって、これは少なくとも授業時間数は減らさざるを得ない、教育内容を重点化し精選化することは不可欠であるというふうに思うわけでございます。
今の大臣のお話なんですけれども、大臣はいろんな機会に理数科離れに対する非常に懸念の御表明もあるわけでございまして、日本の技術力の向上は絶対大事なことであるとおっしゃっているわけですが、もちろん授業時間数、量的な確保そのものが学力水準の維持ではない、だけれども消化範囲は狭まるという微妙なお答えなわけでございます。
五日制を完全実施する、こういうふうなことを前提にいたしまして、なおかつ学力水準の維持のためにはどういうことが必要なんだと、授業時間数を減らさなきゃならない、それにかわって何が必要なんだということについてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(与謝野馨君) 授業時間が減ると申しましても、何も授業時間が半分になるという話では実はないわけでございまして、完全五日制に移行した場合にはさらに月に二回、土曜日の午前中の授業時間がなくなるという話ですから、消化できる範囲が狭まると申しましてもそうドラスチックなものでは実はないと私は思っております。
そういう中で、やはり教え方あるいは教科書のあり方、そういうもろもろのことを工夫してまいりますと、私は現在の学力水準と大差のない水準は恐らく維持できるんだろうと想像をしております。しかしながら、これはあくまでも想像でございまして、やはり完全五日制に移行する前には、まず完全五日制になった場合の学校、家庭あるいは地域社会の役割というものも考えなければなりませんし、また学校の授業のあり方、教科書のあり方、あるいは学科別の配分のあり方、こういうものはやはり中教審の委員の先生方に十分お考えいただき、御提言をいただいた上でそういう方向に進むべきだと、そのように考えております。
○山下栄一君 教員の資質向上といいますか、また指導方法の深化といいますか、そういうことが不可欠になってくると思うわけでございます。
それと私は、とにかく授業時間さえ確保すれば学力は維持できるんだという何かやっぱりそういうものが非常に根強くあると思うんですよね。したがいまして、各教科、学校現場においては授業時間数を一時間減らすことについての大変な抵抗があるということもあるわけでございまして、そういう意味で、量的な確保、そして知識の量イコール学力なんだという考え方は根本的に見直す必要がある。
それよりも、自己学習力といいますか、自分で学ぶ力を身につけさせることが知識を与えるということよりもまさに学力の水準の向上につながるんだと、これがまた新しい学力観に伴う考え方でもあるというふうに思うわけでございます。そういう意味で、考える力、そして判断力とか創造力とかそういうことが今求められている。画一化の教育ではなくて、個性を伸長させる教育というのはまさにそういうことだと思うわけでございます。
そういう意味で私は、もちろん教師と生徒の授業のやり方そのものを確保するということも大事だと思いますと同時に、さまざまな体験ですね、自然体験とか、それから人間的な触れ合いとか、クラブ活動も含めまして、文科系そしてまた体育系も含めまして、そういうことそのものがまさに学力の水準の向上につながるんだというような考え方もこれから取り入れていく必要があるんではないかなと、このようなことも考えるんですけれども、この点は大臣いかがでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
ただいま先生がお話しされましたことは新しい学習指導要領におけるいわゆる新しい学力観に基づく考え方でございまして、児童生徒がみずから考え、主体的に判断し行動するために必要な資質や能力を身につけることを重視するとともに、先生がおっしゃるような自己教育力をつけることによって、生涯学習社会においてみずから生涯にわたる学習の資質、能力を身につけていくということにつながっていくわけでございます。そういう意味では、先生がおっしゃっていることは、今回の学校週五日制を実施する場合におきましてもそのような趣旨を踏まえた通知を差し上げているところでございます。
○山下栄一君 今の局長のお言葉を踏まえまして、先ほどの上山委員の結論にかかわってくるんですけれども、今おっしゃったことをそうと受けとめますと、先ほどの問題点でございます月二回実施に伴う問題点、教師また生徒が一生懸命創意工夫した学校行事とかさまざまな特別活動、これと、いわゆる標準授業時間数を絶対確保するという、どちらを優先させるかということにつながってくるかもわかりませんけれども、やはり授業時間数の方を優先させるという考え方そのものを見直していただきたい、このように思うわけです。学校行事とか特別活動そのものもまさに学力の深化につながるんだということも考慮に入れながら、特に授業時間数の弾力的運用が図られるような御指導をぜひやっていただきたいと御要望しておきたいと思います。
次に、教員の資質向上の観点なんですけれども、これも過去何度も指摘され、また臨教審の答申等でも非常に具体的に踏まえられているわけでございますが、なかなか現実は改善されていないというふうに思っております。
資質向上のために、教員の養成、採用、研修とこの三つの段階が考えられるわけでございますけれども、この真ん中の採用からちょっと聞きたいと思うんですが、教員採用についての改善策、これについて現在文部省はどのような取り組みをされておりますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(遠山耕平君) 教員の採用についての改善でございますが、これにつきましては臨教審の答申を受けまして局長通知等で指導した結果、かなり改善をされてきているわけでございます。
しかし、なおまた改善の余地があるのではないかということで、昨年三月に教員採用等に関する調査研究協力者会議を設けまして研究を行っているところでございます。その際、任命権者でございます都道府県あるいは指定都市の教育委員会の現状を踏まえつつ、さらに検討をする必要があるということでございます。それから、審議と並行しまして、選考方法の多様化等について具体的に委嘱研究を実施しているところでございます。
現在の審議状況でございますが、各種団体からのヒアリングを行った結果についての論点を整理しているところでございまして、今後、先ほど申し上げました委嘱研究の結果なども加味しながら報告書を取りまとめていただきたいと考えております。最終的には平成七年度中、今年度中には報告書をいただきたい、このように考えております。
○山下栄一君 平成七年三月三十一日までに研究を終えることについては、これは終わっているわけですね。報告書を取りまとめているという段階ですか。
○政府委員(遠山耕平君) 教員採用等に関する調査研究協力者会議は単年度の事業として予算上措置されておりますので、一応単年度と要綱上はなっておりますが、実際上は継続して研究を行っているわけでございますので、平成七年の三月三十一日で報告書をいただく形にはなっておりません。
○山下栄一君 わかりました。報告書の取りまとめはこれからだと、具体的な取り組みはこれからだということなんですけれども、選考方法の多様化ということで具体策が出てきた場合に、それをどういう形で都道府県に具体化されていくんでしょうか。手続についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(遠山耕平君) 臨教審の答申を受けた場合でも局長通知で各都道府県、指定都市に指導を行ったところでございますので、今回の調査研究の結果、指導すべき事項が決まりましたら、やはり局長通知で各都道府県、指定都市に指導していきたいと考えております。
○山下栄一君 実際の採用試験はペーパーテスト中心の都道府県がいまだに大変多くて、問題も非常に細かい知識を試すような質問が多くて、実際、子供が好きで教師になりたいという人ほど採用試験に通りにくいと。それで、子供は余り好きじゃないけれども、教師の待遇その他を考えて、でもしか先生までいかなくても、そういう人が通りやすいという実態になっておる。子供が本当に好きで教師になりたいという人が通りにくいというふうなことが現実にあって、そのために改善されなきゃならないことだと思うんですよね。
実際、採用されてしまうとそんなに簡単にやめるということは考えられない。したがいまして、教師の当たり外れという言葉があるぐらい、どの先生に教えていただけるか、担任していただけるかが御両親とか子供たちの最大の関心事であると。したがいまして、やはり採用するのにもっと力を入れて、時間をかけて、お金も使うというふうなことが非常に大事なのではないかというふうに思うわけです。
したがいまして、ぺーパーテスト中心のあり方、その方が大変安易、便利というか簡単に採用できるかもわからないけれども、その分、後から大変なしっぺ返しがあるということだと思いますので、教員の資質向上ということが言われて久しいわけでございますが、そのためにも選考方法を多様化し工夫するということが不可欠である。
幾つかわかりませんけれども、いろんな工夫がされておると。面接についても集団面接、個人面接に時間をかけたり、また模擬授業を実際やってもらうとか、三分間スピーチをやるとか、そんなこともさまざま工夫されているわけですが、この教員採用については時間をかけてしっかりと取り組むという方向で考えていかないと、やはり資質向上という面からこの点はもう最大の課題ではないかな、このように思いますけれども、この辺の認識はよろしいでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 先生おっしゃるとおり、教育の技術も大事ですが、教員として一番大事なのは子供に対する愛情、情熱でございます。それをいかに面接等でその先生の熱心さをはかるかということが一番の問題でございます。
したがいまして、先生おっしゃられるとおり、ぺーパーテストのほかに必ず各都道府県、指定都市におきましては面接試験を実施しまして、その教育的な情熱なり考え方なりをはかろうといいますか、本当にそういう人を選ぼうということで選考をしていただいているわけでございます。
そのほか、そういうものを判定する材料の資料の一つとしまして、クラブ活動の状況でございますとか、あるいは社会的な奉仕活動の状況等もいろいろ調査をして教員の採用に当たっての参考資料としているわけでございます。
○山下栄一君 今、局長おっしゃったクラブ活動の体験とか、またボランティア経験とかさまざまな社会的経験も考慮に入れて採用するということは賛成でございます。
年齢制限について、年齢制限を設けない方がいいと思いますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 現在、各都道府県、政令指定都市の方で実施する教員採用試験の受験年齢ですが、全然受験年齢について制限をしていないというのは二県でございます。あとの県につきましては何らかの形で年齢制限をしているわけでございますが、昔に比べましてかなり年齢制限は緩やかになってきておりまして、上限の年齢を引き上げる傾向にございます。
現在一番多いのが四十歳未満というもので、十九県ございます。その次が三十六歳未満というもので、十一県ございます。それから、一般的に三十六歳とかそういう年齢を設けながら、さらに特例として、ある特定の教科についてはさらにそれを引き上げるというような措置をとっているところもかなり多いわけでございまして、私どもとしては、今後とも教員全体の年齢構成に配慮をしながら、広く社会に人材を求める観点から受験年齢の制限の緩和については各都道府県、政令指定都市に対しまして指導をしていきたいと考えております。
○山下栄一君 今、指導していきたいとおっしゃったのは、年齢制限については原則を余り設けないようにするということですか。
○政府委員(遠山耕平君) 年齢制限を撤廃するのがいいかどうかというのは、現在のところ必ずしも判定できませんので、私が申し上げましたのは、年齢制限について緩和の方向で考えると、こういうことでございます。
○山下栄一君 社会的なさまざまな職業経験とかそういう経験があればあるほど、要するに生徒も多様化しておるわけですから、教育内容も多様化している、特に高校なんかどんどん新しい科目も生まれている状況ですので、教師もやはりさまざまな人材が必要である。そういう意味から社会的な経験ということは非常に大事なのではないか。さまざまな職業を経験された方が教師になるということですね。そういう意味で、年齢制限は原則設けないという考え方の方が正しいのではないか、このように考えておりますが、この点、大臣はどういうお考えでしょうか。
○国務大臣(与謝野馨君) 教師になられる方は、大学を出ましてから教師の資格を取って実際に子供に触れていくわけでございます、教師も人間でございますから、年齢に従い、あるいは人生経験の積み重ねの中でさらに高い人格を確保、獲得していくわけでございます。そういう意味では、教師もまた生徒とともに育っていくものだと私は考えております。
そういう中で、教師としていろいろ社会的な経験も必要な場合もございますし、また、ある年齢に達することによって初めて児童生徒に物を教える、あるいは人生を教えるということも可能になる、そういう場合もあるんだろうと思っております。そういう意味では、ただいま遠山局長がお話し申し上げましたように、年齢制限を撤廃するというのではなくて、段階的に年齢制限を緩和していくという考え方が私は正しいんであろうと思っております。
○山下栄一君 この採用のあり方は、単に教師の採用に限らず、企業の採用その他、入試のあり方も含めまして、これから多様化が時代の流れであろうと思うわけでございますが、特にこの教員採用試験、採用のあり方については非常に閉鎖的といいますか、なかなか実態がよくわからないという状況があるのではないかなと、こういうふうに考えております。
特に、試験問題は基本的に公表されていない、非公開。公開している県はないのではないかなと思うんですけれども、こういうことではなかなか採用のあり方そのものの研究が進まないのではないか、このように思うんです。試験問題の公表を含めまして、各都道府県の採用のあり方の情報公開といいますか、これを私は文部省に指導していただきたいなと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 教員採用試験問題を公開することにつきましては、先生おっしゃるような点も確かにあるわけでございますが、一方また弊害面としましては、それが公開されると、例えば大阪府の採用試験はこういう問題が出そうだというような傾向みたいなのが受験生と申しますか教員の受験をする人に伝わりまして、一層先ほど言われましたぺーパーテストの偏重といいますか、そういう方向に流れるおそれもあるということもございまして、現在、各都道府県では教員採用試験問題を公表していないところでございます。
○山下栄一君 実際は、試験は公表されていないんですけれども、試験問題の何といいますか、いわゆる問題集、もちろんそれは情報を業者が集めて出版しているというふうなことであると思うんです。と同時に模擬テストも行われていますし、現実は教員採用試験の模擬テストも非常に盛んになってきているというふうな認識があるんです。
したがいまして、もちろん試験問題だからペーパーテストオンリーではいけない、多様な採用のあり方を研究し実施していく必要があるということを申し上げているわけで、いずれにしましても都道府県の教員の採用のあり方が極めて不透明であると思うわけです。したがいまして、この試験問題の公表も含めて、採用のあり方そのものをもっと情報公開する必要があると、このように考えております。
それから、採用スケジュールの件なんですが、三月のぎりぎりにならないと採用されたかどうかわからないというふうな県が大変多いわけです。これは教員になる人材を逃してしまう一つの原因になっておる。要するに、三月まで実際に採用されるかどうかわからない。合格はしているけれども内定通知が来ないというふうなことですね。したがって、十月ぐらいには合格の判定はされているんですけれども、実際の内定通知は三月のぎりぎりになってしか来ないという県が大変多いわけですよ。それまで待てない、したがってもう別の会社に行ったりとかそういうようなこともあり得る。人材を確保するためには、一般地方公務員と同じような形で、合格即内定とかそういうふうなことも、早めて内定するというふうなことも非常に大事なことではないかなと思うんですけれども、この点いかがですか。
○政府委員(遠山耕平君) 先生御指摘の採用時期の早期化でございますが、これも臨教審の方から指摘をされておりまして、各都道府県に私どもの方からも強く指導したところでございます。
確かに、昔は十一月と三月が一番多かったわけでございますが、その後、定年制も施行されまして、それから文部省の指導等もありまして、現在では一番多い内定時期は十月でございまして、四十七県が主たる内定時期を十月としているところでございます。ただ、採用者全部をその十月に内定するということは不可能でございます。というのは、定年者につきましては十月の時点でもうはっきりしているわけでございますが、いわゆる勧奨退職によりまして退職される方が確定するのはやはり三月の初めごろでございますので、例えば五人採用するうち九十五人は十月に内定できるけれども、あとの五人はやはり勧奨退職の人数が決まる三月に決まるということは当然あり得べきことだと思います。
○山下栄一君 ちょっと認識が私と違うんですけれども。実際、全体的な内定通知が三月であるという県があると思うんですよ。今、四十七全部と何かおっしゃっていましたけれども、その調査は不十分じゃないかなと思うんですけれども、どうなんでしょう。
○政府委員(遠山耕平君) 全部が十月ということではなくて、五十九県市のうち四十七県市が主たる内定時期が十月ということでございまして、先生がおっしゃられるように、現在まだ三月というのを内定時期にしている県も若干ございます。
○山下栄一君 教職課程の件でございますが、教職課程も見直しが余りされておらないという状況があるんですけれども、今、教師として必要な力、もちろん教科の能力もあるわけですけれども、生徒指導の力とかカウンセリングの力とか、そういうふうなことが非常に重要な時代性になってきておる。したがいまして、教職科目の中にカウンセリング講座を設置するとか、そういうことは考えられないのかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(遠山耕平君) 先生おっしゃられるように、現在、各教科の授業だけではなくて生徒指導あるいはカウンセリングというような事柄が非常に学校では大切な事柄になっておりまして、教員免許におきましてもそのことを考慮しまして、昭和六十二年の教育職員免許法の改正におきまして、従来からの教育心理学等の科目に加えまして、新たに生徒指導及び教育相談に関する科目、それから特別活動に関する科目というのを必修にして、教職に関する科目の修得単位を従来よりも五単位増をしております。
文部省としましては、今後とも大学に対しましてこれらの教職科目の内容を一層充実するように指導することによりまして、教員免許状を取得しようとする者について御指摘の点に関する指導力の向上を図ってまいりたい、このように考えております。
○山下栄一君 大学における臨床心理の講座の数がまだ非常に少ないのではないか。日本の心理学の流れが理論心理といいますか、机の上の心理学というか、研究の要素が非常に強くて、実際の臨床心理というのが非常におくれておるという実情があると思うんですけれども、この辺の改善について具体的な取り組みはどうなっておりますか。
○政府委員(吉田茂君) 国立大学におきます心理学の講座は充実を図ってきているわけでございますが、特に御指摘のようなカウンセリングあるいは臨床心理学、こういった授業科目についてもさらに充実を図ってまいりたい。
例えば熊本大学、静岡大学の教育学部のシラバスを見ますと、相談心理学というような授業科目を設定しております。こういうところでは、いわゆるカウンセリングマインド、こういったものの涵養を表面に押し出しておるわけでございます。
こういった形での臨床心理学等の実践的な心理学の授業科目の充実につきましては、今後私どもとしてもその整備充実につきまして力を入れてまいりたい、こう考えております。
○山下栄一君 現在、国立大学で臨床心理学の講座のある大学は幾つのうち幾つあるんでしょうか。
○政府委員(吉田茂君) いわゆる臨床心理学という名称をつけた数についてはちょっと今正確な数を把握しておりませんが、いわゆる心理学の講座の数は、現在、国立九十八大学のうちの六十六大学、百十九講座を設けております。その中で臨床心理学的な、あるいはカウンセリングにかかわるような授業科目の充実が現在図られておるという状況でございます。
○山下栄一君 臨床心理といわゆる精神科、医学の面ですね、この辺の境がちょっとはっきりしないということもあるのかもわかりませんけれども、今の日本の時代性から考えまして、これは単に学校だけではなくて企業の中、また地域、家庭におけるそういう心のケアの問題というものの非常に需要がふえておると思います。前回も申し上げましたが、そういう意味で臨床面の実践心理といいますか、その辺の学問の普及拡大というようなことは非常に時代性として不可欠であると認識しておりますので、その辺の取り組み、先ほど局長が申されましたけれども、取り組んでいただきたいと思っております。
それから、今度は採用されてからの教員研修ですけれども、これも基本的な研修のあり方が机の前の研修といいますか、講座研修みたいなものが現在では普通になっておると。実際の実地研修というふうなことが少ないように思うんですけれども、これの取り組みはどうでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 教員に採用された場合に、まず一年間の初任者研修を実施しております。それから、各年数を経るごとに五年あるいは十年、それから中堅教員研修、あるいは管理職のための研修というぐあいに、研修については現在体系的に都道府県の方で研修計画をつくって実施をしているところでございます。
○山下栄一君 大学院とか大学への内地留学みたいなこともあると思うんですけれども、そうではなくて、申し上げましたのは、教員になってからも福祉の現場に実地研修に行くとか、それから少年院とか教護院、そのようなところに行っていろいろ勉強するというふうなことも今の時代性では大変大事なのではないかなと考えておりますが、この辺の考え方はどうでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 教員につきまして、その視野を広めていただくために、初任者研修の校外研修の中でいろんな福祉施設やあるいは企業等を見学したり、あるいは実際に企業等で一日実務を行うというような研修を行っている都道府県もございます。
それから、ある一定の年齢を経験した後で、全員ではございませんが、そのうちの一部の教員につきまして、企業等へ数カ月派遣されてそこで研修を受けるとか、あるいは大学院へ留学する、内地留学をするというような形で研修を行っている県がかなりふえてきております。
○山下栄一君 研究研修の方向もあると思うんですけれども、いわゆる実地研修、この充実が今求められておると思いますので、その辺の取り組みの強化をぜひ図っていただきたいと思います。
それから、社会人講師の件なんですけれども、社会人講師ですからパートの教師になるのかもわかりませんけれども、これは生徒の多様なニーズに合わせるためにも大事なんではないか。特に中学生、高校生にとっては、社会人講師に触れることによって具体的な進路指導になる。世の中がどうなっておるのかというようなこと、どんな仕事があるのかということをそういう社会人講師を通して勉強できる、このように考えます。
と同時に、教員の研修にもなる。新しいタイプの社会人の方に来ていただいて今までにはない新鮮な授業を見たり、またその社会人講師と触れ合うことによってずっといらっしゃる教師の研修にもなる、そういうように考えまして、この社会人講師の採用は普及を図っていく必要があると、このように考えておるわけでございますが、採用実績についてちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(遠山耕平君) すぐれた知識あるいは技術を有する社会人を学校教育で活用することは、学校教育の多様化あるいは活性化を図る上で極めて重要でございます。
そのために二つの方法があるわけでございます。現在の制度では、一つが社会人を教諭に直接採用する特別免許状の制度でございます。それからもう一つが、免許状を持たない人であっても非常勤講師として採用する制度、これが特別非常勤講師の制度でございます。
そのうち特別非常勤講師の制度につきましては、平成五年度は高等学校を中心に全国で千七百八十二件実際に採用されております。都道府県で申しますと三十七都道府県にわたっているわけでございまして、平成六年度はさらにふえているのではないかと思います。
特に中学校について言及されましたが、文部省では、平成六年度から公立中学校における社会人の活用を推進するために、中学校に特別非常勤講師を配置して指導上の効果を研究する場合に国庫補助を行っているわけでございまして、それによりまして平成五年度と比べるとかなりふえているのではないかと思います。現在、その数字については調査中でございます。
○山下栄一君 私は採用実績を聞きました。平成六年度はわからないかもわかりませんけれども、実際ほとんど採用実績がない県が多いわけです。私が申し上げたのは中学校ですけれども、その辺をちょっと今お聞きしたんです、採用実績。
○政府委員(遠山耕平君) 千七百八十二件というのは小中高、特殊全部合わせてでございますが、そのうち平成五年度は、中学校は全体で九十五件でございました。そのうち公立は三件しかなかったわけでございますが、先ほど申し上げました国庫補助制度によりまして平成六年度は一応三件が百十三件にふえている、こういう実績にございます。
○山下栄一君 ゼロの県、質問通告でお願いしてあったんですけれども、わかりましたでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 特別非常勤講師の活用がなされなかった県は、平成五年度では十県でございます。
○山下栄一君 平成六年度はわからないということですね。
○政府委員(遠山耕平君) はい。
○山下栄一君 先ほど申しましたように、社会人講師が子供にとっての進路指導になる、それから教員にとって生きた研修になるということから社会人講師の積極的な活用を図るべきであると、こういうふうに思っておりますので、この予算措置も含めまして積極的取り組みをぜひお願いしたいと、このように思います。
それに関連しまして、中学校の免許外教員の解消事業が平成六年度から補助率三分の一で始まっておりますが、着実に成果が上がっているようでございますが、この解消に向けてのスケジュールができておりましたら教えてください。
○政府委員(遠山耕平君) 中学校教員の免許外担当の問題でございます。これにつきましては、理由としまして三点原因がございます。
一つは、僻地学校等で小規模校が非常に多いということ。それから二番目としましては、ベビーブームのときに急激な教員増を行いましたが、そのときの影響によりまして教科別に必要な教員と現員との間に若干の乖離があるというのが二つ目の原因でございます。それから三つ目は、これは総務庁の行政監察で指摘された事柄でございますが、各学校で教員の持ち時間の調整のために免許外担当を行っている、こういう実態もあるわけでございます。これら三点のそれぞれ原因別にやはり対応していく必要があろうと考えております。
一つは、いわゆる標準法に基づきまして教員定数をふやすことでございます。これは現在第六次の教職員定数改善計画が進行中でございます。年次計画によりまして教職員定数の計画的な改善を図っておりますので、その中で免許外教科担任の解消にも配慮をしていきたいと考えております。
それから、二つ目の教科別の必要な教員と現員との若干の乖離の問題でございますが、これにつきましては、各都道府県、指定都市の教育委員会におきまして、教員を採用するときにそれを是正するような教員採用計画をきちんと立ててもらうことが必要だと思います。そういうことをしていただくように各県、指定都市の教育委員会に対し指導を行っているところでございます。
それからもう一つは、単に教員の持ち時間調整のために免許外教科担任が発生する、こういうことでございますが、これはやはりそういうことのないように、教員の負担の均衡化のためには校務分掌等で教員の負担を同じようにしていくということで、持ち時間数の調整のためだけで免許外教科を担任するというような措置をとらないように各都道府県、指定都市に対して指導を行ってきているところでございます。
平成六年度でございますが、その指導の結果、前年度と比べまして約二割、八千六百件減となっております。しかし、まだ三万六百件免許外教科の担任がございますので、さらにその削減に努めてまいりたいと思います。
○山下栄一君 削減に努めたいという話の具体的なことを聞きたかったんですが、平成七年度予算で約三億円近いお金が免許外教科解消のための予算になっておるわけです。非常に強化されてきていると思うんですけれども、この方向が続いていくというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 平成七年度予算におきましては、免許外教科担任の解消のための非常勤講師の配置の補助事業でございますが、平成六年度は各県九人程度の予算でございましたが、それを七人各県ふやしまして、各県十六人程度にふやしております。したがいまして、時間数としましては、四千四百時間程度から七千九百時間程度にふやして予算を措置しているところでございます。
○山下栄一君 七年度はわかっているんです。だから、その方向が続いていくということですね、解消に向かって。
○政府委員(遠山耕平君) はい。このような措置によりまして、七年度は平成六年度よりもさらに免許外教科担任が減るものと私どもは期待をしているところでございます。
○山下栄一君 スクールカウンセラーの配置がこの四月から考えられておると。実情はどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラー活用調査研究委託事業につきましては、実施校について現在その選定作業を進めているところでございます。また、実施校の選定に当たっては、本調査研究事業の趣旨、目的を踏まえつつ、各都道府県の意向を十分聴取し、それを尊重しながら行っているところでございまして、今後できるだけ早い時期に本調査研究事業の実施を行うようにしていきたい、このように考えておるところでございます。
○山下栄一君 既に各都道府県の計画といいますか、それはもう全部刷り上がっているわけですね。具体的に配置されるのはいつごろなんでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーについては、現在各都道府県においてその選考が行われているところでございます。また、その各都道府県における人選に当たっては、この事業の趣旨を考慮して、臨床心理士を初め精神科医や大学の教官など、児童生徒の心の問題に関して高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することとしているところでございまして、そういう各都道府県におけるスクールカウンセラーの選考を待ちまして、文部省にそういう申請が参りましたらできるだけ速やかに決定をしたい、このように考えておるところでございます。
○山下栄一君 今年度予算で措置されているわけでございまして、各都道府県から、我が県は小中高こういう考え方で、またこういう人を配置したいという、これはもう既に終わっていると思うんです。提出済みだと思うんです。ところが、これは今年度予算ですから、悠長にしていたら文部省が都道府県の要請どおりにやらない場合もあると思うんです、これは全額国庫負担だと思いますので。違いますか。
いずれにしても、都道府県の計画が文部省の決裁によって変わる場合があると。となってくると、またどんどんずれてくる可能性があるので聞いているわけでございます。
○政府委員(井上孝美君) 実は私どもも早急に、四月当初からということで各都道府県に対してその申請を要請してきたところでございますが、予算成立後、今年度に入って各県からのそういうスクールカウンセラーの選考等、また実施校の選定、そういうものに若干時間を要している県があるわけでございまして、そういう各県の選考状況等を進めるように今お願いしているところでございますので、できるだけ早い時期にそういう調査研究の実施校を決定したいと考えております。
○山下栄一君 平成七年度はもうどんどん進んでおりますので、これはいじめ対策の最大の、最大かどうかわかりませんけれども、非常に重要な文部省の、また国全体としての取り組みの委託研究だと思うんです。
そのなかなか決まらない状況が人の問題ではないかなというふうなことを思うんですが、実際これは臨床心理士の中から各都道府県が協会と相談して決めるということ、この人選の方法として都道府県が考える、それぐらいしかないのかなと思うんです。人の問題で困っているのではないかなと思うんですが、臨床心理士とか精神科医以外に、前回のこの委員会の御答弁で局長が教員OBをおっしゃったんですが、これは間違いないんでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーの職務といたしましては、児童生徒へのカウンセリング、カウンセリング等に関する教職員及び保護者に対する助言、援助、それから児童生徒のカウンセリング等に関する情報収集、提供、その他児童生徒のカウンセリング等に関して各学校において適当と認められるものというものを職務として考えているわけでございます。
したがって、こういう職務を遂行できるように、スクールカウンセラーの人選に当たりましては、臨床心理士など児童生徒の心の問題に関して高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することとしているところでございますが、地域の実情等によってこれらの専門家が得がたい場合には、十分な知識、経験を持った、特に生徒指導等についても長い経験を持ったベテランの教員経験者を活用することもあり得るところというふうに考えて、三月十七日にお尋ねをいただいた本文教委員会でも御答弁申し上げたところでございます。
いずれにしても、本事業の実施に当たりましては、その趣旨を踏まえまして、適切な専門家が起用されるように各都道府県に配慮をお願いしておるところでございます。
○山下栄一君 スクールカウンセラーは現職教員の中からは選ばないということですね。ただし、OBはあり得るということになるわけですね。
私が理解しましたのは、これは教員経験者というよりは、教員免許を持たないいわゆる心の治療の専門家といいますか、臨床心理士とか精神科医というふうに理解していたんですけれども、そうではないということですね。
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーの起用に当たりまして、先ほど申し上げました職務を遂行できる専門家、高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することが適当であると考えているところでございますから、本来でありますと、臨床心理士あるいは精神科医や大学のそういう心理学等の教官などで児童生徒の心の問題に関して高度に専門的な知識、経験を有する者を起用することが望ましいことは事実でございますが、場合によって、やはりそういうカウンセラーの職務を遂行できるような、生徒指導等を長年経験し、ベテランでかつカウンセリング能力を持つというような教員の経験者を活用することも場合によってはあり得るのではないかということを申し上げているところでございます。
○山下栄一君 教員免許所有者もあり得ると。
ちょっと簡単に御答弁願いたいのですが、小中高の比率ですけれども、これは一対一対一じゃない、場合によっては中学二人で小高どちらかで一人ということが考えられる。この小中高の比率なんですけれども、実際、都道府県の実情に合わせて、中学校の厳しいところは中学校で二校とかというのが考えられると思うんですね。都道府県のそういう意向を尊重するのか、そうじゃなくて、文部省でその比率については全体のバランスを考えて変更することもあり得るというか、その辺はどちらなんでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) スクールカウンセラーの各都道府県の実際の配置に当たりましては、もちろんスクールカウンセラーを配置することが緊急に必要であるというような学校を重点的に配慮しながら各都道府県で申請をしてくると思うわけでございますが、私どもとしては、やはり中学校を重点に置いてその実施校を選定していただくようにしていきたいなというようにも考えているところでございますから、各都道府県もそういう学校の、小中高等学校の実情を踏まえながら適切にそういう実施校については選定して申請をしていただけるものということを期待しているところでございます。
○山下栄一君 ということは、全都道府県の要望の中で小学校がほとんどないとなった場合、全体的に中学校が非常に多くなった、中高中心になったと。そうすると、バランスは非常にアンバランスになるけれども、それでもある程度構わないということですか。
○政府委員(井上孝美君) 本年度最初の事業でございますので、現在各都道府県の申請の状況は必ずしもまだ出そろっておりませんが、県によっては今先生がおっしゃったようなケースも考えられるわけでございまして、できるだけ私どもとしては県のそういう実情、御意向というものを尊重しながら実施校を決定したいと思っております。
○山下栄一君 非常に期待されている事業と思いますので、できるだけ都道府県の一生懸命考えられた意向を尊重して、今の局長の御答弁どおりにお願いしたいと思います。
最後にエンゼルプランの関係なんですが、要するに家庭の教育力の向上ということで、特に若い御両親、お父さんお母さんの相談に乗る、特に育児相談なんですが、家庭の教育力向上のために社会的に支援する必要があると、それがエンゼルプランの中に入っていると思うんですけれども、既にこれはもう予算化されておると。
特に厚生省の取り組みの地域子育て支援センターなんですが、各市町村の保育所に地域子育て支援センターを併設して、そこでこの各市の中にある幾つかの保育所で子育てのネットワークをつくっていくという構想のようでございますけれども、特に若い御両親が具体的に相談できるかどうかと考えました場合に、平日の普通の時間帯では余り意味がないのではないかなと。特に夜間とか日曜日等、休日に相談したいというそういう要望が僕は非常に広範囲にあると思うんですけれども、その辺の受け入れ体制ができるようなプランなのかどうか、お聞きしたいと思います。
○説明員(吉岡大忠君) 御説明を申し上げます。
子育ての経験のない若い母親に育児の相談の支援体制を整備する、御指摘のように大変重要な課題でございまして、過日、文部省さん等も入りました四省庁のエンゼルプランの中においてもこういった施策を進めていこうということが記述されておるわけでございます。
厚生省といたしましては、既に母親になる前から保健所でありますとか児童相談所、あるいは福祉事務所の家庭児童相談室といったいろんな相談の窓口におきまして相談事業をやっておるわけでございますけれども、御指摘の地域子育て支援センター、これを各市町村一カ所程度いずれ配置をして地域の子育て不安の家庭の相談を強力に進めていこうということで、計画的に整備を進めていきたいと考えておるわけでございます。
休日、夜間の相談体制につきましては、この地域子育て支援センターでいきなりそういった体制をしくかどうかということにつきましては、なお検討させていただきたいと思っておりますが、既に児童相談所等におきまして夜間あるいは休日に電話によりまして相談を行う事業を平成元年度から実施しておるところでございまして、できるだけ身近なところでそういった需要にこたえられるような体制の整備を今後とも検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○山下栄一君 児童相談所は都道府県単位ですね。電話相談もないよりはましだと思うんですけれども、実際、需要にかなうためにはやはり夜間とか休日の相談事業という、具体的にそこに出向いて相談に乗っていただけるという体制が必要なのではないか。これは特に自治体の問題かもわかりませんけれども、具体的にそういうところが非常に少ないように思いますので、ぜひ国の方でリードしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。