133国会 決算委員会会議録 1995年09月27日
○山下栄一君 平成会の山下でございます。
まず初めに、午前中の質疑に関連しましてちょっと二、三確認しておきたいことがございますので御質問させていただきたいと思います。
オウム問題処理と宗教法人法のあり方についてということで、山梨の中島委員の方から御質問がございました。その中で、ちょっと不正確ではないのかなと思ったことがございますので確認させていただきたいと思います。
一つは、建築基準法、大気汚染防止法その他の例も引かれまして、そういう法律にオウム教団の宗教施設は明らかな違反があるので担当部局が立ち入ろうとしたけれども宗教施設ということで入れなかったというふうなお話があったわけでございますが、これはちょっとおかしいのではないかなというふうに私は思うわけでございます。
宗教法人、また宗教施設ということで現行のさまざまな、今も警察を初めといたしまして関係行政が検証されておるわけでございますけれども、刑法、薬事法、銃刀法、建築基準法、児童福祉法、その他いろいろな現行諸法の適用に当たって、宗教施設だから、宗教法人だから何かやれない、ほかの法人であればやれるのにという、何となくそういうイメージがあるわけでございます。きょうも午前中そのような御質問であったと思うんですが、実際山梨県の場合もできなかったというお話がございました。これはちょっとおかしいのではないか、このように思いますけれども、文部省の御見解をお願いしたいと思います。
○説明員(小野元之君) お答え申し上げます。
現行の宗教法人法におきましても、第八十六条の規定がございまして、「この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。」という規定があるわけでございます。
御指摘ございましたようにオウムがさまざまな、本当に刑法に触れるような、公共の福祉に反するようなことをした場合に、宗教法人だからそういう刑法その他の適用が緩やかになるということはもちろんあり得ないわけでございます。
御指摘のように、私どもといたしましても、オウム真理教問題の対策の関係省庁連絡会議があるわけでございますけれども、この規定があることはもう当然でございまして、こういったことがあることを当然のこととして今後きちっと対応をしていく、それぞれの法律に違反する行為があればその法律において適切な対応をしていくということが必要だろうと思うのでございます。
ただ、もちろん宗教法人でございますから、憲法で保障されております信教の自由、そういったものへの配慮というのは当然していかなければいけないと思いますけれども、しかし八十六条の規定がございますので、厳正に対応していくべきであるというふうに考えておるところでございます。
○山下栄一君 今、御担当の方から明快な話があったわけでございます。
先ほど申しましたように、さまざまな現行諸法、朝の話では建築基準法違反があるけれども何か立ち入りにくいというふうなことだったけれども、それはおかしいと。宗教法人法の八十六条に明記してある、明らかにそういうことはおかしいんだという、こういう御答弁であったわけでございますが、それを一点確認したいということでございます。
もう一点、朝の展開の中で認証地の問題があったわけでございます。これも何か誤解があるのではないかなというふうなことを感じたんですけれども、宗教法人の認証地、これが東京都であった、山梨県にはないと。だから、権限がなくてさまざまな法律が何か適用しにくかったという、そういうふうな話がきょうはあったわけでございますけれども、認証地とさまざまな現行諸法の適用とは関係ないと。法律違反があるならばたとえどこであろうと、熊本であろうと山梨であろうときちっと同じように適用されるべきである、もう当たり前のことだと思います。
宗教法人の認証地が山梨になかったから何か一般諸法も適用しにくかったというふうな、そういう誤解を与えるようなきょう展開がございましたのでちょっと確認をさせていただきたい。認証地と関係ないというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
○説明員(小野元之君) 宗教法人法八十六条の規定は、「宗教団体が公共の福祉に反した行為」ということをした場合でございますから、これはかなり本当に悪いことをしたということでございますが、東京都知事が認証をしておるわけでございますけれども、お尋ねの宗教法人が例えば山梨あるいは熊本等でいろんな行為を行った場合に、所轄庁でございます東京都知事としては、東京都の中のことであればまだしも、自分の所管外の都道府県で行われた行為についてはなかなかその実態は把握しにくい。現行の宗教法人法が所轄庁に与えております権限というものが非常に限定をされておりますので、実際問題として東京都知事としては、山梨県で行われたことあるいは熊本県等で行われたことにつきまして把握がしにくいということがあるのは事実でございます。
○山下栄一君 だから、さまざまな法令違反ですね、建築基準法違反、先ほど午前中もございましたですけれども、そういう法を適用する場合に認証地は全然関係ない。それが、何か認証地が東京都だったから手出ししにくかったんだというふうな意味のお話ございましたので、確認したい。
一般諸法の適用に当たり、そういう宗教法人の認証地が東京都だから山梨県の宗教施設について一般諸法が適用しにくかったということはおかしい、私はこういうことを確認したいということで御質問しているわけでございます。
○説明員(小野元之君) 認証した都道府県知事が東京都知事の場合でございますが、例えば所轄庁と宗教法人が活動している地域が同じ都道府県の中でございますと、例えば公共の福祉に反した重大なことがあったという場合に、他の法令の規定の適用が妨げられないというのが宗教法人法の趣旨でございますから、そういうことがございましたら、所轄庁といたしましてもほかの部局、建設部局でございますとか農林水産部局でございますとか、そういったところと、同じ東京都の中でございましたら連携が非常に図りやすいということはあろうかと思います。
○山下栄一君 ごく当たり前の話ですけれども、だから普通の法律を適用するのに認証地は関係がないです。どこで認証しようが、そんな法令違反があれば、宗教施設、熊本であろうとオウムの教団がどこであろうとそれはきちっと適用する、当たり前の話でしょうということを申し上げているわけです。そうでしょう。難しい話じゃない。
○説明員(小野元之君) 御指摘ございましたように、日本国内どこでございましても、法令違反等があればその法令違反については対応というものは同じであるということは御指摘のとおりでございます。
○山下栄一君 当たり前の話を確認している。何となく宗教施設だからやりにくいという、そういうことはおかしいのじゃないかということを確認させていただいている。
それと、今も少し次長も触れられたと思うんですけれども、午前の答弁でも大臣からお話がございました。午前の質問の中で、法人法改正以前にやはりいろんな問題点があったと思う、もっと事前に現行諸法で手を打てたのではないのかということを非常に思うという意味の質問があったわけでございますけれども、その中で、さまざまな今回のオウムの事件を通しまして、こういう事件が二度とあってはならないという観点から、今政府におかれましても各省庁連絡会議を設置して、しっかり検証する体制をとっておるという意味のお話があったわけでございます。
省庁連絡会議のことについてお聞きしたいんですけれども、いつごろ設置されて、今までどれぐらいの回数がやられて、どういうことを具体的に対応として考えておられるのかということをお聞きしたいというふうに思います。
○説明員(小野元之君) お答え申し上げます。
オウム真理教問題の関連対策につきましての関係省庁連絡会議でございますが、これは平成七年の六月十二日に設置をされております。実は、これは内閣官房の所管でございまして、内閣官房以外に警察庁、法務省、私ども文化庁、厚生省、労働省、建設省、自治省、それぞれの構成員がございまして、各省庁それぞれの立場で、オウム真理教のこれらの問題につきましてそれぞれの立場でさまざまな措置を検討していこうというものでございます。
現在までの開催状況でございますが、全体会がございまして、その下に幹事会があるわけでございます。具体的にはその幹事会で何回か審議がされておるというふうに私どもも聞いているわけでございますが、幹事会が現在まで三回開かれているということでございます。
○山下栄一君 ちょっと聞き逃したんですけれども、設置された年月日。済みません。
○説明員(小野元之君) 平成七年の六月十二日でございます。
○山下栄一君 私は、この取り組みは非常に大事であろうというふうに思うわけでございます。
きょうの午前中の該当県の実情におかれましても、大変住民の方が苦慮された、苦しんだと。また、非道きわまりないこのような許しがたい事件はもう二度とあってはならないと。
どういうことでこういう事件が起きたのかということをやはりさまざまな全法律的な観点から総括し検証していくために、各行政の対応に問題がなかったのかというそういうことからの多分設置ではないかなというふうに思うわけでございますけれども、平成七年六月に設置されてもう三回検討されておると。余り多くないなというふうに思うわけでございます。
体制とか回数とかお聞きしたんですけれども、どういう中身で検討されておるのかということをもう少しお話し願えたらと思います。
○説明員(小野元之君) 私どもこの一員として知り得ているということでございますが、例えば法務省さんの方で人権関係で人権相談に応ずるというようなこともございます。それから、私どもの文部省で未就学児童の学校への円滑な受け入れの問題、厚生省さんの方では児童相談所で今保護なさっているわけでございますけれども、そういった関係で例えば精神的なケアを行う問題でございますとか児童相談所での保護の問題、それから労働省さんといたしますれば、信者さん等でもしこれから立ち直って就職していこうというような場合の職業紹介の問題でございますとかそれから警察庁さんとしては警察庁さんのお立場での御検討等々、それぞれの省庁が所管しております事柄についての対応策を検討しておるというふうに伺っておるところでございます。
○山下栄一君 今、犯罪、事件その他等々報道されておりまして、オウム事件に対する捜査もどんどん進んでおるわけでございますけれども、ただ、このオウムの実態がわかるにつれましてこれは大変大きなさまざまな問題がある。例えば、武器を製造していたとかそれも国際的な広がりがある。また覚せい剤もつくっていたとかサリンがつくられ、またそれがもしかしたらどこかにまだあるかもわからぬというふうな状況もある等々、本当にこれは考えられないような広がりのあるといいますか大きな影響を与える。国の転覆も考えておったというふうなことも報道されておるわけでございます。
こういうことがなぜ何年も放置されておったのかという観点からの厳しい現行諸法の検証といいますかまた各行政部局の対応に問題はなかったのかということをやっぱりきちっと総括すべきである、こういう観点からこの各省庁連絡会議というのは大変重要であると思うと同時に、今お話を聞きましたらそういう中心的なことよりも、もちろん一つ一つが大事な問題でございますけれども、抜け落ちている部分もあるのではないかなと思いますし、これは大臣、各省庁連絡会議ということで幹事会ですか、どなたが出ておられるかちょっとわかりませんけれども、例えば閣僚レベルに引き上げて、このような事件を二度と起こさないための体制を強化すべきではないのかと、このように思うのでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) 国の政治に責任を持つ者の一人として、これは当然今先生の御指摘のとおりと考えます。少なくも今まで日本の国は最も治安のいい先進国、こういう評価があったように思いますが、オウムの事件以来すっかりその国際的な信用を失ったということを非常に残念に思います。
ただいま私は東京に住まいいたしておりますが、新宿にせよ横浜にせよ、どこへ行くにしても何か暗いうわさがつきまとったり、最近これは伺うところによると、地下街その他のお客様が減ったので不況のせいかと思っていたらさにあらず、やっぱり事件の影響は極めて大であるという暗い話も伺うわけでありまして、こういうことで人心に混乱を生ずるということは政治のあり方としてはいろいろ問題があるので、これからやはり責任ある対応をしなきゃいけない、そう考えております。
○山下栄一君 もう時間がなくなってしまいましたんですけれども、文部省における対応を一言でも結構でございますのでお願いしたいと思います。
特に未就学児童の対応でございますが、厚生省の御報告に、きょう厚生省に来ていただいているのにちょっと時間がございませんので私が申し上げますけれども、教団施設から一時保護され、各児童相談所経由で保護者なりまた養護施設等できちっと今保護されている方々が約百名近くいらっしゃるわけですけれども、この中にはもちろん学齢児童もいらっしゃるわけでございます、この方々への対応でございますけれども、やはり場合によってはすぐに学校に戻れない、一応体制としては責任ある保護者なり養護施設で対応できたけれども、その先すぐに学校に復帰できないという状況に対して、文部省としてどういう具体的な方策があるか手を打っておられるのかということをお聞きして終わりたいと思います。
○説明員(井上孝美君) お答え申し上げます。
オウム真理教関係施設等から児童相談所に一時保護されました百十二人の子供のうち義務教育年齢相当の者は八十七人おりますが、このうち既に七十二人が就学しているところでございます。これらの子供の就学は一人一人の状況を十分把握した上で行っておりまして、その学校への適応状況につきましては現在のところおおむね良好であるとの報告を当該教育委員会から受けているところでございます。
さらに、まだ就学していない十五人の子供につきましても、現在教育委員会や学校、児童相談所等が連携をとって円滑に社会復帰ができるよう、一人一人の状況に応じた細やかな配慮を行ってもらっているところでありまして、文部省といたしましては今後とも関係省庁と連携しながら指導を行ってまいりたいと考えております。
○山下栄一君 終わります。