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国会質問

139国会 決算委員会会議録 1997年01月16日

○山下栄一君 平成会の山下でございます。
 私は、松谷委員も触れられましたけれども、ロシア船籍のタンカーによる日本海への重油流出事件につきまして総理の御所見をお伺いしたい、このように思うわけでございます。
 被害がどんどん拡大しておるわけでございまして、西は島根県から、場合によっては天候の状況、また時期がずれてまいりますと山口県の方にまでという可能性もあるわけでございます。ずっと東の方は、北東といいますか、既にもう石川県の能登半島の最北端禄剛崎ですか、そこまで海岸に漂着しておる。富山、新潟にまで影響を及ぼしかねないというふうな状況になっておるわけでございます。

 この関係から、特に漁業、水産業にかかわる方々はほとんど仕事ができない、魚をとるのではなくて油を取っている、そういう状況があるわけでございます。生活破壊、暮らしの破壊、そしてまた自然環境の破壊、生態系の破壊、こういう状況が広がっておるわけでございます。
 こういう状況に対しまして、今までどちらかというと自治体中心の対応、自治体もそれはもう都道府県というよりも市町村、三国町とか越前町とか芦原町とか、福井県におきましてはそういう町村が対応しているということだったわけで、国のかかわりが極めて、国は何をしてくれるのかなという不安が大変、不安というよりも不満ですね、これが非常に高まっておるわけでございます。

 総理がお帰りになったのはおととい十四日の夜でしたね。それでけさですか、運輸大臣に対してというよりも政府の災害対策本部、船首部分、根元を断たなきゃいかぬということで本当に的確な、もうそれしかないと思うわけですけれども、既に三国町沖、安島岬沖に着底している船首の部分、まだ数千キロリットル、それが今も流出している、漏れ出しているということが確認されている。確認されたのも、これもたしか十四日、二、三日前だったと思います。はっきり言うとその漏れぐあいも微々たるものという話もありましたし、もう少し亀裂が大きくなっているということがわかったのも二、三日前の話であると。

 それから、船体、船の本体の部分ですね、先ほども総理が触れられました、隠岐島から百六キロ北北東ですか、そこの沈没地点もいまだにはっきり確認されていないわけですけれども、そこから流出したと思われる油膜また油塊、これはもう原因、沈んだところから油が出ているという上の部分、海上に浮き上がった部分、間違いないということがわかったのも、これも二、三日前の話だという、そういう状況であるわけです。

 特に、今、総理は船首部分について全力を挙げろというお話があったわけですけれども、これにつきましても船主、船の所有者が費用負担をしますという話が明確にあって、船主側から、ロシアの船会社といいますかの方からの依頼で、もし油で汚れた場合の国際的なそういう条約に基づく民間の加盟の基金があるわけですけれども、その辺からの提案もあって、今回の作業道路をつくるとかそれから抜き取り作業をするとかという方針が、これは日本の政府が提案をしたのではなくて向こうから提案があってそしてやりましようというふうなことを十四日、二日則に方針が決まったという状況でございます。

 総理の方からは、とにかくそれに全力を挙げるんだという話がきょうの話でございます。運輸大臣もやれることは全力でやるんだというようなことを先ほどおっしゃったわけですけれども、こんな話を何でもっと前にやれなかったのかなと。と申しますのは、二日の午前二時ですか、夜中に事件が起きたわけですけれども、もちろん人命救助でこの二日間大変だったというお話、先ほどございました。

 ところが、その真っ二つに破断した船の船首部分がどんどん日本近海に近づいてきて、一月六日の時点で、今から十日前です、その時点で直前に接近した。七日にはもう着底した。一週間前にもう着底しておったわけですよ。それで、そこから漏れているというのも、漏れているのかどうか、漏れぐあいがどうかというのもその時点でわからない。それで、漂着した海岸沿いではとにかく仕事を全部休んでひしゃくでという話ですね。自衛隊の船もバケツを下へおろして作業しているというふうな状況が続いている。漁業関係者も連日その作業で疲れ果てた状況になっているわけです、今。目前に漏れているのがわかっておりながら沿岸部分を清掃してきれいにした。きれいにしたけれども、きのう、おとついはまた新しく、清掃し終わったところにまた漂着しているわけです。

 もう徒労としか言えないけれども、作業せざるを得ないから、みんなボランティアまで動員して、一万人を超えるボランティアが来てやっているという状況になって、全力を挙げますなんて言われたって、とにかく七日に船首部分が着いていたわけですからね。七日というのは総理が東南アジア歴訪の旅に立たれたときだったと思いますけれども、十日になってやっと政府の、通常体制の課長レベルの連絡会議じゃなくて、政府の災害という名前を使った対策本部が、総理が立たれて十日の閣議で、それで第一回の会議が開かれているわけですよ、運輸大臣中心の。この時点になって全力を挙げますとか、それはちょっとひどいぞというふうに私は思うわけです。

 やはりこれは、もちろん費用負担をどうするかということもあったとは思いますけれども、費用負担なんて言っておれない状況がもう七日から続いておったわけでございますから、仕方がないから福井県も三国町も、とにかく何とかするからやれという形で、今ドラム缶の処理体制とか一生懸命になって最近やり始めているという状況なんです。自治体職員もかかわって最近始めたという、そんな状況なわけですよ。それまでは漁業関係者とかボランティアがやっていたと、それが延々と続いておったわけです。

 そんなふうに考えますと、やはりこれは政府の対応、総理は危機管理の意識が大変高い総理だと私は思うわけですけれども、このことにつきまして私は政府の対応がおくれたと言わざるを得ない、このように思うわけですけれども、総理のお考えをお聞きしたいと思います。


○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は御批判は率直に受けたいと存じます。
 ただ、この事件が発生いたしました当初、私の方でまず気になりましたこと、実は油よりも人命救助という要請であり、これを優先しておりましたことは事実であります。ところが、その後、天候の非常に悪化しております中で、船首部分の沈没をしないままに海上を浮遊している、その方向が日本の沿岸のどこかに向かう可能性ありという報告を受けてから、大変気になりながら私はASEANに出発をいたしました。そして、出先でもその報告を受けておりましたけれども、気象状況の非常に悪い中で、着底といいながら船首部そのものが揺れている、非常に危険な状態でなかなか作業がはかどらない、そういう情報も聞いて大変気になっておりました。
 また、委員が御指摘になりましたその周辺の海域に付着した油がいかなる被害をもたらすか。私は自分の郷里の水島における重油流出事故の後の状況のいかに深刻なものかは存じておるつもりであります。それだけに、その被害状況あるいは油の漏れの状況等が、悪天候のためとはいいながらおくれたということでありますなら、その御批判は甘んじて受けたいと存じます。
 しかし、私は、地元の皆さんにも大変な御協力をいただき、またボランティアの方々にも御協力をいただきながら、海上保安庁の巡視船艇、海上自衛隊の自衛艦、港湾建設局の油回収船、あるいは海上災害防止センターの契約漁船等、非常に努力をいただきながら今必死で除去作業に取り組んでおりますところだけに、御叱正とともに、今後作業を円滑に進める上での御協力を心からお願い申し上げたい気持ちでいっぱいであります。


○山下栄一君 総理、七日に着底したと申しました、先週。十四日の午前中に対策本部が二回目の会議でその方針を決めたんですよ、七日に着底していながら。どくどくと出ている。もう徒労の作業を繰り返しているんですよ。総理おっしゃったように根元をとめないかぬという方針をもっと早くやっていたらそういう徒労の作業というのは積み重ねる必要がなかったわけでございますから、この点を明確に指摘しておきたいと思うわけでございます。

 それから、ロシアヘの対応なんですけれども、いろいろ外務省から報告を受けておりますけれども、エリツィン大統領から人命救助ありがとうございましたというのが来たのが二日の事故があって一週間たった一月九日なんです。九日の時点ではありがとうございますだけなんです。大変御迷惑をおかけしておりますと、遺憾の表明も何にもない。その時点ではもうたくさんの被害が出ている状況です、九日ですから。それ以降、大分官僚レベルでは、大使館の話とか、向こうへ行かれた審議官が第一副首相に要請されたというようなことは聞いております。そのときに遺憾の意を表明されておりますけれども、しかるべきロシア政府の代表からいまだに遺憾の表明もない。

 日本の国も、外務大臣が、おとといですか、ロシア大使と外務省で会われたという話をお聞きしましたけれども、総理からも外務大臣からも、ロシア政府はちょっとまずいですよと、対応に対する遺憾の表明もいまだにされておらないわけですけれども、これは私は大問題であると思うわけです。
 この点についていかがでしょうか。


○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身、十四日の夜分に帰着をいたしまして、三塚内閣総理大臣臨時代理、梶山宣房長官、また池田外務大臣から、ペルーの事件の推移とともに、この状況の報告を受けました。そして、作業の難航しております状況も聞いておりました。
 また、対策本部が早くできていればこんな事態にならなかったという御指摘でありますけれども、対策本部が早かった遅かった、御批判があるならそれは最初に申し上げましたように甘受をいたします。そして、不在中とはいえ、私の責任であります。しかし、悪天候というものに対してどうか御理解を私はいただきたいと存じます。
 そして、現場で作業をしておる諸君は、海上保安庁も自衛隊も、地方自治体の職員の方々、あるいは災害防止センターからお願いをいたしました漁業関係の皆さん、ボランティアの方々、一生懸命にやっていただいていると思っております。
 また、エリツィン大統領からこれについて遺憾の意が表されていないと。確かに、私あてに人命救助の方のお礼状をいただきました。しかし、この手紙の中にその後の被害云々ということがなかったことは事実でありますが、議員もマスコミの報道等で御承知と思いますが、エリツィン大統領は入院中ということでもあります。
 そして私は、外交当局との間に遺憾の意の表明は当然のことながら行われたと承知をいたしております。外務大臣呼ばれておりませんので、ちょっと詳細わかりませんけれども。そして、それを受けて大使が、昨日でありましたか、現地へ行かれたと私は承知をいたしております。


○国務大臣(古賀誠君) 事実関係だけ明らかにさせていただきたいと思いますが、総理がASEANに訪問中も、常にこの問題で御心配をいただきまして、毎日この問題についての報告を大変総理自身お気にしていただいていたことを申し添えさせていただきますと同時に、本部長として私から若干の事実関係、触れさせていただきたいと思います。
 政府の災害対策本部を設置いたしましたのは十日でありますけれども、それぞれの管区には四日、六日と八管区、九管区設置をさせていただいております。七日、船首部が着底したときに海上保安庁の長官を本部長とする対策本部も設置させていただき、着底した船首部をどう持っていくのか、どうした方が一番油の流出をふさぐことができるのか、こういうことについて早速検討に入らせていただいた事実関係は御報告を申し上げさせていただきたいと思っております。
 なお、この問題につきましてそれぞれのできる限りの船首部の処理法についての検討を重ねた上、十二、十三と地元関係者との協議、船主側との協議、海上保安庁を中心といたしまして大変御苦労いただいた中で処理法を決定させていただき、自然条件との中で十四日に着手したい、その状況が非常に極めて厳しい状況でございましたので、きょうあすと自然状況を見ながら取り組ませていただきたい、こういう状況であることだけは御報告を申し上げておきたいと思います。
 なお、十四日、パノフ在京ロシア大使は池田大臣を訪れになりまして、本件につき改めて深い遺憾の意を表明するとともに、ロシア政府としても今回の件につき責任を感じており、油の防除の作業に参加するため、政府予算により三十万ドルを特殊船舶の派遣に充当している旨を申し述べてあります。
 このことも付言させていただきます。

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