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国会質問

140国会 文教委員会会議録 1997年05月13日

○山下栄一君 平成会の山下でございます。
 この放送大学の構想につきましては、私が所属しております旧公明党の時代に、昭和四十年代ぐらいからさまざまな提案をしてまいりまして、昭和六十年からでしたか、実施されるようになったわけでございまして、全国展開ということを可能にするそういう法案が今審議されていることにつきましては非常に評価するものでございます。ただ、先ほども田沢先生の方からお話しございましたように、行政改革との絡みでやはり問題点もなしとしない、こういうふうに考えておるわけでございます。

 まず、特殊法人放送大学学園の経営実態につきまして、一般会計に対する依存の割合、それと、今回の全国展開によりましてどのように改善される可能性があるのか、一般会計依存率ですね。自己収入、できるだけ生徒数をふやしてというお話もございましたけれども、その辺の見通しをお聞きしたいと思うわけでございます。

○政府委員(草原克豪君) 放送大学学園の現在の経営状況をまず申し上げますと、収入源は学生納付金等の自己収入と国庫助成から成り立っておりまして、平成八年度は支出が百二十八億円でございます。これに対し自己収入が二十八億円、国庫助成が百億円、こういう状況でございます。
 今後、全国化に伴ってこの支出あるいは収入がどのように推移していくかというお尋ねでございますが、収入につきましては、全国化の実現によって学生数の増加が見込まれますので、その分、授業料収入という形で自己収入の増加を図ることができると考えております。他方、支出面におきましては、通信衛星を使うための経費が年間約三億円でございますが、そのほか地上関係の施設・設備の経費がございます。それから、特に今後は学習センターの整備、運営が大きな課題となっておりますので、その面での経費については増加することが見込まれます。
 ただ、これが今後どのように推移していくかということについては、まず学生数の増加も今のところ一応十万人程度になろうかという推測をしておりますが、なかなか確実な推計をすることは難しいわけでございます。自己収入の率は現在のところ約二三%でございますが、これを行く行く仮に五割を超えるような程度まで上げようとすれば、現在の授業料を二倍程度に引き上げる必要もあるのかということも考えておりまして、授業料そのものをどの程度に設定するのか、こういったさまざまな要素が絡んでくるものと考えております。

○山下栄一君 放送大学学園の財政につきましては、当初から自己収入を半分は何とか確保したいという目標があったと聞いておりますけれども、それは二割ちょっとだというようなことでございます。
 それで、これは全国展開によりまして、先ほども田沢先生からお話しございましたように、地域学習センターを学習センターに格上げするためにそれだけの場所も確保しなくちゃならないと。お借りする、間借りが多いかもわかりませんけれども、今の地域学習センターの状況ではとてもやっていけない。入学手続その他、学割の発行とか奨学金の問題とか、大幅に事務量の負担がふえてくる、そのために人も必要だと。
 施設、人員の拡充につきましてどのようなお考えであるかということをお聞きしたいと思います。

○政府委員(草原克豪君) 全国化に伴いまして、現在置かれている各地域学習センターを学習センターにいわば格上げをいたしまして、新たに全科履修生を対象とした面接授業ができるような体制にする必要がございます。そのためには、御指摘のとおり、人的な面あるいは物的な面、両面での整備が必要になります。これについては一挙にすべての学習センターを整備するということは大変難しいと思っておりますので、平成十年から四年間をかけて年次的に整備したいということを考えております。その際には、地域間のバランスとかあるいはそれぞれの地域における学生の規模、また地域の特性、こういった点を十分考慮しながら、そしてまた、いずれにしても経費のかかることでございますので、財政当局ともよく調整をした上で準備を進めていきたいと考えております。

○山下栄一君 学習センターの場合は正規職員といいますか五人ぐらい、それに対して地域学習センターは一人で今現在はやっていらっしゃるけれども、とても一人じゃできないのでそれをふやさなきゃいかぬということですね。人も大変たくさん必要であるということでございます。
 あと、将来の方向ですけれども、単位互換の問題で、私学の場合は、比較的私学そのものの財政節減にもなるので、非常に今は単位互換はありがたいというふうなこともあるようですけれども、国公立はほとんどそういう制度がないと。私学の場合も一方通行で、放送学園の生徒が私学の単位を認定してもらえるかといったら、してもらえないというようなこともあるわけでございまして一方通行。これは、相互に単位互換し合うようなそういうお考えはどうなんでしょうか。

○政府委員(草原克豪君) 仰せのとおり、現在単位互換制度を設けておりますが、それは既存の大学に学ぶ学生が放送大学においても単位を修得す
る、そういう意味で一方通行であるということは言えると思います。
 なぜそうなっているのかということを放送大学に聞きましたところ、放送大学の学生はもともといろんな事情から既存の大学に通学することが容易ではない人が学生となって勉強しているわけでありまして、その意味で一般大学で単位を修得するニーズが低いということがある、こういう説明を受けております。
 しかしながら、そのような双方向の単位互換というのは双方の大学の内容を充実する上でも意味のあることであると思っておりますので、そういう希望には積極的に対応するように放送大学学園に対して指導してまいりたいと思います。

○山下栄一君 引き続き、これからの方向の問題ですけれども、今は教養学部一学部でございますけれども、新たな学部また大学院の設置、そんなすぐには無理だと思いますけれども、そんな方向性をお考えになっておられるのかおられないのか。
 国際化、要するに東南アジア等その他、それは限りませんけれども、授業の提供ができるようなそういうことについてのお考えはないのかあるのか、その辺をお聞きしたいと思います。

○政府委員(草原克豪君) 現在、放送大学には教養学部一学部が置かれているのみであります。教養学部を置いた理由は、今日のように変動する社会の中で、いろいろ複雑な課題を解決するために総合的なあるいは学際的な学問が必要となってきておりますので、そういった領域を取り上げて、必要な学問的教養を身につけられるようにという趣旨から教養学部を設けたものでございます。
 新たな学部を設置するということにつきましては、放送大学が公共の電波を利用して限られた時間の中でできるだけ多様な要請にこたえられるようにする必要があるという事情が一方にございますし、また、文学とか経済学とか理学、工学、こういった従来の分類によるような各専門分野ごとの教育については、現在大学の通信教育を通じて相当広範囲に実施されている、こういった事情もございますので、放送大学としては現在のところ新たな学部を増設するということは予定しておりません。
 また、大学院についても、そもそも今のところ通信制の大学院という制度そのものがございませんで、これは大学審議会で現在検討しているところでございますけれども、放送大学として現在大学院を設置するという計画も具体的には持っておりません。
 それから、国際化への対応ということでございますが、衛星放送を利用して質の高い高等教育の放送を諸外国、特に近隣の諸国に提供するということについては意義のあることであると思っておりますが、放送大学としては、これまで十年余りの間、関東地域に限られていた放送範囲をとにかく全国に広げようということを最大の課題として対応してまいりましたので、やはり全国各地の要請にこたえるということが先決であると考えております。
 また、他の国に向けて放送を提供するということについては、どういう言語を使用したらいいのかとか、あるいはそれぞれの国における国際放送に対する考え方といった問題もあると考えられますので、現在の段階ですぐに現在の放送大学の放送内容を諸外国に提供するということは考えておりません。

○山下栄一君 先ほど在学生の年齢別のお話もございましたが、十代と二十代を合わせますと三分の一を超えているわけです。
 放送大学学園卒業、学士の資格を得た、それに伴って新しい仕事に変わった、また司法試験等の試験にも合格したとか、そういう新たな進路開拓実績、そういうのが、高齢者とかじゃなくて、十代、二十代、これを中心にどうなっているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

○政府委員(草原克豪君) 十代の学生が六・五%、二十代の学生が二八・三%、御指摘のとおり両方合わせますと三四、五%になります。ただし、十代、二十代の若い学生層の中には一般大学の学生で、ここで単位互換のために特別聴講生として在学している学生が相当数含まれております。高校を卒業してすぐに放送大学に進学するという学生の数はそう多くはございません。
 そういうことをまず御理解いただいた上で、卒業生の進路について簡単な調査がありますのでそれを御紹介しますと、平成五年までに卒業した三千五百名余りの人たちを対象にアンケート調査を行ったことがございます。
 回答者が二千百六十一名ですけれども、このうち在学中に無職、ほとんどが有職なんですけれども、在学中に無職であった人が八百八十三名おりまして、この八百八十三名のうち、卒業後に就職した者が九十六名おります。したがって、約一一%ということになろうかと思います。それから、放送大学の学生の間は仕事を持っていたけれども、卒業後、この卒業資格を生かして転職をしたという人も七十二名を数えております。
 こんな調査結果がございます。

○山下栄一君 放送大学の授業のレベルは非常に高い。専任、客員の先生方を見ましても本当に各界の大変優秀な方がそろっておられるということで、ますます私はニーズが広がっていくのではないかなと思っておるわけですが、考えようによっては大学希望者が減ってくるわけでございますよね。余り充実し過ぎると、ほかの大学との競合が心配になってくる。若い人、もちろん特別聴講学生の率が高いとおっしゃっておりましたけれども、充実すればするほど、民間の補完じゃなくて民間と競合してくる可能性も出てくるという、そういう心配が考えられるのではないかなと。
 財政負担につきましても、自己収入、自立するのがなかなか厳しい状況だということを考えましたときに、もちろん公共性は大変強い面もあるわけでございますが、将来はそうとも言えないのではないかなというふうなことを感じております。
 行革の折、今全国展開しようとしている中で水を差すような話で大変申しわけないわけでございますけれども、大臣にお聞きしたいんですが、将来の方向として、特殊法人の民営化、大学人口の減少とともに放送大学の民営化を考えざるを得ない状況になってくるのではないかというふうなことについてのお考えをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(小杉隆君) 公共の電波というのは非常に貴重な私は国民全体の共有財産だと思うんです。そういう公共の電波を使った大学というのは極めて私は公共性が高いと思うわけでございます。また一方、私立大学におきましては大学の自治とか自主性というものがありまして、放送大学の持っている公共性と私立大学の持っている自主性、そういうものの調和が非常に困難であるというようなこと。そういった放送大学は極めて公共性が高い特殊性ということから、国が相当関与していかなきゃいけないだろう、こういうことで、私は、やはり特殊法人という形で国が相当程度関与していかないといけないのではないか、こう考えております。
 それから、私学との競合ということですけれども、先ほど答弁にありましたように、何らかの事情で大学に行けない、こういう方がほとんどでありますし、年代から見ましても非常に広範にわたっておりますので、おのずから放送大学の目指すところと私立大学の目指すところというのは違いますし、そういう点で、私は民営化というのは決して好ましいことではないと思いますし、放送大学が内容をもっともっと充実させていくことによって私立大学に学生が行かなくなるという懸念は当たらないんじゃないかと思います。

○山下栄一君 時間の残りも余りないんですけれども、ちょっと別の問題をお聞きしたいと思っております。
 昨年の九月以来、覚せい剤を中心とする薬物汚染が広がりまして、何度も言っておりますけれども、教室が汚染されておるという実情がどんどん
広がりつつあるということにかんがみましての質問でございます。

 この五月に、体育局の方で、児童生徒の覚せい剤等の薬物に対する意識等調査が実施されるというか、それがもう既に実施に向かって今各都道府県教育委員会を通して子供たちの意識調査、小学校五年生、六年生、中学、高校生等約八万人を対象とする意識調査の件でございますが、子供たちのプライバシーを保護するという観点から、これは確かに非常に慎重にやる必要があるけれども、子供たちの意識の実態を把握しないで的確な手は打てないということから非常に大事な調査であるというふうにとらえております。

 ところが、今回の意識調査は、子供たちだけではなくて学校、場合によっては教師に対する意識調査、これを同時並行で行われるということになったようでございます。薬物乱用防止に関する指導実施状況調査、このアンケートを見ますと、場合によっては国による学校教育への介入に非常に心配があるような内容になっているというふうに私は感じるわけでございます。
 例えば、薬物乱用防止に関する指導を実施しましたか。はい、いいえ。次に、各教科、学年ごとに指導した学級の数、指導した授業時間数はどうだ。それから、指導の中でどんな薬物を取り上げたか。シンナー、覚せい剤、大麻。使用した教材はどうだ。それからチームティーチングまたは指導に協力した人があったら、その教科、学年ごとに丸をしなさい。養護教諭、麻薬取締官OB、学校歯科医その他が書いてあるわけです。

 こうなってくると、教育内容、方法にまでかかわってくる。文部省の方はそんなかかわろうとする意図はないんだというふうにおっしゃっているわけでございますけれども、じゃ、ほかの問題で、例えば従軍慰安婦の問題で、君が代の問題で、どんな教材を取り上げてどんな時間数でやったんやというようなことを、やらないとは思いますけれども、それと今回のとどう違うんだと。この場合はよくてこの場合はいけないとかは、それはどこが判断するんだというようなことになってくると非常に私は問題が出てくるのではないか。
 こういうふうなことにまでかかわられたら、学校の教師も非常に威圧感も感じるし、強制力を感じるような、指導要領に書いてあるから実施しないとというふうなことになってくると、ちょっとやっぱり問題が出てくるのではないかなというふうに思うわけでございまして、児童生徒の覚せい剤等の意識調査の中に、薬物乱用防止に関する指導実施状況に対する調査についてはやめるべきである、このように私は考えるわけでございますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。

○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘の調査でございますが、最近の薬物乱用による児童生徒の補導状況等を見ますと、極めて深刻な状況にあるわけでございます。そういう観点から、より充実した薬物乱用防止教育を今後してまいりたい、そのためには、一つには児童生徒が薬物に対してどのような意識を持っているのか、あるいは薬物乱用の背景となる状況としてどのようなことがあり得るのかということを的確に把握すると同時に、学校において具体にどのような指導状況にあるのかを、かなりの程度状況を正確に把握しておく必要があると考えたわけでございます。そういった観点に立ちまして、今回児童生徒に対する意識調査とあわせて学校における指導状況調査を実施したわけでございます。
 この調査に当たりましては、対象となった児童生徒が在籍する学校を対象として調査を実施することといたしておりまして、調査票につきましては、都道府県教育委員会で選定した学校に対して都道府県教育委員会が配付をするというふうな形をとりまして、当該学校につきましては六月六日までに調査を終了し、調査票を文部省の指定する民間調査機関に送付をすることとしておるわけでございまして、具体の学校名等は公表しないというふうな形での対応をしておるわけでございます。
 このような調査は、あくまで現在の指導実態というものを把握し、深刻化する薬物乱用の防止教育の充実のために、まず正確な実態把握、それを踏まえて今後の教育を考えていく、その参考資料として活用させていただくということといたしておるところでございます。

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