142国会 文教・科学委員会会議録 1998年02月12日
○山下栄一君 斎藤参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、先生のお考えは、今回の法案の中身は本来は賭博罪に当たる、そういう内容を導入しようとしているというお考えなんですけれども、今回の法案の名称はスポーツ振興くじ法案になっているんですけれども、スポーツ振興賭博法案というふうに変えないとおかしいんじゃないかということじゃないのかなというふうに思いまして、法律の専門家の方々の中で、今回の法案の中身から考えて、これはくじじゃないぞ、賭博だぞというお考えが一般的なお考えなのかどうかということも含めてお聞きしたいと思います。
○参考人(斎藤義房君) お答えいたします。
法律家の議論としては、これは明らかに賭博であるということでは一致しております。
ですから、日弁連の会長声明でも「(通称「サッカーくじ」)法案」ということでありまして、あくまでも通称ではこう言われておりますという意味ですね。まさにこのくじというものが宝くじと同じような意味なのだという形で通称として使われているとするならば、それは実体を誤らせるものであるというふうに言わざるを得ません。法律論としては、これは賭博であるということはもう弁護士会一致した見解です。
○山下栄一君 黒須参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、私もスポーツ振興の必要性、特に地域スポーツ、これはもう大変重要であると。これからの日本のさまざまなことを考えて、地域の観点からのスポーツ振興は大変重要であるというように思っております。ただ、財源確保でくじというのは、この導入について非常に疑問を私は持っているわけですけれども、総合型地域スポーツクラブのモデル事業、これもやっと緒についたばかりであると。このモデル事業も国民的などんどん後押しを、まずそれが前提にあって、それでそれを文部省も支援していくという形が理想的だろうと思うんですね。
先ほど浅見参考人もおっしゃいましたけれども、スポーツの競技団体というのは一生懸命今までも訴えてきたけれども、国民的な議論の中で地域スポーツの必要性というようなことがまだまだ認識されていないと。スポーツというのが生活に定着していないという現状の中で、私は、それをまず国民的な形の中に地域スポーツ振興性をしっかり訴えていって盛り上がってくるということがないとだめなのではないかなと。
それは一般予算でこれからまだまだ押していく段階なのではないかなと。それがないのに別の財源でというようなことは基本的におかしいのではないかなと思っておるんです。だから、やはり行政主導型ではなくて、国民の皆さんの熱いそういう地域スポーツの振興性の認識の上にまだ立っていない状況であるという、そういうふうに私考えるんですけれども、どうでしょうか。
○参考人(黒須充君) 現在の地域スポーツの現状は、これはスポーツ関係者にも責任があるかと思いますが、やはり仲間内だけのものになってしまっている。どちらかというと、地域または住民との距離というものを広げこそすれ、縮める役割というものは余り果たしていないのではないか、そんなふうに私は感じております。
資料の最後のページをごらんいただきたいと思いますが、半田市の成岩中学校の体育館を建て直すということが持ち上がりまして、総合型スポーツクラブのモデル地域である成岩スポーツクラブがその体育館の建て直しを、ただ中学校の老朽化した体育館を学校施設としてつくるのではなくて、一階を学校の施設として、二階は地域に開放する施設としてということを陳情しまして、半田市が方針転換したと、こういう記事を載せさせていただきました。研究のために幾つかの先進地域を見て回っておりますが、とても熱い思いを私は現在感じております。
総合型クラブの場合は、本当に自分たちに必要なクラブをつくっていくためには、地域住民というものはサービスの受け手であってはならないと思うんです。ですから、行政が形だけつくりなさいということではなくて、やはり住民とか子供たちとか、多くの人の支持、賛同を得るようなクラブをつくっていくということが大切だと思っております。それが国民の理解を今どの程度得ているかということは私もお答えできませんが、幾つかの地域が取り組んでいる事例は、確かに子供たちや地域の人たちを巻き込んで、これまで疎遠がちだった、カバーし切れなかったような人たちにもスポーツのよさを訴えかけていく可能性は持っていると感じております。
○山下栄一君 長沼会長に、スポーツ指導者の養成、活躍の場ということからちょっとお聞きしたいんですけれども、私は、そういう専門的な教育、スポーツ、体育の教育を受けた方、そしてスポーツの能力のある方が活躍する場が本当に限られている、これが非常に大きな問題になっていると思うんですね。
今、学校体育、学校の先生も、子供の数が減っていますから、教員採用も非常に極端に少なくなっている。また、企業も不景気で、そういうクラブ、チームを廃部したりというような状況の中で、そういう意味でこの総合型地域スポーツクラブというのは非常に大事な観点であろうと思うんです。ただ、こんなことを言い出したのは、くじの関係で言い出したというふうなことで私は理解しているんです。要するに、日本は基本的に地域のスポーツ振興というふうなことは今まで、ちょっと語弊があるかもわかりませんけれども、非常に弱かったという認識を持っているわけです。
スポーツの能力のある方々のその養成の仕組み、そして活躍の場が余りにも少ないという現状についての長沼会長の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(長沼健君) 本当にスポーツがやらなきゃいけないポイントについての御指摘だと思います。
このくじの話の出るはるか以前から、Jリーグ出発構想がうちの協会の中にはございました。その基本理念が、自治体と市民、それから運動競技団体の人間が三位一体になって地域に根をおろしたスポーツクラブを生み落とし、そして育てるというのが基本理念だということで、これは全面的に賛同をして強力に推し進めたという経緯がございます。
お話しのように、優秀な指導者それから整った設備、この二つがスポーツを始める人にとって必要なものの最大にしてすべてだと思います。その中で特に指導者の問題は大きな問題で、例えばサッカーという狭い世界でございますが、世界から来たトップクラスの連中の記者会見というのにしばしば立ち会いましたが、あなたのようなすごい選手になるために何が一番効果があったのかと。そうしたら、大抵十歳、十一歳、十二歳、その範囲ですが、その時点ですごいコーチに出会った、この人にスポーツだけではない、人生について私は教わったと。そういうのを聞くにつけても、指導者というのは大きいな、ある意味では一人の人間の人生を決めてしまうかもしれないなという認識を持ちました。
ただ、残念ながらそういう指導者を育てていく財源が全競技団体とも大変乏しい。日本体育協会も一生懸命やっていますが、まだまだだという状況がございます。
さらに申し上げるならば、先般、マイケル・ジョンソンというアメリカのトップアスリート、二百メーターの世界チャンピオンだったと思いますが、この人が招かれて日本に来まして、私はテレビを見ていたのですが、本当に衝撃を覚えました。あなたの将来に対する抱負は何ですかという質問、よくある質問でございますが、今アメリカは家庭と学校が子供のしつけを放棄したと思う、それに手を差し伸べられるのはスポーツが一番有効だと私は考えている、したがって、引退をしたら子供たちのスポーツのために何か役に立つことをやりたい、特にしつけだと。
何か私はぐさっときました。日本も、スポーツマンがやるべき仕事がここに一つあるなと。そして、そういうことを公式な場でコメントができる選手を育てなきゃいけないなということを痛感した次第でございます。
そういう意味で、もちろん設備もありますが、指導者の育成にやはりより多くの有効な資金を投入したいなというのは全競技団体の希望であろうかなというふうに思っております。
○山下栄一君 という観点から、私は、本来の国の予算の中で総合型地域スポーツクラブの構想を実現するための取り組みを基本的にはやっていくべきであると、この辺の議論が余りにも今まで少なかったということを感じております。
もう一点、今回の振興くじには子供が参加できない、年齢制限があるわけです。これも非常にゆがんだ形になってしまっている背景にあるとも思うんです。
うちの子供も高校三年生ですけれども、三年間サッカーをして、本当に親にはできぬ教育をしていただいたわけでございます。サッカーに対する熱意というのは物すごいものがあるわけですけれども、そういう十代の子供たちは全国にいっぱいいる。午前中もお話があったんですけれども、こういう子供たちが参加できないような法案になっているわけですけれども、このことについての長沼会長のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○参考人(長沼健君) それは十分にお考えいただいて、現在まで御検討いただいていると思います。イギリスも十八歳以下には売らないということでずっとやっておりまして、それがそんな悪い影響がないということがはっきりしたというので十六歳以下に切り下げたというふうに聞いております。
ただ、日本がいきなりその年齢でやっていいとは私も思いません。これはよく先生方御審議の上で、妥当と思える線で線を引かれるべきだと思います。子供たちが、例えば小学生が千円札を握り締めてくじの売場に行列をなすなんという図は世界でも見たことがございません。いい影響があるとは思いません。