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国会質問

142国会 文教・科学委員会会議録 1998年03月31日

○山下栄一君 国立学校設置法の改正案に関連いたしまして、きょうは限られた時間でございますけれども質問させていただきたいと思います。
 午前中も議論がございました看護職員の育成、そしてそれを育成される教官の育成、そういう観点から医療技術短期大学の三年制から四年制への改組が今回の法律案の中心になっておるわけでございます。同じように、心の病といいますか、今、心の教育ということも叫ばれておるわけでございます。目に見えない病でございますと、なかなか実態がつかみにくいということが学校現場でもある。学校に限らず、地域、会社でもそうかもわかりません。これからますます二十一世紀というのは心の時代といいますか、心の病が非常にふえてくるのではないか。そういう観点からの人材育成、指導者の養成が非常に重要になってくるというふうに思っております。

 それで、まずスクールカウンセラーの問題でございますけれども、不登校の子供たちが大変ふえてきておる。どんな子供もそういう不登校になる可能性があるという観点からいろんな対策の充実も図られてきたわけでございます。その中で、このスクールカウンセラーの制度というのは平成七年度から始まったわけでございますけれども、いよいよ四年目を迎えるわけです。私は非常にこのスクールカウンセラーの配置は成功してきているのではないかというふうに思っておるわけでございますけれども、四年目に入るこのスクールカウンセラーをどう評価されておるか。これは研究委託事業という形で今進んでおるわけでございますけれども、スクールカウンセラーの配置の評価をお聞きしたいというふうに思います。

○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生御指摘のとおり平成七年度から始まりまして、平成九年度現在の配置状況は小・中・高等学校合わせまして、千六十五校に配置されております。平成十年度の予算案におきましては、今年度に比しまして一・五倍程度に拡充するということで、積算の上では千五百六校分を予算案に計上しているところでございます。
 この評価でございますけれども、全体として大変高い評価を得ているというふうに聞いております。ただいま先生からも御指摘のありました不登校、いじめ、その他さまざまな課題が各学校にあるわけでございますけれども、やはりカウンセラーという専門的な知識、技術を持った方がきちっと相談に当たる。その相談に当たる相手としては、先生の場合もございますし、直接子供たちが相談することもありますし、場合によっては保護者の方々をも相談の対象にするわけでございますけれども、いずれの方々に対しましても専門的な能力を持ってきちっと的確なアドバイスをするということで高い評価を得ているというふうに私どもは承知いたしております。

○山下栄一君 これは学校の中に配置しようというわけですから、それほど問題は切実であるというふうに思うわけです。地域の教育センターにそのカウンセラーの方を配置することも大事でしょうけれども、それも進んでおるわけですが、学校の中に配置する、非常勤め形宅週二回ということですので、具体的な子供たちの相談ということもございますけれども、教員の相談に乗る専門家が学校の中にいらっしゃるということが非常に教員に安心感を与える。先ほど申しましたように目に見えない話ですから、学校に来ないのは怠けておるのか病気なのか、それが非常に判断に悩むわけですね。それが病気であるということがわかれば対応も変わってくるわけですけれども、それで非常に現場の先生方も困っておられる。

 そういう意味で、教員の相談に乗られる方が、教員免許を持っておられないけれどもそういう専門家が学校にいらっしゃるということ、これはもう画期的な成果が出てきているのではないかなと、このように今私自身は評価しておるわけでございます。
 ところが、大変な勢いで数をふやしているわけですけれども、そういう専門家の養成はどうなっているのかという観点で私は非常にこれは現実は厳しいのではないかと。今、研究委託ということで二年間配置しているけれども、二年たったらなくなってしまう。もっと本当はいてほしいけれども、仕方がないので、国の体制ではないので地元の自治体で引き続き単独予算でやられているところもあるわけですけれども、それほどニーズは高い。だけれども現実は、ふやせばふやすほどこれは将来どうなっていくのかなということが心配になってくるわけです。カウンセラーの配置について将来の方向性をどのようにお考えになっておられるか。

○政府委員(辻村哲夫君) ただいま現状を申し上げたとおりでございます。平成九年度時点では千六十五校、平成十年度では一・五倍増程度の千五百六校分ということで、そこまでの配置は定まっているわけでございますけれども、それから先の今後の配置状況でございますが、これはこの配置が研究委託事業ということで、評価をしつつ、今後どうしていくかということについては決めたいということでございまして、平成十年度から先、十一年度以降につきましてはなおこの内容を分析しつつ決めてまいりたい、具体的な計画というものは今まだ持ち合わせていないのが現状でございます。

○山下栄一君 いただいた資料でございますけれども、スクールカウンセラーとして配置されている方々は、例えば臨床心理士の資格を持っている方、場合によっては医学の観点から精神科医の方、また大学の教授というのはそういう心の教育の専門家ではないかなと、心の専門家といいますか、そういう観点からの大学の先生だと思うんです。臨床心理士の資格という観点から考えますと、この方々が比重としてはスクールカウンセラーとして大変高い比率を占めているというふうに思うわけです。
 臨床心理士に限りましたら、例えば高知県、これはいただいた資料ですけれども、高知県では資格を持っている方々が十六人だと、ところが実際十九校に、これは平成九年度でしたか、その段階で配置されている。臨床心理士の資格を持っている人の方が少ないわけです。長崎県でも資格を持っている方が十八人だと、実は二十校に配置されている。

 こうなってくると、来年、心の専門家が具体的に配置できるのかなという、こういう問題があるということを考えますと、この専門家の養成というのは本当に緊急の課題ではないかなというふうに思うわけです。臨床心理士という資格そのものをとってみてもそうだと、精神科医の方々もそんなにたくさんいらっしゃらないだろうと。ましてこれほど心の病がふえてくると、学校に頼まれても行く時間がないという現実ではないかというふうに考えましたときに、この養成というのが本当に重要な問題であると思うんです。

 ちょっと医学じゃなくて心理学の観点に絞らせていただきますが、私はこれを平成七年の五月にも質問させていただいたんですけれども、心の専門家の養成のための大学、大学院、特に臨床心理学の学科、講座、大学の先生、これがニーズに追いつかないほど少ないのではないかというふうに感じておるんですけれども、実態はどうなっておりますでしょうか。

○政府委員(佐々木正峰君) 臨床心理士につきましては、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の資格審査規定がございますが、これによりますと、幅広い教養に加えて高度の専門的知識、能力を必要とするために、学部段階にとどまらず、大学院で心理学や心理隣接諸科学を専攻し、修了後一、二年以上の心理臨床経験を有することが要件とされておるところでございます。
 そこで、心理学関係の大学院でございますが、平成十年度の整備予定も加えて申しますと、国立大学では十二大学、十七研究科、十九専攻で、入学定員は修士課程が二百十二人、博士課程が七十二人でございます。それから、公立大学では二大学、二研究科、一専攻で、入学定員は修士課程が九人、博士課程が四人でございます。私立大学では三十大学、三十研究科、三十専攻で、入学定員は修士課程二百九十五人、博士課程七十一人でございます。したがいまして、全体では四十四大学、四十九研究科、五十一専攻で、入学定員が修士課程五百十六人、博士課程百四十七人となってございます。

○山下栄一君 局長からそういう御報告をいただいたわけですけれども、聞くところによりますと、学部段階でもそういう学科を持っている学科の入学試験は大変難しくなっている。そして、具体的に臨床心理を専攻する段階でも物すごく希望者が多くて、定員が少ないのでなかなか入っていけない。まして大学院というのは、今もお話を伺いましたがもう本当に少なくて、僕は少ない評価ですけれども、国立大学の大学院でも二百人ぐらいですか、修士課程で。だから、ニーズはすさまじくて、大学院の倍率も所によっては七十倍を超えるような高い倍率のところもある、だけれども教える先生が少な過ぎる。だから、これは本当に専門家を養成するためには教官もふやしていかなきゃいかぬと思うんですけれども、大学院そのものの定員が少なくて、教える先生も少ないという非常に厳しい実態があるのではないか。

 冒頭申しましたように、時代はますます心の病がふえてくるという状況を考えましたときに、医学じゃない、心理学の部門でございますけれども、日本のこういう心理学の流れも、臨床心理という部門が後発部隊で、予算の厳しい国立大学の状況から、ふやすのが難しいという実態があるのではないか。
 したがいまして、私は昭和四十八年に、すべての大学にお医者さんの専門養成の学科をと。また、先ほど申しましたように、看護職員もこれから物すごく必要だと。例外的に力を入れるんだという文部大臣のお話もございましたけれども、この心の専門家の養成もそういう観点からやはり例外的に力を入れるというぐらいの迫力で臨まないと、もうとてもじゃないけれども、スクールカウンセラー、これほど今学校現場で求められている状況の中で、もう来年どうするんだと迫られている厳しい状況があることを考えましたら、臨床心理学を中心とする大学院の充実、特に臨床心理士は大学院資格がないとこれは基本的に難しいということですから、緊急の課題ではないか。大学院の臨床心理部門の充実、さらに学部段階も充実強化、そして心の観点からの専門大学を日本に幾つかつくらなきゃいかぬほど、将来のことを考えたら緊急を要するというふうなことを思うんですけれども、この点、文部大臣どうですか。

○国務大臣(町村信孝君) 今、山下委員からスクールカウンセラーの重要性、そしてそれに伴っての臨床心理士の養成のお話をいただきました。いろんな方と話をしてみると、確かにスクールカウンセラーの重要性、また現実に果たしている役割、非常に大きいんだなということを今さらのように感ずるわけでありまして、そういう意味からもこの臨床心理士の養成がとても大切になってきているということもよく理解をいたしております。
 ただ、なかなか試験も難しいようでありますし、大学院を出てまだ一定の期間経験を積まなければいけないということであります。したがいまして、こうした分野の大学院の充実、あるいは学部レベルの充実ということは、これは国公私立を問わず整備充実に努めていかなければならない、こう考えます。
 ただ、それを待っていてもなかなか追いつかないという面もありますので、私は、現職の教員あるいはこれから教員になろうとする人たち、本当のプロではないけれども、要はカウンセリングマインドとでも言いましょうか、あるいは一定の素養を先生方に持ってもらう、一般の教員に持ってもらうということも非常に有効なんだろうと、こう思っておりまして、そうした面での研修でありますとか、あるいは教員免許取得に当たってのそうした方面の科目の充実でありますとか、そうしたこともあわせて充実をしていかなければいけない、このように考え、そうした方向で努力をしてまいりたいと考えているところであります。

○山下栄一君 私は、今大臣が答えられた観点とちょっと違う観点で申し上げておりまして、足らない分は学校の先生の経験者で補っていこうということじゃなくて、教員免許を持っておられるということじゃなくて、心の専門家としての心理学、特に臨床心理学の充実強化、そういう教育の段階、それはやっぱり大胆に強化する必要があるのではないかということを申し上げております。
 きょうの午前中の審議でも、看護職員の養成、またその指導者の育成の観点から三年制の短期大学をやめて四年制のということ、これについてはちょっと例外的に力を入れるんだと。まさにその同じ問題が心の問題なのではないか。臨床心理学の専門家の数も少ないから、国公立大学も含めて大幅な予算の問題を含めた思い切った対策が必要ではないかと、このことを申し上げたいと思いますけれども、その点いかがでしょうか。

○国務大臣(町村信孝君) 今の委員の御指摘を踏まえながら、今後の充実を期してまいりたいと考えております。

○山下栄一君 終わります。

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