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国会質問

144国会 本会議会議録 1998年12月04日

○山下栄一君 私は、公明党を代表し、先ほどの財政演説に対し、質疑を行います。
 本題に入る前に、演説された宮澤大蔵大臣の辞意表明問題について伺います。
 経済再生に内閣の命運をかけるはずの小渕内閣の最重要閣僚が、国会審議を前に辞任を口にすることは、景気対策への責任をみずから放棄するのみならず、国民に対して極めて無責任、不見識と断ぜざるを得ません。宮澤大臣の価値観は、国益よりも派閥益が優先するのか、辞意表明についての大臣の真意をまずお聞かせ願いたい。
 また、任命権者である総理にも、内閣の信頼を損なった大蔵大臣の進退問題について所見を求めます。
 また、昨日、読売新聞が自民党派閥の旧何々派の旧という文字を外すことを決定し、これですべての全国紙が派閥復活を認めたことになりますが、自民党は派閥解消を放棄したのか、党総裁である小渕総理よりお答えいただきたい。

 さて、緊急経済対策について概括的に申し上げれば、残念ながら省益や既得権が優先されており、生活者の視点がどこまで生かされているのか甚だ疑問です。今日の不況の大きな要因である消費マインドの異常な冷え込みは、行政改革や規制緩和など、やるべき構造改革を怠ってきた政府に対する国民の不信がその大きな原因であり、政治家、官僚、特殊法人、企業へと上から順番に既得権を守ろうとすることが改革を阻害し、国民の失望感を増幅しているのであります。今回の補正予算案もまさにその範疇にとどまり、数字と言葉だけがむなしく響いていると危惧するものであります。
 私たちの主張する生活者の視点とは、改革を志向しつつ、国民、民間の自立を支援する政治を意味するのであります。以下、その視点から具体的にお尋ねいたします。

 まず、住宅ローン減税について伺います。
 緊急経済対策でも住宅ローン減税は見送られ、補正予算案に住宅金融公庫の金利引き下げだけが盛り込まれておりますが、結果的に既にローンを払っている人と、これからローンを払う人と差別することにいかなる合理的な理由があるのか、御説明願いたい。もしこの問題で公平性を担保しようとするならば、私は公的住宅ローンに資産価値の低下にも対応した借りかえと、買いかえのための特例制度を創設すべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 今、公的住宅ローンを借りている個人は七百七十一万件に及び、うち一万八千件は既に不良債権化しています。民間ローンを合わせればそれに倍する件数となり、極めて深刻な状況です。ローン破産の悲劇を食いとめ、ひいては潜在化する買いかえ需要を顕在化するためにも、返済者の立場に立った住宅ローン減税及び軽減策を打ち出すべきと考えますが、重ねて総理の御所見を求めます。

 次に、社会資本整備費についてお伺いします。
 情報通信、環境対策など、二十一世紀を見据えた重点配分だと前ぶれは多少よかったのですが、中身が見えてくるうちに従来型だとの批判が的中しつつあるのではないでしょうか。どの項目を見ても治山治水対策、道路整備、港湾整備といった同じ内訳が並んでおり、総花的な公共投資では景気回復に効果がないことは既に実証済みであり、ここでも生活者の視点で再点検すべきであります。
 具体的に指摘します。福祉・医療・教育特別対策費の中でバリアフリー化がうたわれておりますが、先日、車いすでの生活を余儀なくされている大阪の肢体不自由の女子高校生から手紙をいただきました。内容は大学進学に関する相談で、進学を希望する大学から障害者受け入れの設備が整っていないことを理由に、事実上受験を拒否されてしまったとのことでした。その高校生が特に強調したことは、階段や歩道の段差は人に助けを求めれば何とかなります、問題は、障害者用のトイレの設置なんですとのことでした。
 今回政府が考えているバリアフリー化は、障害者が通学する学校から順にスロープ、エレベーターなどを設置していくとのことですが、学校という公益性、教育の機会均等から考えれば、すべての障害者がどこでも受験できるように、国公私立の区別なく、まず、すべての学校の障害者用トイレの設置を先行すべきではないでしょうか。障害者が希望する進路へ進み、生き生きと暮らせる社会がどれほど健常者をも勇気づけ、経済効果までも上げるかわかりません。
 人の心を大切にすると言われる総理、まず幼稚園から大学まで、すべての学校における障害者用トイレの整備こそ緊急に行うべき社会資本整備ではないでしょうか。率直な答弁をいただきたい。

 また、次の問題点は、情報通信分野の拡充に関連して、最近発覚したNEC及びその子会社と防衛庁との間で起きた過大請求をめぐる背任事件、また、NECと東芝による郵政省の郵便物区分機をめぐる談合事件に見られる大手電機メーカーと官公庁との癒着問題であります。
 公共投資の質の変化に伴って、利権構造を生み出す業界も大手ゼネコンから大手情報関連企業へとシフトし、政官業の癒着の業の主役が情報ゼネコンに取ってかわっただけではないかと国民は危惧しております。特にソフト開発の分野は、国際的にも中小ベンチャー企業の独壇場であります。したがって、大手企業しか参入できないような仕組みは、一方で新起業の芽を摘むことになり、景気浮揚を妨げる要因にもなりかねないのであります。
 近く公正取引委員会での審判も予定される郵便物区分機談合事件への郵政省の関与をも含め、情報通信を所管する郵政大臣の見解をお伺いします。

 また、我が党が常々主張してまいりましたダイオキシン類の排出抑制のための経費も計上されており、そのことは一定の評価をするものですが、一方で、地方自治体のごみ焼却プラント発注をめぐる長年にわたる業界ぐるみの談合や、ダイオキシン測定分析にかかわる受注独占問題が明らかになっております。ダイオキシン対策の名のもとに、国民の生命、健康より政官業の利権を優先する構造は断じて許されるべきではありません。これらの問題に対し、どのような再発防止策をとられるのか、総理より御説明願います。
 このような社会資本整備そのものに対する国民の不信感を払拭するためには、情報通信分野や環境分野においても、一般競争入札や第三者機関による入札監視制度を導入するなど、徹底した透明性、効率性の確保が必要だと考えますが、あわせて総理の見解を求めます。

 最後に、話題の地域振興券についてお伺いします。
 総理、今全国あちこちの自治体で商品券発行ブームが沸き起こっています。例えば総理のおひざ元群馬県を例にとってみても、前橋市が今月十日から試行開始、来年度からの本格実施がほぼ決定しています。また、太田市では、今月から金券を発行し、お祝い金などとして年間一億五千万円分支給するとのことであります。これに今回、地域振興券が支給されれば、相乗効果も期待され、全国的に見てもかなりの消費拡大が見込まれるのではないでしょうか。地域は生活の現場です。現場の知恵は偉大であり、軽視すべきではありません。
 そこで、この地域振興券で政府はどの程度経済効果を見込んでいるのか、それは同額の減税の場合と比較してどちらが効果があるのか、経済企画庁長官に答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)

   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

○国務大臣(小渕恵三君) 山下栄一議員にお答え申し上げます。
 まず、宮澤大蔵大臣につきましてのお尋ねがございました。
 私は、大蔵大臣が御指摘のような御意向を表明されたとは承知いたしておりませんし、また、大蔵大臣からそのようなお話を伺ったこともありません。
 私は、宮澤元総理の御経験、御識見、また国内外における信頼感などから、宮澤元総理が最適任と考え、大蔵大臣に御就任いただいた次第でございます。宮澤大蔵大臣におかれましては、まさに全精力を傾けて幾多の課題に取り組んでこられ、多くの実績を上げておられますが、時局まことに重大なとき、引き続きその御活躍を強くお願いいたすところであります。
 いわゆる派閥についてのお尋ねもありました。
 自由民主党におきましては、かねてより派閥の解消を初めとする党改革を進めてきたところでありまして、かつてその弊害が指摘されたような派閥が復活してはならないと考えております。
 一方、政策や国家の将来ビジョンなどを追求する政策グループの存在や活動は、党の活性化につながるものでもあり、これを否定すべきものではありませんが、このことがかつてのようないわゆる派閥の復活と受けとめられることのないよう、党内におきまして十分戒めていきたいと考えております。
 住宅関係につきまして、御主張を交えましてお尋ねもございました。
 まず、住宅金融公庫の金利についてでありますが、公庫融資につきましては、基本的にはその時々の市場の金利水準を踏まえ、住宅取得に必要な長期、固定、低利の融資を行っており、これを実現するために、既に公庫ローンを借りている方々に対しましても、相当の財政資金を投入してきておるところでございます。したがいまして、こうした方に対し、さらなる財政支援を必要とする借りかえ融資などを行うことは甚だ困難と考えます。
 また、住宅減税に関しまして、現在ローン返済中の人の立場に立った措置を講ずべきではないかということでありますが、そうした措置を講ずることにつきましては、所得税制のあり方の根幹にかかわる問題であり、単に住宅税制の観点から処理できるものではなく、慎重な対応が必要と考えます。
 いずれにせよ、住宅ローンに係る政策減税につきましては、中堅所得者のローンによる住宅取得を支援することが肝要であると考えておりまして、来年度税制改正の中でしっかりと検討を行ってまいりたいと考えております。
 住宅ローンの返済負担の軽減策につきましてでありますが、かねてこの問題は重要な課題であると私自身も考えております。この対策として、返済が困難になっている方に対し、住宅金融公庫等におきまして、返済者の事情に応じてきめ細かいローン返済相談を積極的に行うとともに、返済期間の延長や据置期間の設定などによる返済負担の軽減に現在懸命に取り組んでおるところでございます。
 次に、学校のバリアフリー化につきましてお尋ねがございました。
 実情に触れての御指摘でございましたが、学校施設における障害者への配慮は望ましいことと考えております。従来から、国公私立学校の施設のバリアフリー化の推進に努めてまいりましたが、このたびの補正予算案におきまして約四十三億円を計上し、公立学校における障害者用トイレの整備など、バリアフリー化の推進に努めているところでありますが、御指摘のように、各種のプライオリティーにつきましては、さらに勉強してまいりたいと考えております。
 次に、地方自治体のごみ焼却プラント発注をめぐる談合につきましてお尋ねがありました。
 本件につきましては、現在、公正取引委員会が独占禁止法違反の被疑事件として審査を進めているところであり、その結果等も踏まえ、適切な措置を検討してまいります。
 また、お尋ねのダイオキシン測定分析の独占問題につきましては、透明かつ公正に測定分析機関が選定をされ、適正な分析が行われるよう関係者を指導したところであり、国としても手続の公正、透明化に留意しつつ、ダイオキシン対策に万全を期してまいる所存であります。
 次に、情報通信分野及び環境分野における社会資本整備についてのお尋ねがございました。
 国民の信頼を失わないためにも、予算執行手続の透明性、効率性を最大限確保し、適正な行政執行の徹底を図るべきものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

○国務大臣(宮澤喜一君) 私が私的なことにつきまして発言いたしましたことからただいま御質問のような疑義を生みまして、まことに申しわけないことでございます。自分の進退につきまして総理大臣に申し上げたことはございません。
 したがいまして、職責にあります限り、全力を尽くしまして国政に渋滞なきことを期するつもりでございますので、どうぞ御理解をお願い申し上げます。(拍手)

   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕

○国務大臣(野田聖子君) 情報通信分野への民間企業の参入についてのお尋ねですが、ベンチャー企業は、独創的技術や多様なサービスの開発を通じて、情報通信の発展に大きく貢献するものと認識しております。郵政省としても積極的な支援施策を講じているところであります。
 また、情報通信分野における社会資本整備については、中小ベンチャー企業の積極的な参入を期待しております。
 なお、郵便区分機につきましては、郵政省において、調達に際し、業務上の必要性により生産可能性の問い合わせを行ったということであります。(拍手)

   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕

○国務大臣(堺屋太一君) 地域振興券は、一定以下の年齢の児童を持つ家庭と老齢福祉年金等の受給者に交付するものでございますが、有効の地域と期間を限定する極めて今まで前例の乏しいものでございます。
 それで、これが経済にどの程度の影響を与えるか、従来の例がございませんので非常にわかりにくいのでございますが、仮にこれが減税と同じような可処分所得をふやすものだと、こういう前提でモデル計算をしてみますと、大体〇・〇六%GDPを押し上げる効果が出てまいります。ただし、地域を限定していること、それから期間を限定していることで違った効果があります。減税の場合には貯金しておいて来年というのもありますが、これは期間を限定しておりますから、一年に限ればもう少し高いんじゃないか、大ざっぱに言って〇・一%ぐらいじゃないかというように考えております。(拍手)

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