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国会質問

145国会 予算委員会会議録 1999年03月10日

○山下栄一君 公明党の山下でございます。
 初めに、教育問題をさせていただきたいと思います。
 心の教育ということが中教審でも議論され、今教育改革の柱として位置づけられているということを繰り返し文部大臣からもお聞きいたしておりますし、総理も未来へのかけ橋という観点で教育改革、その中で特に心の教育ということを何度かおっしゃったと思うわけでございます。
 私は、この心の教育ということが非常にあいまいになっておるのではないかと。というよりも、基本的な考え方をしっかりと認識しておかないと、かえって改革にならずに改悪になっていくのではないかという気持ちを持っておりますもので、心の教育の中身をもう一度確認しておきたい。教育改革と言われておる、その心の教育の中身、お願いします。


○国務大臣(有馬朗人君) このごろの子供たちの状況を見ておりますと、まず社会全体のモラルが低下しております。家庭の教育力が明らかに低下しております。地域社会における人間関係が希薄化している。こういうことが背景になっていて、大人たちも問題が非常にある。また、子供たちに規範意識が低下している、忍耐力やたくましさが欠如している、自己中心的で責任感がない、乏しいということが懸念されております。
 そういう意味で、まず、これからの子供たちには生きる力を身につけさせなきゃいけない。生きる力というのは、たびたび申し上げているように、自分で課題を見つけ、自分で学び、自分で解決していく力と、人を思いやる、倫理観を正しく持つ、美しいものは美しいと思う、崇高なものに対しては崇高なものという気持ちを持つ、そして健全な心と体、これが生きる力の定義でございますが、その生きる力の核となるのはやはり豊かな人間性である。この人間性をはぐくむことが重要だと思います。
 そこで、具体的には、正義感や公正さを重んじる心、自立心、自己規律、自己抑制力を持つ、責任感を持つ、他人を思いやる心などを育てることが必要であると考えております。
 こういうことを心の教育として広くとらえまして、具体的には、学校や家庭でもって、そして地域社会でもってこういうことを教えていただきたいと考えているわけであります。例えば、学校においては道徳教育の充実を図る、家庭や地域社会においては子供の心を育てていくための施策を文部省として積極的に推進してまいりたいと思っております。


○国務大臣(小渕恵三君) これもしばしば申し上げておりますが、私、施政方針演説で司馬遼太郎氏の言葉を引用いたしまして強調いたしましたが、未来を担う人材として、頼もしい人格を持ち、自分に厳しく相手に優しい自己を持つ人間が求められると考えております。そうした人間に成長できるようにということでの心の教育ということだろうと思います。
 このため、生きる力、助け合う心、そして自然を慈しむ気持ちをはぐくむことを原点といたしまして、幅広い視野を養い、個性を大事にして生きること、特にボランティア活動への参画等を通じて地域社会に貢献すること、人には多様な生き方がありお互いにこれをたっとぶことなどを重視していく、そういう人間に育つ、そのための教育、すなわちこれが心の教育ということだろうと思います。
 利己といいますか個人主義は非常に発展しておるわけで、そのことはよろしいと思いますが、同時に、今申し上げたように利己と利他とバランスのとれた人間として育つというための教育、それが今、文部大臣もお話しされましたが、ある意味での道徳的な教育という面についての若干忘れられたといいますか、取り残された部分があるのではないかということで、心の教育を目指していきたいという趣旨だろうと思います。


○山下栄一君 いろいろおっしゃったんですけれども、僕は言葉が非常に先行しているというふうに思うわけでございます。
 正義感それから公平性、自立心、責任感、他を思いやる心、自己中心的な傾向が大変強い、利他の気持ちを育てなきゃいかぬという、道徳教育ということも出ました。
 私は、そういう意味では、先ほど文部大臣も大人の問題というふうにおっしゃいましたが、まさに心の教育を必要としているのは子供じゃなくて大人である、こういう認識がなくてはならないというふうに思うわけです。心の教育を叫んでいる人が、場合によっては最も心の教育を求められていると言えるかもしれない。特に社会的なリーダーと言われている方、特にまた統治機構の世界、立法府、行政府、その世界が最も心の教育が必要じゃないのかというふうに子供は一生懸命訴えているのではないかというふうに思います。
 官僚不祥事が続いてまいりました。日本の大学入試で文科系で最も偏差値が高いのは東大法学部かもわかりません。その方々が大半を占める大蔵省の不祥事が大変大きな問題になりました。日債銀の問題も、きのうも参考人質疑がございました。金融不安を解消するという名のもとに、国民の税金、税金以外の国民のお金、これをたくさん投入して、仕方がなかったんだと言ってだれも責任をとらない。先ほど責任という言葉がありましたけれども、責任をとろうとしないで逃げているのは一体だれだ、このように子供は一生懸命訴えているのではないかというふうに思います。
 国を守るべき防衛庁の方々が国民の税金をごまかす、そういうことを企業と一緒に、企業といっても日本を代表する企業と一緒になってやっていた。こんなことが繰り返されて、一方で心の教育を平然と叫ぶ、これでどうして世の中がよくなるかということではないかなというふうに思います。
 心の教育を求められているのは大人であると。特に最も指導的立場にある、私も含めてかもわかりません、私は指導的立場じゃないかもわからぬけれども、国民の代表として今この場にお出ししていただいているわけでございます。
 育児というのは、子供を育てるとは書くけれども、育児は育自である、自分を育てるということである。自己反省のないところに心の教育はあり得ない、こういう観点が大変大事ではないかというように思うんですけれども、文部大臣、いかがでしょうか。


○国務大臣(有馬朗人君) 大変重要なポイントをおっしゃっていただきまして、ありがとうございました。
 中央教育審議会の答申の最終段階において、子供たちの教育をよくするという前に、まず大人の問題であるということを認識いたしました。今御指摘のいろいろな階層の人々、いろいろな種類の大人たちがまずみずからを律し、正義感を持って正しく行動しなければ子供は育たない、このことは中央教育審議会の答申にあえて書き込んだ次第でございまして、随分私どもは心配いたしました。
 子供の教育ということを論ずる中央教育審議会の答申において、社会にまで、家庭にまでお願いをすることがいいかどうか、随分私も心配をしたし、ちゅうちょいたしましたけれども、やはりこの際子供たちの教育をよくするためには、もう既に世に出た人々、大人の人たちに訴えていく必要があると考えた次第であります。


○山下栄一君 共通の考え方もあるようでございますけれども、この心の教育を一体どうしていくかということでございますが、先ほど道徳教育という言葉が出てまいりました。心は目に見えない、形は目に見える。この目に見えない精神性をはぐくむことは、私は非常に難しいというふうに感じてまいりました。
 子供が一番嫌がるといいますか、特に思春期の子供たちが嫌がるのは、言っていることとやっていることが違う、要するに口で言うことと行動、これが違うことを最も嫌がる。そこから信頼が崩れてくると。私も父親の一人でございますけれども、やはり言っていることとやっていることが違わないように一生懸命努力せないかぬということを日々感じておるわけでございます。目に見えないだけに非常に心の教育というのは実際難しいというふうに思います。
 道徳教育を叫んでいたら心は育つか。心というのは、先ほどもお話がございましたように、正義感とか倫理観、人間、また自然を慈しむ心というふうになるのかもわかりません。善なる精神的な価値をはぐくむ方法というのは、口で叫んで上から下へ注入する、大人が子供に、教師が生徒に、親が子供に注入するという形では、注ぎ込むという形では私は育たないのではないかというふうに思っております。
 文部省は、家庭教育が大事だということで、家庭教育ノートともう一つ何か、二冊つくられて配られました。配ることが心の教育につながるだろうと思われて配られたんじゃないかなと思うんですけれども、そんなことを一番嫌がるのが子供とか思春期の青少年じゃないかなというふうに私は思っておるんです。
 だから、心の教育というのは、どうしたらそういう生きる力を、また利他の心をはぐくんでいけるのか、注入とか口で唱えて、また通達行政でそれはできるものではないというふうに感じているんです。
 だから、もっとわかりやすく言えば、僕は教育行政の最高の立場にある文部省が通達を出したりしてできるものじゃないというよりも、そういうことをすることが最も心の教育に反するのではないかというふうに思っているんですけれども、どうでしょう。


○国務大臣(有馬朗人君) ここにおもしろいデータがあります。
 家庭で手伝いをする子供ほど正義感、道徳観が強いというデータであります。生活体験が豊富な子供ほど道徳観、正義感が身についているというデータであります。自然体験が豊富な子供ほど道徳観、正義感が強いというデータであります。
 ですから、通達行政としてこういうことをしろということは申しておりません。文部省として考えておりますことは、まずボランティア活動や社会体験、自然体験等の子供の実体験を踏まえた活動や、学級や学校生活における具体的な事柄を取り上げた活動など、体験的な活動を通じて子供たちの内面に働きかけるような心の教育を充実したいと。これは何も通達ではございませんので、申し上げておきましょう。
 まずは家庭にお願いしたい。先ほど申しましたように、私は本当に自分自身考えました。家庭の中まで入っていってあんなパンフレットを配っていいものであるか、これは本来家庭の人たちが考えるべきだと思いました。しかし、そこまでお願いをしなければならない時代だということで、私はついに断念いたしました。(「だれが悪いんだ」と呼ぶ者あり)今までのすべての人々でありましょう。


○山下栄一君 子供たちの内面に働きかけるということは、物すごく大事なことだと思います。心の教育というのは、内発力といいますか、働きかけるというか、感化するというか、触発するというか、そういう人格的な触れ合い、また自然との子供たちの触れ合いの中で薫発されていくというか、そういう形が正しい心の教育のあり方ではないか、上から下に注入するということは反することだというふうに感じております。
 それで、私がちょっと感激した話に、シビレエイという魚ですけれども、話がございます。この話、文部大臣も御存じだと思いますけれども、ソクラテスが当時の青年たちに対話をしていくわけでございますけれども、その感化力がすばらしいと。どうしてソクラテスさんはあれほど心が荒れ狂っているはずの青少年を見事に感化されるのですか、こういうふうに問うたときに、ソクラテスはシビレエイの話をされて、シビレエイは人間をしびれさせる、それは魚自身がしびれているからだと。正義感にしびれ、そして勇気と思いやりにあふれている心が充満しておればそれは他をしびれさせるんだと。そういうまさに触発、感化という作業の重要性、直接全人格的触れ合いの中で徳というものが育っていくんだということを教えた言葉ではないかというふうに思うんです。
 このことが今、家庭においても地域においても学校においても最も求められているのではないかというふうに感じておりますけれども、文部大臣の所感をお聞きしたいと思います。


○国務大臣(有馬朗人君) まさにおっしゃるとおりでございます。
 したがいまして、地域社会にお願いをしようと思っていることは、その地域地域においてすぐれた人々がボランティアとして子供たちの教育、遊ぶことも含めて広い意味での教育を面倒見てくださること、それからまた道徳の時間あるいは地域社会において、ソクラテスでも結構でございます、すぐれた人々のことを子供たちに教えてくださること、これが重要であると思っております。
 より具体的に申しますと、今各省庁と協力をさせていただいて自然体験をふやしたいと思っております。例えば建設省と協力させていただいて、子供たちに豊かな川や湖の周りで水辺をつくっていただく子どもの水辺再発見プロジェクト、あるいは農林水産省と一緒に子供たちに長期自然体験をさせるために子ども長期自然体験村を設置すること、そしてまた休耕田になっているようなところを利用させていただいて子供たちにあぜ道とせせらぎを楽しませるプロジェクト、あるいは通産省とともに子供たちに商業活動体験をさせる。そういうふうなプロジェクトを立てて、具体的に子供たちがさまざまな自然に触れ、社会のさまざまな面に触れる努力をさせていただこうと思っているところであります。


○山下栄一君 今、文部大臣は自然との触れ合いということを特に大事にされましたけれども、自然もそうでありますし、人間の触れ合い、教師と生徒、親と子ですけれども、全人格的に触れ合う中ではぐくむということが物すごく弱くなってきている社会であるというふうに思います。青少年のさまざまな問題はそこにあるのではないかというふうに感じておるわけです。
 そして、午前中の君が代・日の丸の問題でございますが、法制化の議論の中で、教育の現場にも混乱があるからこれを義務化すべきだという議論がございました。きょうの朝、広島県高校長協会の会長さんは、教育現場が混乱している、高校の先生は信頼できない、失望していると、このようにおっしゃいました。
 そういう大人が混乱している中で、どうして心の教育ができるか、心から国旗に対して敬意を表せるか。それを無理やり強制するような、教育現場で法律によって義務化するような議論もありますけれども、それはまさに心の教育に反することだというふうに私は思うんですけれども、文部大臣、いかがでしょうか。


○国務大臣(有馬朗人君) そのお答えに入る前にちょっと一つ、先ほど文部省とさまざまな省庁で協力をして子供たちの自然教育を図っていることの中で一つ重要なものを忘れましたのでつけ加えさせていただきます。
 これは、環境庁と一緒にやっていることでございまして、国立公園、国定公園等のレンジャーの人たちに御指導を願って子供たちに自然を教えていただくということでございます。
 今、学校現場での国歌・国旗の問題について御質問がございましたが、これは学習指導要領でこのところ常に各教育委員会を通じて各高等学校あるいは小学校、中学校の校長先生、そしてそれを通じて先生たちにお願いをし、またこの学習指導要領に従って、「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と明記されている学習指導要領に従って子供たちにもしっかりと指導していただくようにお願いをしている次第でございます。


○山下栄一君 後の質問もございますので、最後に総理大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、さっき魚の話をしましたが、大人がしびれてないと子供もしびれない、教師がしびれないでどうして子供をしびれさすことができるか。大人の心を豊かにすること、これは物すごく大事だと。そういう観点で心の教育は考えないといけないというふうにもう一度言わさせていただきたいと思いますけれども、先ほど統治機構が最も心の教育を必要としているのではないかというお話をしましたが、総理大臣の御所見をお伺いしたいと思います。


○国務大臣(小渕恵三君) お答えになるかどうかわかりませんが、子供は親の背を見て育つという言葉がありますが、やはり親自身がきちんとしていなければ子供も、したがって子供だけにすべて社会的責任を負わせるということはあり得ないというふうに思っております。
 また同時に、今、統治機構といいますか、ある意味でその責任を持つ者の姿勢としては、古い言葉かもしれませんが、修身斉家治国平天下といいますか、みずから修めるということでなければならぬと思いますし、またそのためには天を敬い、やはり人を愛するという、そういう姿勢がなければならないと思っております。
 日本はというわけではありませんが、全般的にほかの国々を見ますと、かなり宗教的な教育というものが子供の時代から教えられ、ドイツなどは宗教税までございまして、いろいろやっておられるわけでございますけれども、そういった意味で、心の問題の本質にはそういった底深い宗教的な気持ちというものもやはり涵養されてこなきゃならないというふうに思っておりまして、みずから省みて十分ではありませんが、一生懸命努力をさせていただいているところでございます。


○山下栄一君 次に、ダイオキシン問題をお聞きしたいと思います。
 二月二十四日に総理大臣を中心に第一回閣僚会議が開かれました。私は、形としては、人体に大変な影響を与えると言われておるダイオキシン汚染、国の取り組みも今まではどちらかといえば省庁別々にやっておったけれども、内閣挙げて内閣の最重要課題として取り組むということもおっしゃっておりますが、そういうポーズはあるけれども中身が伴っていないのではないかというふうに感じております。
 まず、労働省にお聞きしたいと思うんですけれども、大阪の能勢の環境美化センターの高濃度のダイオキシン汚染状況での労働作業、これが問題になっておるというふうに私は認識しておるわけでございますけれども、一般ごみも含めまして、要するにこの廃棄物処理、特に焼却施設で作業をされている労働者は全国でどれぐらいいらっしゃるんでしょうか。わかりますか。

○政府委員(伊藤庄平君) 全国のごみの焼却施設で働いている労働者の方の人数でございますが、私どもいろいろ作業環境等についての改善を集団指導等で実施しておりまして、こうした施設はそれぞれ把握はいたしておりますが、現在、手元にそれらで働いている労働者の方の集計した数字がございませんので、後ほどまた提出をさせていただきたいと存じます。


○山下栄一君 私は、清掃作業員の方の、特に焼却場の焼却炉を掃除したり、また焼却灰の灰出し作業をされている方々の健康状態が極めて深刻であると認識しております。
 この焼却施設の労働者への健康影響調査を平成九年度に労働省はされたというふうに思うわけでございますけれども、この調査、非常に少ない予算で、労働省予算でもない予算でされたわけですが、緊急でされたことは私はよかったと思いますけれども、これによって全国の労働基準局に出された通達、ポイントを教えてください。


○政府委員(伊藤庄平君) お話ございました通達でございますが、昨年、私ども全国の都道府県労働基準局に通達を出しました。
 これは、一つは作業環境の問題でございまして、こうしたごみ焼却施設等における作業環境の中でのダイオキシンの濃度の測定の仕方、また管理すべきダイオキシン類の濃度を二・五ピコグラム以下に抑えておくこと等をまず指導の対象とすべきことに挙げております。
 二つ目に、こうした作業場におけるそうした灰その他の物質の抑制装置といたしまして、そうした施設の改善の留意点、こういったものを挙げております。
 さらに、作業する労働者の方々が有効な呼吸用の保護具を使用すること、あるいは作業中の労働者に粉じんの付着しにくい作業衣や作業手袋等を着用させること、特に焼却炉の内部に入る場合におきましてはエアラインマスク等を使用すること等を本通達で示しております。
 この通達に基づきまして、各都道府県の労働基準局がこうしたごみ焼却の作業を行う業者等につきまして、個々に、あるいは集団でこの通達の徹底を進めておるところでございます。


○山下栄一君 徹底されるのはいいんだけれども、これ去年の話ですよね、通達を出されたのは。それまで働かれた方々というのは、マスクもしないで、焼却灰に高濃度のダイオキシンが入っているその灰の灰出し作業をされたり、能勢でいうならば、あの何万ピコグラムというふうな濃度が検出された冷水塔のヘドロを、七万か九万かそういうレベルの高濃度の含まれていたヘドロを一生懸命月に一回か二回作業をされていた労働者もいらっしゃるわけです。去年やっとマスクをつけろとか作業衣に注意しろとかいう話ですが、それ以前の作業労働者というのは何万といらっしゃると思いますけれども、この健康影響が大変に私は心配になるわけです。
 具体的に、二月九日でしたか、大阪の能勢の作業をされていた方々がお二人、これは大阪地域の宮田教授、ダイオキシンの専門家でございますけれども、その方がはかられた血液ダイオキシン濃度、通常の七倍から九倍というふうなデータが出てきて、この方々が国にも損害賠償、国にもそういう対応を求め、労災ですか、そういうふうなことを訴えるというふうな記者会見もされておりましたけれども、これに代表されるように、私はこの劣悪な作業環境でされていたこの方々というのは一人や二人じゃない、物すごい数いらっしゃる。この方々をどうするかということは大変大きな問題だというふうに思います。
 ちょっと時間がそんなにございません。
 このお二人のうちの一人は皮膚が黒くなる病気ということが指摘されておりますけれども、この病気についてちょっと教えてください。


○政府委員(伊藤庄平君) お答え申し上げます。
 一つは通達の点でございますが、私どもごみ焼却施設等における労働災害の予防の観点から、以前から包括的な通達、それに基づいて自治体等を通じての安全面の指導を行うべき通達は出しておりまして、その中で、マスク、手袋等々の着用についてはかねて指導してきたところでございます。ただ、ダイオキシン類の取り扱い、管理すべき濃度等に限りまして、そこに焦点を当てた通達を検討の結果昨年改めて出したということでございます。
 それから、もう一つ御指摘ございました能勢町の焼却施設で働いておられた方々の問題でございますが、私ども昨年の十月、十一月にこうした方々の血中におけるダイオキシン類の濃度の測定、あわせまして作業歴それから皮膚の視診等を専門家の方々にお願いして、目下それらの分析結果等の集計を最終段階にございますが急いでいるところでございます。そうした中で、御指摘ございましたような事例が当然上がってくるわけでございますが、そうした点につきましてもそうした分析の結果の中で明らかになってまいりますので、それがまとまりました段階で御報告をまたさせていただきたいと存じております。


○山下栄一君 この産業化学物質による皮膚障害として塩素ざ瘡という病気があるということを労働省の方に教えていただきましたが、この疑いがあるのではないかと。先ほどのお二人のうちの一人はそうだと、皮膚が黒くなるという。この塩素ざ瘡、簡単に説明してください。


○政府委員(伊藤庄平君) 昨年十月、十一月に血中濃度等の測定をされた労働者の方々の中に御指摘のような症状を訴えておられる方がいるということは私ども承知をいたしております。そうした方につきましても、専門家の方が血中のダイオキシン類の濃度を測定するとともに、作業歴や皮膚の視診等を行い、その結果を現在最終段階でございますが取りまとめてございますので、取りまとまりましたらそういう点につきましても御報告をさせていただきたいと思っております。


○山下栄一君 今月中に報告があるというふうに聞いておりますけれども、この塩素ざ瘡という疑いのある方が私は能勢だけじゃなくて全国にいらっしゃるのではないかというふうに思います。
 有害化学物質による皮膚障害、この研究は日本でも余り進んでいないと。私の知り合いの皮膚病のお医者さんにも聞きましたけれども、こんな事例はございませんでした。産業医学の観点からこの研究に携わった方は九州にもいらっしゃるそうでございますけれども、非常に研究者が少ないということだそうでございます。
 これで思い出すのがカネミ油症事件であるわけでございまして、昭和四十三年に起きた黒い赤ちゃんが生まれたというこの食品公害事件。その赤ちゃんが育って子供を産んだ、また黒い赤ちゃんだったという衝撃的な話が伝わっておるわけでございますけれども、このカネミ油症も実はダイオキシン汚染が原因だったんだということが最近わかってきたというふうに聞いておりますけれども、このカネミ油症はダイオキシンが原因であったということ、これはよろしいんでしょうか。


○政府委員(小野昭雄君) カネミ油症の御質問でございますが、昭和四十三年に確かに北九州市を中心にPCBの混入しましたライスオイルで大量の中毒患者が発生したわけでございます。
 細かい点は省略いたしますが、この事件では急性あるいは急性毒性として皮膚病変を初めといたしますさまざまな臨床症状あるいはPCB胎児症などが見られまして、食品由来の事件としては大きな社会問題となったところでございます。


○山下栄一君 答えを言ってくれていない、ダイオキシン汚染。


○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシン類が入っていたかどうかというのは今ちょっと事実確認できませんが、PCBでございますので、当然今回いろいろ議論になっておりますいわゆるコプラナーPCBは入っていたというふうに類推できると思います。


○山下栄一君 コプラナーPCBはダイオキシン類に入れるという方向でTDIの見直しもされているんじゃないでしょうか、確認します。


○政府委員(小野昭雄君) 昨年五月のWHO専門家会合におきましては、ダイオキシン類のほかにコプラナーPCBもこれに含めてTDIを提案するという方向が出されていることは事実でございます。


○山下栄一君 いずれにしましても、去年の千八百万円の予算で能勢の美化センターの清掃作業員の調査だけをされておるわけでございますけれども、予算の問題もあったと思いますが、私は全国の清掃作業員の方の調査もやるべきではないかと。三月に、結果がまだこれは出てきていないわけですけれども、私は非常に高濃度の血液中のダイオキシン濃度が検出されているというふうに聞いております。
 先ほど、能勢のお二人の方、労災認定を求められている方のお話をしましたけれども、この方々も労働省の検査を受けておられるわけでございますから、まさにクロスチェックという形で国はどういうデータを出すかということが注目されておると思います。
 この結果によれば、日本全国の清掃作業員の方、これは地方公務員扱いになっていない方がたくさんいらっしゃるわけでございます。下請の方々、極めて厳しい労働環境で働きながら非常に待遇が悪いという状況の中でも作業をされておるわけですけれども、民間の方もたくさんいらっしゃいます。
 そういうことも視野に入れて、総理大臣中心のダイオキシン対策関係閣僚会議でしっかり検討していただきたいというふうに思いますが、この点、労働大臣、総理大臣にお伺いしたいと思います。


○国務大臣(甘利明君) 能勢町の焼却施設で働いておられる百人前後の方に関しては、お話のとおり今月中に調査結果を個々の労働者の方々にお知らせできると思います。
 そして、全国の焼却施設に関しましては、厚生省、環境庁に今調査をしていただいています。その中でプライオリティーの高いところから同様なことをしていきたいというふうに考えております。


○国務大臣(小渕恵三君) せっかく発足いたしましたダイオキシン対策関係閣僚会議でございますから、その中で十分いろんな検討をさせていただきたいと思います。


○山下栄一君 腰を引かないで、腰の据わった対策をしていると。総理大臣が内閣の最重要課題の一つとして取り組むとおっしゃったその姿勢をこの問題でもぜひ示していただきたいというふうに思います。
 それと、余り時間がございませんので、今回の対策会議で調査される予定のお茶の話でございますが、私はこのお茶の調査は本当にいいかげんな調査をされる予定なんだなということを感じております。
 まず、この発端は、環境総合研究所の調査によって埼玉県産のお茶の濃度が大変高かったということでございます。それがわかった途端に次の日に、この問題も後から追加されてお茶も調査しようということになったというふうに聞いておるわけでございます。
 この閣僚会議の資料の中にこういうふうに書いてあります。「二月十八日に埼玉県が公表した環境総合研究所の茶のデータについて、厚生省及び農水省は、水に極めて溶けにくいダイオキシンの性質から、通常のお茶の摂取では、健康影響はないと考えている旨の説明をし、関係者に冷静な対応を要請」したと。
 これは基本的におかしいと私は思います。埼玉県では、埼玉県に限らずでございますけれども、お茶の葉っぱをお湯に入れて出てきたのを飲むだけじゃなくて、もともとのお茶の葉っぱを食べている、そういうことがあるわけです。埼玉県の学校給食でも、パンに入れたり、またまぜ御飯にしたり、ふりかけにしたり、学校給食で使われている。
 だから、水に極めて溶けにくいから大丈夫だ、健康影響はないというのは、これは全然おかしい。こんなことで大丈夫ですなんというようなことを言うのは極めて無責任な政府の対応ではないか。
 農水大臣、厚生大臣にお伺いしたいと思います。


○国務大臣(中川昭一君) 先生御指摘の、この三・八ピコグラムという農作物はお茶であるということが御質問でございますが、そもそも私どもといたしましては、二月一日のニュースステーションのあの報道が極めて不正確、あるいはまた場合によっては事実とかけ離れた報道であるということが事の発端にあるというふうに理解をしております。
 ちょっと経緯を申し上げますと、まずホウレンソウがおかしい、ホウレンソウが三・八であるかのごとき報道があって、調べてみたら実はホウレンソウはそうではない、もっと低い数字だと。しかも、ホウレンソウ何グラムでアウトというのは、ホウレンソウに大気や水を加えた数字でもってアウトだというこの報道のいいかげんさ。
 その延長の上に、実は三・八というものはお茶であるということでございますから、まずその製茶業者から調査をした数字そのものについても、私どもとしてはそれを前提に議論すべきではないと現時点では言わざるを得ないわけでございますが、仮にお茶についてそういう数字を前提にしての御質問だといたしましても、お茶は極めて水に溶けにくいという性質、またお湯に移行することは非常に少ない。さらに今、先生御指摘のように食べるということでございますけれども、食べるに関しましても、毎日何十グラムあるいは食べ続けなければそういう基準値にならないということ等々から、現時点でのデータの知見が少ないということも事実ではございますけれども、所沢のお茶に関しても直接的に直ちに健康に影響を及ぼさないものと考えております。
 しかし、今データが少ないわけでございますので、農水省あるいは県、市、共同でお茶についても現在調査中でございまして、今月中に結果を公表できるというふうに考えております。


○山下栄一君 ちょっと時間がないので、厚生大臣、結構です。済みません。
 農水大臣、この健康影響はないという理由がおかしいと僕は言っているわけです。水に極めて溶けにくいダイオキシンの性質から、通常のお茶の摂取では健康影響はないということは、葉っぱの方を食べるということの危険性といいますか問題点を全然指摘していないわけですね。それがおかしいんじゃないか、こんな理由で静めるのはおかしいと言っているわけです。まして農水省は一度もこの地域のお茶の調査もされたことはないんでしょう。
 だから、そういうことでは納得できないというよりも不安がかえって広がるというふうに、何といういいかげんな理由で安全宣言まがいのことを言うのだという声があるわけでも何でもなくて、こういうふうな理由自身がおかしいんじゃないのかと。実際、学校給食で食べているわけですから、葉っぱそのものを。こんな理由を言われたらかえって混乱を起こすんじゃないか、こういうように思うわけです。
 厚生大臣どうですか。


○国務大臣(宮下創平君) 基本的にお茶につきまして、今、農水大臣の言われたとおりだと思いますが、厚生省の方では食品の安全性という点からいろいろアプローチしておるわけですが、平均的な私どもの食生活では食品の総摂取量に占めるお茶の割合は極めて低いというように見ておりまして、同時にダイオキシンは今お話しのように水に溶けにくい性質を有すると。そしてお茶というのは、今食べるということがございましたが、私どもとしてはその量は把握しておりませんので、通常はお茶は、お茶を入れるという言葉にあるように、お茶の葉っぱから湯に移行する過程でダイオキシンがどのようなものであるかということで健康影響の判定をしたわけでございます。
 これちょっと細かくなって恐縮なんですけれども……


○山下栄一君 結構です。いいです、もう時間もありませんので。


○国務大臣(宮下創平君) それでは、そういうことで私どもとしては、なるほどおっしゃられるとおり葉っぱの点は着目して、どういう熱を加えてどういう食品にしているかということも含めてやはり検討させていただくことにいたしましょう。


○山下栄一君 だから、お湯を入れてお茶を注いだらどれだけダイオキシンというのが出てくるんだということは、二%とか言われているけれども、そんな問題じゃないと。お茶を使った健康料理、お茶は健康食品だと。先ほど申したふりかけにしたりまぜ御飯にお茶の葉っぱを入れたりしているわけですから、お茶の葉っぱそのものがもし汚染のレベルが低くないのであるならば大変な問題だということになってくるわけですよ。視点が全然違うような理由でこういう静めるということについては非常に問題だ、取り組みがおかしいというふうに私は申し上げているわけです。
 それで、この調査ですけれども、二月十九日から緊急に調査されるわけですけれども、これはもうホウレンソウの調査と全然違う調査をされるわけです。今お茶は農家は栽培していませんよね。新茶は五月。そのお茶はどこの産の、間違いなくその産地で栽培されたお茶が製品として、製茶として今販売されている、その原産地はここだということをしっかり特定できるのか。まして環境庁は、その栽培環境も大気も土壌も関連調査を行うというふうに書いてあります。ホウレンソウの場合は、ホウレンソウをつくったそのビニールハウスからとってくる、そのとってきたときの周りの環境はどうだということを関連して調べるわけですけれども、現在の製茶、仕上げ茶の場合にはそういうことができない。環境調査しようにも、とってしまった後のを調べるわけですから環境の関連も調べられない。そんなことをどうしてできるんでしょうか。国がしようとしている調査は、全然これは国民の信頼性を確保するというような調査じゃない、このように評価しますが、厚生大臣、どうですか。


○国務大臣(宮下創平君) 所沢産のものであるという前提でその経路を確定して調査すべきものだと思います。
 しかしながら、今申しましたように、お茶を精製してつくる段階では熱処理も行われますし、いろいろ変化を来しますので、例えばホウレンソウの場合も生のままと煮沸した場合では非常に影響が違います。私どもとしては、お茶を食べるという前提での調査はしていないように思いますけれども、委員の指摘されるように、理論的にはそれの経路がはっきりしなければ、静岡なのか宇治のお茶なのかわからないのにという問題は確かにございましょう。
 しかし、お茶を入れて飲むという場合には、非常に少量のものであるということはどういう場合でも大体言えるのではないかと思います。


○山下栄一君 だから、国民の皆さんに安心していただけるような調査をしないと。そんな調査はできるはずがないんですよ。今お茶は栽培されていませんし、仕上がったお茶も、それは何カ月か前のときにとったお茶であるわけですから、周りの土壌とか大気はどうであったかというようなことをセットでやらないと調査しようがないわけですよ。
 だから、この調査は、もうちょっと後からやるんでしたら、五月の新茶のシーズンに、すべての発生源から周りの環境から栽培地からそして工場での仕上げから、セットで全部調査して、この結果だということなら安心できるけれども、こんな調査は全然意味のない調査だ。
 総理大臣、どうでしょうか。おかしい、こんな調査。


○国務大臣(中川昭一君) 今回の調査は、確かに新茶のシーズンの前でございますから、これから出てくる所沢産のお茶ではございませんけれども、平成十年度産の所沢の二試料、サンプルですね、それから入間市産二試料、狭山産二試料等々でございまして、そのお茶の出どころといいましょうか、地域は特定できるわけでございますので、それを前提にしてまず早急に調査をしたい。
 それからまた、一般論として、全国的にも調査を今後はやりますが、緊急性の観点からそういう形で調査をしているところでございます。


○山下栄一君 私は、お茶の調査に代表されるように、何かこれは本当に小手先の対応をされようとしている。総理大臣は最重要課題とおっしゃっているけれども、腰の据わった、この最も汚染度の高いと言われている所沢周辺、ダイオキシンの人体実験場という話もありますけれども、その場所のきちっとした安心できる調査をしてくれないと、いつまでもこの問題は引きずったままいくのではないかというふうに感じております。
 時間がもう参りましたので、きょうはこの程度で終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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