145国会 文教・科学委員会会議録 1999年05月20日
○山下栄一君 まず、法改正の中身の部分で、国立学校設置法の改正にかかわる運営諮問会議の問題でございます。
筑波大学の参与会、昭和四十八年からですか、この役割がある程度評価されたという形で今回全国展開する。この運営諮問会議は、新しい試みというか実験的試みから国としての制度化ということでございますけれども、どんな人が選ばれるのかということ、これも非常に重要な問題である。経済界とか自治体の責任者とか例示がいろいろございますけれども、この人選の基準を、例示じゃなくて、ある一定の基準といいますか、ある程度考えておく必要がある。
私は、それは各大学に任せるあり方が正しいのではないか、このように思うわけでございますけれども、選考の基準はどこがつくるのか。文部省で省令で考えるのか、大学に任せるのか、この辺がちょっと不明確であると思うんですけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(佐々木正峰君) 運営諮問会議は、大学が社会からの意見を聞き、社会的存在としてその責任を明らかにすることが求められていることから、外部有識者の意見を聞くための組織として各国立大学に置かれるものでございます。委員につきましては、大学に関し広くかつ高い識見を有する者が学長の申し出を受けて任命されることとなっているわけでございますが、具体的な人選等につきましては、各大学において運営諮問会議の設置の趣旨を踏まえて適切に対応していくことになるわけでございます。
具体的には、例えば地域社会や他の大学、研究機関の関係者、卒業生など、社会のさまざまな層から有識者の参加を求めるということを考えておるわけでございますが、各大学において人選の基準を定めるかどうかは、それぞれの大学の判断によるというふうに考えておるところでございます。
○山下栄一君 選考基準をつくるかどうかの判断は大学に任せるということですね。わかりました。
運営諮問会議の委員の任命は「学長の申出を受けて文部大臣が任命する」と、評議会のメンバーと若干違うニュアンスで書いてあるわけですね。これは筑波大学の場合もそうだったと。評議会の場合は基本的には大学側の申し出どおりにいくような雰囲気なんです、「申出に基づいて」と。諮問会議の方は「受けて」と。これはだから、大学側、まあ学長が代表なんでしょうけれども、こういう人にしたいと言っても、文部省の方でそれはちょっとだめだ、もう一回考え直せとか、そんなことが大いにあり得ることがこういう規定の違いにあらわれているのではないかというふうに思うわけです。
この「受けて」の中身ですけれども、大学側の意見を基本的には尊重するということなのか、そうじゃないというのか、どっちなのかということをお聞きしたい。
○政府委員(佐々木正峰君) 運営諮問会議の委員は国家公務員でございますので、国家公務員法制上文部大臣が任命をするという形となるわけでございますが、その際、「学長の申出を受けて文部大臣が任命する」といたしておるところでございます。したがいまして、基本的には、文部大臣は学長の申し出を尊重し、その申し出があった者について委員として任命を行うこととなるわけでございます。学長の申し出を拒否したり再検討を求めるというようなことは通常考えられないところでございます。
○山下栄一君 別の話に移ります。
高等教育機関、特に大学、大学院の教育の使命です。これは、大臣も前から余り強くなかったということをおっしゃっているわけです。僕は、今のこの時代状況を踏まえまして、初等教育、中等教育、高等教育という言葉があるわけで、高等教育機関として大学が位置づけられている割には、大学教員にどういう人がふさわしいかということを選ぶ場合にも、研究的な能力ということは非常に問われるけれども、教育的な力がどれだけあるのかということは余り問われないままに今日まで来たというふうなことを感じるわけでございます。
やはり二十一世紀、ますますこの教育機能が、これはもう社会、家庭も地域もすべて、人間という動物は教育によって人間になるということでございますので、その一番のモデルが、教育の最高学府がまさに大学でなきゃならない。それが余りにも研究ということが重視され続けて、教育機関であるということが軽視されてきたということは、これは意識を抜本的に変えにゃいかぬのじゃないかということを思うわけです。
私は、研究と教育というのは場合によっては非常に両立しにくい面も、研究で追求すればするほど人とのかかわりが苦手になったり疎ましくなったりとか、それは学部とか学問内容によっても違いますけれども、そういう傾向を感じるわけです。私は、大学は人格陶冶の最高学府なんだという位置づけをもっともっと明確にしていかにゃいかぬのではないかなというふうに感じておるわけです。
まず、その点の大臣のお考えをお聞きしたい。
○国務大臣(有馬朗人君) 私もたびたび申し上げますように、特に学部では教育ということを極めて大切だというふうな意識を持っていただきたいと思っているわけです。現在の大学でもさまざまな考慮を払ってはおりますけれども、特に学部では教育というものを非常に重要なものとして考えていっていただきたいと思っています。
そういう点で、一つは、研究者としての仕事に対する評価はもちろんいたしますけれども、同時に、教育者として十分教育をしていけるかどうか、こういうふうなことも、教授、助教授、助手の選考に当たっては十分考慮していかなければならないと思っています。
ですから、候補者を二人ぐらい選んでおいてセミナーをさせるというふうなことを私どもは試みてまいりました。こういうことをやりますと、研究能力もわかるし、同時に教え方がわかるんですね。そういう努力を今後大学がするべきだと思っております。
○山下栄一君 就学前教育から始まりまして、大学入試に全力を挙げて大学へ入っていくわけです。エネルギーを使い果たすぐらい頑張って大学へ入っていく。大学というのは、私は非常に幅広い人材の集まった組織だというふうに感じております。僕も大学へ行きましたけれども、そんなことをわからぬままに卒業してしまったような感じがしまして、もったいなかったなと。もっといろんな人に、もちろん授業とかゼミもそうですけれども、人格的触れ合いをもっとしておったらもっともっとよかったのではないかなというふうに思うわけです。大学には、大学院生もいらっしゃる、研究所もある、そして、学部にもちろん入学するわけですけれどもいろんな学部がある。これほど広い学問というのはあるのかと。大学の先生も非常に個性あふれる方々が物すごくたくさんいらっしゃるわけで、場合によっては海外からもいらっしゃる場合もある。そういうものを思い切り活用したら非常に人格も磨かれていくというふうに思うわけですけれども、それには大学の教員の側がもっと触れ合いの方を重視しないと、来る人は来いというふうなことではだめであると思います。
だから、僕は、大学に物すごいお金もかけ、少ないと言われる人もいらっしゃるわけですけれども、何万人という組織の総合大学もあるわけですので、クラブ活動とかももちろん含めてですけれども、一定のところだけ経験して卒業してしまうみたいなことは、大学院に行かない場合は特にそうですけれども、本当にもったいないなということを感じているわけでございます。その辺の、学問をする喜び、人格、新しい個性に触れ合う喜びみたいなものがあるんだよ、そういう世界なんだというふうなことをもっともっと高校段階から知っていくことが進路指導も含めて大事だなということを非常に感じておるわけです。勝手なことを言っておりますけれども。
教員の採用のあり方なんですが、その専門分野の力量、論文をどれだけ、そういう特定の専門分野といっても非常に限られた専門分野、それの力によって選ばれるということがやっぱり基本にある。と同時に、そういう意味で、今、大臣がおっしゃったように、教育能力とか、もっと幅広い研究の素養も採用基準にしていかないといかぬと思います。
と同時に、日本の大学というのは、私の勝手な印象ですけれども、採用の過程、基準が物すごく不透明だなということを感じております。例えば数学ができる非常に優秀な方がいらっしゃる。大学の先生になりたいが、今、全国のどこの大学でそういう人を求めているのか全然わからないというのが実情ではないか。各大学では公募もしたり、キャンパスの掲示板に張ったりしてあるかもわかりませんけれども、非常に限られた形でしか情報が伝わらぬような仕組みになっているんじゃないかということを感じておりまして、もっともっと採用過程、採用基準を希望する人にわかりやすくなるような仕組みができないのか。
この答申にも望ましいとかいうふうに書いてあるんですけれども、例えば大学教員採用選考委員会も単に学内だけじゃなくて外部の人にも入ってもらう、それはすばらしい意見だと思うんですけれども、そんなことも含めて、この日本の大学教員の採用のあり方が極めて不透明であるという私は認識なんです。もうちょっと全面公開、希望する人がどこで今採用を求めているのかということ、国立、公立、私立も全部含めてそういう情報公開するような、例えばパソコンでぱっとわかるとか、そういうふうなことにしていただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(有馬朗人君) 私は、もう何十年前から教員は公募で採用すべしという説でございました。幸い、現在、文部省の調査によりますと、平成三年度において五〇%の大学で実施していたものが、八年度には六一%というふうに随分ふえてきておりまして、こういう公募制というのは今後さらに進んでいくだろうと思っております。
文部省といたしましても、こういう努力に対しまして、学術情報センターにいろいろな努力をまとめて研究者公募情報提供事業という格好でやってもらっております。今後、さらに各大学が教員の採用においてさまざまな工夫をしてほしいと思っております。私がおりました理化学研究所では、主任研究員はすべて公募制にして現在やっております。
○山下栄一君 今おっしゃった公募の事業、これはもう本当に思い切り拡大する、すべての高等教育機関がそこへ参加しているというふうな形にする方向が正しいのではないかと思っております。
ティーチングアシスタントの制度ですが、これは平成四年から実験的に始まって、七年度から本格的になった。三十六億のお金が今ここに。大学院生が教育補助業務を行うということでございます。これは先ほどの採用のあり方も含めて、大学院の方が大学の先生になっていくわけだから、こういう教育補助業務にトレーニング的な役割として国がお金を出してやってあげるティーチングアシスタント制度というのは私は非常にいい制度だと思うんですけれども、何でこれは国立大学でしかやらないのか。
大学院生が教育的な力を身につけたり、また、その世代も大学生と近いわけですから、非常にこれは望ましい制度だと思うんですけれども、これが何か大学の先生の下請、下請と言うと怒られるかもわからぬけれども、授業まで任せきりになってしまって、自分は別の仕事があるからやっていてくれというような、そんな人は少ないかもわからぬけれども、そんなこともあるというふうに聞いております。
大学の教育機能はますます拡大せないかぬのに、本業の方々がそれをこういうアシスタントに任せっ放しになってしまうと、これは本末転倒になってしまうというように思うんです。私は、少なくともこの制度は非常に前向きにとらえなきゃいかぬとは思いますけれども、国立大学だけじゃなくて公立、私立、とにかくすべての大学院生、後期博士課程の方が多い、修士課程も入っているようですけれども、これは拡大せないかぬと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(佐々木正峰君) ティーチングアシスタントにつきましては、優秀な大学院学生が実験、実習あるいは演習等の教育補助業務を行うことにより、学部教育におけるきめ細かい指導が可能となるものでございまして、国公私立大学においてその活用が図られているところでございます。国立大学につきましては、平成八年度で申しますと九十三大学、公立大学については十八大学、私立大学については百六十九大学でティーチングアシスタントが使われているところでございます。
この制度の実施に当たりましては、御指摘にもございましたように、事前にその業務に関する適切なオリエンテーションを実施するとか、担当教員による継続的、適切な指導、助言であるとか、それからティーチングアシスタントに従事する者から意見をうまく聞き取る仕組みや、教育効果を高める工夫などが必要でございます。そういったことを踏まえつつ、制度の趣旨が生かされてその活用が図られるよう、引き続き拡充を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○山下栄一君 私が聞いたのは、国費が投入されるのは国立大学だけなんです。制度があるのは知っているんですよ。公立、私立も国立大学と僕は同じでいいと思うんです。そちらの方にも適用せないかぬというふうに思うんです。何で国立大学だけに税金を投入しているのかということを言っているわけです。もう時間がなくなってしまうから、簡潔にお願いします。
○政府委員(佐々木正峰君) 設置者経費負担主義という原則もございます。したがいまして、国公私立大学それぞれの設置者において当該経費が充実されることを期待するものでございます。
○山下栄一君 だから、その大学院生の研究の、科研費の問題とかそんなもの、全部大学院生なんだから、これは国立大学に限るべきじゃないと思うんです。大臣、どうですか。
○国務大臣(有馬朗人君) 予算の許される限りそういうことは考えた方がいいと思っていますけれども、やはりどういうふうに国費を使っていくかというときのいろいろな条件がございますので、今後もさらに検討いたしたいと思っております。
○山下栄一君 あと二つ聞きたいことがありますので、簡潔にお願いします。
一つは、労働省がやっている教育訓練給付制度というものがあります。これは、能力開発のために労働大臣指定の講座で資格を取るためにかかるお金を支援しているわけですけれども、この労働大臣が指定する二百八十教育施設、四千講座というのがあるんだけれども、それは非常に限られたところが教育訓練機関として指定されているという認識なんです。
僕は、文部省の所管する高等教育機関全般に、特定の専門学校とか専修学校だけじゃなくて、別に大学でも短大でも構わないという形に広げるということを労働省と話し合っていただいて、指定する教育訓練機関というのはもっと高等教育全般に広げて考えたらどうかということをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(有馬朗人君) 文部省といたしましては、大学への社会人の受け入れを拡大するため、社会人特別選抜制度の導入とか科目等履修制度の活用、夜間大学院の設置などの措置を講じているところでございます。
特に、雇用問題が緊急の課題となっている今日、社会人受講生の負担軽減の観点から教育訓練給付金の対象機関に大学院等を含めるということは、社会人教育推進の観点から先生の御指摘のとおり大変重要な大きな意義を有していると考えておりまして、現在、労働省と協議をしているところでございます。
○山下栄一君 これはもう当然のことだと思います。大臣のお考えを実現させていただきたいと思います。
最後に、奨学金の話でございますけれども、経済的条件に左右されることなく学問ができるようにという先ほど大臣のお話がございました。
ことしから大学、短大の奨学金対象者が大幅に、特に有利子奨学金の方は抜本的に拡充されると、もちろん党の主張もございましてそうなっているわけでございますが、希望される大半の方は支給対象になるというふうに考えられたけれども、現実は希望者が物すごく多かった。二十五万人を予定したけれども、もっと多いのではないかというようなことを聞いておりまして、問い合わせが殺到しておるわけでございます。これは物すごく反響がございまして、今、特にこんな不景気ですから、この奨学金が基本的にいただけることは大変ありがたいと。
適格者にもかかわらず、今まで、いろんな成績条件とか経済的条件をクリアしていても、もらっている人が七割とかいうふうな現実があった。今回は大体希望者が当たるということになっていたにもかかわらず、これはちょっと希望者の読みが甘かったのか、こういうふうになるよということで非常に反響があって、当初の読みが外れた面も私はあるんではないかと思うんです。
景気の低迷が続く中、この奨学金の問題というのは非常に重要な問題であると思うんですけれども、これは多分希望者はオーバーすると思います。春と秋と二回募集の時期があるそうですけれども、今回外れた人は、無利子で落ちる人も回ってくるわけでございますので、秋はもっと希望者がふえるというふうに思います。
今、希望者割り当て分、各大学割り当て分のオーバーしているところを前倒しで枠を広げる話も出ておりますけれども、前倒しすればするほど秋の分が不足してくるというようなことも含めまして、これは予算措置を伴うものですけれども、対応を何とか考えていただきたいというふうに思っておりますので、調査もしっかりやっていただきたいと思いますし、来年度予算を算定するときにもかかわる話だから……
○委員長(南野知惠子君) 質問を簡潔にお願いします。もう時間が来ております。
○山下栄一君 済みません。その御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(有馬朗人君) 平成十一年度の予算におきましては極めて大幅に拡充いたしました。全体的にいたしましたが、特に有利子奨学金については大変大幅に拡充させていただいた次第であります。
現在、各大学等において学生からの申し込みを集計しつつあるところでありまして、その報告をそのうち受けたいと思っております。現在、一生懸命集めておりますので、情報がそのうちに入ってくると思います。現状がどうなっているかということがわかると思います。
今後、全体の応募者数や貸与月額の選択の状況等を踏まえまして、学生の希望にこたえられるよう努力をさせていただきたいと思っております。
○山下栄一君 ありがとうございました。