146国会 総務委員会会議録 1999年11月11日
○山下栄一君 公明党の山下でございます。
私は、最初に総務庁の方に質問させていただいて、後から官房長官の方に質問させていただきたいと思うんですけれども、最初に行政評価制度につきまして質問させていただきたいというふうに思います。
昨年の中央省庁等改革基本法、そして先国会の総務省設置法等で行政評価制度の仕組みがスタートしたわけでございますけれども、ただ具体化はこれからではないかというふうに思うわけでございます。
特に、総務省設置法でも書いてございます「政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価」、この観点から質問させていただきたいと思うわけでございます。また、政策評価に関する方針、これはことし四月二十七日の中央省庁等改革推進本部決定の中では、「総務省の政策評価」の中でございますけれども、第三者的評価を可能とする仕組みということでございます。これは、私は特に外部評価という観点から第三者的評価制度というのをやはり厳格にやるべきである、こういう観点から質問をさせていただきたいと思うわけです。
平成七年の春に、他の役所の話で申しわけございませんけれども、日本下水道事業団の入札談合事件というのがございまして、これは建設省の所管の特殊法人でございますけれども、最終的には建設省のところじゃない別の行政委員会ともいうべき組織、公正取引委員会が告発しまして、刑事事件になり裁判になっていったわけでございます。このときに私も、決算委員会で実は取り上げさせていただいたんですけれども、要するに下水道事業団の中にも内部監査の仕組みがある、さらに監督官庁である建設省にも監察官制度というのがあって監査する仕組みがあったわけです。
それだけじゃなくて、当時はたしか野坂建設大臣だったと思いますけれども、当時社会党だったと思いますが、要するに下水道事業団の総裁を呼んで、何度も入札談合のことがマスコミで取り上げられ、公正取引委員会も立入検査までやっておるぞ、しっかり調べなさい、こういうことを一回だけじゃなくて三回も四回も総裁を呼んで徹底して言ったわけです。結局、内部監査ともいうべき下水道事業団の談合事件は建設省内ではほとんど働かなかった、内部チェック機能が。公正取引委員会の告発を受け、刑事事件になっていったと。
僕は、行政の中の内部チェック体制といいますか、そういう仕組みは幾ら厳格につくったといってもなかなか機能しない、そういう習慣になっているというふうにそのときしみじみと思ったわけです。私は、行政に対する信頼は日本の国民の中には定着しないどころか不信にあふれている、こういうふうにも思うわけです。その意味で、私は総務庁の行政監察局なんかに非常に期待しており、行政監察のさまざまな報告も一生懸命読み、もっともっと応援したいな、もっと強化してほしいなという気持ちがずっとあったわけです。そういう意味で、この行政評価制度というのは非常に期待もし、国民の皆さんも非常に関心を持っている仕組みじゃないかなと。
具体化はこれからであるというふうに思いますので、この中央省庁等改革推進本部が決定したそこに書いてある第三者的評価を可能とする仕組み、この中身についてちょっと確認させていただきたいわけでございます。
ここで言う、仮称ですけれども、政策評価・独立行政法人評価委員会、これは民間有識者から構成される、こういうふうに書いてあるわけですけれども、総務省になってからだと思いますが、行政監察局が行政評価局というふうな名前になるんだと思うんですけれども、この行政評価局と第三者機関の評価委員会との関係はどうなっておるのか、どうとらえておられるのかということをまず確認させていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(東田親司君) お答え申し上げます。
まず政策評価制度、今般新しく導入されますが、その中におけます総務省の位置づけは、先生御指摘のとおり、府省の枠を超えた立場から「政策評価の総合性及び厳格な客観性を担保するため」の評価を行うことが任務だというふうにされております。この総合性、厳格な客観性の担保のための評価といううちの「厳格な客観性を担保する」、ここをどのように実効あるものにするかということで、先般の「方針」におきまして総務省の中に民間有識者から構成されます政策評価・独立行政法人評価委員会を設けるということにいたしたところでございます。
現在、具体的な肉づけの検討作業をいたしておるところでございますが、今想定しておりますのは総務大臣の諮問に応じまして総務省が行います政策評価の計画、具体的にどのようなテーマを取り上げるかということでございます。それから実施状況、それから取りまとめが終わりました後の主要な勧告等について諮問に応じて答申をいただく、そのほか、諮問がなかった場合でも政策評価に関しまして意見を言うことができるというような任務にする方向で今検討しているところでございます。
私ども事務局であります行政監察局は、総務省移行後は行政評価局に移行するように予定してございますけれども、その際、私ども全国の出先もございますので、調査機能を活用いたしまして調査データを提供する、この委員会の事務局的な機能を果たすというふうにお考えいただければと思っております。
○山下栄一君 今もちょっと権限の中身みたいなものに触れられたんですけれども、その前に確認させていただきたいんですが、この第三者機関の政策評価委員会というのは具体的にこういうことをするんですよ、メンバーの構成はこうですよというようなことをどこかで決めるんだと思うんです。その法形式はどういう形になるんですか。
○政府参考人(東田親司君) この委員会の設置なり所掌事務等につきましては、政令で設置させていただくというふうに考えております。
今後、来年度予算の成立後、適切な時期に政令をお諮りしていくという形になろうと考えております。
○山下栄一君 今おっしゃった答申なり意見は、今度は総務大臣にお出しになるわけですよね、別に国会に出すわけでも何でもなくて。それで、これは諮問を受けた者でないと意見が言えないとか答申が出せないということなんでしょうか。
○政府参考人(東田親司君) 任務といたしましては二つのタイプがございまして、諮問に応じて答申するという任務と、もう一つは諮問の有無に関係なく政策評価に関して意見を言うことができる、この二つの任務を担うことを想定しております。
○山下栄一君 例えば、意見を言ったと、単なる意見でどの程度尊重されるのかということです。意見はあったけれども、それは聞きおくということだけじゃ余りにも使命が果たせないのではないかなとも思うんです。その意見の重みについてはどういうふうに考えておられるんですか。
○政府参考人(東田親司君) 先ほど申し上げましたが、この委員会の設置の趣旨が、総務省の行う政策評価の厳格な客観性を担保するために民間有識者の方々に御参集いただいて御審議いただくということでございますので、この趣旨にかんがみまして、この委員会から出される答申なり意見というのは、総務大臣が政策評価の計画の決定とか勧告を最終的に決定する際に当然十分に尊重されるべき性格のものであるというふうに考えております。
○山下栄一君 よくわかるんですけれども、私は、総務省の中の行政評価局というのが今の行政監察局をさらに強化したような役所だと思うんです。そこでやった仕事について意見を言うわけですから、ある意味じゃ総務省の仕事についても評価するみたいな形になっていくと思うんです。そんなことが果たして本当にできるのかなという疑問があるんですけれども。
これは、一般国民もそう思うんじゃないかなと思うんです。要するに、わかりやすく言えば、行政評価局のもとに審議会的評価委員会がつくられるような感じですから、そういう立場、位置づけで、行政評価局が行われた仕事をきちっと再チェックするみたいな仕事が本当にできるかということについては非常に疑問があるんですけれども、どうでしょうか。
○政府参考人(東田親司君) この委員会の具体的な役割についてのお尋ねかと思いますが、例えばどのような政策評価のテーマを選定するかという計画の段階で考えてみますと、例えば各省庁の評価の実施状況を見てみる、あるいは評価の結果を見てみて、この委員会の御判断で、ぜひこの分野は総務庁らしい政策評価をやるべきではないかというような御指摘が出る可能性があると思います。
また、私ども事務局が全国の出先を動員して調べた結果を見ても、例えばデータがもう少し足りない、こういう項目についてこういう視点からの調査も追加すべきではないかというような御指摘をいただくことも考えられます。また、評価結果につきましても、このような提言では不十分で、もっと強い提言をすべきではないかという御意見をいただくということも考えられると思います。
○山下栄一君 今もおっしゃったように、この政策評価委員会、第三者的機関の事務局は分析調査能力を持つ独自の組織はないわけで、今おっしゃったように総務省が事務局を預かるということですから、おのずから限界はあるような気がするんです。
私は、総務庁長官にちょっと御提案したいというか御意見を求めたいと思うんです。自公合意、また自自公三党合意の中でも、行政評価の客観的基準という言葉、またこの行政評価法という新しい法律形式で検討をやっていこうというふうな言葉もあるわけです。今のところ総務省の中にこの第三者的政策評価委員会がつくられることになっていますけれども、この仮称行政評価法の中に第三者的機関の権限なり構成メンバーをこうするとかというようなことも含めたことを法律規定でやることの方が国民の納得を得やすいのではないか。
冒頭申し上げましたように、行政に対する不信感が何となく強い。また、先ほど申し上げたような事件に対する対応を見ても、ともすれば内部評価という観点の範囲内の、今もこの行政評価委員会のあり方、組織ですので、そういうことからも法律の中にそういう第三者的機関の権限等を規定するような仕組みの方が、スタイルの方が国民の納得を得やすいのではないかというふうに考えるんですけれども、長官のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(続訓弘君) 今、山下委員からいろんな提案を含めながら御質問がございました。
私は、まず今回の中央省庁改革のキーポイントは何か。一つは官から民へ、中央から地方へ。そしてそれは結果として、今一府二十二省あるそれを一府十二省に変える。なぜか。二十一世紀はまさに自由でかつ公平な社会をつくろう、そのためには隗より始めよ、こんな目的のために中央省庁の再編が行われる。その一環として、それでは今御指摘の政策評価をだれがやるんだ、どういう手法でやるのか、人事評価をだれがどうやるのかというそういう問題が提起されました。同時に、今御指摘がございましたように、与党三党から政策評価について、一番重要な問題だ、したがってちゃんとやれ、こんな協議が私どもに突きつけられたと認識しております。
したがって、それが法律でいいのか、あるいはそうでなくて、法律ではなくて済むのかという議論はあります。しかし、私どもは法律でなくて今の枠組みの中で、政令の中できちんとした対応を考えております。その意味では、御趣旨を踏まえながらその対応を考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
○山下栄一君 官房長官にちょっとお聞きいたしますけれども、今、青少年をどう育成していくか、私たちの後継者をどう育てていくかということはもう極めて深刻な問題で、なかなかうまくいかない。うまくいかないどころか非常に大人自身が自信がなくなってきているという状況が大変あるというふうに思うわけです。
それで、青少年問題審議会というのがございまして、ここで二年間かけて「「戦後」を超えて―青少年の自立と大人社会の責任」という題の答申が出ておるわけです、二年間かけて。これは、小渕首相の時代じゃございません。橋本総理の時代だったと思いますが、平成九年からことしの夏まで二年間かけて、幅広く意見をまとめて答申という形ででき上がったものなんですけれども、私はこれを見ながら感じることが多かったんです。
確かに形としては、これはぜひ官房長官、もうお読みだと思いますけれども、再度また読んでいただけたらと思うんですが、非常に骨太の提言がされているなというふうに思うんです。
ただ、僕が問題だと思うのは、あくまでもこれは、もちろん審議会ですから提言はどっちに向いているかというと役所に向いておるわけですね、内閣にこういう意見を御提言しますと。僕は、もっともっとそういう形よりも国民に、こういうふうに代表メンバーを集めて、このメンバーの方々もそうそうたる方々が各界、単に教育関係だけじゃなくて幅広く出られているわけですけれども、非常に提言としてすばらしいなと。それは国民の方に向いていないわけです。総理大臣から諮問を受けたからということで、どうしても形としては内閣への政策提言みたいな形になってしまっているわけです。
僕は、そういう形式はもう幾ら繰り返したところで国民的な議論に広がらないということを本当に痛感しております。青少年問題審議会以外にも、例えば中央教育審議会が文部省のもとにある、それから生涯学習審議会、また厚生省には中央児童福祉審議会、集まっている方々はいろんなところから集まっているんだけれども、せっかくいろいろ議論しても役所の方に向かって言っているから、こういうすばらしい提言が出されているということも、どこかで国民に知らせる道はあるのかもわからぬけれども、せっかくの提言が国民の議論に広がっていかないというのは私は非常に残念なことだなというふうに思っておるわけです。
それで、与党の方でも教育改革国民会議というのが提案されているんですけれども、僕は、またこれ、政府に向かってこんなことをやったらどうですかみたいな提言をやっても、もう何遍も同じことを繰り返されている、場合によってはメンバーも重なっている場合もある。この青少年問題審議会の提言というのはすばらしいけれども、それをテーマに、家庭で、地域で、学校の中でも、こういう提言をされているけれども自分はこう思うとか、これは反対だとかというふうに広がっていったら意味があると。だから、内閣に向かっての政策提言じゃなくて国民へ発信する問題提起みたいなとらえ方が、教育改革国民会議という形をとるんでしたら、中央でもそういう議論をいろんな人が集まってやっている、それで国民に向かって発信すると。
ここで言っているのは、中央から下におろすんじゃなくて、地域が大事だ、地域コミュニティー、そこがポイントだ、そこから大人にいろいろ提言するんだ、現場は地域だというようなことを言っているわけです。だからそれは、僕は、別に地域でなかったらいかぬということはないと思う、中央でも議論をやったらいいと思う。いろんな人がそういう青少年問題に対していかに深刻な課題があるかということを共有する、悩みを。悩みを共有する中から知恵が出てくる。まとまった、かしこまった提言を幾ら何ぼ並べても、書物で終わってすぐ忘れられて、別の審議会ができてまた提言がされるというようなことが繰り返されていくんじゃないか。
だから、今度設置されようとしている教育改革国民会議というのは、まさに名前のとおり、会議の形で問題提起機関だ、政策提言に終わらせないと。そして、それを契機にして国民に発信して、それも一つの参考にしながら議論を日本列島全域に広げていくことによって大人自身の意識変革をやっていく。ここにも大人の意識変革が大事やと書いてあるけれども、大事やということを集まった人は認識したと思うけれども、集まった人と、あと役所だけで終わっているわけです。だから、そういう形じゃない形をとらないと、この青少年問題というのは深まっていかないし、何かお上から下におろされるみたいなことで終わってしまうというふうに感じまして、こういう審議会方式の仕組みを抜本的に見直すようなことが大事だと。
政治、行政主導型の青少年問題の解決というのは僕はあり得ないと思うわけでございますので、中央でやるのも勝手だけれども、いろんなところでやるというふうな癖をつけていかないと、何か予算を組んで、そして政策提言して、それを役所で検討してというようなことだけで終わっていたらかえって逆効果になってしまう。大人のすべての意識変革をやらないかぬ、こういうふうに書いてあるけれども、そんなことになっていかないというふうに感じておりまして、こういう審議会をつくってまとめて答申するみたいな形のあり方をもうやめる、教育問題とか青少年問題については。
これは問題提起なんだ、そしていろんなところでこれを材料にして議論してくださいという形の方が、教育改革国民会議をやるんでしたらその方がいいんじゃないかというふうに私は思いまして、教育改革国民会議でまとめたやつを役所で検討して法律をつくるとか、そんなやり方はもうかえって逆効果である、一つも意識変革になっていかないということを考えておるわけですけれども、官房長官のお考えを、青少年問題担当大臣だと思いますので、お願いします。
○国務大臣(青木幹雄君) ただいまの先生の御意見は、私も全く同感でございます。
青少年問題審議会で出された答申は非常に立派なものであるので、十分これが生きるように政府としても真剣に取り組んでいけということが一点であろうと思います。
それからもう一点は、これからつくる、いわゆる三党協議によってでき上がることになっております審議会についても、幅広い人選をして、文部省の言うようにいわゆる教育関係者だけじゃなくて、幅広い層から委員を選んでしっかり検討するようにということだろうと考えておりまして、私どももそういう基本線に従って今後この委員を選任していきたい、そういうふうに考えておりまして、決して委員の選任については文部省の言いなりになる考えは一つもございません。
○山下栄一君 どうもありがとうございました。