公務員制度改革についての基本的な考え方
164国会 行政改革に関する特別委員会会議録 2006年05月18日
○山下栄一君 行革推進法案の中に、総人件費改革と並んで、関連してですけど、公務員制度改革のことがございます。六十三条に書いてあるわけですけど、このことは、この数年ずっと検討されてきたことを集約して推進法案に書き込まれたというふうに思うわけですけれども、その中に人事院制度の検討を行うというところがございます。そのことに関連して質問さしていただきたいというふうに思いますけれども、この人事院の基本的な在り方を検討する場合に、そもそもこの人事院制度の法的な裏付けといいますか、そしてまた現行の権限が与えられたその法的根拠を確認さしていただきたいというふうに思います。
まず、法制局にお伺いいたしますけれども、この国家公務員法の下に中央人事行政機関として人事院が位置付けられておるわけですけれども、昭和二十三年にこの人事院という制度が、名前がその前に人事委員会だったんですけれども人事院制度に変わったと。その役割は、国家公務員が日本国憲法十五条において全体の奉仕者と位置付けられている、ここに由来するというふうに理解しておるわけですけれども、御見解を確認さしていただきたいと思います。
○政府特別補佐人(阪田内閣法制局長官) 今委員御指摘のように、憲法十五条第二項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と規定しておるわけでございますけれども、このことを担保するためには公務員に係る人事行政の公正が確保されることが肝要でございます。
そのための具体的な制度上の仕組みとして、内閣の所轄の下に独立性の高い中立的第三者機関として人事院が設けられていると。言い換えますと、人事院には公務員についての労働基本権制約の代償機能という面もございますけれども、その点を別にいたしますと、その所管する人事行政を通じて、公務員が不偏不党、中立公正の立場でかつ能率的に公務を遂行することを確保するという、そういう役割が期待されているものと理解しております。
○山下栄一君 憲法の確認さしていただきましたけれども、国家公務員法上、今おっしゃった中立公正性の確保についてどのような規定があるのかということを確認さしてください。法制局長官、お願いします。
○政府特別補佐人(阪田内閣法制局長官) 憲法十五条の下、国家公務員法は、その第一条第一項に規定しておりますように、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的として制定されているわけでございますけれども、公務員の公務遂行の中立性、公正性を担保するための同法の具体的な規定の例といたしましては、すべて職員は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならないと定めました第九十六条第一項、それから政治的行為の制限について定めた第百二条、兼職兼業の禁止、その他私企業からの隔離を定めた第百三条などを挙げることができるかと思います。
さらに、同法第三条第二項では、ただいま申し上げました諸規定の適切な運用等を通じて中央人事行政機関である人事院が人事行政の公正の確保に関する事務をつかさどるんだということが明確に規定をされているということでございます。
○山下栄一君 ありがとうございます。
人事院にお伺いいたしますが、この人事院創設の趣旨につきまして、憲法、公務員法との関連で御答弁願いたいと思います。
○政府特別補佐人(谷人事院総裁) 第二次大戦後、こういった事態を招いた原因の一つとして、財閥、軍閥と並びまして公務員制度もかかわりがあるという認識の下でその抜本的な改革が必要と認識されるようになりまして、そういうことの中から、この憲法の、先ほど法制局長官から御答弁ございましたけれども、この憲法の趣旨を実現するために、国家公務員法に書かれておりますような公正中立性の確保等の観点から中立、専門の人事院が設けられたというふうに考えております。
○山下栄一君 ありがとうございます。
これ、人事院の位置付けにつきまして、私は、今申し上げました憲法、そして国家公務員法一条、三条その他、その基本的な精神のところを大事にする必要があると、なぜこういう第三者機関、非常に独立性の強い機関が設けられたのかということを確認する必要があると思うからこういうことを質問しているわけですけれども、この労働基本権と政治的自由、これが大幅に制限されておるわけです、国家公務員はね。その反面で、公務員の利益保護の仕組みとして人事院制度が創設されていると。
ただ、最近の論調を見ましたら、この労働基本権の、公務員付されておらないと、こういう観点からの代償機能の方が非常に中心に議論されていると。しかしもう一面、中立公正な中央人事行政機関が必要なんだと。場合によりましたら、労働基本権を付与されたと、付与されても中央人事行政機関としての人事院の役割があるんだと、それは中立公正性の観点なんだということが非常に大事ではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、この中立公正性の確保、代償機能と同時にこういう大事な役割があるということ、このことについてこの重要性を私は忘れてはならないというふうに考えます。
このことについて、人事院の考え、そして内閣として官房長官に御見解をお伺いしたいと思います。
○政府特別補佐人(谷人事院総裁) 御指摘のとおり、公務員制度におきましては、人事行政の公正中立性の確保という観点は極めて重要な点であろうと考えております。私どもといたしましては、公務員の人事管理の中立第三者機関、専門機関といたしまして、時代の要請に対応した改革が国民や関係者の御理解を得て実現されるように、その与えられました使命を適切に果たしていかなければならないと考えております。
例えば、人材の確保育成ということを例に取りますと、直接職員を採用し育成していくのは、それはあくまでも所管の行政事務を熟知し、また職員の働きぶりということをよく把握しておられます各府省であるわけでございますけれども、しかし、全体の整合性を確保いたしますとともに、人事行政の公正中立性というものを確保していくという観点から、人事院が採用試験を行うとともに、各府省合同の研修を実施するなど、全体の奉仕者としまして、また行政の専門家としてふさわしい公務員を確保育成するという使命を果たしてきておるわけでございますが、今後とも一層そのことを考えていかなきゃならぬと思っております。
また、公務員制度の公正な運用の確保のためには、今後とも、任免、給与あるいは服務、懲戒、分限の諸制度につきまして適正な基準や指針の設定に努めていかなければならないというふうに考えております。
○国務大臣(安倍内閣官房長官) 憲法第十五条は公務員が国民全体の奉仕者であることを定めておりますことから、公務員人事管理の中立公正性の確保は極めて重要であります。
人事院は独立性の高い中立第三者機関としてそのための役割を担っているものと承知をしております。
公務員制度改革においてもこうした役割を確保することは引き続き重要であるというふうに認識をいたしております。