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社会の教育力〜
社会の教育力向上のために
2001年5月4日
−教育対話に基づく第2次提案−
公明党教育改革推進本部
学級崩壊や少年による凶悪犯罪、いじめや暴力、不登校や引きこもりの問題など、 日々の教育は深刻な危機に立ちいたっています。
「子どもは社会の鏡」といわれるように、今日の大人社会のモラルの低下やひずみが、 敏感な子どもたちに現れてきているといってよいでしょう。
悩み苦しんでいる子どもたちのために、子どもたちの立場に立った施策を講ずる必要があります。
社会の多様化が進み、従来のような画一的な学校教育のあり方について限界を指摘する声が高まっています。 子ども一人ひとりの多様
性を尊重し、個性や能力を開花させる学校教育のあり方が問われています。
物資が豊富にある社会、便利さや快適・効率性を優先させる社会、大自然の人間育成能力を無視した社会のあり方は、家庭において、
また学校や地域社会、職場社会のあらゆる場面においても、人間関係を希薄化させ、人と人との絆を断ちきってしまいました。人間同士
の触れあいの減少は、家庭、学校そして社会全体の教育力を低下させてしまったと考えます。
私たちは、もう一度、「人間を育てる」ことの重大さに思いを致し、社会全体の教育力回復に真剣に取り組まねばなりません。 昨年の政府の「教育改革国民会議」の報告をきっかけに、国会でも教育改革についてさまざまな論議がなされていますが、公明党教育
改革推進本部は、教育現場の方々や中・高・大学生そして父母の皆さんの声に謙虚に耳を傾けるため、今年1月から3月までに、全国1
2都市で活発な教育対話を実施し、また精力的に教育現場の視察を行ってきました。
教育現場での意見やその実態を踏まえ、公明党は、未来を担う青少年の健全な成長を願い、21世紀のわが国のめざすべき道は、教育
を手段視しない、「教育を目的とした社会」の構築にあるとの信念に立って、今年1月に発表した「教育対話に基づく教育改革提案(第
1次)」に引き続き、以下のような具体化すべき事項をここに提案します。
【学校の多様化の推進により学校の教育力を向上させます】
社会の多様化に伴い、児童・生徒一人ひとりに対するきめ細かな学校教育が求められています。不登校児などの受け皿として多様な教
育機会の提供を図るため、以下のような新しいタイプの学校の設置が可能になるよう学校設置基準を緩和します。
1.地域住民が運営に参画するコミュニティースクール
2.在宅学習のホームスクール
3.個人経営のフリースクール
4.NPOなどが公的な資金援助を受けて設立するチャータースクール(特別認可学校)
【多様な高等学校の設置と柔軟な学校教育の運営を推進します】
1.多様化した社会へ的確に対応するため、柔軟な学校教育の運営を推進します。出席日数や、修得単位数などの進級ルールの見直しや
コース編入の弾力化などを検討します。また自発的なボランティア活動に対する単位付与を認めます。
2.ホームヘルパーなどの資格取得などもできるチャレンジスクール、学年制を撤廃し生徒自身が時間割を組める単位制高校など、新し
いタイプの高等学校の設置を推進します。また総合学科、福祉学科、体育学科などの多様な専門課程の設置を推進します。
【学校サポート体制を推進します】
1.地域の学識経験者などを積極的に学校評議員として登用し、開かれた学校づくりを推進します。
2.校区ごとに児童相談所、警察、保護司、病院、保健所などの代表で構成する常設の地域サポート委員会の設置を促進します。
【障害教育の充実と就職を積極的に支援します】
1.盲・聾・養護学校では、教師が多忙で時間的余裕がなく、児童・生徒との十分なコミュニケーションを確保するのに大変に苦労され
ている現状があります。これに対応するため、障害児教育専門免許を所有する教員の増加、地域障害児教育センターの機能の充実をめざ
します。
2.教育のバリアフリー化の観点から、本人や保護者の意向を十分に尊重して、入学時に学校や学級の選択ができるようにするため、市
町村単位の就学指導委員会の設置を積極的にすすめます。
3.生徒の障害の程度に応じて希望に沿った卒業後の進路を保障するため、学校内作業実習の充実、地域事業者の協力体制を強化しま
す。
【自閉症児、ADHD児、LD児への支援を推進します】
1.増加傾向にある自閉症児、ADHD児(注意欠陥・多動性障害児)、LD児(学習障害児)など障害のある児童・生徒にきめ細かに対応するため、「保健室」や「こころの相談室」など教育相談体制の整備充実をはかります。
2.自閉症児、ADHD児、LD児などへの通級による指導など指導体制を早急に充実させるため、専門教師の増員や、ティームティー
チングによる指導、個別指導などの体制整備を推進します。
【教育相談センターを拡充します】
1.一人で悩み、閉じこもりがちな青少年や児童及びその両親、また教育現場の教員も、気軽に相談できる環境を整備するため、各市町
村における教育相談窓口の支援体制を拡充します。
2.教育相談等に取り組むNPO法人等の民間組織を積極的に支援します。
3.不登校児、引きこもり傾向にある子供、家族への支援を強化するため、心理学・精神医学などの専門家の養成制度を強化し、その専
門家が配置されている地域相談窓口を拡充し、そのネットワーク化を推進します。
【夜間通信制大学・高校の体制を強化し、学費負担を軽減します】
1.働きながら苦労して学ぶ勤労学生やリカレント教育を受ける社会人のために、大学及び高校の夜間、日曜開講、通信制教育などの充
実をはかります。
2.勤労学生の経済的負担を軽減するため、学費減免措置や奨学金貸与の特別措置をはかります。
【公的ボランティアセンターの充実と民間ボランティア団体への支援を推進します】
1.ボランティアに意欲をもつ人のために、活動のコーディネイトや情報提供を行う公的ボランティアセンターを整備拡充します。
2.「奉仕体験活動」や「自然体験活動」等を通じて青少年のボランティア精神を啓発し、青少年のボランティア活動を推進する団体へ
の支援を強化します。
【入学金の公的貸付制度を創設し、留学生奨学金制度を拡充します】
1.高校、専門学校、大学への進学時の入学金について、無利子で貸し付ける公的貸付制度を創設します。
2.増加傾向にある海外からの留学生、また海外への日本人留学生に対する奨学金制度を拡充します。
【日本語教師の養成と適正な配置を推進します】
1.外国人労働者の増加と国際交流の進展による日本語教育のニーズの高まりに対応し、日本語教員養成体制の強化と配置の充実をはか
ります。
2.日本語教育の質的向上のため、大学における日本語教育課程の見直し並びに日本語学校の設置基準を法制化します。
3.日本語教育に経験豊かな定年退職者などを積極的に活用し、日本語教育を推進するNPO法人等を支援します。
【課外クラブ活動を支援します】
1.クラブ活動顧問の適任者の減少や指導力低下に対応するため、課外クラブ専門の非常勤講師を積極的に配置し、クラブ活動の活性化
をはかります。
2.クラブ活動の技能向上のため、文化やスポーツの指導者の登録派遣制度の充実をはかります。
【アジア各国共同で共通の歴史事実の確認作業を推進します】
1.政治的意図に左右されない学校教育を守るため、中央における教科書検定制度は検定調査審議会の独自体制を強化するとともに、採
択制度についても、教科書選定委員会に保護者や地域の代表を必ず参加させるなど、公正かつ開かれた制度への改善をめざします。
2.アジア各国と連携して、政治学者、歴史学者を中心に共同調査研究会を設置し、客観的資料に基づく具体的な歴史事実の確認作業を
積み重ね、可能な限り共通の歴史事実認識を共有できる環境を整えます。