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新たな行政監視システムの構築に向けて
山下栄一が、決算委員会における取り組みを冊子にまとめました。
■冊子「新たな行政監視システムの構築に向けて」(PDF・全文)
■各方面からのご感想・ご意見
■「人事管理通信」で冊子を紹介
「新たな行政監視システムの構築に向けて」
−都道府県労働局不正経理事件に関する報告−
平成19年9月(発刊)
参議院議員 山下 栄一
はじめに
私は平成四年の初当選以来、参議院の決算委員会に所属することが多かった。野党の時は当然として与党になってからも、この委員会の一員であることに議員としてのやりがい、使命感、誇りを感じてきた。それは決算委員会が行政監視の役割を持つということからきていると考えている。「行政監視」とは平易に言うと「公務員の不正・税金の無駄遣いは許さない」ということだ。「国民の代表としての議会、そして議員の使命は行政監視にある。」このことを忘れてはならないと自身に言い聞かせている。日本の政治が軽視してきたことではないかと思う。
今年の通常国会の決算委員会で私が連続して取り上げてきたのが「都道府県労働局不正経理事件」だった。四十七都道府県で不適正な経理、公文書偽造等の犯罪行為が長年にわたり組織的に恒常的に行われてきたというものである。憲法機関の会計検査院が総力を挙げ、平成十七年、十八年の二年間をかけ調べ上げ内閣を通じて国会に提出された。しかしこの問題はなぜか国会ではほとんど取り上げられない。私は、国会の行政監視は機能しているということを何としても示したかった。
調べれば調べるほど、これは厚生労働省の一部局の問題ではなく、日本の行政全体の非民主的体質、根幹に係わる課題を内包していると確信するようになった。行政の責任は何によって担保されるか、国家公務員法で規定されている懲戒処分、刑事処分は省庁まかせになっている。問題を起こした組織が自分たちの責任を徹底して追及することが出来ないことは明かである。
税金や保険料など国民のお金を「集める」時は一円たりとも逃さないのに、集めた公金の管理がズサン、使い方がデタラメだったら国民はたまったものではない。しかし、それがまかり通るシステムになっている。端的に言うと「官に甘く民に厳しい」体質に貫かれている。国家公務員法、会計法の体系そのものが主権者である国民のために機能していない。「公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」という憲法第十五条は空文化している。国家公務員法も空文化している。
平成十九年夏の参議院選挙で最大の争点となった社会保険庁の年金管理問題は、このような観点から見ればその本質が鮮明に見えてくる。年金を横領しても告発もされない、懲戒処分もいい加減。このようになってしまっているが、それも当然だと思う。社保庁職員の横領行為は単に「年金管理」ではなく「不正経理」として捉えれば、国民が納得する実体解明ができると思う。社保庁問題は労働局問題と同根だと考えればわかりやすい。だから、私は、選挙の直前に、事件解明のために会計検査院制度の活用等を党内で提案し、覚えとして総務大臣に対し申し入れを行った(別添資料一一七頁参照)。
国民の信託に応える議会構築をしなくてはならない。戦後の日本の政治を真に民主的につくりかえなくてはならない。それは言い換えれば「官に甘く民に厳しい行政」を「官に厳しく民に優しい行政」へ逆転させることと言える。そのために与党、野党ではなく議会、議員そのものが行政監視機能を果たすこと。そのために一議員として仕事をしっかりやっていきたいと思う。
委員会質疑のための調査に当たっては参議院調査室及び法制局の方々、さらに本書の執筆に当たっては調査室の方々のご協力をいただいた。心より感謝の意を表したい。