Home プロフィール 主な政策提言 国会質問 活動レポート 市民相談コーナー 情報BOX リンク集 事務所案内 ご意見

戻 る

「大阪日日新聞」寄稿(2005年12月18日)掲載
永田町の風(大阪の国会議員リレーコラム)

「共助」の重要性再認識を


参議院議員 山下 栄一

 昨今、人間の生存の基盤が崩れつつあるのではないかと感じる現象・事件が多くなってきています。

■蝕まれる生命の基盤

 BSE問題、鳥インフルエンザの被害拡大、偽装マンション問題など、食・住という生活の基本が危うくなってきました。また、幼い女児殺害事件、地震・台風の災害の不安、テロの不安、航空・鉄道・船舶などの交通機関の安全神話の崩壊、ネット犯罪、証券会社の入力ミスによる市場の混乱など、科学技術の進展による文明生活の成熟は、一方で至上の価値である生命の基盤そのものを、着実に蝕んでいるように見えます。
 社会の乱れは、価値観の転倒から来ると言われます。人生において何が大切か。一歩下がって自省するところから、社会の再建・政治の再建は始まります。最近読んだある著名な思想家の著書に、大要、次のような子育てのあり方の話が載っていました。
 −我が息子をどう育てるか。母は迷った挙句「誰からも愛される人に」を目指す。少年を誰もが大事にしてくれた。しかし、ちやほやされるのが当たり前となり、子供は冷たく、傲慢な人間になっていった。人の好意が疎ましく愚かに見えた。心の空虚は増すばかり。遂に「自殺して、みんなを驚かせてやろう」と、考えるほど行き詰ってしまった。どん底の状態で、今度は反対に「人々を愛せるような人間に」と、必死に祈った。彼の生活は一変し、みんなに冷たくされるほど、その人たちをいとおしく思えた。不幸な人に尽くしながら、彼の心は温かく、虚しくなかった。幸福感に満たされた。
 現代人の多くが、この息子の前半生を理想として生きているのではないか。人に大事にされる人生を目指し、富を求め成功すれば傲慢になり、失敗すれば敗北感を抱く。どちらも心が貧しい。なのに大人は子供たちにそんな生き方しか示せないでいる。−
 長い引用になりましたが、示唆に富む指摘だと思います。

■思想・哲学を大切にする政治

 いよいよ人口減少社会に突入。次代を担う若者は、働く目的を見いだせないでいます。政治は、迫る諸課題に次々と対応せねばなりません。しかし、対処療法は財政を悪化させ、社会不安を結局拡大させてしまいます。私は「公助」の限界を自覚した上で、「共助」の重要性を今こそ再認識すべきだと思います。子育て、介護、環境保全、町の安全などは、地域の連帯、家族の連帯の再構築のための粘り強い取り組みがあって、初めて持続可能性のある体制が整うのだと確信します。
 企業や学校から、地域や家庭へ。人の絆を大切にする人間組織の主役の転換がなければ、子供の幸せは取り戻せません。人から愛される人間ではなく、人に尽くす人間へ。対症療法に加えて正しい価値観、思想・哲学を大切にする政治のあり方が今最も求められていると、感じてなりません。