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「日本教育新聞」(2005年1月7日)掲載
年頭あいさつ「平成17年 教育界に期待する」

「人は教育によって人間に」


参議院議員・公明党文部科学部会長 山下 栄一


 超高齢化社会である。人は百二十歳まで生きる能力、体力があると言われる。百歳を超える人が今年、二万人を超えた。五十年も経つと、同世代の一割は百歳以上になると言う。しかし一方で、超少子化社会、この傾向はますます激しく、深刻である。

 私は少子化社会の本質的な問題は現代社会が人を育てることの貴さ、重みをおろそかにしていることにあるのではないかと考えるようになった。人工中絶の激増、中絶児を廃棄物として扱う市町村の増加、児童虐待の増加等はその例である。

 胎児の段階、子宮着床の段階から、生命を育むことの貴さを自覚し、何のための人生かと、深刻に自省することが少子化克服の本質的第一歩と考えたい。

 人が育ちにくい、人を育てにくい時代を私たちは作ってしまった。物が豊かな文明社会は生命を育む力を持っている自然を破壊し、人と人のつながりを希薄化してきた。「他者」なくして「自己」なく、「環境」なくして「人倫なし」。人と人との直接的触れあい、触発のなかで教育力が鍛えられる。「子育て」をアウトソーシングする安易な心、学校依存主義の心を決然と捨て「我が子は私が育てる」という強い信念が先ずあって、社会の教育力復権の流れがはじまるのではないか。

 「人は教育によって人間になる」とのカントのことばの重みをかみしめたい。